この素晴らしい魔道具店副店主に幸福を!   作:白峰 真紀

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 原作と違って、ウィズとの出会いより前にキャベツの精算イベントが来てます。ギルド職員お疲れ様です。
 (というかこれ細かすぎてあんま気にしない人がほとんどだと思うけどw)

 あと、ユウヤは以前にダクネスやクリスと会っています。
 (その辺りのお話は、後々番外編とかで出そうと思ってるので待ってて下さい。書かなかったのは単純に今思い付かないから)



第4話 秋の恒例行事

 

 「これでやっと黒字か…」

 

 ユウヤが3週間、大急ぎで依頼やダンジョン攻略をこなした結果、ポーション代の支出を取り戻して黒字にすることが出来た。その間、ウィズには指定した商品以外仕入れるのを禁じたため、これ以上無駄な支出も出ていない。おかげでようやく楽になると一息ついた。

 

 そうして稼いだエリスを数えていると、ギルドの片側がまた騒がしくなっていた。

 見ると、この前の2人に加え、帽子を被り左目に眼帯をして杖を持っている紅魔族の女の子のめぐみんと、金髪で防具を着た女性のダクネスがいた。

 少し離れたところには、幸運の女神エリスの地上での姿も絡んでいる。

 

 

 次は何の依頼を受けようか。

 悩みながらクエストの張り紙を手に取ろうとしたとき、それは来た。

 

 

 

 『緊急クエスト!!緊急クエスト!!街の中にいる冒険者の各員は、至急冒険者ギルドに集まってください!!繰り返します!緊急クエスト!!……』

 

 

 

 突如大きな放送が街全体に響き渡り、警報のような鐘が鳴り出す。

 

 

 「(あぁ、もうその季節か)」

 

 

 それを聞いて、すぐに理解したユウヤは外へ出る。

 そう、野菜の襲来だ。毎年秋になると野菜が空を飛んでやって来る。冒険者達はそれを捕まえてギルドへ売るのだ。

 特に今年は生きの良い野菜が多いらしく、キャベツを一玉1万エリスで買い取ってくれる。店の資金稼ぎと食材確保のダブルメリットを逃しはしない。故にこのイベントにユウヤはいつも以上に全力全開で行動するのだ。

 

 そうして、空を埋め尽くすように迫る黄緑色の群れが見えた瞬間、誰よりも早く辿り着いてキャベツを確保し出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ー2日後ー

 

 

 「はい。全部で310万エリスです」

 

 キャベツ収穫後、ユウヤはキャベツを売り出してエリスを貰った。ちなみにまだ40玉くらいは余っているが、これは自分の食材分とウィズに与える分として残しておいた。

 

 そしてチラリと横を見ると、この前のジャージ(今は冒険者の服装だが)男がユウヤの姿を見て驚いていた。そちらも100万ちょい稼いでいたので十分ではないのだろうか。

 

 

 「どうしたんだ。そんなジロジロと」

 「あ、この前の……ありがとうございます。あんときはお礼ちゃんと言えて無かったんで……」

 「役に立ったなら何よりだ。ボクはユウヤ。ユウって呼んでくれていい。敬語は要らない」

 「じゃあお言葉に甘えて。俺はサトウカズマ。んであっちの水色の髪が女神を自称するアクア、帽子を被った一番小さいのがめぐみん、んであの金髪がダクネスだ。よろしく、ユウ」

 

 そうして手を前に出す。ユウヤも手を出して握手をする。

 

 「よろしく。それともう一つ、あのあと生活は苦労してないか?」

 「あぁ〜むしろ聞いて欲しいわ。いやもうすっげぇドタバタでさぁ……アクアは知らない間に酒場で借金作ってくるし、めぐみんは爆裂魔法を撃って警備員に怒られるし、ダクネスはドMで敵に突っ込んでいくしでもう大変で大変で……」

 「……そうか。そっちも苦労してるのか」

 「分かってくれるか?この苦労が」

 「聞いてると思うけど、めぐみんは自分の事をセンセって呼んでいるからな。彼女の性格についてはよく知っている。ダクネスとは一度前に会ったことがあるが、そこで色々とやらかして性格を知ったな。あと、ボクの知り合いも何かとやらかすことが多いから」

 

 その後お互いにあれこれ苦労したことを話し合い、意気投合していた。

 

 その数十分後、

 

 

 「なんでよー!!」

 

 

 別の受付の方で水の女神が大声を上げる。どうやら受付で何かあったようだ。

 

