今回の話は活動報告でいってた、うちはシスイ憑依伝IFルート・ザ・ストーリーの世界に原作終了後七代目火影に就任したナルトがやってきたら? という話です。
なんか思ったより長くなったので話分けることにしました。
因みにおいちゃんの中で漫画界で「ただただ幸せになって欲しいキャラベストスリー」はNARUTO外伝より、うちはサラダ、ヒロアカより轟焦凍、Fate/SNよりイリヤスフィール・フォン・アインツベルンとなっているぞ。
サラダちゃんマジ健気な良い子やで。原作最終回読んだ時は「性格悪そう」とか思ったのがマジすまんかったと思うくらい内面が可愛いわ。マジ良い子。こんな健気で純粋で可愛い娘がいるのに物心ついてから1度も会ってやってないとか、サスケオマエ1度刺されろ! 八代目火影はサラダちゃんでいいと思う。ボルト? 本人の希望通り火影補佐でいいんじゃないかな! まあ、この話にサラダちゃんは出ないが。
ではどうぞ。
「本当にナルト……かのぅ?」
見上げた先には自分が本来歩んできた時間軸ではとうの昔に亡くなった人物の、年齢の数だけ皺の刻まれた懐かしい顔があって……。
「じい……ちゃん?」
たとえそれが自分が知っている人物と厳密には異なる存在だとわかっていても、目頭が熱くなるのは止められなかった。
もしも、IFルート世界に原作終了後の七代目火影なナルトがやってきたら
1話
時は2日ほど前に戻る。
其の日、近年念願の七代目火影となった木の葉の里長、うずまきナルトは、慣れないデスクワークに四苦八苦しつつも、奈良シカマルのサポートの元、影分身を最大に利用して火影業をいつも通りこなしていた。
「あーあ、キリねェな……」
とかぼやいたところで仕事が減るわけでもないし、第1火影はナルト自身の長年の夢だった。故に火影になった事自体は全く後悔していない。後悔してはいないんだが……連日この調子ではいくら自分でも疲れが溜まって仕方ない。
というか、いい加減影分身ではなく、本体の「自分」として妻や子供に会いにいって、一緒に食事取って一緒に会話を楽しみたい。
四代目火影の息子で、両親には愛されてこの世に生を受けたといえど、ナルトは長いこと両親がどこの誰で何者かも知らず、親の顔も知らない孤児として育ったため、家族というものには人一倍憧れをもっていた。
それを、日向ヒナタ……今はうずまきヒナタだ、という妻を迎え、うずまきボルトとうずまきヒマワリという2人の子供も出来、家族という帰る場所も得た。
……にも関わらず忙しさのあまり家にまともに帰れてないし、子供達にもそんなに構ってあげることが出来なくて、それは火影になってから益々傾向を強めているものだから、長男のボルトには反抗期宜しくバリバリ反発を受けている。ナルトだって悩んでいるしなんとかしたいとは思っているのだが、中々難しいものである。
妻の暖かい手料理を食べたい、子供達の顔が見たい。娘の髪を撫でてやりたい。
とか思いはするが、それでもそれを理由に火影業をおろそかには出来ない。いくら念願の火影になれたのだとはいえ、誰もいない時くらい愚痴をこぼしたかった。
「辛気くさい顔してるな」
「シカマル……」
といって現れた顎ヒゲがよく似合う精悍な顔立ちをした渋みのある男……アカデミー時代からの付き合いで、七代目火影の相談役でもある奈良シカマルだ、がそう仕方なさそうに眉を寄せながら現れ言った。
その手には書類らしき紙があり、もしかしてまた仕事追加か? と思えばうんざりしたような気分だった。
「まあ、デスクワークばかりじゃ仕方ないか。そこで朗報だ……といったら語弊があるが、久々にデスクワーク以外の仕事だ」
それが終わったら1日ぐらい休んで良い、あとはオレがやっておく。
と、仄かに笑みを浮かべてシカマルが言ったときは、まさかこれがこんな厄介な事に続くことになるとは、ナルトもシカマルもきっと予想出来ていなかった。
* * *
(あれ……? オレどうした……け?)
