この素晴らしい魔道具店副店主に幸福を!   作:白峰 真紀

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 実は主人公、この世界で義理の家族がいます。そしてその家族はなんと……(詳しくは本編へ)

 その家族との出会いも番外編で詳しく書こうと思いますので、知りたい方は待ってて下さい。


第10話 たまには仕返し。そして家族(義理)へ会いに

 

 冬が強くなり寒くなってきたこの頃、ユウヤは早起きして自宅の地下で作業をしていた。

 

 「ここをこうして、次にこの部品をはめ込んで……」

 「ユウ〜。追加の材料持ってきたよ」

 「すまん。すぐ近くに置いといてくれ」

 

 それを聞くとリエスはユウヤの右隣に置いた。作業中のユウヤの周りにはあちこちに変形した金属や、中身が分解された魔道具が転がっている。

 (ちなみにこの地下空間は少々特殊で、ユウヤがコーリングをしなくてもリエスが単独で出てくることが可能である)

 

 

 ユウヤがいま作っているのはバイクだ。この世界に来てテレポートや俊速魔法で移動が楽になっているのだが、あくまで魔法なので、魔力消費を抑えるためにあまり使わないことも多い。そうなると、自転車すらないこの世界では徒歩しか方法がない。

 それはあまりに不便だ。なので魔法を使わず移動を楽にするために、バイクを開発している。

 

 

 「それにしてもだいぶ形が様になってきたね〜。ここまでの道のりだいぶ長かったよ」

 「家にいることがあまり無かったし、パーツを組み立てるための金属が中々集まらなかったりしたからな。動かす仕組みを考えるために試行錯誤したこともあったし」

 

 

 約1年半前からずっと作業を続けており、今日になってようやくボディが完成してきた。これでスタートラインに立つことが出来る、とユウヤは心の中でガッツポーズをした。

 

 

 まだ地球にいたとき、自分の実家はバイク屋であり、幼い頃からバイクを組み立てる父親の作業をよく見ていた。高校生になると自分も途中で手伝うことが増え、18歳になると遂に1人でバイクを組み立てることを許可された。初めは苦戦もしていたのだが、父親のアドバイスやトライ&エラーで少しずつ慣れていき、半年後に完成することが出来た。

 

 

 過去の経験があるのでこの世界でもすぐに作れるかと思いきや、そうは行かずまずパーツの型を作ることから始まった。当たり前だ。この世界は馬車しか魔法と徒歩以外で早く移動する手段がないのだ。そんな存在しない物を作るために、まずは細々としたパーツの設計を描く必要がある。

 

 朧げな記憶からいくつかパーツ形状を思い出し、紙に描いていき、また記憶から思い出そうとする。その繰り返しで約2ヶ月、大体のパーツを描くことが出来た。

 

 

 が、ここでまた新たな問題が発覚する。

 ガソリンだ。ガソリンが無い。

 

 

 全身の機能を活性化して動かすために必要な燃料がこの世界では発掘出来ない。ウィズにも聞いたが、そのような物は聞いたことがないと返ってきた。油でも代用出来なくは無いが、危険度は上がるためこれも却下だ。

 

 厄介な事にガソリンは自分の能力でも作り出すことは出来ない。自分の能力である金属変化は金属を固形・液体化することは出来るのだが、あくまで元は金属。なので飲んだり食べることは出来ない。

 というわけで、ガソリンを作り出すことも出来ないので用意も不可能。また白紙に戻ることとなる。だがここで諦めるのも嫌で何かないかと考える。そしてそれからさらに5ヶ月が経過した。そしてある日、遂に方法を思いついた。

 

 

 その方法は、なんと太陽・風・水で動くような仕組みにすることだ。地球でいう太陽光発電・風力発電・水力発電で動作を可能にするものである。

 

 ……ぶっちゃけこっちの方も大変ではあるのだが、現状これ以外に何も思いつかないのでそのまま推し進めることにした。

 

 

 

 ……そうこうしてあれから更に半年後、バイクを作ろうと決めてから8ヶ月後に遂に設計図が完成した。

 あとはその通りにパーツを生成するだけなので作業は簡単だったのだが、この頃から色々と忙しくなった関係で中々進捗が進まなかった。加えて、魔力を送る仕組みについても何も分からないため、ウィズの商品を買って分解し、独学で学んでいった。

 

 更に4ヶ月後、気がつけば1年経ってようやく全てのパーツを生成することが出来た。

 

 