 「あんっのバカが……!!すまん、アクアの様子を見に行かないとなんで……」

 「あぁ、いってらっしゃい。頑張ってな」

 「ありがとな。すげぇ面倒臭くて嫌なんだが……おいアクア!!お前一体なにやって────」

 

 向かっていくカズマを見たあと、これ以上用はないのでユウヤは店へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「あ、おかえりなさいユウヤさん!」

 「ただいま。この前の収穫したキャベツと、その報酬分たくさん貰ってきたよ」

 「私も30玉は手に入りました!これでしばらく砂糖をまぶしたパンの耳から卒業出来ます!」

 「……そうなんだね」

 「目を逸らさないで下さい!私もこの食生活はいけないと少し自覚してますから!」

 

 

 ウィズは赤字を出すたびに食事が貧乏になっていく。一時期なんて1日3食もやし一本だけの極貧食事になったこともある。

 そのときは流石に見てられなくなったユウヤが赤字を無くす間に自分の食事を分けたが。

 

 

 「それとお金。これでポーション分のお金は取り戻せたよ。次はちゃんと良く選んで購入してよね」

 「もちろんですよ!絶対売れる商品を仕入れますから!!」

 

 ああ言ってるが、結局使い所が少ない商品しか仕入れてこないのをこの5年間で十分学んだ。きっと次も赤字を増やすだろう。

 そう考えるもどうせ止められないと諦めて現実逃避し、今はこの大量のキャベツをどうするかについて事を変えて考えた。

 

 

 ユウヤがキャベツ料理を作るから手伝って欲しいと言うと、ウィズは快く引き受けてくれた。普段貧乏な食事をしてるので忘れがちだが、ウィズは普通に料理出来る。食材が大量に手に入ったときなどにはこうしてたまに料理の手伝いを頼んでいるが、その理由はウィズにマトモな食事を摂らせることが大きい。店の赤字が出たとき、食材をお裾分けしに行ったりすることもあるが、その後も見ていて苦しくなる食生活が続いている。

 

 いくらリッチーとはいえ、あんなマトモな栄養の摂れない食生活では神経がすり切れていずれ精神が壊れそうな予感がする。なのでこうして度々料理の手伝いに誘い、作った料理で栄養を摂らせている。

 

 もちろん、ウィズに手助けして貰うと手間が省けるため、そういう面で助かっているので嘘は言っていない。本当の目的ではないが。

 

 若干詐欺な感じはするが、善意の嘘なので別に問題はない。大丈夫だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「美味しいです……」

 

 穏やかな表情でキャベツ料理を食べていた。

 こうした表情見ると作ってよかったと嬉しく思うと同時に、どこまで極貧な食生活を送っていたのかと悲しくなる。

 

 

 「ウィズは食生活にほんと気をつけた方が良いぞ。でないと、いつか本当に体が壊れるから」

 「はい……でも今はキャベツも沢山手に入りましたし、これから自炊して栄養ある食事が摂れます」

 「ボクも確認しに行くからね。ちゃんと栄養摂れてるか」

 「そこまでしなくても大丈夫ですよ。自分でも料理出来ますし」

 「キャベツが尽きたら、また綿が入った砂糖水とかもやしやパンの耳生活に逆戻りするのに」

 「ゔぐっ……」

 

 長い付き合いでウィズの食生活に全く信用出来ていないため、時々お節介なくらい彼女介入している。たとえ余計なお世話だと嫌われようとも、ウィズの健康のために面倒を見る覚悟はある。

 

 

 「そうなってひもじい顔になるのも見たくないから。だから遠慮しないで」

 「……分かりました。こういうときのユウヤさんは意地でも引きませんからね」

 「ウィズが心配だからね。悲しい気持ちはさせたくない」

 

 

 ウィズはこの世界で出来た、頼れる大切な人だ。そんな色々助けて貰った恩人には幸せでいて欲しい。そう思いつつロールキャベツを頬張った。

 

 思考を巡らせていたせいで、ウィズが何故か恥ずかしそうになっていたのには全く気づいていなかった。

 

 





 余談:ウィズが赤字を増やすとユウヤも食事が乏しくなります。副店主なので影響受けるのは当然ですが。

(一応ユウヤもウィズの商品の種類の幾つかは買っていますが、ほとんどの物は買わないので焼石に水みたいな状態です。ユウヤはお金は貯める人なので、財布に入ってる分しか基本使いません。それでも食生活はウィズより遥かにマシですが)



 んでそのときユウヤがロボットの如く休む間もなく働いて赤字を減らして黒字にする。
 ↓
 ウィズがその資金を使ってまた新商品を買ってくる。
 ↓
 欠点が致命的で売れないからまた赤字になる。


 の永久ループになってます(笑)

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