この素晴らしい魔道具店副店主に幸福を!   作:白峰 真紀

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 眠てぇ〜。

 最近体が疲れてるのか、8時間睡眠取っても昼間くらいに眠たくなるわ。


第14話 襲来!彼方から機動要塞デストロイヤー!?

 

 「ユウヤさん!」

 

 警報を聞いて装備の準備をして外へ出ると、いつものお店の服ではなく、ウィザード用のローブを羽織ったウィズが既にいた。

 

 「ウィズ、これからどうする?」

 「私はこれから冒険者ギルドへ行きます。他の皆さんもそこで何か策を考えているでしょうし」

 「日が出てるけど大丈夫なのか?それに、他の冒険者達にアンデッドだとバレるリスクもあるぞ?」

 

 これは別に突き放すものではなく、単純に心配だ。万が一ウィズがアンデッドであることがバレると、冒険者達は目の色を変えて討伐しに来るだろう。そんなリスクを背負ってまで戦うのか、とウィズの身を案じていた。

 

 だがウィズは真剣な声色で返す。

 

 

 「それでもです。私の……いえ、私達のお店を守るために、ただ見ているだけなのはいやなんです。だから私も行きます」

 「分かった」

 

 どれだけ強力な相手でも逃げずに戦う、その覚悟の言葉を聞くとユウヤはバイクに股がる。そしてハンドルに掛けていたもう一つのヘルメットを投げ渡す。

 

 「あの、何故ヘルメットを?」

 「走っていくよりバイクに乗って行った方が速い。だから渡した」

 「えいやでも私、どうすればいいのか全く分からないんですが…」

 「取りあえずボクの後ろに乗って。まだ時間あるとはいえ、作戦を練るためにも悠長にしてる暇はないよ」

 「で、ですけど説明を……あぁもう分かりました!乗りますよ!」

 

 一体どうすれば良いのか聞きたかったが、ユウヤが急かす視線を向けたことで放棄すると、言われた通りに股がって乗る。

 

 「よし、乗ったね。それじゃあ振り落とされないようにしっかりと掴まってて!」

 「え、それは一体どういうことですかぁあああああああああーーーーー!!」

 

 

 エンジンをかけて走ると、徒歩以上のスピードで道を駆けて行く。途中ウィズの悲鳴らしいものが聞こえてきたような気がしたが、運転に集中していたことと久々に走る気持ち良さでユウヤの耳には届いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「た、確かに歩くより速かったですね。速すぎて少し怖かったですけど………」

 「スピード段々上げすぎてゴメン。久しぶりのバイクで興奮して…」

 

 慣れないスピードを体験したウィズがふらふらになってしまったため、ユウヤが体を支えて歩いていく。やがて大勢の冒険者の気配がするギルドの扉が見えてきたので、足で勢いよく蹴って開ける。

 音に反応して一斉にこちらへ振り返るが、ウィズは物怖じせずに話し始める。

 

 「す、すみません遅くなりました……!ウィズ魔道具店の店主と副店主です!!私達も冒険者の資格を持ってますので、協力に………」

 

 と、そこまで話した途中で、ぶった切るように冒険者達が歓声を上げる。

 

 

 「貧乏店主さんだ!」

 「貧乏副店主もいるぞ!!」

 「貧乏夫婦がセットで来た!!勝てる!!」

 「こんなときまでベタベタとイチャコラしてんじゃねーぞ貧乏夫婦!!」

 

 

 何故か冒険者達から熱烈な期待の声をかけられる。確かに元凄腕冒険者のウィズとアクセル一のハイウィザード(と周囲から呼ばれている)ユウヤが一緒に来たならば、勝てると士気が盛り上がるのも理解出来る。

 

 それと夫婦言うな。結婚届けは出していない。あとウィズはともかく、自分まで巻き込んで貧乏扱いするのはやめて欲しい。と思うと、ユウヤはため息をついた。

 

 

 「ふ、ふふふふふ夫婦!?」

 「落ち着いてくれ。ボク達はそんな親密な関係じゃない」

 

