3000年前?……懐かしいなぁ(遠い目)   作:モカチップ

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第9話

「ロトムですか。珍しいポケモンを捕まえましたね」

 

「ロト?」

 

 ウォロがロトムをマジマジと見つめる。

 ヒスイでも中々見られないポケモンだったよな。

 

 生息域は自爆…じゃなくてヒスイマルマインがキングをしている天冠の山麓だったっけか。滅多に行くことはなかったし険しい山岳地帯なのもあり一般人が立ち入ることはまずない。

 

 ポケモン無しは舐めてる所ではなく自殺行為。せめてロッククライムを覚えたポケモンか空を飛べるポケモンがなきゃ命が幾つあっても足りはしない。

 

 やりのはしらに行った際もウォーグルにショウちゃんと相席したくらいだし。ウォロ?ウォロは自前のトゲキッスに乗っていたよ。

 

 そういえばリオルはルカリオにトゲピーはトゲチックに進化したらしい。クチバの時点であれだけ懐いていたし妥当。寧ろ遅すぎるくらい。

 

 見せてもらったが出した瞬間ウォロにルカリオは飛びつき頬擦りをトゲチックは小さな翼をはためかせ背中にタックルを喰らわせていた。

 

 揉みくちゃにされながらも笑顔のウォロ。

 微笑ましい光景だったよ。依存ではなく純粋な愛情。

 

 ウィロ以外の人間にも敵対心は持ってないしルカリオもトゲチックも優しい性格の持ち主。

 

 ただ…早めの進化だったのか幼さが残っていた。スキンシップもリオルとトゲピーの頃とまんま変わらない。これでもかと愛情を注いだんだろう。

 

 ウォロはもう大丈夫なんだろうな。

 ………良かったじゃないか。

 

 でーロトムだっけ?

 ギンガ団は知ってるだろ?

 

「…ギンガ団。ええ、知ってますとも」

 

 おう、明らさまに不機嫌な顔をなさる。

 ショウちゃんから聞いたけどヒスイのギンガ団お抱えだったラベン博士とは仲が良くポケモンの話で盛り上がっていたらしい。

 

 名前は聞いていたがあったことはなかったよな。コトブキムラには滅多に行くことはなかった。行ったところで忙しくて会う暇なんてなかったわ。

 

 実はオーキド博士よりも先にポケモンの研究をしていたとか数々の功績があるらしい。…もしかしたらシンオウの何処か。民家の蔵の中に残っていたりしてな。

 

 …俺の住処はどうなってんだろうか。

 海沿いだったし残ってないか?松の木が残っているらしいからワンチャンあるか?

 

「そのギンガ団がどうしたんです?」

 

 …あ、ああ。

 このロトムはギンガ団のボスのポケモンなんだよ。……どした?んな顔をして……。

 

「何故知っているんですか?」

 

 え?それは……なんて答えればいい?

 知ってました、としか言えねえ……。

 

「……まぁいいでしょう。それでロトムをどうするんですか?盾にして脅しにでも行くんです?」

 

 そんなことするわけねえだろ!!

 囲まれて棒で叩かれまくるわ!!

 

 それにまだその時じゃない。

 

「…というと?」

 

 ウォロには話しておくけど…ギンガ団…あーわかった!そんな顔すんなって……。

 

 悪の組織のボスの名前はアカギっていうんだよ。

 そのアカギはディアルガかパルキアを呼び出そうとしている。

 

「ディアルガかパルキア、ですか。…何故呼び出そうとしてるのですか?」

 

 この世界に絶望して世界を一から作り直そうとしている。どうした?ウォロ………。

 

「行動原理はともかく…他人事には思えないですね」

 

 あーうん、ウォロならそういうと思ったわ。

 まぁ…アカギにも色々あるからな。

 

「聞かせて貰っても?」

 

 もちろん。

 

 ウォロに説明する。うろ覚えながらもアカギがどうしてギンガ団を結成し世界を作り直そうとするに至った過去を可能な限り……。

 

「それがこのロトムというわけですか」

 

 そうだな。間違いなくアカギのロトムだ。

 

「そのままロトムを渡してしまえば解決するのでは?」

 

