「どうなってんの?なぁ、アレどうなってんだよ!」
「おおお、落ち着いて!こういうときはアレよ!導火線の赤か白の、どっちかを切るってヤツがあるはずよ!」
「それは爆弾の話だし、個人的な意見だが、その色は赤色と青色の択が一般的だな」
「いやそんな事はどうでも良いわ!デストロイヤーはコアを抜いたのに、なんでまた動き出してるのかって話だよ!」
ユウヤ達だけでなく、他の冒険者達も気づいたのか、彼らは慌ててデストロイヤーから距離を取る。
「ど、どうしましょう!これまで内部に溜まっていた熱が、外へ漏れ出そうとしているんです!流石に私でもあの大きさをテレポートすることは出来ません!デストロイヤーの前面部に爆裂魔法の余波で出来た、大きな亀裂が見えるでしょう?あそこから熱が漏れ出しています!このままでは、あそこから街を目がけて……!」
「あーあー!聞きたくない聞きたくなーい!!」
ウィズの言葉を水の女神が遮る。現実を見たくないのだろうが、どのみち刻々と現実は迫っているので意味ない。
「ユ、ユウヤさん、私と一緒に何とか出来ませんか!?」
「カズマさーん、カズマさーん!はやく、はやく何とかしてぇー!!」
2人がそんな要求をしてくる。ユウヤへはまだ分からなくもないが、カズマには完全に無茶な要求である。
「う、う〜ん……いや、壊すだけならボクはいけるよ」
「じゃあ早く!」
「でもその衝撃で周りへ大きく被害が出るから、アクセルの街が荒廃する可能性が大だ」
「くっそお前ってヤツは!強者であることが仇になること多すぎだろ!!……あぁもう!どうすれば……」
「……あの、すみませんユウヤさん。吸わせてくれませんか?」
ウィズが唐突にそんな事を言ってくる。おそらく、ドレインタッチを使って魔力を吸うつもりだろう。が、そんな正体を晒す様な危険なマネはさせない。生憎この街が滅ぼうとも、ウィズの正体がバレる様な事があれば断固反対する。もしそうなった場合、約束は守れなくなってしまう。
「で、ですがそんな事言ってる暇はありませんよ!私はこの街もお店も守りたいんです!!」
「俺も反対だ。もし皆が沢山見ているここでドレインタッチなんか使えば、怪しまれること間違いなしだろ!人間の俺が使う分には調べられてもまだ良いが、ウィズが人間かどうかを調べられたら一発だろうに!」
全くもってその通りだ。リッチーしか使えない筈のスキルを使っている所を他の人達に見られれば、あとで問い詰められることは確定だろう。そうなった場合、誤魔化すことは出来ない。
「ですが、魔力を吸える私しか、アレを被害を抑えて止める事は……!」
「俺も使える。俺が一旦誰かから魔力を吸って、それをウィズに受け渡せばいい。手間かかるけど、それしか無いだろ」
ウィズがそう言い掛けたのを、手を突き出して遮ったあとそう返す。キョロキョロと周りの冒険者達を見渡し、ダクネスに逃げようと大声で喚いている水の女神を引っ張り出すと。
「おい、そこの自称何とか。ちょっと来い」
「ちょっと何すんのよ。今は構ってる暇は無いの。いっそこのままああああああああああああーっ!?」
不意打ちでドレインタッチを喰らわせた。あの女神が素直に話して許してくれるとも思わないため、その行動については同意するが、それでも不意打ちで女性の体を触るのはどうかと思う。
「ちょっとヒキニート!この非常事態に何すんのよ!」
「非常事態だからだよ!いいかよく聞け!今からお前の魔力をウィズに分けて、爆裂魔法でデストロイヤーを撃って貰う!それで多分いけるはずだ!」
「嫌よぉ!何で私の魔力をアンデッドに分けなきゃいけないのよ!それに私の神聖な魔力をウィズやユウに大量注入したら、ユウはともかく、ウィズはきっと居なくなっちゃうわよ!」
