今日はクリスマス。
本国から離れても暦は同じ。クリスマスも12月の24日だ。
南海だからって祝わないというのはちと寂しい。
「ということだ」
おー。と感じ入った様子の娘たち。
大人連中は早くも準備の段取りについて考えを巡らし、真ん中辺は仲の良い連中で集まってプレゼントのやり取りといった企画を相談し、チビ連中は純粋に喜び勇んで目を輝かせている。皆楽しそうな顔だ。これを見れただけでこのイベントの苦労は元が取れるに違いない。
そんなこんなで、久方ぶりに泊地メンバーは総員団結して動き出したのである。
「叢雲、そういやふと思ったんだが、お前らってどこでクリスマスとか知ったんだ?」
「え!? あ、そ、それは、あれよ。本よ、本」
「本? クリスマスの本なんてあったか?」
「あ、暁達の部屋にあったの! その、くり(↓)…すま(↑)、す(↑)? 西洋のお祭りの本が!」
「……ほう」
「な、なによ。なにか文句でもあるって言うの!?」
「いや。うん、いやなんも無いよ。ところで此処に本土に注文して届いたお菓子のサンプルがあるんだが、食うか?」
「……いただくわ」
「ん、ほいよ」
「ふーん、結構綺麗なのね。カステラ?にこの白いのは何かしら」
プス
はくり
「ふむっ!? んな、なにこれ、おいひい!!」
「おう。そんなにうまいか?」
「すごいわよこれ!なんていうお菓子なの?」
「“クリスマス・ケーキ”」
「――え?」
「くりすます、けーき。クリスマスの料理の主役だな」
にやにや
「しししししってたわよ。くりすますのけーきでしょ?しってるわよ!」
「そーだよなー。今時クリスマスも知らんとかありえないよなー」
「そう、そうね。まったくその通りだわ!」
――なぁ筑摩よ、あれは語るに落ちるというやつではないか?
――しっ、聞こえますよ利根姉さん。叢雲さんはあれで誤魔化してるつもりなんですから。
叢雲が固まった。
頬の朱がどんどん広がっている。
やばい。口元が、ニヤついて。駄目だ。我慢が、ニヤニヤが隠せ
――いや、じゃがあれは無理だろう?幾ら何でも誤魔化せておらんぞ。
――そうやって提督は叢雲さんを“可愛がって”いるんですよ。ああいう狼狽え方がたまらないんだって提督言ってましたもの。
――ほう。確かに提督は悪い顔しておるのう。
ばっと叢雲がこちらを向く。
間一髪顔を逸らした。
おのれ利根に筑摩め、要らん事を言いおって。
「……アンタ、死ぬ覚悟はいいわね」
思い切り凄まれた。まるで敵艦を抉る直前のような、恐ろし気な声。
ぶふぉっ
吹き出してしまった。
タイミングが悪かった。
これだけからかってニヤニヤして、そこにこの声! 恥ずかしくて恥ずかしくて記憶が消えるほど殴りたいってくらい真っ赤になってプルプルしてる、俺の叢雲がもう鮮明に脳裏に浮かんで堪えられなかった。
ひゃらひゃら笑い転げて腹がよじ切れそうな俺。
真っ赤でプルプルしてる叢雲。
冗談抜きで殺されかけた。
なぁ聞いてくれ、加賀。
なにか?
昨日夜な、叢雲のところに行ったんだ。
ええ。
昼間からかって怒らせたから仲直りしようと思ったわけだ。
ベッドで仲直りというワケ。貴方らしい浅知恵ね。
……お前はまんま逆をやっただろうが、俺に。
生憎と、記憶にないわ。
後で思い出させるからな。
そう。楽しみに待ってるわ。
んん、話が進まん。
そうね、私も暇ではないの。
お前が進ませないんだ、ってもういいわ。要は、ちと怒らせすぎたから良いアイディアはないかって相談だ。
ん、、、美味しくて見た目も綺麗なケーキを贈るのはどうかしら。
最初っから知ってたのか。
ええ、騒ぎなら聞こえてましたから。
ケーキじゃ逆に怒らんか?
彼女はそこまで了見が狭くはないわ。
そう、か。そうだな。じゃああのカタログで一等良いヤツを奮発するか。
ありがとうございます。
……
ありがとうございます。
ぉぅ。
艦これがクリスマス改装されて叢雲のボイスが、叢雲がぁぁぁっぁ
気になる方は「艦これ」「クリスマス」「叢雲」で動画検索すると聞けます。