と、どこかぼけた頭でナルトは考える。
(確か、シカマルがお前もたまには息抜きが必要だろうって捜査系の任務をもってきて)
そうやってゆっくりと回想する。
そう、確か仙人モードで慎重に「なんらかの研究の跡がある」施設に侵入して、研究の成果を回収するはずだったのだが、その回収する対象にナルトが手を伸ばした途端発光したのだ。
時空間忍術に類するもので取り扱いが難しい案件だから、くれぐれも慎重に、と言われていたにもかかわらず、発光に巻き込まれてそのまま意識を飛ばした。
(鈍ってたとか、言い訳にならねェ失態だってばよ……ってこんなことしてる場合じゃねェ!)
と、そこまで考えた時点で慌てて目を見開き、ガバリとナルトは身を起こした。
見上げれば上弦の月。雲は美しく掛かり月を儚げに見せている。漂うのは緑の香り。深い闇というほどでもなく、森の入り口のようにも里の入り口のようにも見える。それがどこか懐かしいような違和感のような感覚を湧き起こし、後ろを振り向くとそこにあったのは……。
「へ?」
火影岩と町。
それが示すものは木の葉隠れの里であるはずなのだが……。
「どうなってんの?」
としか言えない。
何故なら、ナルトは七代目火影であり、火影岩にはナルトまでの代7人分の顔岩があり、その上にも近年出来た住宅街が立っていた筈なのに、顔岩の上には住宅街の姿はなく、更にいえばどことなく街並みが古くさい。まるで何十年も前の建物のようだ。それに……顔岩も、四代目までの分しかなく、それ以降の分がない。
そんな感じでグルグルするナルトの前に近寄ってくる気配があり、瞬時何事もなかったかのようにバッとナルトは構える。そんなナルトの前に現れたのは、黒の上下に緑色の上着を重ね着した、穏和な顔をした忍びらしき男だった。
「もし、アンタ…………ナルト?」
「誰だってばよ?」
これが、この世界で過ごす間厄介になる男、うちはシスイと、別世界で七代目火影と呼ばれる男との出会いだった。
……シスイは困惑していた。
正確に言うとうちはシスイと呼ばれており、21年間うちはシスイとして過ごしているが厳密には体だけ本物で、彼の魂は本来うちはシスイではないのだが、それは本物のうちはシスイの魂を除き誰も知らない事実なのでおいておく。ともかくこの世界でうちはシスイといえば彼のことなのだから。
そんな彼には前世というものがあった。彼の記憶やら人格もこの前世の延長線上に存在している。
その中には漫画という形で彼が今過ごしている世界とよく似た世界の話もあり、それはNARUTOと呼ばれる作品で、自分が今生きているこの世界はそれの平行世界のようなものだろうと、シスイは結論を出していた。
まあ、どちらにせよ非現実的な、と呼ばれる出来事のオンパレードに彼はこの世界でシスイとして目覚めて以来あいまくっている。
だけどまあ、それでもこれは吃驚だろう。
見回りをしていたら、突如近場に新しいチャクラ反応が出てきて、なんだと見に行ったらそこに居たのは「七代目火影」なんてマントを身につけた見覚えのある三本線が頬に入った、見覚えのある顔立ちの金色の短髪碧眼の男で、しかも自分がよく知る少年とチャクラや気配がそっくりだったんだから。
ただし、年齢やチャクラの量なんかは全く違う。
精悍な男前って感じの一端の男で体格も良いし、多分自分よりも年上だ。
普通はあの子供とイコールで結びつけたりはしないだろう。そう、
してもせいぜい変化で大人に化けているのか? と疑う程度なのだろうが、この男は自分のことを
(まさか……まさかだよなあ、そんな漫画みたいな)
とは思うが、シスイと今生で呼ばれているこの男、そのまさに漫画みたいな事象に21年前巻き込まれて、しかも未だにそのままだ。だからこそすんなりとこんな常識外の発想が出来たのだろう。
「あのー、もしかしてとは思うんだけど、アンタうずまきナルト? その顔とマントといい未来からきた、とか?」
とおそるおそる問いかけたら、推定ナルトな男性は「だからアンタ誰だってばよ、っていや、やっぱアレなのか。オレってばやっぱり過去にきちまったのか!? くそ、わけわかんねェ-!」とか頭をガシガシしながら喚いているのを見て、あー、やっぱナルトなんだーとその口癖や仕草、表情をして完全に納得してしまうのだった。
うちはシスイ、24歳。正確には別人の魂で、シスイに成り変わってしまった男。
