この素晴らしい魔道具店副店主に幸福を!   作:白峰 真紀

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 暇過ぎる関係でアニメとか見つつも、小説の執筆が進む進む。この話なんて2日で書けたわ。(まぁいつもよりはちょっとだけ短いんですけど。すみません、区切りが良いんで……)


第19話 見通す悪魔店員がやって来た

 

 あれから数日後。

 

 ユウヤとウィズは店近くの外で昼飯のタコ丸ごと焼きを食べていた。

 

 「この世界に来て数年は経ったが、ボクは未だにこの世界の事が良く分からない」

 「?どうかしたんですか?」

 「いや、なんでこの世界ってタコが畑で獲れるんだよ。普通タコって海で獲れるんじゃないのか?」

 「?タコは畑で養殖されて獲れるんですよ?海でなんて余計に塩辛くなるじゃないですか」

 「理解に苦しむよ」

 

 地球での常識が通じない異世界は、いろんな事が新鮮だと言えば聞こえはいいが、中には地球では馬鹿馬鹿しい事がここでは常識であることもあり、ハッキリ言って覚える事が多すぎて頭が痛くなる。前の異世界でそういった物に何度も出会ったため、この世界でもそういった知識にはだいぶ慣れてきたが、それでも受け入れがたい物はいくつかある。

 

 「『上から降ってくる魚に注意!』って言われたときは流石に呆けたなぁ………」

 

 あれは流石に理解しがたかった。大雨特別警報みたいなノリで言っているのかと思って外を見たら、ベチッベチッと地面に魚が叩きつけられる様子が確認出来た。それに数分間頭が追い付かなかった。

 

 とまぁ、理不尽なこの異世界の常識について考えつつ昼飯を頬張っていると。

 

 

 「おい。そこで飯を貪り食べている店主と副店主よ。これは一体どういう事なのだ。店に加え、半端者副店主の家までもが全くと言って良いほど形を残しておらぬではないか」

 

 

 後ろから黒髪をオールバックにし、口元が開いた白黒の仮面を被り、黒のタキシードを着た昔馴染みの悪魔バニルが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ユウヤ達は何があったのかを全て話した。

 デストロイヤーがアクセルへ襲来したこと。その動力源のコロナタイトをランダムでテレポートさせたこと。その転送先がちょうどユウヤの家の上であり、ついでに店も纏めて焼失したこと。

 

 全て話し終えるとバニルは頭を抑え、

 

 「………失った分はそのテレポートを提案した冒険者から巻き上げて弁償させることが確定してると言うなら、もう我輩もそこまで強くは言うまい。最悪店舗が無くても店は経営出来るのでな」

 

 それにホッとウィズは一息付いた。考えていた以上に怒られると考えていたのだろう。

 だが次の発言で表情が固まる。

 

 「ところで話は変わるが副店主よ。このポンコツ店主が作り出した借金は一体幾らにまで膨れ上がったのだ?一部ロクデナシ店主と趣味の合う貴様がいるおかげで、穀潰し店主の仕入れた商品がほんっっっっっっっっっっの少しだけ役に立っておる。だが結局それを上回る程の借金を製造するリッチーの事だ。きっと酷い事になっておるだろう」

 

 ウィズへの様々な蔑称を口にして借金について聞いてきた。話すたびにウィズの表情が青くなっているのはいつもの事である。一口紅茶を口に運んだあと、ユウヤはボソリと。

 

 「約2億1257万8426エリス」

 「よし赤字製造店主よ。そこに立っておれ」

 「あ、あのバニルさん?せめて撃つにしても店の反対側で……ほ、ほら。いま建設中のお店に当たったら……」

 「そう考えて今日のは威力を下げてある。その代わりに三発分撃たせてもらうがな!『バニル式殺人光線』!『バニル式殺人光線』!『バニル式殺人光線』ッ!!」

 「ほぇええええええええ!!」

 

 どこぞのセブンが使うワ○ドシ○ットの様な構えをしてウィズへ殺人光線を発射し、こんがりと焼いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「全く……副店主の貴様がここに来て以降、借金の額は二人で経営していた頃に比べればかなり減った。だが額が額なだけに、それも焼け石に水みたいなものである」

 「昔は驚いたな。まさか借金が10億越えもしていたなんてさ」

 「中立のなんちゃって幹部リッチーと違い、我輩は魔王の命を受けて店を空けることも多くてなぁ……その間にガラクタばかり仕入れる店主には何度怒りを募らせたか」

 

 殺人光線を受け、プスプスと煙を立て焦げ炭となって倒れたリッチーをリカバリーで回復させたあと。

 ユウヤは建設中の店の奥へと運び、バニルと赤字について愚痴と解決法を話し合った。

 

 「最近はボクがまだ興味のある、攻撃系の魔道具を購入してくれるよう促したりして、そっちに気を引くように努力はしたんだけどな……大半がボクでも扱いに困る物ばかりであんまり効果が無かったよ」

 「あの店主は何故効果が強い物ばかりを仕入れるのだ……」

 

 あーだこーだと話し合ったが、結局いつもの様に自分達が働いて赤字を埋めていくしかないという結論に落ち着いた。

 

 

 「……まぁ赤字については我輩達で頑張れば取り戻せはする。取りあえず後回しでも良かろう。さて副店主よ。我輩から少し聞きたい事があるのだが」

 

 バニルから珍しくそんな事を言われ、ユウヤは驚きの表情を浮かべた。

 

