この素晴らしい魔道具店副店主に幸福を!   作:白峰 真紀

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 昨日の仮面ライダー公式の発表、色々ありすぎて頭ショートしかけた。全部嬉しいのばっかりだ……


第6話 呪いの影

 

 「知ってるか?なんでも魔王軍幹部の1人が街のちょっと上の丘にある古い城を乗っ取ったらしいぜ」

 

 

 酒場で買い物中、中央の席で昼間から酒臭い冒険者達の会話が聞こえて来る。

 

 酒場は多くの冒険者達が駄弁っており、そこから色々な情報が収集が出来るので重要行動だ。

 だがユウヤは酒があまり強くなく、酒の匂いがそこまで好きではないので酒場にあまり寄らない。

 とはいえ、ギルド内の職員での情報だけでは限界があるので、たまに酒場への買い物のついでで冒険者達の会話から情報収集している。

 

 冒険者達から魔王軍幹部が古城にいるという話が耳に流れてくるも、相手が魔王幹部でドラゴンだろうとヴァンパイアだろうと、自分の邪魔をするなら相手をするだけのことで、行動を起こされてから動けば問題ない。故にユウヤはあまり気にせず買い物の続けた。

 

 

 

 と思っていたが、意外なところで既に被害を受けていた。

 買い物を終えて依頼を受けようと掲示板を見ると、いつもはみ出すくらい貼ってある依頼の紙が今日はほとんど無かった。しかも貼り出されてる依頼はどれも高難易度。どうしたのかと受付嬢のルナに聞くと。

 

 

 「実は魔王軍幹部らしき者が古城に住みつきまして。その影響か近くの弱い魔物達が逃げるか隠れるかしてしまい、依頼がごっそりと減ってしまったのですよ。なので高難易度の依頼しか残っていないんです」

 

 

 依頼の進捗も減ったおかげで仕事が増えて大変です、と愚痴も含め返ってきた。

 普段滅多に言わない愚痴も出るほどギルドは忙しいのだろう。奥をよくよく見ると書類があちこちに積み重なっている。

 

 何か消化して欲しい依頼はあるかと聞くと、ルナは掲示板から一つの紙を剥がし「これです。お願いできますか?」と持ってきた。依頼の優先順位も特にないので一言で了承し、ユウヤは疲れによく効く飲み物を渡しておいた。ルナの感謝もほどほどに依頼の場所へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 さて、今日は巨大な一撃熊の依頼を受けた。この熊はスピードや力が強く、駆け出し冒険者達は苦労する相手。だが、ユウヤにとってはモンスターの中で下の中くらいの強さだ。故にそこまで問題では無い。

 

 というわけで現在森林地帯の中を歩いている。依頼ではもうすぐのはず……と思っていると、タイミングを測っていたように一撃熊が出現した。しかも6匹。早速狩ろうとしたそのとき、()()()が来た。

 

 

 『ねぇねぇユウ。久々に私も出た~い』

 「【えぇ……面倒臭いんだが】」

 『いいじゃないの。私、最近全然暴れ足りないんだもの。それでイライラしてるのよぉこっちは』

 「【お前、毎回毎回獲物を仕留めるとき必要以上に攻撃するだろ。もしそれで熊に傷付いたら肉が少なくなる】」

 

 

 前に食べた事があるが熊肉は美味い。地球の中国では両手両足は煮込みにして食べるらしい。ちなみに1つで5万円もするので、両手両足含めると合計20万円もして高い。

 そんな高級肉の可食部が減るのは断固拒否する。なのでユウヤが相手をする方が食材が増えるのでその方が良い。

 

 

 『でもさぁ〜、綺麗に仕留めるってなら魔法使うのもダメじゃない?火魔法は周りが焼けるからあんまり適さないし、水魔法や風魔法も相手を飛ばしたり妨害するのが本来の用途だから、殺傷能力高めると魔力消費多くなる。土魔法も火魔法と同じ難点で周りに被害が出る。なら、接近戦が得意で、経験が長い私の方が良いと思うわよ?私も状況を見て異常に痛ぶることはしないって分かってるでしょ?』

 

 

 その言葉に押し黙ってしまう。ユウヤも近接戦はこなせるとはいえ、得意分野は中〜遠距離なので接近してくる相手には少々相性が悪い。一撃熊なんぞ対処するのは容易いが、近距離での精密な行動はどうしても苦手とする。

 