 初めはそれでもいいと思った。だけど…解決はしないだろう。…人間て不器用だよな。

 

 一度壊れたブレーキは直らないんだよ。

 アクセルを踏みっぱなしで壁にぶち当たっても止まらない。ガス欠するまで進み続けるさ………王がそうだった。

 

「……………」

 

 もういいんだ…止まっていいんだ、と頭の中で理解しつつも感情が否定する。どう足掻いても止まらない。止められないんだ……後に引けないんだよ。

 

 激情に全て身を預けてしまうから。

 

 今まで積み上げてきたものをつみきを蹴散らすように…絶望の赴くままになそうとしたんだ。

 

 感動の再会をしてさ。改心してハッピーエンドでめでたしめでたし…なんてドラマやアニメの中の出来事に過ぎない。

 

 だからといって全てを見過ごすことはできない。頃合を見て介入する。ただ…まだその時じゃない。

 

「……そうですか。手を貸した方が?」

 

 頼む。ショウちゃんにもお願いするけど…表立って何かするつもりはない。それまではコウキくんとシンオウ地方のチャンピオン様に頑張って貰うさ。

 

「ショウさんが仰っていた新米のポケモントレーナーですか。あとは……」

 

 ウォロ似のシンオウ最強さんね。…マジで似てるよな?…過去に結婚とかしてた?

 

「いえ、していませんよ」

 

 …そっか。偶然ウォロに似ていたってだけなんだろう。……腹減ったな。

 

「でしたら行きつけの店にご案内しますよ」

 

 へいへい…奢ればいいんだな?

 

「今回は大丈夫です。その代わりショウさんを呼びましょう」

 

 奢らなくていいのか。なら助かる……訳じゃないよね?ほら?クチバシティのように久々に野郎だけで飯食らうのも悪くないよな?

 

「ルカリオとトゲチックはメスですので」

 

 そういう意味じゃねえーんだよ!それいったらムウマもメスだわ!!あ、紹介すんの忘れてた。出てこいムウマ。

 

「ン……マ?…マァ…」

 

「これがアナタのポケモン。…ムウマ。フフッお似合いではありませんか」

 

 そりゃどーも。

 はじめてだよ手持ちとしてポケモンを持つことは。……バトルは殆どした事がねえ。

 

 連れだったヘルガーや旅仲間だったポケモンとぐらいだろう。ある意味戦ったことはあるがポケモンバトルではなかったからな。

 

「…マ?」

 

 マ。こちとらただの医者だっての。荒事は専門外です。もし戦闘が起きたら好きに戦ってくれて構わない。

 

「ポケモントレーナーとしてどうかと思いますが」

 

 生憎俺はポケモントレーナーじゃなくて医者なの。怪我したら治療はしてやるからさ。

 

「……マー」

 

 なんでジト目なんだムウマ。

 ウォロも呆れた顔をして……。

 

「ジブンとショウさんで戦いのノウハウを叩き込むしかありませんね」

 

 ……は?

 それは…スマホ?ウォロってスマホ持ってたん…。

 

「あ、もしもしショウさんですか?今から料理を食べに行くんですよ。場所はノモセシティ…もちろんいますよ。ワタクシ達も直ぐに向かいますので…そうでした。彼がポケモンバトルを教えて欲しいらし……ええ、分かりました。食後の運動として。はい…では……」

 

 ……ウォロ?

 

「ワタクシやショウさんに守られてばかりでいいんですか?」

 

 んっ…うぐっ……それは…。

 

「医者は言い訳。この時代じゃポケモンセンターのお姉さんもポケモンバトルをする時代ですよ。……安心してください。シブンは兎も角ショウさんは優しく手解きをしてくれるでしょう」

 

 それは本当に手解きなんですかね…?