 次に組み立てていく作業に入る。

 他の仕事と併用してちょくちょく進めていき、そして現在、決心して1年半後、ついにバイクのボディが完成した。

 

 

 長かった。ここまでの努力の成果がやっと見えてきた気がする。まだまだ課題は残っているのだが、ゼロから設計し、パーツを作り、組み立てていくのは想像の30倍は苦労した。これでやっとスタートラインなのだ。少し涙が出てくる。

 

 

 

 「あとはタイヤとか座席部分の加工が残ってるね〜。まぁそれもチャチャっと終わらせられるでしょ!」

 「簡単に言ってくれるな……実際ハンドルや速度メーターなんかはもう作ってあるし、はめ込むだけの作業が多いからあながち間違ってはないけど」

 「大体、ここまで苦労する羽目になったのもただのバイクじゃなくて、()()()()()バイクを作ろうとしたのが原因でしょ」

 「ノーコメントだ」

 「自分の都合の悪いことは話さないのね〜」

 

 

 この質問に対してこの回答は肯定するようなものでは?とツッコんではいけない。まぁ現実のバイクには出来ない、創作物で見るような性能を追加しようとしたのが、ここまで苦労する羽目になった主な原因なのは事実である。

 変形後の姿や変形までの経路、更にそのパーツの形状を考えるのが一番苦労した。結果としてそれは成功したのだが、こんな行き当たりばったりで初めての作業を1人でするのは2度とゴメンだ。今回で一番学んだことだとユウヤは思った。

 

 

 その後、材料から足を置く部品を生成し、両方にはめ込んだところで作業を止めた。朝食を食べるために階段で上がって部屋を出る。

 ドアが閉じると、リエスがその場でゴロリと、しかしいつものような揶揄いではなく、労わるような優しい表情を浮かべて横になる。

 

 

 「なんだかんだ、ユウもこの世界を楽しんでるじゃん」

 

 

 前の世界での姿から打って変わり、嬉しそうに笑顔を見せている彼の姿にフッと笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 朝食を食べ終えて身支度を整えると、いつものように魔道具店へと向かい、ドアを開けると───

 

 

 

 「………」

 「…………ウィズ?」

 「………………………ハッ!ユウヤさん!?」

 

 

 ………モシャモシャとキャベツとジャガイモとカイワレのサラダを食べているウィズの姿が見えた。

 

 何をしているのだろう。前に700万エリスもプレゼントして食事代は十分あるはずである。なのにいつもの質素なサラダを食べているその姿に哀愁が漂っている。

 

 

 「え、ええっとこれはですね!その、あれです!」

 「ウィズ、前にボクがエリスを上げたはずだけど」

 「は、はい!もちろん貰いました!ありますよ!」

 「じゃあ何故食事がこんな貧乏になってるの?」

 「え、えぇっと……その………」

 

 言葉に詰まるウィズに畳みかける。

 

 「……どうせ、食材用のお金を商品購入に使ったんだろ。リッチーの自分は食事を摂らなくても大丈夫だと考えて」

 「うっ」

 

 図星なのかうめき声をあげる。もう隠す気もない様子だ。

 

 「で、結局何を買ったの?すぐ見せないと打つよ」

 「ま、待ってください!いま!いま持ってきますから!!」

 

 ドタバタと奥へ向かい、箱を持って帰ってきた。

 

 

 「こちらです!」

 

 中にはまるでサファイアのように青い石が付いた首飾りが入っていた。ザッと数えて10個はある。

 

 「……これは?」

 「これは首に付けることでお金が増える魔道具です!欠点は目標金額を期日以内に集めないと首飾りが爆発してしまうことですが……でも、本来なら200万エリスのところをなんと40万エリスにまけてくれt」

 「『ボルケーノ』」

 「アチャチャチャチャチャア!!??」

 

 なんでこんな簡単な詐欺に騙されてしまうのだ。ちょっと考えれば分かることなのに、と呆れた表情を浮かべる。

 

 

 「ううっ……酷いですよユウヤさん……私は良かれと『カチャン』………あ、あのユウヤさん?」

 「さっきウィズが言った金が増える魔道具を付けただけだ。えー、期日は1週間。金額は1000万エリスで」

 

 すると言葉に反応してか、首飾りが青く光る。それを見たウィズの顔も青くなる。

 

