ウィズさん、別の世界ではメインヒロインやれるんじゃないかレベルで属性が多い。(地雷な性格ではあるからヤンデレ感はありますがww)
今回は長めです。
「で、なんで私まで付いて行かなきゃいけないのよ」
この前の土下座事件から1週間後、ユウヤはカズマと水の女神をある場所へ案内していた。初めは何故自分に頼むのかと思っていたが、説明された場所を聞くとすぐに了承した。
ちなみに何故水の女神まで来ているのかというと、カズマ曰く「説明して来てもらわないと後々面倒なことになるから」とのこと。そこはユウヤにとって大切な場所のため、万が一そこで揉め事が起きて迷惑がかかると困る。というわけで監視も兼ねて付いてきて貰っている。
「ここだな」
「いいかアクア。絶対に暴れるなよ。喧嘩するなよ。魔法使うなよ。分かったな?」
「なによ。カズマったら私がチンピラか無法者だと思ってんの?女神よ?そんな小物なことするわけないでしょ?」
もう不安を感じずにはいられないのだが、それでも事を進めるためにユウヤはドアを開ける。
「あ、ユウヤさん!!今日はどうさr……て………?」
最初こそいつもの調子だったのだが、水の女神の姿を見た瞬間、ウィズが反射的に後ずさり、ユウヤの後ろへ隠れようとしていた。
「あああっ!?出たわねこのクソアンデッド!あんた、こんな所で店なんて出してたの!?私が馬小屋で寝泊まりしてるってのに、あんたはお店の経営者ってわけ!?リッチーのくせに生意気よ!!こんな店、神の名の下に燃やしていだいっ!?」
入って早々に暴れる水の女神をダガーの柄で軽く殴るカズマ。さっき注意したばかりだろうが、とうんざりして言い、その光景にユウヤはため息をついた。
後頭部を押さえて疼くまる水の女神を他所に、カズマは魔道具店店主のリッチーに挨拶をする。
「ようウィズ、久しぶり。約束通り会いに来たぞ」
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「……ふん。お茶も出ないのかしら?この店は」
「あっ、す、すいません!!今すぐ持ってきます!!」
「持ってこなくていい!いや、客にお茶を出す魔道具店なんてどこにあるんだよ」
「うちは喫茶店じゃないんだが………」
店の商品を触りながら、陰湿なイジリをする水の女神の言うことを、素直に聞こうとするウィズを止めるカズマ。その横では、またユウヤがため息をついていた。こうして苦労が少しずつ溜まっていく。
魔道具店に初めて来たのか、カズマは店内を物珍しそうに見回して手近にあった小さなポーションを手に取る。
「あっ、それは強い衝撃を与えると爆発しますから気をつけてくださいね」
「げっ、マジか」
カズマは慌てて瓶を戻して、今度はその隣の瓶を手に取ると……
「あ、それはフタを開けると爆発するぞ」
カズマは再びそっと瓶を戻すと、更に隣の瓶を手に取り。
「これは?」
「水に触れると爆発します」
「……こ、これは?」
「温めると爆発を……」
「じゃ、じゃあこれ……」
「魔力を込めると爆発する。これまでよりは使い勝手が良い一品だね。値段は500万エリスと高いけど」
……………
「この店には爆薬しか置いてねーのかよ!!」
「ちちち、違いますよ!そこの棚には爆発シリーズが並んでいるだけですよ!!」
「ちなみに、その隣には毒物シリーズが並んでるぞ」
「なおさらやべーじゃねぇか!!なんで危険物しかねぇんだよ!!」
「マトモな商品も一応ある。文句なら店主に言ってくれ」
「で、ですが効果は保証しますよ!!持っておくといつかは役に立ちます!!」
そう言ってチラリとユウヤに目線を送るウィズ。だが彼はそれに答えることなく何も見ずに黙秘する。
「な、なんで……いつも私の商品買ってくれるのに……」