 

「ショウさんなら大丈夫でしょう」

 

 ……はぁ、わかったよ。ギンガ団と戦う可能性も想定しといた方がいいだろう。

 

 人質にでもされたら目も当てられない。

 ………物理的にトレーナーをぶちのめすことはできんのになぁ。

 

 警察に捕まったら世話ないので心の内に閉まっておこう。

 …と、思っていた時期が俺にもありました。

 

「ガブリアス!優しくドラゴンダイブです」

 

「…マ、マァ……」

 

 ノモセで食事をするまではよかった。

 腹が膨れて幸せだったのに2人に連れられた場所はノモセジム。

 

 ここに来る前にショウちゃんがノモセジムのジムリーダーのマキシさんに許可を取ったらしい。あれよこれよとポケモンバトルになった。

 

 相手はショウちゃんとガブリアス。対してこちらは俺とムウマ。

 うん、どう頑張っても勝てねえよな。手解きってか練習試合なのは分かるけどさ……手心的なものはないんすか?

 

 観客にはウォロとマキシさん。ジムトレーナーの方々。

 ……てか楽しそうにお話してやがりますわ。

 

 それよりもムウマがさっきから俺を見ている。

 恐怖に染まりきった顔を歪めて…助けてくれっていってるのが嫌でも分かりますわ。

 

 推定3m級のカブリアスが手加減しながらゆっくりと接近しているのにも関わらずムウマは縮こまっている。…推定生まれたてのムウマが歴戦のガブリアスに何かできるわけで……ぶっ!?

 

「マァ〜!!」

 

 目の前が真っ暗になった。

 …精気が吸い取られる感覚もある。こりゃ限界に達したムウマがバトルフィールドから逃げ出して俺の顔にひっついたな。

 

「どうやらこのムウマはバトルが苦手なようですね」

 

「ガブァ」

 

 いや基本どんなポケモンもガブリアスが接近してきたら裸足で逃げ出すと思う。…練習試合と頭では理解していても怖いもんは怖いんだわ。手加減ドラゴンダイブだろうとこのムウマが喰らえば瞬殺。

 

 瀕死どころか昇天するかもしれない。

 それぐらいの凄みがカブリアスにはあった。

 

「ふむ、バトル向きはないのでしたらサポートに重点を置いた方が良いでしょうね」

 

 観客席からウォロが降りてくる。隣にはルカリオ。

 ウォロの裾をギュッと掴みつつもやる気に溢れた表情をしている。

 

 健康状態に問題ない。寧ろ表情から活気に溢れている。

 ショウちゃんのカブリアスに怯まずしっかりと見据えている。

 

 改めてみると通常のルカリオより一回りぐらい小さいか?

 

「そうですね。…ただサポート寄りの手解きは難しいといいますか…」

 

 人差し指をちょんちょんと合わせ恥ずかしそうに顔を伏せる。

 ……あーうん知ってますよ。ヒスイの頃からショウちゃんはガンガンいこうぜ!を体現している。

 

 まどろっこしいのは無しで火力でねじ伏せるタイプなのはこの目で見てきています。ギミックをゴリ押しで突破する脳筋…は言い過ぎ、でもないか。

 

「彼はひとまず置いておいてショウさん。ご指導ご鞭撻お願いしますね」

 

「あ、はい!……でもウォロさんに手加減できるほど私は強くありませんから…本気でいきますね」

 

「おやおや手厳しいですね。ジブンはバッジ1つも持っていない新米トレーナーですよ。……ルカリオ。胸を借りるつもりでいきましょう」

 

「わうっ!」

 

 うおっ…2人を中心に空気が鎮まる。

 …カブリアスとルカリオが互いを睨み…動くことはない。

 

 互いに隙を伺っている。…ショウちゃんとウォロもそうだ。

 ジリジリと相手を追い詰め、追い詰められないように隙を見せず…。

 

 …なんだろうな。やりのはしらのバトルを思い出す。

 観客席のジムトレーナーの誰かが息を飲む。ジムリーダーのマキシさんは腕を組み黙って見ていた。

 

 ……いつまで精気を啜ってるつもりだ?

 

「マ…マァ」

 

 ダーメだ完全に萎縮している。

 幽霊が怖がったら世話ないわな。

 

「ルカリオ!しんそくです」

 

「ガブリアス!ドラゴンダイブ!」

 

 …うわぁお…しんそくにドラゴンダイブはパワープレイ。

 バトルフィールドを抉るガブリアスに綺麗に避けていくルカリオ。

 これがポケモンバトルかぁ……。

 

 うん、この2人が異次元過ぎるだけだわ。

 ムウマに精気を吸われ続けながらド派手なバトルを眺めていた。

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