 「あの、ユウヤさん!?どうしてこんなことを!?まさか怒ってるんですか!?私が勝手なことをして!!」

 「さあ、どうだろうな。あ、ボクはこれからクエスト受けに冒険者ギルドへ行ってくるから」

 「ねぇ、本当は怒ってるんですよね!?すみません!すみませんってば!!ですから置いていかないでください!!ゴメンなさい!!」

 

 そんな泣き声に近いウィズの言葉も無視し、そのまま出て行った。ちなみにご近所さん達はまた痴話喧嘩かと勘違いしていたのはいつものお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 あれから数日、ウィズは目標金額を稼ぐために今ごろダンジョンにでも潜っているだろう。そんな厄災店主がいない間、様々な使える商品を販売しているおかげで久々に魔道具店の利益が黒字化してきた。おかげで気分が良い。

 

 

 今日は休店し、ユウヤは久々に王都のシンボルである巨大な城へ向かう。門番に紋章を見せて道を開けてもらい、中へ入ると12歳くらいの女の子がこちらへ向かってくる。

 

 

 「お久しぶりですユウお兄様!会いたかったです!!」

 「あぁ、久しぶりだな。()()()()

 

 

 勢いよくダイブしてきた彼女を傷つけないよう極最小の力で受け止める。ユウヤをユウお兄様と呼ぶのはアイリス。12歳の金髪碧眼少女で、戸籍上はユウヤの妹である(義理だが)。

 

 彼女と初めて出会ったのは3年前。詳しい説明は省くが、ある日ひょんなことから彼女を危機から救い出し、そこから色々あって彼女達と義理の家族になった。

 

 しかしまぁ随分と懐いてきている。初めて家族になったときはそこまでではなかったのだが、年々ブラコンが増してベッタリになってきている気がする。別にそこまで嫌ではないが。

 ユウヤも前世ではブラコンの姉の相手をしていたので慣れてはいる。なにせあの姉は20歳過ぎても無理矢理一緒に風呂に入ろうとするくらい重度なブラコンだったのだ。それに比べれば幾分かマシだ。

 

 

 「で、今日は何をして遊ぼうか」

 「では……ユウお兄様の『ばいおりん』の演奏を聴きたいです!」

 「分かった。そのあとは一緒に練習しよう。あれから頑張ってるか?」

 「もちろんです!頑張って練習して、ユウお兄様がくれた譜面の演奏は一通り弾けるようになりました!!」

 「そうか。それは楽しみだ」

 「では行きましょうユウお兄様!」

 「はいはい」

 

 

 部屋を移動したあと、ユウヤ達はバイオリンを沢山演奏した。アイリスも言った通り、この前よりもかなり上手くなってきている。成長を見守る兄貴のように微笑ましく思うので嬉しく思う。

 そしてバイオリンの練習に集中しすぎたのか、ふと外を見ると暗くなり始めていたため、その日はアイリスの家に泊まることにした。そのとき、義父から小遣いとして6500万エリスも渡されて流石に驚いた。

 

 その後はアイリスが自分の昔話を知りたいと言ってきたので、眠たくなる直前まで聞かせてあげた。そしてクレアやレインと会話をしたり、軽く作業して深夜1時を回ったところで寝た。貴族専用のフッカフカのベッドで寝るのはスゴい気持ちよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「……何しているんだ?」

 

 王都を出て魔道具店へ帰ると、所々煤だらけになったウィズが土下座していた。

 何故だろうか。いまのプルプルしている姿を見ると、屈服させたみたいでスゴい征服心が沸いてくる。

 

 「申し訳ございませんでしたユウヤさん。騙されてお金を無駄に使ってしまったのは謝ります。ですから……」

 「大丈夫。騙されたって言っても、結局ボクがあの首飾り全部買ったから。結果的には損失もゼロだよ」

 

 ニッコリと笑うと、余計にウィズの顔が強張る。

 

 「あ、あのそれは何に使用するんですか?」

 「何かウィズがやらかしたときに、プレゼントして働いて貰おうかなと」

 「ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい!!今後気をつけますから!!いくら私がリッチーだとしてもあの爆発は少し痛いんですよ!!ですから本当にやめて下さい!!」

 

 ついに泣き始めてしまったので流石にやり過ぎたかとフォローする。

 

 

 取りあえず食事を作って食べさせた。あの1週間食事代も代償にして稼ぎまくっていたのか、久々にマトモな食事にありつけたことにまた涙を流していた。

 

 





 話の流れとかどうですかね。感想とかで色々言ってくれて構いません。作者はメンタルが強いので大丈夫です。待ってます。あと評価も。
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