なんか別世界から大人ナルトがやってきた? と認識しつつそのこと自体には驚きながらも、それでも16年前この世界のうちはイタチが女の子であることを知った時の衝撃に比べたら、こんなの大したことないよなーと考える辺り彼も彼で中々にずれていた。
とにかく、最初に今がいつの年代であるのかいつの年代から来たのかを確認し、この推定うずまきナルトが未来の時間軸からきているのが確定した上で、互いに情報を提供して状況を整理しようと持ちかける事にしてひとまず落ち着いた。この切り替えの早さは忍びならではと言えるだろう。
ナルトは、最初自分がうちはシスイと名乗ると、一瞬驚いた顔を見せた。それは知っている人の名だから驚いたというより、「あの○○」と噂だけ知っている相手に相対したときのような驚き方だったので、とりあえずシスイはもしかしてこのナルトは自分達が今居るこの世界軸の未来ではない、別世界の未来軸から来ている可能性もあるんじゃ? と探る意味も兼ねて、里では木の葉警務部隊が未だに治安を守っている話とか、こっちの世界のナルトとはわりと仲が良いという話をしたら案の定、「え、どういうことだってばよ!?」的な反応が返ってきたのでもしかしてこのナルトは原作の世界軸か、あるいは原作に近い世界軸の未来からやってきたのかもしれなかった。
一方のナルトもナルトで先ほどから驚愕に次ぐ驚愕で、最早何を聞いて驚けばいいのやら状態になりつつ、眼前の男を七代目火影として観察していた。
男の言葉に嘘は感じられないし、内にいる自分の相棒も、こいつは嘘は言ってないと告げている。
それに第1、本当にこの世界の年代が男のいう年であるのなら、既にこの男も含めうちは一族はサスケとイタチ兄弟を除き滅亡してなきゃおかしいのだ。だが、未だに木の葉警務部隊は現役とのことだし、朗らかで人の良さそうな顔をしたこの男の言葉にも嘘は感じられない。
(でもなあ……うちはシスイか)
そう思いながら観察する目でやはりナルトはシスイと名乗る男を見る。そしてやっぱり男が名乗ったときに思ったことを胸中で再び洩らす。
(やっぱりイメージと何か違うってばよ……)
火影となったナルトには過去にいた木の葉隠れの忍者達の写真やデーターを見る機会がいくつもあった。
その為、人から聞いた話とデーターと写真だけとはいえ、うちはシスイのこともナルトは知っている。
なにせあのうちはイタチの親友だったということだし、穢土転生で蘇ったイタチがナルトを褒めた時も、シスイの名を引き合いに出していた。とても立派な忍びだったという。なので写真でぱらっと見ただけの故人なのに印象に残っていたのだ。
写真で見る限り、うちはシスイの容姿はうちは一族では珍しいくらいのモジャッとクセのある黒髪に、キリッとした一本睫が印象的な、多少団子鼻だけど精悍な顔立ちの青年で、凛々しくイタチやサスケとは全く方向性の違うタイプの美形だった。
……が、目の前の青年は確かに昔見た資料の写真に載ってた青年と顔の特徴は同じ筈なのだが、雰囲気が大分違うし、表情もちっとも似ていない気がするのだ。
どことなくホワッとした雰囲気を漂わせる目の前の彼からは、あの写真を見たとき感じた印象の凛々しさは全く感じない。垂れ下がった眉と穏やかな笑みを浮かべる口元のせいかもしれないが、同じ顔をした別人じゃ……と思うくらい雰囲気が違うのだが、生憎ナルトの知っているうちはシスイはデーターと写真だけで、生前のシスイを知っているわけではなかった。
少なくとも、その纏っている空気のせいで美形には全く見えなかった。
まあ、それはおいといてひとまず疑問を尋ねることとする。
「なあ、アンタ」
「シスイでいいぞ。で、なんだ七代目殿?」
親しみの湧く笑顔を浮かべて、どこか茶目っ気のある声音で茶化すように言葉を返すこの男は、おそらく自分の緊張を解そうとしているのだろうと思いつつ、とにかく疑問を吐く。
「んじゃシスイ。ともかくアンタよくこんな荒唐無稽な説信じたな。パラレルワールドの未来からきたんじゃないかなんて、普通そんな発想でねーぞ」
「そりゃあ、今でこそいちアカデミー教師でしかねえが、オレだって伊達に上忍まで上り詰めてねーからな。柔軟な発想も出来ずに忍びなんてやれねーだろ」