 

 夫婦と言われてウィズがフリーズしていた。ウィズはリッチーになった頃からかそういったものを少し気にしているらしく、いつもバニルからそのことを突かれて生き遅r……とそこまで考えたところで、地味に自分も似たような状況に立っており、人のことを言えないことに気づいてダメージを喰らっていた。

 

 

 「……ボクも笑えないな………」

 

 

 結婚願望があるかと言われればそこまでではあるが、それはそれとしていつまでもDTのままなのは流石の自分でもクルものがある。そこから抜け出せるようもっと努力すべきか、とユウヤは思った。

 

 

 「お久しぶりですウィズ魔道具店の店主さん!!そしてユウヤさん!!ギルド職員一同歓迎いたします!!ささ、こちらへ!!」

 

 と、そこで職員に促され、ユウヤ達は流されるままに中央のテーブルの席に座らされた。

 

 

 ユウヤ達が席に着くと、冒険者達は期待を込めた目で進行役のルナを見る。

 

 「ではお二人にお越し頂いた所で、改めて作戦を!!……まずはアークプリーストのアクアさんがデストロイヤーの結界を解除。そしておかし……めぐみんさんが、結界の消えたデストロイヤーに爆裂魔法を撃ち込む、という話になっておりました」

 

 それを聞いたウィズが、口に手を当て考え込む。

 

 「……爆裂魔法で脚を破壊した方が良さそうですね。デストロイヤーの脚は左右に四本ずつ。これをめぐみんさんと私で、左右に爆裂魔法を撃ち込むのは如何でしょう。機動要塞の脚さえ何とかしてしまえば、後は何とでもなると思いますが……」

 

 ウィズの提案に、ルナもコクコクと頷いた。

 と、そのタイミングで、ユウヤは一つ質問する。

 

 

 「一つ聞きたい。もし脚を破壊したあと、機動要塞の上にいるゴーレム達が出てきたときの対策は?」

 

 すると、ギルド内のほとんどがユウヤに視線を向けた。そこにはカズマ達もいることに気づく。

 それに否応でも理解する。

 

 

 「……大体分かった。ボクがやる。だが数が多く、倒すのが難しい場合に使おうと考えている魔道具について、一応説明しておく」

 

 そう言うと『コネクト』を発動させ、そこから何かを取り出していく。ただ、お目当ての物が見つかってないのか、脇に作りかけのガラクタなどが少しずつ溜まっていく。そうして格闘すること20秒。

 

 「お、アタリか。で、隣に…OK、あるな」

 

 アタリを引き当てた。そうして取り出したのは、左右の肩に電磁砲が付いた装備だった。リュックサックのような肩かけも付いており、そしてもう片方の手には、赤と青の小さな物体が握られている。

 

 

 「ユウ、それなんだ?」

 「これはショルダーレーザーキャノン。背中に背負って、この磁石をはめ込むことでレーザーを撃ち出せる。ただ、これはハッキリと言って欠陥品だ。ボク以外が使おうとしても、上手くいかないと思う」

 「欠陥品?なんでだよ。見た目凄く強そうなのに」

 

 確かに見た目の通り強い。そう、()()()だけなら。

 

 「まずこの装備、レーザーを撃つための引き金部分が固定されている関係上、両手が塞がって動作が限定的になる。次に首が回せない。上下はかろうじていけるけど、左右は全くと言っていいほど動けない。左右を見るためには体を捻らなきゃいけなくなるから、間違えて首を回そうとすると寝違えたみたいになって痛い。そしてこれが一番の欠点だが……切り札の技が、一歩間違えると人を簡単に殺す点だ」

 「……え、その切り札ってどんなの?」

 

 冷や汗を流しつつ、カズマが恐る恐る聞く。

 

 「磁石のN極とS極が引き合うように、だんだんと体を中心に向かって無理矢理圧縮して縮めていく。そして残るのは……圧潰された何か」

 「こっわ!なに殺人兵器取り出してんだよ!分かってると思うけど、絶対俺に向けんなよ!?そんな死に方ゴメンだわ!!」

 