「ポーションはボクあまり使わないから、興味ない。というか、ウィズの商品はクセが強いんだよ。ボクだから上手く扱えるだけで、他の人だと全く使えない欠陥アイテム化する」
「け、欠陥……」
思ったより辛辣な言葉に落ち込むウィズ。それをフォローする者は誰もいなかった。
「あー、そろそろ用件言っていいか?」
「あ、そうでしたね。本日はどうされたんですか?」
「以前言ってたろ?何かリッチーのスキルを教えてくれるって。スキルポイントに余裕が出来たからさ、何か教えてくれないか?」
「ぶっ!」
カズマの言葉に水の女神がお茶を吹き出してユウヤにモロかかった。彼は何事もなかったように顔を拭いて元に戻ったが。
「ちょっと何考えてんのよカズマ!!リッチーのスキルですって!?リッチーの持つスキルなんてロクでもない物ばっかりよ!!いい?リッチーってのはね、薄くてジメジメした所が大好きな、言ってみればナメクジの親戚みたいな連中なの」
「ひ、酷い!!」
「大嘘ぶっこくな。勝手にウィズをナメクジ扱いしないでくれ」
水の女神のあんまりな決めつけにウィズが涙ぐみ、ユウヤが苦言を呈す。
「というか、別に普通のスキルを覚えればいいじゃない!例えばそこのユウとかに!!」
大声でユウヤを指さす水の女神。確かに一般的に考えればそうなる。が、
「言っておくが、ボクのスキルは最高職ハイウィザードの物が多いし、最弱職の冒険者だと上手く扱えない物ばかりだ。駆け出しの低レベル冒険者だと覚えても宝の持ち腐れだぞ?」
「……ゴメンなさいカズマ。私が間違ってたわ」
「謝んなよ!自分が一番分かってるんだよそんなこと!ていうかユウもさっきちょっとディスってたよなぁ!?」
カズマ達のパーティメンバーの職業は、冒険者以外全員強力なのだが、如何せん全員クセが強い。冒険者という最弱職にも関わらず、パーティのリーダーをカズマが担っているのは基本常識人だからだろう。セクハラなどの噂は多いが、金銭問題や爆裂問題、性癖問題を抱えている女性陣に比べれば遥かにマシだ。リッチーのスキルでも覚えて安定感が欲しいという気持ちはよく分かる。
「むぅ……でも……女神としては、私の従者がリッチーのスキルなんて覚える事を見過ごす訳にはいかない所なんですけど……」
「誰が従者だ誰が」
水の女神の呟きにツッコむカズマ。その水の女神の呟きを聞き、ウィズが不安そうな顔で恐る恐る聞いてきた。
「あの、『女神としては』という事は…その、以前に私を簡単にターンアンデッドで消し去りかけたりしたのは……ひょっとして本当の女神だったりするのですか?」
「それに、この前ベルティアの死の宣告も簡単に解いてたよね。あれは王都のプリースト達でも全く手に負えないモノなんだが…」
2人の発言に水の女神はフフンと機嫌良くなると、
「まあね。あなた達はよそに言いふらしたりしないでしょうから言っておくけど、私はアクア。そう、アクシズ教団で崇められている女神、アクアよ。控えなさいリッチー!」
「……」
「ヒィッ!?」
ユウヤはやっぱ悪質教の女神かぁ。うわぁ面倒くさいなぁ、とでも言うような気だるい視線を向けていたが、ウィズはこれ以上無いぐらいに怯えた顔でユウヤの後ろに回り込んだ。
「おいウィズ、そんなに怯えなくてもいい。アンデッドと女神なんて相容れない関係だろうけど」
「い、いえその………アクシズ教団の人は頭のおかしい人が多く、関わり合いにならない方がいいというのが世間の常識なので、アクシズ教団の元締めの女神様と聞いて………」
「なんですってぇ!?」
「ご、ごごごゴメンなさい!!」
「は、話が進まねぇ……!」
「……間にボクを挟んで睨み合いするのやめてもらえない?」
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暴れる水の女神をなんとかユウヤとカズマが引き離し、カズマが店内の商品でも見てこいと追い払うと、水の女神は素直に店内をウロチョロし出した。今はポーションを手に取り、匂いを嗅いだりしている。