水の女神の言葉にウィズ達の方を振り向くと、ウィズが青い顔で、ユウヤが強ばった顔でこくこくと頷いた。
「その……以前アクア様から魔力を少し頂いた後、物凄く体の具合が……」
「ボクもドレインタッチで吸い取って、負担を和らげたけど、同じく調子が悪くなってな……」
あれは食あたりみたいなものだった。痛みがあのあと半時間は続いてキツかった。
そんなわけでユウヤとウィズでは無理である。となると、残されたのは────
「真打ち登場」
めぐみんが、カズマの背中から下り立った。
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「ねぇ分かってる!?吸いすぎないでね?吸いすぎないでね!?」
「分かってる分かってる。それ宴会芸の神様の前振りだろ?大丈夫、俺に任せとけ!」
「違うわよ!これはフリじゃないわよ!芸人みたいなノリで言ってないわよ!」
水の女神がカズマの前で正座をし、いつでも魔力を吸われる体勢になる。
その隣ではめぐみんがデストロイヤーに杖を向け、いつでも魔法を放てる様に構えていた。
「頼むぞー!お前達が失敗したら全員ボンッ!だからな!!」
更にその隣では、ユウヤがいつでも前に出れる様に準備をしていた。その理由は街とデストロイヤーとの距離が接近しすぎており、もしそこで爆裂魔法なんぞ撃ったら、街に大きく被害が出る事が確実である。その被害を最小限に抑えようと、距離を離すために攻撃して遠ざけるためである。
「カズマさん、ドレインは皮膚の薄い部分の方がより多く吸収出来ますよ!あと、魔力の源は心臓部なので、心臓に近い部分からドレインをすると効率が良いですよ!」
ウィズが真面目な声で教える。そのアドバイスに何か思いついたのか、カズマはめぐみんの背中に右手を入れた。それによってめぐみんは背筋を伸ばして声を上げた。
「ワヒャアアアアアア!?ちょ、何するんですか!いきなり背中に手を入れられて、心臓が止まるかと思いましたよ!この非常事態にセクハラですか!?」
「バカ、そうじゃない!今のウィズの言葉聞いてなかったのかよ!これはセクハラじゃなくて効率を考えたドレインだ!心臓に近くて皮膚の薄い場所なら背中とか良いだろ!……あっ、ちょっこら!おいアクア、抵抗するな!こっちには街を救うっていう大義名分があるんだぞ!」
「おいテメェら!!いつまでもギャーギャーやってんじゃねぇ!!とっとと準備しろや!!」
「「「は、はいっ!!」」」
そんなカズマ達の様子にユウヤが声を荒げ、それにビビった3人が大人しくなって行動に移す。
「……ヤバいです。これはヤバいですよ!アクアの魔力がヤバいです!これは過去最大級の爆裂魔法が撃てそうです!」
「ねぇめぐみん、まだかしら!もう結構な量吸われたと思うんですけど!」
水の女神の言う通り、既にめぐみんにはとてつもない量の魔力が注ぎ込まれている。そこまで吸っても水の女神は倒れそうな様子は一切なく、魔力の底が見える気配はない。流石は女神。
「もうちょっと!もうちょいいけます!あっ、ヤバいかも……」
「おいヤバいってなんだよ!容量超えたらどうなるんだ!破裂とかしないだろうな!?」
物騒な事を口走り始めためぐみんが、左目の眼帯をむしり取ると、杖を構えて魔法を唱える。
「今です!ユウヤさん!」
「分かった。……『超加速』」
爆裂魔法の詠唱が響き渡り、もうすぐ終わりそうというタイミングでウィズが大声で合図を出す。それを聞いたユウヤが魔法を発動し、超高速で走り出す。
「………キック」
そして、デストロイヤーに回し蹴りを叩き込み、その巨体が大きく吹っ飛ばされる。