とか表面上はなんでもないような顔と声音で答えているが、本当はオレも別世界からきた存在だからなー、なんて本音はおくびにも出さなかった。
「よし、状況はわかった」
まあ、ともかく軽く情報交換は終わった。
とにかくこの世界に来た原因は時空間忍術の暴発のようだが、里長だというのなら早く帰らないとまずいだろう。でもいつ帰れるかわからない以上いつまでもこうしているわけにもいかないだろう。
「とにかく、後日三代目に説明した上で引き合わせるからひとまず家に来いよ。多分うちの嫁さん通じてのほうが話早いだろうし、あいつにも説明しないと。それに、こっちでも調べたらなんとか帰る方法も見つかるかもしれないしな」
まあ、うちまだ小さなガキいるからあんまり構えないかもしれんけど、と付け加えながら軽い調子で言う黒髪の男に対し、ナルトは、「ホントか!? 助かった……って嫁?」と疑問を乗せる。
それに対してシスイは苦笑しながら、先に口寄せした鳩に簡易の文をもたせて飛ばしつつこう言った。
「あー、多分。オマエ、見たら吃驚すると思うぜ」
「シスイ、その男が、オマエが知らせて来た、『パラレルワールドの未来からやってきた』とかいうナルトか?」
その姿を見た瞬間、シスイが予測した通り、ナルトはあんぐりと目を見開いて、唖然と目の前の女性を何度も見ながら口をパクパクとさせた。
やがて一拍おいてナルトが叫ぶ。
「イ、イ、イ、イ、イイイイタチィ!? その胸どうしたんだってばよ!? いや、過去の時間軸だってんならそりゃオマエも生きてるんだろうけどよォ、え、どういうこと!? まさかオマエもお色気の術にでも目覚めたのかァ!?」
「…………シスイ」
「いや、オレに聞かれても」
妻・イタチのどういうことだ説明しろという目線を向けられても、シスイには答えようがなく苦笑するしかない。まあ、予想はついてる。おそらくこの大人ナルトが来た世界でのうちはイタチは男性だったのだろう。それが別世界の過去にきたと思ったら、知人が女性になっていました、なんてのでは混乱しても仕方ない。せいぜい変化で女に化けているんじゃないのかと疑うのが関の山だろう。
が、しかしシスイはナルト世界ではうちはイタチは男性だったのです、という所までナルト自身の口から聞き出したわけじゃない。なのでこいつの世界のイタチは男だったから吃驚しちまったんだよ、勘弁してやってくれと弁明するのも、なんで知っているんだオマエが、となってしまうからおかしな話なわけで、よってシスイにはナルトをフォローするような言葉は持ち合わせてはいなかった。
が、とりあえずシスイは混乱しているナルトに助け船を出すことにした。
「あー、ナルト。一応言っておくけど、イタチは正真正銘生まれた時から女だ。今は三代目直属の暗部として働いている優秀なくノ一だ。何を驚いているのかは知らんが、仲良くしてやってくれ」
と、ポンと肩に手をおきながら言うとナルトは、おそるおそるといった口調で「お……女? っていうことはもしかして、シスイが言ってた『嫁』って……」
「うん、こいつ。オレの嫁。結婚3年目になる。息子も1人いて、サスケもよくこっちのナルトと取り合いしながらうちの息子の構っておじ馬鹿発揮してんぞ」
とケロッと答えると、ナルトは馬鹿みたいに口をパクパクして言葉を無くした後、一拍してから「えええー!?」と絶叫したので、ああ今日はフガクさん達との三世帯住宅化しているあっちの家じゃなくて、うちの生家のほうに連れてきて正解だったなーとボンヤリシスイは思った。
* * *
「成る程……経緯はわかった。私のほうからも三代目に掛け合おう」
とにかく再び情報を整理し合い、シスイが3人分の夕飯を作っている間に、聞き出すことを聞き出し、教えれることは教えられる範囲で目の前の大人ナルトに伝えたうちはイタチは、物静かにお茶をすすりながらそう結論する。するとナルトは『やっぱりイタチはどの世界でも頼りになるってばよ』と思いつつも、複雑な心境で、目前の麗人への視線をやる。
何度見てもその顔姿は変わりなく、どこからどう見てもうちはイタチであるのと同時に、どこからどう見ても美しい大人の女性だった。相反しそうで全く相反せず調和して両立しているのが却って怖い。
性差ってでかい筈なのに、なんでこう違和感がないのか。
元から中性的な美しい顔立ちをしていたのもあるかもしれないが、それでもこんな女に間違えるほどではなかった筈だ。