「ところでユウヤさんから聞いたんですが、カズマさん達はあのベルティアさんと出会ったそうですね。幸いユウヤさんが倒してきたそうですが、無事でよかったです」
「まぁな。あんなのはもうゴメってちょっと待て今なんて言った?ユウが倒したって聞こえたんだが……」
「事実だね。ベルティアが来て5日後に、単身でベルティアのいた城に突撃して倒したぞ」
「しれっと魔王軍幹部1人で倒してるの怖いんですけど……」
カズマがドン引きする目で自分を見てくる。それに特に反応せずにウィズの淹れた紅茶を飲む。
「ってか、さっきあのベルティアさんって、なんかベルティアを知ってたみたいな口ぶりだな。あれか?同じアンデッド仲間同士だから繋がりでもあったのか?」
そんなカズマの質問にウィズは世間話でもするかのように
「ああ、言ってませんでしたっけ。私、魔王軍の幹部の一人ですから」
ニコニコと、そんな事を。
…………………………………………
「おい待てウィズ。何サラッとボク以外の人間が知らなかった事話しているんだ」
「え、あっ……」
気づいたときにはもう遅く。
「確保ー!!」
水の女神が襲いかかってきた。
「待ってぇー!待ってください、アクア様!お願いします、話を聞いてください!」
水の女神に取り押さえられたウィズが、のしかかられたまま悲鳴をあげる。
「やったわねカズマ!これで借金なんてチャラよチャラ!それどころかお釣りがくるわ!」
「おいアクア、一応事情は聞いてやれよ。………えっと流石に冒険者な手前、見逃すって訳にも………」
「違うんです!魔王城を守る結界の維持の為に、頼まれただけです!勿論今まで人に危害を加えた事は無いですし、私を倒したところで、そもそも賞金も掛かっていませんから!」
「………良く分かんないけど、念のために退治しておくわね」
「待ってくださいアクア様ーっ!!」
先程より更に強く喚くウィズ。見かねてユウヤが止める。
「少し話を聞いてくれよ。それから行動すればいいだろ?」
「アンデッドの話なんてどうせ戯言よ!いいからとっとと……!」
「それ以上ウィズに危害を加えようものなら………」
「ゴメンなさいゴメンなさい手を離すので勘弁してください」
ユウヤが魔力を少し醸し出して妖狐を引き抜くと、水の女神は手のひらを返すように態度を変えて離れた。退いたあと、ウィズはすぐさまユウヤの後ろへ隠れた。
「ハァ……カズマ、続けていい」
「お、おう…… えっと、話を戻すけど、つまりゲームとかによくある、幹部を全部倒すと魔王の城への道が開かれるとか。そんな感じか?で、ウィズはその結界とやらの維持だけ請け負っていると」
「げーむとやらは分かりませんがそういう事です!魔王さんに頼まれたんです!人里でお店を経営しながらのんびり暮らすのは止めないから、幹部として結界の維持だけ頼めないかって!」
「つまり、あんたが生きてるだけで人類は魔王城に攻め込めないし、私達には十分迷惑ってことね。カズマ、退治しときましょう」
水の女神の言葉にウィズが泣き出し、その影響でユウヤの背中が濡れていく。
「待って!待ってください!アクア様の力なら幹部の二、三人ぐらいで維持する結界なら敗れるはずです!せめてもう少しだけ生かしておいてください!私には、まだやるべき事があるんです………」
「それに、ボクもウィズを倒そうものなら容赦はしない。無駄な争いはしたくないから、手を出さないで欲しいな」
涙ながらに語るウィズの姿や引かないユウヤの姿を見て、流石に思うところがあったのか、微妙な顔を浮かべる水の女神。チラリとカズマの方を向く。