 冒険者一同が軽く引いて後ずさる。隣のウィズも微妙な顔を浮かべていた。

 

 そんなドン引きしなくても良いと思うのだが。誤って向けそうになればすぐに解除するし、もし当たっても『リカバリー』で肉体を完全に復活出来る。

 と、そこまで考えたところで、魂は元に戻せないことに気づいた。なので当たりそうになれば、すぐに解除出来るようにしなければならない。

 

 「誤って向けて撃ちそうになっても、必ず方向を変えるように心がけるから大丈夫だ。心配しないでくれ」

 

 そう言っても、冒険者達の顔は変わらなかった。何故に。

 

 「逆に聞くが、これ以外に良い方法があるのか?あれば答えて欲しい」

 

 これには皆黙り込む。しばし経っても沈黙が続き、やがて渋々顔でカズマが。

 

 「しょーがねぇか。ハッキリ言って怖いけど、ユウがそんな失敗するように見えねーし、俺は良いぜ。それに万が一の場合なんだ。そう易々と起こるもんじゃないだろ」

 

 それに続いて他の冒険者達も賛同する。こういうときに、カズマのリーダーシップはありがたい。

 

 

 なお、ボクもエクスプロージョン撃ってサポートしようか。と言えば、『それだけは絶対にやめろ!』と反対された。

 

 

 「では、結界解除後、爆裂魔法により脚を攻撃。万が一脚を破壊し尽くせなかった事を考え、前衛職の冒険者の各員はハンマー等を装備し、デストロイヤー通過予定地点を囲むように待機。魔法で破壊し損なった脚を攻撃し、これを破壊。要塞内部には、デストロイヤーを開発した研究者がいると思われますが、この研究者が何かをするとも限りません。万が一を考え、本体内部に突入出来る様にロープ付きの矢を配備し、アーチャーの方はこれを装備。身軽な装備の方達は要塞への突入準備を整えておいて下さい。そして本体屋上からゴーレムが地上へ降りてきた場合、ユウヤさんを筆頭に前衛職の皆さんで破壊してください!!」

 

 ルナが作戦をまとめ、全員に指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 街の前には冒険者だけでなく、住民達も集まって、突貫作業で即席のバリケードを組み立てていた。

 他にも、罠を設置出来る職種の冒険者が即席の罠を張ったり、クリエイターの職種の冒険者があーだこーだと言い争い、地面に魔法陣を描いていた。

 

 そんな中、カズマはバリケードの先にいるダクネスを説得しに行っており、めぐみんは責任重大なプレッシャーをかけられて緊張している。それを励ますように、水の女神が宴会芸を披露している。

 こんな状況下でも変わらない調子のカズマ達を見て、ユウヤは苦笑する。

 

 「あいつらは緊張感ないのか…」

 「まぁまぁ。おかげで他の皆さんも緊張がほぐれてきてますし」

 

 見ると、他の冒険者達もその光景に感化されたのか、いつもの様子を取り戻している。変に気を張るよりはこっちの方が良い。

 

 「しかし、デストロイヤーか……緊張してないのか?」

 「全然。だってユウヤさんがいるじゃないですか。たとえ私達が全力を尽くして、それでもダメでも、ユウヤさんが何とか出来るって信じてますから」

 

 ウィズはユウヤの顔をジッと見る。他の可能性は絶対あり得ない、そんな真っ直ぐで信頼の目を。

 

 「……別にボクもそこまで強くないんだが………ウィズと同じで、女神とか聖職者相手は天敵だし……」

 「でも負けないんでしょう?」

 「……まぁそうだけど。目の前に誰が立とうと、ボクはやられないよう必死に足掻く」

 「なら大丈夫です。安心して臨めますよ。しっかり見てて下さい」

 

 そうしてウィズはニコリと笑う。褒められたことが恥ずかしいのか、ユウヤはスッと視線をズラす。それにウィズはニコニコ笑ったまま、視線を固定して見続けた。

 