「他はともかく、爆裂魔法の事に関しては!私は誰にも負けたくないのです!今はウィズやユウセンセと上がいますが、いつか絶対に超えて見せます!いきます!我が究極の破壊魔法!」
めぐみんの杖先から熱を吹き出し、ユウヤの蹴りによって吹っ飛ばされ、今にも弾け飛びそうなデストロイヤーの大きな裂け目に向けられる。
─────紅い瞳を輝かせ、負けず嫌いのアークウィザードが、張り裂けんばかりの声で魔法の名を唱えた。
「『エクスプロージョン』─────ッッッ!」
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「お疲れ様。アレは良い出来だったぞ、めぐみん」
「ほっ、本当ですか!?ユウセンセから褒められるなんて!ありがとうございます!!」
デストロイヤーが破壊されてしばらくした。周囲には既に冒険者の姿はほとんど無く、そこにはユウヤとウィズ、カズマと水の女神、ダクネスとめぐみんというメンツくらいしかいない。
「カズマ。私が言う筋合いでは無いかもしれないが、改めて礼を言う。よくこの街を守ってくれたな。……どうもありがとう。お前にはいつか私の事を話したいと思う。なぜ私が、この街を守りたいと言っていたのかを」
そう言って、ダクネスがはにかんだように笑みを浮かべてきた。
「そういやお前、今回やたらと格好良かったな」
突然のカズマの言葉に、ダクネスはデストロイヤーを前に一歩たりとも引かなかった、今日の自分の姿を思い出したのか、
「…そ、そうか……」
ちょっと頬を赤らめながら、照れ臭そうに顔を背ける。
そんな照れているダクネスに。
「一番何にもしなかったけどな」
「!?」
カズマはハッキリと告げ、ダクネスは顔を背けた状態でビクリと震える。
「そういや、ダクネスは今日はずっと街の前で立ってただけねー。ねえ、私は頑張ったわよ!結界破ったし、カズマの傷も治したし!あと、めぐみんに魔力を分けてあげたり!」
特に悪気は無いアクアの言葉。それに、ダクネスは更に身を震わせ。
「私はもちろん、一日に二発も爆裂魔法を撃って大活躍でしたからね。しかも、二発目はデストロイヤーを粉々にしてやりました!!」
同じく、特に悪気も無いめぐみんが言った一言に、ダクネスは更に身を震わせ。
「そう言えば、カズマさんこそ大活躍だったじゃないですか!見事な指揮を執って、それでいてちょっと失敗はしましたが、結果としては大物のゴーレムを倒し、コロナタイトを鉄格子から取り出してくれて……!」
「ウィズも爆裂魔法を始め、カズマの手を冷やしたり、更にコロナタイトを二つともテレポートしたな。MVPはウィズだろ」
全く悪気など無いウィズやユウヤの言葉に、ダクネスは耐えられなくなったのか、両手で顔を覆って伏せて。
「いやいや、それで言ったらユウもゴーレムを大量に倒したし、コロナタイト一つテレポートしたし、最後にはデストロイヤーを街から引き離して被害を抑えてくれただろ?お前も十分活躍してるよ」
その言葉に、顔を覆ったままとうとう小さく震えるだけになったダクネスにカズマが。
「……で、街を守るって駄々こねてた、今日のお前の活躍は?」
「こっ、こんなっ!こんな新感覚はっ!……わあああああーっ!!」
頬を真っ赤に染めながらも、顔を覆ってそのまま泣いて逃げ出してしまった。
──────────────────────────────────────────
とまぁ、ここで終わっていればめでたしめでたしだっただろう。
「「……………」」
だが現実は非情であった。何故なら────
「わ、私のお店……」
「ボクの家が……」
────2つの物件がボウボウと燃え、跡も残さず変わり果てた姿になっていたからだ。
ただ終わるんじゃつまらないよね☆(無慈悲)
評価と感想待ってます。