「えっと……いいんじゃないか?どのみち今ウィズを倒してもどうにかなる訳じゃないし。それに、アクアが居れば幹部を全員倒さなくても、結界が破れるんだろ?なら、ウィズ以外の幹部が誰かに倒されるまで気長に待った方が良い。あとユウを敵に回したくないぞ俺は」
「……そうね。女神である私が負けるわけないけど、ウィズの浄化のためにユウと戦うのは分が悪すぎるわ」
自分を危険人物みたいに発言するのは物申したいが、納得してもらえたのでひとまずは抑えた。
「でも良いのか?魔王軍幹部って一応ウィズの知り合いだろ?ベルティアを倒したことに恨みとかないのか?」
カズマの疑問にウィズは少し悩み
「……ベルティアさんとは、特に仲が良かったとか、そんなこともなかったですしね……。むしろ私が近くを歩くと、首を転がしたりして覗こうとしてくる方だったので」
そういやアイツ、真っ当な騎士だと思ってたけど、セクハラとかするやつだったわ。
忘れていた事実に、ユウヤの中のベルティアの評価が少し下がった。
「幹部の中で仲が良い方は一人しかいませんし、いま私の事情を知っていて一番仲が良いのはユウヤさんですし……その二人とも簡単に死ぬ方ではありませんですから。それに……」
そう言うとウィズは
「私は今でも、心だけは人間のつもりですしね」
と、ちょっと寂しげに笑った。
そんな彼女にユウヤはポンポン、と背中を叩くと、表情が優しげになる。
ちなみにその間、カズマが何か妬むような目線を向けてきていた。
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「ところで一つ気になったんだけど、ユウって本当に人間なの?」
ユウヤ達が二人の世界から出てきてしばらくしたあと、水の女神が唐突にそんな事を言い出した。
「……どうした急に。ボクは人間だ」
「そうね。確かに私の曇りなき眼には引っかかってないわ。でも私達がウィズと初めて出会った、あの共同墓地で言ってたわよね。『浄化魔法が痛い』って。普通の人間には効かないはずだから、ちょっとおかしいなーって。それに、よくよく確認すると、ユウにもアンデッドに似た特有の魔力が見えるのよね。普通の人間なら見えないし、変だと思ったの」
普段は鈍いのに、敵のアンデッドに関してはかなり鋭い感を発揮していた。流石女神、と言いたいが、今回は自分が対象のため、素直に賞賛出来なかった。むしろ余計な事をしてくれた、と心の中で軽く悪態ついた。
数秒の間のあと、誤魔化しきれないと判断したユウヤは正直に話そうと決めた。
本物のアンデッドのウィズと一緒にいるため、必然と一緒にいることが増えていずれバレるのは分かっていた。それが今日だっただけだ。と自分の中で理由づけたあと、ため息をついて話し始める。
「……半分当たりで半分ハズレだ」
「半分?」
似た者同士の二人は首を傾げた。
「確かにいまのボクは純人間じゃない。でも元々は人間
ネットや創作物でしか聞いたことがない、人間をやめるに至る出来事が思った以上にヘビーだと目の前で聞き、カズマは慄いていた。(水の女神はそこまで驚いていなかったが)
「こうなった事にもう後悔はしていない。けど、もう自分がまた家族に会えなくなったのは少し寂しいかな」
そう話すユウヤは、どこか物悲しい表情をしていた。
「じゃあ、私がウィズ共々、家族へ会えるよう送ってあげましょうか?」
「やめてくれ。ウィズがまた怯えてるだろうが……。それに、浄化魔法で自分を消そうとすれば、この世界が崩壊するぞ」
「……えっ」
まさかの強烈な言葉に、数秒間が空いて反応する。カズマも口には出していないが、驚愕の表情をしている。
「実はこれとは別に、ボクはある呪いにかかっているんだ」
「呪い?なら別に大丈夫だわ。私は女神よ?呪いなんてこれっぽっちも効かないわ」
「まぁ普通ならね。だがコイツはちょっと特殊でね……と、実際に聞いた方が早いか。ということで。【姿を見せてくれ。リエス】」