 「【…はぁ、仕方ないか……いいぞ。今から出す】」

 『やった♪ありがと~。さ、早く早く!』

 「【はいはい……分離は手間かかるから乗っ取りにするぞ】」

 『ほんとは別々が良いんだけど〜…了解!』

 

 ポケットから黒いローラー型ナックルを取り出すと、左腕全体を塗るようにローラーを回して黒の跡が出来る。

 

 

 『影占えいせん

 

 

 影がニュッと動き、全身を包むように飲み込んでいく。

 そして先程の黒の跡が伸びると、糸状になり影を結びつけるように伸びていく。

 モゾモゾと動き、やがて人の姿を形取り糸が解けて影が剥がれると、そこには黒をベースに所々真紅が混じった、そして少し穴の空いたニットを着た格好をし、紫色の目をした女性が立っている。

 

 

 「ここねぇ、祭りの場所は。あ。私の名前はリエス。ユウに取り憑いてる呪いよ。よろしく!」

 『お前……誰に言ってんだ?』

 「いま見に来てくれてる読者によ。まだ色々語れないから質問は無~し!ゴメンね~?……さて」

 

 手のローラーナックルをギュッと握ると、もう片方の指でクイクイッと挑発する。

 

 

 「かかって来なさいよ、熊野郎共。こっちは久々に出て興奮してるんだからさぁ……楽しませて頂戴?」

 

 

 襲って来た熊の群れに微塵も恐れず、交戦的な笑みを浮かべて立ち向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 『あぁ〜、満足したわ~♪』

 「【そうか。しかし中々エゲツない仕留め方したな…】」

 『まぁ、色々と試したくてああいうのやってみただけだもの。あれも楽しいけど、やっぱり体で殴り合うのが私には性に合ってるわね』

 「【そりゃ随分と野生的なことで……】」

 

 その後、リエスが大暴れして一撃熊6匹を駆除したあとに更に追加で4匹やって来たが難なく狩った。最初に忠告した「あまり傷つけずに仕留める」ということも守ってくれた。

 

 

 ……が、その仕留める方法が結構エゲツなかった。

 ローラーを3回転させたあと、腕をぶん回した勢いも加えて追加の熊の頭を摩擦熱で削り、消し炭にする方法で倒した。

 

 確かに頭は可食部少ないし、そこ攻撃して倒すのが手っ取り早いとはいえ、中々に凶悪な技だった。グロには慣れてるし、ユウヤも思いつけばその方法を取るが、それでも摩擦熱を利用した首落としは見ててあまり良い気分ではない。

 

 その影響か、少し食欲が下がった気がするので帰ったらウィズに多めに食べさせよう。キャベツの量も段々と少なくなってきたし。

 そう思って熊の死体を束ねた縄を引っ張って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「汝に死の宣告を!お前は1週間後に死ぬだろう!!」

 「?」

 

 

 ギルドへ帰還中、物騒な宣言が聞こえてきたのでそこへ寄り道していく。

 

 

 「なっ、ダクネス!?」

 「フハハ!これでお前は『ゴルドスマッシュ』グホァアア!?

 

 見ると首を手に持ってるアンデッドがぺちゃくちゃ喋っていた。隙だらけだったので取り敢えず両足蹴りをかましたが、ちょっと転倒して後ろへ転がるだけだった。意外と固い。

 

 「で、どういう状況?説明してくれないか。カズマ」

 「お前何も分かってない状態で自分から突っ込んで来たの!?…えっと……」

 

 曰く、奴は魔王軍幹部のデュラハンのベルティア。魔王からの命令を受けて丘にある古城にやって来たのだが、毎日毎日めぐみんが爆裂魔法を撃って来るので遂に堪忍袋がキレて今日ここへやって来たらしい。それで死の宣告を放ったがダクネスが肩代わりし、油断しきってた所をユウヤが蹴りで飛ばして現在に至る。

 

 

 ……これ、全ての元凶めぐみんでは?

 

 

 とはいえ、相手は魔王軍幹部。貧乏リッチーや仮面の悪魔という例外があるとは言え、呪いをかけてきたので人に危害を加えてきたという事になる。なので情け無用で安心して攻撃出来る。

 

 

 「ってて……誰だ!この俺に攻撃したのh………な、なななななななななぁあああああああ!?し、ししししししししし処刑人!?おま、なんでこんな所に!!」

 

 振り返ったベルティアがユウヤを見て、先程までの威厳ある姿は何処へ行ったのか、大きく震えていた。

 

 「いや、なんでボクを知ってる?ボクはあんたと会った記憶がないけど、何かしたのか?」

 「会った記憶ないって嘘こいてんじゃねーよ!!お前昔に俺らをボッコボコにしてただろうが!!おかげでいまでもあんときの記憶が目に映って…… ウガガガガガガ

 

 

 何故かまたデュラハンがおかしな挙動をしている。…デュラハン……ベルティア………?