 そんな光景に、(主に女性の)住民や冒険者達は微笑ましく見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「ところで、頭から湯気出てるけど大丈夫なのか?」

 「い、一応…… 。良く晴れた天気の中、長時間直接お日様の下に晒されていると、どうしてもこうなっちゃうので。避けられない事情です。今日は頭を保護するための物を付けていないので、仕方ないです」

 「これ終わったら、太陽光をカット出来るフード付きの服でも作ろうか」

 「そこまでしなくてもいいですけど……でもありがとうございます。日中でももっとユウヤさんと出歩きたいので」

 

 ユウヤ達がフラグ染みた会話をしたそのとき、足元が軽く震動する。

 

 「……来たか」

 「来ましたね」

 

 それからすぐ、魔法で拡大されたルナの声が、広い平原に響き渡った。

 

 

 『冒険者の皆さん、そろそろ機動要塞デストロイヤーが見えてきます!街の住民の皆さんは、直ちに街の外に遠くに離れて下さい!!それでは、冒険者の各員は、戦闘準備をお願いします!』

 

 

 他の冒険者達は、デストロイヤーを迎え討たんと武器を握りしめた。たとえ幾つも街を滅ぼした超大型兵器だろうとなんだろうが戦える。そう思えるほどに、今の冒険者達の気分は高まっていた。

 だが、そんな彼らを嘲笑うかのように姿を現した()()と呼ばれた要塞に現実と向き合わされ、冷や水を浴びせられる。

 

 

 「……なんだあれ」

 

 

 それは誰の声だったか。

 魔法を無効化する結界を張り、城ほどの大きさを誇る機械仕掛けの蜘蛛が、馬ほどの速度で移動し、こちらへ向かってくる。

 

 

 「「『クリエイト・アースゴーレム』!」」

 

 

 と、そこでクリエイター達が土からゴーレムを作り出し、街を守護する様に立つダクネスの前方へと、さながら姫を守る騎士ナイトの様に整列した。

 

 「でけぇ!それに速え!予想外にこええ!!」

 「来たぞー!全員、頭を低く!踏み潰されないように、絶対にデストロイヤーの前には出るんじゃないぞ!!」

 

 近づいてくるその巨大な姿に、冒険者一同がパニックを起こしかけていた。誰かの檄が飛ぶが、駆け出し達にはそれを聞いている余裕など無く、場はどんどん混沌を極めていた。

 

 「ちょっとウィズ!大丈夫なんでしょうね!大丈夫なんでしょうね!?」

 

 圧倒的な威圧感に押されたのか、いつの間にか来ていた水の女神が隣に佇むウィズに、何度も何度も確認していた。

 

 「大丈夫です、任せてくださいアクア様。これでもリッチー。最上位のアンデッドの一人ですから。アクア様が魔力結界を打ち破ってくれれば、後はお任せを!」

 「ちなみに失敗したら?」

 「………そのときは皆で仲良く土に還りましょう」

 

 ウィズのリッチージョークに水の女神は大慌てする。

 

 「冗談じゃないわよ!冗談じゃないわよ!!なら勝手にあんた達二人で特効してきなさいよ!!」

 「そうなったら、さっきのショルダーレーザーキャノンでデストロイヤー自体を押し潰すしか方法はないな」

 「ユウヤさん!?それでもし、中にある動力源が爆発したらどうなるんですか!?」

 「全員仲良く土へ還ることになるな」

 「結局同じじゃないのー!!」

 

 そうしてユウヤ達が騒いでる最中、大きく離れた場所では、めぐみんとカズマが話していた。

 

 「おい、少し落ち着け。失敗しても、誰も攻めないさ。もう少し気楽になれ。あんまり深く考えるな」

 「だ、だだだだだだ大丈夫でしゅっ!わわわわわ、我が爆裂魔法で、消し、消し飛ばしてくれるわっ!」

 

 会話がよく聞こえないが、めぐみんがガチガチに緊張していて、それをカズマが宥めているのは分かった。

 

 

 「来たぞー!」

 

 

 ダストチンピラのパーティの一人のテイラーが大声で叫ぶ。

 