『OK!』
影が伸びて近くに移ると、黒煙を醸し出しつつ形が変化し、やがて固まる。
ウィズは慣れているので自然体だったが、二人は初めて見る現象に空気が変わるのが分かり、息を呑んで静寂が訪れていた。
そして完全に固まると、その姿が露わになる。
「はぁ~い♡リエス登場!!」
「あーはいはい。分かったから少し落ち着こうか」
「えぇ〜、落ち着けないわよ!だって外に出れるなんて事、いつもの窮屈な場所から解放されるんだから、私にとって天国なのよ!!」
「存在自体は地獄だけどな」
「あら、そうだったわね(笑)」
突如現れたその存在は、この場に合わないテンションでユウヤと話し始める。予想だにしてなかった光景に、二人はポカンとしていた。
「で、コイツがボクに憑いてる呪いの正体。名前はリエス」
「さっきも紹介したけど私はリエス。よろしくね!」
と、そこでカズマは正気に戻る。そして状況を呑み込むと、何を思ったかユウヤの胸倉を掴み上げた。
「おいユウ!テメェおっとり巨乳美人がいるのに、陽キャ女までいんのかよ!しかも呪いで常に一緒だぁ!?見せつけか!?イケメンだからって許されねぇぞゴラァ!!」
「え、いやちょ」
「少し友達だと思ってた俺がヴァカだったわ!!テメェこんな美人達と毎日一緒に過ごしてんのか!この野郎!!」
「僻みって怖いな……」
普段なら絶対ユウヤに暴力的なことはしないだろう。だが、ラブコメの主人公のようなポジにいる彼に我を忘れ、思わず行動してしまった。
それから数分後、水の女神に離されるまで続いた。普段とは逆の光景である。
閑話休題
「で、そいつがユウに憑いてる呪い?」
イェイ!とピースをとる明るいその姿は、一見すると呪いとは程遠い存在のように見える。
「言っておくけど見た目に騙されない方がいい。コイツ頭おかしいくらい強いぞ」
「へぇ。どんなの?どうせ大したことはn「不滅」……はい?」
「コイツ、不滅。いくら攻撃してもすーぐ復活するから、大抵の攻撃が意味ない」
「ハァ!?何なのそのチート!呪いとか迷惑な存在の癖して、無駄に強くなってんじゃないわよ!!」
「………別に私だって望んでこうなった訳じゃないんだもの。そう言われても困るんだけど…………」
水の女神の理不尽な物言いに、リエスは珍しく困惑していた。そんな普段見せない表情を見て、(普段から迷惑されているせいか)ユウヤは何か得したような気分になる。それはそれとして、これ以上状況がややこしくなるのは面倒なので、話題を戻す。
「話を戻すぞ……で、何故コイツが特殊なのかというと、呪いの性質が原因だ。まずコイツの呪いの内容は、ざっくり言えば『ずっと生きろ』ってものだ。この影響で、ボクは怪我をしにくくなったり、病気にも患うことも少なくなる。おまけにコイツ自体が自我を持っている関係で、体を乗っとるような行為は効かない」
「もうこの時点で十分チートだろ」
「まぁな。だが無敵ってわけではない。爆裂魔法や即死魔法は効くし、アンデッドのハーフになったいま、アクアの浄化魔法も威力が高ければ浄化される。この呪いはあくまで死ににくくなるってだけだ」
「だから、私みたいに不滅って訳じゃないわよ」
「じゃあ、尚更解除してあげなくちゃね!『セイクリッド・ハイネ』アイタッ!?」
最後まで話を聞かず、すぐ浄化魔法を撃とうとする水の女神の頭をカズマが引っ叩いて止める。涙目になるも、カズマ、ユウヤ、リエスの睨みに何も言えず、その場でダンマリと大人しくなった。
「で、特殊とさっき言ったが……コイツは、呪いにかかった本人が安楽死以外で死んだり、かかった本人が生きている間に解除されると、ある現象が起きる」
「ある現象?その原因作ったやつも一緒に死ぬとか?」
「人間や魔族が全てアンデッドになる儀式が行われる」