 

 …………あ。

 

 と、頭に豆電球が光るように思い出す。

 

 

 「そういえば4年くらい前に、魔王軍幹部3人が挑んで来たことあったな。あれか」

 「忘れてたのか!?ええいなんで処刑人がここに!!嫌がらせか!?もう帰りたい!!」

 「帰る必要はないよ。ただ、ちょっとここで眠ってもらえる?」

 「それって死ぬって意味だろうが!!……ええいアンデッドナイト!アイツを攻撃しろ!!」

 

 右手を掲げ、振り下ろすと無数のアンデッドナイト達が襲いかかってくる。

 ユウヤも剣を抜くと駆け出して攻撃していく。

 

 

 アンデッドナイト達は耐久性が強い。生半可な力ではびくともせず、逆に押されてしまう。なのでなるべく力を込めて倒していく必要がある。だがこの街に集まる駆け出しの冒険者達ではまだレベル不足で多いに苦戦するだろう。

 

 ……本来なら。

 

 

 「ちぃっ!分かってはいたがやはりアイツらでは止められんか!!」

 

 前の世界での戦闘経験に加え、この世界で5年冒険者を続けてきた経験も合わさり、アンデッドナイト達を難なく魔法で一体、また一体と撃破していく。

 

 

 「うおおおお!!すげぇ!!噂には聞いてたけど、ユウってこんなに強かったのか!!」

 「当然ですよ。ユウセンセは私のセンセですから。センセの強さの前ではアンデッドナイトなんて敵じゃありません」

 「めぐみん、スゴい得意気だな」

 

 そして前から何も向かって来ていないことに気づいて顔を上げると、周りにアンデッドナイト達は居なくなり、あとはベルティアだけになっていた。が、

 

 「流石に部が悪い!撤退だ!!」

 

 剣で地面を切り裂いて土煙を発生させ視界が悪くなる。やがて煙が明けるとベルティアは何処にも居なかった。

 少し物足りない気分だったが、網の中の熊を見ると腹が減ってきた。さっさと帰って熊鍋でも食べよう。

 

 

 ちなみにダクネスについた死の宣告は水の女神がとっくに取り除いていた。

 王都のプリーストですら手も足も出ない魔王軍幹部の呪いも解除出来るとは。流石女神。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「美味し〜いです!」

 

 いまはウィズと2人で熊鍋を食べている。

 一緒に食べないかと提案したときは「良いんですか?」と遠慮気味だったが、いざ口にするとどんどん食べている。

 ユウヤも口に運んで味わう。

 

 「……うん、スゴい美味いな」

 

 流石に毎日は胸焼けしそうだが、3日に一度のペースならずっと食べられるくらい好きだ。

 

 「熊肉はやはり美味しいね。また狩ってきたときは一緒に食べようか」

 「はい。スゴい美味しいのでまた一緒に食べたいです」

 

 ニッコリと笑い、ユウヤ達は熊鍋を堪能するのだった。

 

 





 ・リエス:生存と恐怖と???を司る呪い。

 前の世界でユウヤに憑いた呪い。普段はユウヤに甘えたり軽い調子で絡んだりと呪いとは思えない姿だが、本来の性格はサディスト気質で、戦いのときはR18Gのようなエグい方法で攻撃したり、相手を必要以上に痛めつけることが多い。
 ユウヤも彼女に対しては口調も砕け、割とストレートに話す。ユウヤを傷付ける者にはぶちギレる。


 普段はユウヤの影に潜んでおり、テレパシーで会話する。ユウヤの体を乗っ取るか、特定の言葉で呼び出すことで姿を現す。


 戦闘方法は体を使った野生的戦法。体にトゲを生やしたりして荒々しく戦う。

 乗っ取り時は専用武器のローラー型ナックルを使いパンチ力を上げる他、ローラーに属性を纏わせることで様々な効果を乗せた攻撃を繰り出せる。
 また、呼び出したときは体の関節の骨を外して軟体動物のようになることも可能である。


 更に一番の特徴が「不滅」
 どんな強大な攻撃を食らっても、すぐに体の傷を無かったかのように再生する。



 追記:ちょっと口調変化しました。

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