TS魔法少女は光堕ちしたい!!   作:布団から出られない

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89転生少女は半身を心配する

 

 

夕音叔母さんが亡くなる。

そう聞いて、私は少し、寂しさを感じた。

 

……一応、私は悪の組織に身を置いてるし、本当の味方が誰なのか、そんなの全然分からない状態だ。

 

イコルのことは、ちょっと信用してきてる、けど、イコルが私に協力的なのは、ヒンナさんに言われてるからで。

私は、ヒンナさんのことを100%信用できてるわけじゃない。

 

そんな中で、血縁関係のある夕音叔母さんがいるっていうのは、中々安心できる事実だっただろう。

 

………まあ、私の場合、もう1人の私がいるから、そんなに心細くなかったって話はあるんだけどね。もう1人の私がいたからこそ、私は夕音叔母さんを全面的には信頼していなかったわけだし。

 

でもまあ、間違いなく、分身の私がいなければ、きっと私は夕音叔母さんに依存していたと思うし、ありがたい存在ではあったんだろうと思う。

 

だから、もう1人の私にとっては、とてもかけがえのない存在だったんだろうなって、そう感じてもいる。

 

「……うん、うん。じゃあ、また今度ね」

 

だから私は、もう1人の私に電話をかけて、様子を伺う。少なからず、夕音叔母さんの死という事実に、落ち込んではいるだろうなって、そう思ったから。

 

……自分で自分を慰めようって発想も変なんだけどね。ただ、今の私の感覚としては、もう1人の私は自分というよりは双子の姉妹って感覚だからさ。

 

「……あー、悪かった。まさか、向こうの方の分身も戦闘しているとは思わなかった。僕の落ち度だ」

 

「イコル様、別に大丈夫ですよ。ゆう………ジェネシス様が何とかしてくれるみたいなので」

 

「……そうか。………それで、今後の襲撃について何だが……。僕がヒンナと連絡を取って、調整することに決めた。オクトロアから出撃命令が来れば、まず僕とヒンナで相談して、どちらを出撃させるか決める」

 

そういえば、それ、次回は私が出撃してみようって話になったんだったっけ。

まあ、知っておきたいしね。元々の私が戦ってきた魔法少女達が、どんな子なのか、とか。

 

ただ、最初はそれだけだったんだけど、今は……。

 

「イコル様、その………街の襲撃なんですけど、暫く私に任せてもらえませんか?」

 

「………僕は別に構わないが……やれるのか?」

 

「…はい」

 

………魔法少女に会いたいとか、それ以上に。

……もう1人の私の精神状態が、心配だ。

 

何とも思ってないかもしれない。けど、もう1人の私は、私以上に夕音叔母さんと関わってきている。だから、夕音叔母さんの死が来ることを聞いて、かなりショックを受けている可能性も否定できない。

 

そんな状態で、魔法少女達との戦闘をまともにこなせるのかって話でもあるし。

 

だから私は、私自身の出撃を希望した。

別に、私は戦闘狂というわけではないし、魔法少女との戦いで戦果を上げたい、というわけではない。

勿論、エンシェントカラミティの時みたく手柄をあげれたらそれはそれで嬉々として報告しはするけども。

 

「……まあ、ヒンナには話を通しておくよ。それと、出撃の時はできるだけ、キュヴァか湿島をつけておくようにする。……あと、ジェネシスの件で話しておくことがある」

 

「ジェネシス様の件…」

 

もしかして、イコルにも夕音叔母さんがもう長くないということを…?

そっか、ヒンナさんとイコルは繋がってるし、その情報が流れててもおかしくはないのか。

なんて、そう思ってたけど、イコルが話したのは、私が想像してたものとは別のことだった。

 

「………ジェネシス、あいつはどうやら、妖精なしで魔法少女に変身することによって生じる代償への対策を、とうとう作り出したらしい。……これで、お前達が魔法少女に変身することによる代償のリスクは解消できる」

 

魔法少女に変身する代償?