「「ハァ!?」」
想像以上に重大な事であると知り、二人は驚愕して目が点になる。
「事実だ。だからさっき言っただろ。世界が崩壊するって。ボクを無理に浄化しようとすると、他の生物が全員アンデッドになるんだ。女神であるアクアも、そんなことは嫌だろ?だから見逃して欲しい」
「グググ………分かったわ。まぁ、あんたは別にアンデッド特有の不快な匂いがしないから無理に浄化するつもりはなかったけど……」
水の女神は渋々ながらも了承してくれた。
表情に反して、ユウヤは内心安堵していた。完全なアンデッドではないが、ハーフである自分の存在をどうするのか不安ではあったので、許してくれたことには胸をなでおろした。
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「……そういえば、ユウとウィズってどうやって出会ったんだ?」
話が脱線していたが、やっとウィズがカズマにスキルを教えるときになった際、水の女神による色々ないざこざがあったあと、ふとカズマがそんな事を聞いてきた。ちなみに水の女神はカズマに殴られ、ユウヤに本気の殺気を向けられたあと、スリープで眠らされて床に倒れている。
「私とユウヤさんですか?特に面白みもないことですけど……」
「ユウってウィズと結構距離近いなーって思ってさ。なんか特別なことでもあったんじゃないのかなって気になったんだ」
「まぁ、ボクはこの店の副店主だ。距離が近いのは事実ではある」
「……え、副店主?ユウって冒険者しつつ魔道具店の運営もしてたの?」
「そうだけど?」
「どんだけハイスペックなんだよお前……戻るけど、どうやって2人は会ったんだ?」
カズマの疑問に、ウィズは遠くを見るような目をして語る。
「そうですね……初めて会ったのは5年前ですね。私のお店にユウヤさんが来たのがきっかけです」
「で、そのときボクがウィズをリッチーだと見破って、そこからちょくちょく関係を持つようになったね。しばらくしたら、お互いの秘密を話せるくらいの関係にまで発展したな」
「そうしてある日、ユウヤさんがこのお店で働きたいって言い出して。初めは戸惑ったんですけど、ユウヤさんの秘密を聞いたら断れなくなってしまって。それでユウヤさんは店員として働き始めて、やがて副店主になったんです」
「ま、大体そんな感じだな」
ユウヤ達の息のあった連携会話にカズマが少し戸惑っていたが、すぐに戻る。
「な、なるほどな……悪いな。無理に聞いて」
「気にしなくていいよ。事情を知ってるカズマ達には別に隠すことでもないからさ」
「それじゃ、俺達はこれで。おいアクア、起きろ。……起きろ」
水の女神の頬をペチンと叩くが、それでも彼女は起きなかった。
「ちなみに、さっき結構魔力込めたからスリーブの効果は1時間は続くぞ。だからまだ当分は目覚めない」
「そんなに!?……まあコイツがやらかしたんだし、これくらい妥当か……悪い。またな」
「ああ、またな」
そうしてカズマは水の女神を引きずって店の外へ出て行った。
「……ふふっ」
「?どうした?」
「いえ。ただ先程の話で、最初に比べれば私達も随分と仲良くなったな、と」
「確かにね」
彼らは何がおかしいのかは分からなかったが、何か面白くて少し笑った。
……なお後日、水の女神が触ったポーションの中身が全て聖水に変化する現象が起こった。
聖水の平均価格を確認し、上回った商品の弁償を請求する。その額3560万エリス。
水の女神がカズマに折檻されて泣き出す恒例の光景に、苦労が絶えないとユウヤは大きくため息を吐いた。
ちなみにこれ、去年の12/31に完成しました。
そのあとユウヤの呪いの詳しい内容の説明を入れたから、今までで一番文字数多くなった。
評価と感想待ってます。
なお、アンデッド化の影響でユウヤにはある特質が存在して────