Melty Blood Another   作:Unknown37564

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 シオンとさつき、そして秋葉がちゃぶ台に座っている中で、当の俺は電話を受けていた。

 

「はい、わかりました。ありがとうございます。ええ、はい」

 

 俺は携帯電話を切って食卓へと戻った。シオンと弓塚さんは戻ってくるこちらを見ている。

 

「ちょっと失礼、チャンネル変えさせてくれ」

 

 テレビのリモコンを取って片っ端からチャンネルを変えだし、一つのニュースに辿り着いた。番組では、リポーターが学校の前に立って喋っている。

 

「その市立高校の前です。こちらの校門前で大量の血液があったという事でして。うわ、ほら!見てください。道路にこびりついた血の跡は、どれだけの惨状だったかを物語っています」

 

 カメラは道路に差し向けられ、血で赤黒くなったアスファルトが映し出されていた。

 

「うっわぁ~すっごいねぇこれ」

 

 さつきは呆気に取られながら見ているが、忘れている様子だ。

 

「これ、うちの学校だよ」

 

「ぅえ?!」

 

 俺に指摘されて、さつきはビックリする。

 さつきが言われて、ニュースを釘入るように見始める。

 一方でシオンは秋葉とニュースを交互に見る。

 俺は予め先程の電話で大方知っていたので、秋葉に食事を取らせるのを優先した。

 

 箸で鮭を割って、秋葉の口に運ぶ。

 

「うちの学校の近くでこの事件があって、そのせせい今日は学校休みだってさ」

 

 秋葉は口を空けて俺の箸を受け入れて咀嚼する。

 どんな反応をするか注視していると、秋葉が一瞬だけちらりとシオンを見た。

 俺はそれにどきり、とさせられたがすぐに秋葉の視線が俺へと戻ったことで安堵した。

 

「そういうわけで、俺も今日は学校が休み。だから、午前中は昨日出来なかった話し合いをしようと思う」

 

 秋葉に全ての食事を食べ終えさせたので、食器を重ねて流し台に向かう。

 流し台にひとまず食器を置いて、今度は俺が食べる分の食事をお盆に載せる。

 少し冷ます意味も兼ねて、お盆を厨房に置いたまま居間に戻る。

 

「そうですね、志貴が食べ終わったらそうしましょう」

 

 シオンも食べ終わって食器を重ねながら、俺を一瞥する。

 俺は秋葉を抱えて、寝室に向かおうとしていた。

 

「ごめん、私ごはんもう一杯おかわり、いい?」

 

 さつきはまだ食べたり無い様子で、申し訳無さそうに俺に聞く。

 

「五合炊いてあるから大丈夫だ。味噌汁もまだ残ってるよ」

 

 秋葉を抱えて寝室の扉の前まで差し掛かった辺りで答える。

 さつきがいっぱい食べる可能性は既に考えており、多めに作っておいた。

 鮭は人数分しか無いが、お新香はまだまだある。

 

「うん、ありがとう」

 

 さつきは茶碗とお椀を持って厨房へと向かった。

 秋葉を布団に寝かせて寝室を後にし、俺は自分の分をちゃぶ台に運んだ。

 

 

 

 

 

 

 天気は曇天で、雲の切れ間から光がベランダから俺たちの座るちゃぶ台に差し込む。

 そして、シオンがお茶に一口つけてから本題に切り出した。

 

「では、今後の活動方針について話をしましょう」

 

「ああ──そしてその方針を決めるに当たって、俺から一つ提案がある」

 

 さつきとシオンがその提案を聞いてこちらを向く。

 シオンは無表情だが、さつきはあからさまに疑問の表情が顔に浮かんでいた。

 

「シオン、君はタタリの事を知っている風な感じだったよな?」

 

「……ええ」

 

「なら、その件を話す為にもお互いの過去を知っておいた方が良いんじゃないかと思うんだ」

 

──遂に切り出した。俺自身が本当は語りたくなくて、けれど話そうと決心した過去を。

 シオンは驚いた表情になる。

 

「志貴たちの過去をですか?」

 

「ああ。というのも、お互い、どれだけ戦えるのかってのを知らないだろ?正直俺の中での戦闘力が未知数なのは………さつき、君なんだけど」

 

 そう言って俺はさつきの方を見る。

 さつきは少し恥ずかしそうで、照れながら頭をかいている。

 

「いやぁ、言うほどじゃないんだけどぉ~……」

 

「まぁ、さつきの方も俺が戦っているのを見たのはあの時の一瞬だろうし、シオンにしても俺と一度、お互い本気だったわけじゃなくて。まだ俺たちはそれぞれが本気でやってるところは見せてないんだ。だから、一蓮托生でやってく以上はどこまでやれるのかの指標として、そしてどれだけ切り札持ってるかの確認の為に。まずは自分のこれまでを語れるだけ語れば良いんじゃないかなって」

 

 意図は伝えたがさて、どんな反応が返ってくるのか。

──緊張で握りこんだ手が汗ばんでくるのを感じた。

 

「ふ~ん、なるほどぉ」

 

 さつきは特に考えてない様子でうんうんと頷いている。

 シオンは手で口元を隠すようにあてがって考え、しばしした後に答えた。

 

「……わかりました。確かに連携を深めるという意味でも避けるべきでない話題ではあります。では、誰から話を始めますか?」

 

「はい、私から」

 

 さつきが手を上げて自身あり気に答える。

 

「私、深い過去とか特に無いから。先に話しておきたいなーって」

 

 だから、とさつきは語りだす。

 

 

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