 ズシン、ズシンと大きな音を立てながら、大地を揺るがして迫り、やがてその全身がおでましとなる。

 上の部分も空母の甲板のように平らにし、さらに上にヤドカリのように砦みたいな建築物を載せ、他にも甲板の部分の所々にバリスタやゴーレムを搭載しているデストロイヤー。

 

 それは仕掛けられた数々の罠を物ともせずに突破する。

 次に複数のゴーレムがデストロイヤーの前を塞ぐが、所詮駆け出しの街の冒険者の魔力で出来たゴーレム。デストロイヤーの脚で踏みつけられ、ヒビが入って次々と壊れていた。

 

 

 『アクア!今だ、やれっ!!』

 

 

 カズマがルナから預けられた、指示を出す為の拡声器の様な魔道具を使い、合図を出す。

 

 

 「『セイクリッド・スペルブレイク』ッ!」

 

 

 アクアの周囲に複雑な魔道具が浮かび上がると、その手にはとても強い白い光の玉が出現する。それを前にかざすと、気合いを入れてデストロイヤーに向けて撃ち出した。

 

 

 「はぁっ!!」

 

 

 撃ち出した光の玉がデストロイヤーに触れる直前、一瞬デストロイヤーの巨体に薄いベールの様な物が張られた。あれが対魔法結界だろう。だがそんなものも神の前では紙クズ当然。それがガラスでも砕く様に粉々に弾け飛んだ。

 まずは第一関門突破である。

 

 

 『よし!ウィズ、頼む!そちら側の脚を吹っ飛ばしてくれ!!』

 

 だがまだ終わらない。次に爆裂魔法で脚を破壊する行動に入る。カズマが指示を出すと、彼は未だ緊張しているめぐみんに近寄っていった。

 ユウヤもウィズの近くに駆け寄ると。

 

 

 「頑張れ」

 「はい!」

 

 

 そう、短く伝える。

 そして、ウィズは朗々と詠唱を唱え始める。めぐみんの様子を見る事なく、同時に。

 

 

 

「「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が深紅の混淆を望み給う。覚醒の時来たれり、無謬むびゅうの境界に落ちし理。無業の歪みとなりて、現出せよ!踊れ、踊れ、踊れ!我が力の奔流に臨むは崩壊なり!並ぶものなき崩壊なり!万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!!」」

 

 

 

 かつては凄腕のアークウィザードの名を欲しいままにした、今は己のポンコツ商才により、経営難に苦しむ小さな魔法店の店主のリッチー。

 そして現在、ユウヤの弟子であり、頭のおかしい爆裂娘の名を欲しいままにしている、唯一つの魔法に全てを捧げた、紅魔族随一のアークウィザード。

 

 その二人の最強の攻撃魔法が、難攻不落の賞金首へと放たれる。

 

 

 「「『エクスプロージョン』ッッ!!」」

 

 

 二人同時に放たれた爆裂魔法は、全てを滅ぼす害虫を土塊に返すべく、その暴威を遺憾なく奮ってデストロイヤーの脚を簡単に破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 突然脚を失った機動要塞が、とんでもない地響き、轟音と共に、平原の只中に墜落し、そのまま慣性の法則に従って街の方へと地を滑る。

 その滑る巨体はそれでもなお動いていたが、徐々に鈍くなり、街の前のバリケードに届く事はなく、やがて最前線で立ち塞がるダクネスの、ほんの目と鼻の先で動きを止めた。

 

 

 「フゥ……」

 

 ウィズは緊迫した雰囲気から解放されて息を吐いた。

 あちらではめぐみんが魔力を使い切ったことで倒れていたが、ウィズはまだまだ余裕そうだ。

 

 「お疲れ。しかし綺麗さっぱり消えてなくなったな」

 「ちょっとオーバーキルな気もしますけど……でも、腕は鈍っていなくてよかったです」

 「むしろブランク有りでこれなら、本調子取り戻したときに威力スゴいことになりそうだな」

 