へ? そんなのあったの? 初耳…。

いや、もしかしたら聞いてたのかもしれないけど……。いや、天才の私に限って聞き逃しなんてありえないな。ってことはやっぱり聞いてないんだろう。

 

……うーむ。聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というからね、ここは素直に、分からない、教えてくれと告げるべきだろう。

 

「代償って何ですか?」

 

「……知らないのか。……本来、魔法少女は妖精の力なしでは変身できない。けど、魔法少女ブラックルーイは、組織に拉致され、無理矢理、強制的に魔法少女に目覚めさせられた存在だ。本来は妖精の存在を介して行う変身を、ブラックルーイは妖精を介さずに、単独での変身を行っている」

 

「ほうほう」

 

私にはお付きの妖精いないもんね〜。エンシェントカラミティには、妖精がついて回ってたけどね。私もアレを人質にしたわけだし。人質ならぬ妖精質ってね。語呂悪っ。

 

「当然、無理矢理変身プロセスを行わせているわけだから、体に負荷がかかり、魔法少女に変身する際に代償という形でそれがのしかかる可能性がある。……最悪の場合、命に関わるような、代償が」

 

「めちゃくちゃやばいですね」

 

あー。妖精人質にされないから、いない方が有利じゃねって思ってたけど、そうでもないね。いなかったらいなかったで身体への負担がヤベーと。

ていうか、分身も命に関わるって話だし、今思えば私ともう1人の私ってかなり危ない橋渡ってるんですね。

 

こわぁ……。

 

「まあ、それをジェネシスが解消したという話だ。………代償については、そこまで気にすることもないだろう。安心しておけばいい」

 

「よかったぁ……」

 

普通に安心だ。そりゃ死にたくはないからね。

まだまだやりたいことたくさんあるし、光堕ちってのも体感できていないしね。

 

だから、死なないってだけで丸儲け。

……まあ、その死ぬリスクを消してくれた夕音叔母さんは、もうすぐでその生を全うするって話が出てるんだけどさ。

 

……んー。大丈夫かなもう1人の私は。

あんまり夕音叔母さんと関わりのない私でも、それなりに悲しいなって気持ちが湧いてくるくらいだからなぁ……。

 

もう1人の私が動けない間は、私が動くつもりではあるから、その間に気持ちの整理をつけてもらえれば大丈夫だとは思う。というか思いたいんだけど。

 

……まあ、その辺は様子見ながらって感じかな。

夕音叔母さんの死についてヒンナさんから聞いた時は、ショックこそ受けてたけど、現実を受け止めて、前向きな姿勢な感じだったから、大丈夫そうといえば大丈夫そうなんだけどね〜。

 

「ま、なるようになるか」

 

「何が?」

 

「何でもないです」

 

「……そうか。変なやつだな」

 

……変なやつとは失礼な。これでもクラスカーストトップ、真の陽キャ、友達100人のパーフェクト超人天才光千夜様なんだからね。

まあ、できる女だから、一般人とは異なる、そういう意味で変なやつとは言えるかもしれないけどね。

 

「ちなみに、次回の襲撃は明日の予定らしい。……僕は用事があるから、そばにはついていられないけど……」

 

あ、明日!? いきなりすぎない…?

 

いや、まあ悪の組織だし、ブラックなのは重々承知しているんだけども。

……まあ、仕方ないよね。

 

「わかりました。大丈夫ですよ! 私、エンシェントカラミティに勝ったので」

 

「……エンシェントに勝った。確かにそれは凄いな。イグニスともやり合えそうだ」

 

「ははは……」

 

ああ、そうだ。負けそうになれば妖精を人質に取ればいい。卑怯だって? しーらない。だって、もう1人の私がダウンしちゃってる可能性があるんだもん。これって、実質実力の半分も出せてないってことだし、実質ハンデだよね。

 

だから、使える手は何でも使うよ。

それが悪の流儀だと思うし、悪役であればあるほど、光堕ちはより良くなると思うからね。

 

 

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