 「………何故そこまで驚く」

 「いやだってお前……見通す悪魔って名乗っているんだし、基本的に大体の事は分かってるだと思ってるもんで」

 「確かになんでも見通す悪魔バニルさんだが、今の我輩と同等の強さの者は見通せぬ。見通せぬからポンコツ店主の行動が読めず、この店の借金が増えるのは貴様も分かっておるだろうに」

 「そういやそうだった」

 

 自分も見通す能力の影響を受けておらず、忘れていたが、バニルと同等の強さの者を見通す事が出来ないのだった。煽られる事はあるが。

 

 「魔王の命を受けてここにやって来るのは手紙で伝えたが、その命というのはセクハラデュラハンがやられた事が発端だ」

 

 ユウヤは手に持っていたティーカップを思わず落とした。幸い皿との距離が近かったこともあり割れずには済んだが、落とした衝撃で中の紅茶が揺れてカップから零れた。

 

 「おい副店主よ。何をそこまで動揺しておる。別に我輩はそこはどうでも良いのだ。魔王軍幹部を倒し、そして我輩でも見通せぬほど強い冒険者など貴様くらいしかおらんだろう。それくらいは予想しておった」

 「あ、そうなのね……」

 「永遠に煩悩を失わぬ中年騎士が魔王の命を受けてアクセルの街へ来たのだが、魔王城へ帰ってくる前に貴様に倒されたのでな。我輩が代わりに引き継いだのだ」

 「それでここへ来たってわけね。で、聞きたい事って?」

「我輩がここへ来た事と関係するのだが、アクセルの街に大きな光が舞い降りたと魔王城の予言者が言い出したのだ。それで我輩も見通す目を使って見てみたのだが……何故か見通せぬのでな。何か知っている事はないか?この駆け出しの街でなにか変化があったか?」

 

 ユウヤはしばし考え、自分の考える限りは思い付かない………と口に出そうとした直前、とある存在が脳内に浮かび上がる。

 

 

 

 

 『讃えなさいよ!私は女神なのよ!?』

 

 『あはは……アタシも同情するよ……』

 

 

 

 

 ……いた。それも自分達の天敵である。そのうち片方は結構昔から地上へと降り立っているので違うだろう。

 

 

 「あー……うん。一人心当たりがいる。そいつボク達三人の天敵だ」

 「………三人?半分人間の貴様だけでなく、アンデッドの我輩やリッチー店主も天敵だと?」

 「今回の場合はむしろ二人の方が天敵だぞ。ボクは半分アンデッドの力を継いでるのが原因で一緒に天敵になってる」

 「…………我輩も読めてきたぞ。その光の正体はまさか天の者か?」

 「正解イグザクトリー。しかも最上位の存在である女神だ。ちなみに、最近店の風評被害を言いふらして店の利益が下がった」

 「我輩達を妨害するならまだしも、店の経営まで妨害するつもりか!!ええいどこまでも忌々しい存在め!!」

 

 バニルは仮面に怒りの模様を浮かべて怒鳴った。

 

 「ボクは稼ぎに店を開けることも多いから、お前が近くで相手すれば軽く抑止力にはなるし、これから店にいて欲しいんだが………」

 「そうしたいのは山々だが、未だに我輩は魔王軍幹部であるので無理である。光の正体が分かった以上、全面対決しても良いのだが…………」

 「やめろ。アクセルの街どころかこの世界の四分の一は軽く吹き飛ぶだろ」

 

 女神と悪魔の対決は正直見てみたい気持ちはあるが、感動より自分の憩いの場の方が大事だ。よって猛反対する。

 

 だがこのままでは店への被害が広がり、バニルの本懐を遂げるための資金がいつまでも集まらない。かと言って魔王軍幹部である以上、いずれ帰らないといけなくなる。どうしたものk………

 

 

 「…………なぁバニル。一つ聞きたいんだが、お前プリーストに浄化されて残機を減らされるのってどう思う?」

 「不快である。そんな奴らに減らされるくらいなら、最強の攻撃魔法であると同時に使えないネタ魔法の爆裂魔法で残機を減らされる方がマシである」

 「ボクの弟子に爆裂魔法を愛して爆裂魔法にしか興味がなくて爆裂魔法しか使わない、頭のおかしい爆裂魔法使いがいるんだが。確かお前って魔王軍幹部を辞めたがってたよな?そこでボクに話があるんだが……」

 「その話、詳しく聞かせて貰おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「─────うぅん……」

 「起きた?」

 「あ、ユ、ユウヤさん……」

 

 バニルが帰ったあと、もうすぐ夕暮れの時間になる頃にウィズは目覚めた。未だ少し体調が優れないのか、顔色は悪いままだが。

 

 「なんか疲れました……」

 「自業自得だよ。借金を作ったウィズが悪い」

 「うぅ……私は良かれと……」

 「それでボク達に大きく心労を与えてるけどな。……なんか最近色々あったせいか、ストレス溜まってきた……」

 

 具体的には6割弱は溜まった。あと14、5回イラつかせる出来事が起これば()()が来そうである。

 

 アレが起こると一気にストレス解放されるものの、抑えていた自分でない意識が覚醒するため、収まったあと少し気持ち悪い感覚が残る。故にそこまで好きではない。

 

 

 

 …………下にいるリエスはウッキウキで期待しているが。

 

 

 

 静かにしてろと手をシッシッと振り、リエスはつまんないとふてくされた。

 

 





 バニルが登場したおかげでお店での出来事とか色々な事の幅が広がった気がする。やっと一年前から書いてたネタをこっちでも書ける………。

 あと裏事情で、こっちが本来20話だったけど、話の展開から19話に変更しています。


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