 見ると、めぐみんの方ではパラパラと大きめの破片が降り注いでいるが、こちら側では欠片も残さず吹き飛ばされたため、ほとんど欠片は降ってこない。向こう側ではめぐみんが悔しそうに顔を顰めていた。

 

 

 「め、めぐみん!?も、もうちょっとちゃんと破壊しなさいよ痛っ!?破片が、破片が降ってきていだいっ!?」

 

 ……なお、少し離れた場所にいるアクアに、破片が当たっていた。周囲にいる冒険者達には当たっていないのに。これも運が低いせいなのだろうか。

 

 「魔力は大丈夫か?」

 「ええ。このあともう一度爆裂魔法を撃てるほどは残ってないですけど、まだまだ大丈夫です。取り敢えず、降りて状況を確認しましょう」

 

 そうして門の下へ降りると、先に降りていたカズマ達と合流した。

 

 「そっちもお疲れ。めぐみんは……あぁ、離れた場所で休んでるのか」

 「流石、アイツの師匠だ。よく分かってるな。アイツ、ウィズに威力で負けたの相当悔しがってたぞ」

 「仕方ないよ。いくらいつも爆裂魔法を撃っているとはいえ、まだめぐみんは低レベルなんだ。リッチーであることに加え、人生経験を積んでいるウィズに勝つのは難しい。むしろ、駆け出しでここまで高威力の爆裂魔法を撃てることの方が、ボクはスゴいと思う」

 「それ、あとでめぐみんに言ってやれ。喜ぶぞ。むしろ、爆裂魔法撃ってもまだ普通に動けるウィズの方が俺はスゴいと思うけどな」

 

 デストロイヤーの巨体を見上げると、脚を失った巨大要塞は沈黙を保っていた。

 降り注ぐ破片の雨があらかた収まり、落ち着いて状況を理解した他の周りの冒険者達も、感嘆の声を上げる。

 

 だがまだ油断ならない。ここまでやっても中の搭乗者が出て来ないのだ。ここからさらに攻撃してくる可能性もある以上、気を引き締めて──────

 

 

 

 「やったわね!」

 

 

 

 ……ようとして、水の女神がそんな事を。それにユウヤとカズマはビクッと体を揺らした。

 

 敵を倒したあとにそんな事を言うのは、地球(特に日本)で言うところの『フラグ』というものだ。

 これを言ったあと、何か自分達に更なる危機が訪れる。言わば恒例の強制敵パワーアップイベントだ。

 

 

 「何よ、機動要塞デストロイヤーなんて大げさな名前しといて、期待外れもいいところだわ。さあ、帰ってお酒でも飲みましょうか!なんたって一国を亡ぼす原因になった賞金首よ、一体報酬はお幾らかしらね!!」

 「このバカッ、なんでお前はそうお約束が好きなんだよ!そんな事口走ったら……!」

 

 更に迂闊な事を口走る水の女神を、カズマが止めようするがもう遅い。

 

 「……?な、なんでしょうか、この地響きは……」

 「もう嫌な予感しかしない」

 

 ウィズが不安そうに、ユウヤが全てを悟って機動要塞の巨体を見上げた。

 大地が震えるようなこの振動は、明らかにデストロイヤーを震源としている。

 

 冒険者達が不安げにその巨体を見上げる中、それは唐突に。

 

 

 『この機体は、機動を停止致しました。この機体は、機動を停止致しました。排熱、及び機動エネルギーの消費が出来なくなっています。搭乗員は速やかに、この機体から離れて避難して下さい。繰り返します。この機体は……』

 

 

 機動要塞の内部から、その機械的な音声は唐突に、繰り返し何度も流された。

 

 「ほらみた事か!お前って奴は一つ役に立つと、二つ足を引っ張らないと気が済まないのか!?」

 「待って!ねえ待って!これ私の所為じゃ無いからっ!私、今回はまだ何もしてない!!」

 

 

 再び、危機が迫っていた。

 

 





 ちなみに今回のタイトルで何か気づいた人はいるかな?

 18話までは久々に2日に1話のペースで投稿します。


 評価と感想待ってます。

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