でもまあ、ナルトの知るうちはイタチと目の前の美女は全く同じというわけでもない。
長い睫と、切れ長で涼しげな目元に、通った鼻筋と整った顔立ち。凛とした品のある白梅の如き美貌に、髪は真ん中分けで、黒くまっすぐで指触りの良さそうな肩より長い髪をゆるく赤い紐で1つに縛っている。
その表情も、雰囲気も、物言いやちょっとした仕草だってナルトの知るうちはイタチと共通しているが、似通っているからこそ却って差が目立つというものである。
いくら面立ちや雰囲気が自分の知るイタチとそっくりといえども、女にしては低めの落ち着いた声をしているが、それでも、やはり自分の知る男であるうちはイタチの、成人済み男性特有の低音ボイスとは異なっているし、男と女では体型や体臭といったものもどうしても違ってくる。
おいろけの術でナルトが変化した姿ほどボンキュッボンとした体型なわけではないし、この世界のイタチは女にしては背が高いけれど、それでも自分が知る男だったイタチよりも背も低い気がするし、手足もやや小さく、スレンダーだが出る所は出ている体型をしている。胸も標準ほどの大きさだが服の上から見ても形が良く、ウエストもキュッとしまっている。その顔も、イタチの面影はあり過ぎるくらいあるのだが、それでも頬の輪郭のラインとか肌のきめ細かさ等が異なっている。
確かにイタチだとわかるのに、同時に女、しかも絶世の美女だ……だってのもなんの違和感もなく成立しているのを凄いと呼べばいいのか悪いのか、ナルトにはイマイチ判断が出来ない。
出来ないが、ベースが同じなのにあんまりにも違和感なくこちらの世界のイタチが女なので、あーイタチの奴にもしも双子の姉か妹がいたらこんな感じになってたりしたのかなーなんて考えることで、思考を逸らした。
所謂現実逃避という奴である。
ただ、これがあのイタチ本人とか思うよりは、もしもサスケに兄じゃなくて姉ちゃんがいて、それが自分の知るイタチそっくりの性格してたらこんな感じになったんだろう、程度に思っといたほうが自分の心の健全上は良いような気がした。
なんて考えながら、ズズッと茶を啜っていると、ガラリと戸を開け家主たる男が明るい声のトーンで言う。
「お、話終わったみたいだな。んじゃま食事にするぞ」
そういって運んできたのは野菜がたっぷり入った味噌ラーメンだった。
「え、ラーメン?」
「おう」
と喜びに口元がにやけるナルトに対しシスイは、カラカラと朗らかに笑いながら3人分のラーメンを順番に運びつつ言った。
「まあ、たまにはこういうのもいいかと思ってな。流石に一楽と比べられるとキツイけど、まあそれなりの筈だし食ってくれや」
そういってニッと笑う顔は人好きのする笑顔で、ナルトは少しだけ恩師であるイルカ先生を思い出し、元上忍師で現アカデミー教師だという男の肩書きを『確かに納得だってばよ』と思い「いただきます」と手を合わせ一口啜った。
「ウメエ」
「そりゃ良かった」
味も、一楽に比べたら確かに厳しいものがあったが、家庭料理としては充分レベルの代物で、ナルトは機嫌良くラーメンを口に掻き込んでいく。
「イズナは?」
「今日はミコトさん達が面倒見てくれるって」
「イズナ……?」
そんな風に隣で繰り広げられる夫婦の会話に、聞き覚えのある名前を耳にしてナルトは眉を顰めた。
それに対し、シスイはなんとなく何を案じられたのか察しがついて、ナルトが深読みする前にアッサリ正体を明かした。
「そ、うちの息子の名前。彼のうちはマダラの弟は平和主義だったと聞くからな。あやかって名付けたんだ。因みにもし女の子だったらクシナって名付けるつもりだったよ」
「! それって……!」
まさか、と何か気付いたみたいに目を見開くナルトに対し、シスイはそれ以上は答えず、ただ思わせぶりに曖昧に笑うだけだった。
「ここがオマエの部屋ね。出来るだけ三代目には早く面通し出来るようオレやイタチのほうから掛け合っておくから」
そういって今は使っていないらしい部屋に予備らしき布団を渡され通される。
「ああ」
「じゃな、おやすみ」
「その……ありがとな、色々。おかげで助かった」
そういって前々からの知り合いかのように人好きのする笑顔で告げる男に対し、ナルトはなんだか面映ゆいような心地を抱えながら、そう礼の言葉を贈ると、シスイは「いいって、気にすんな。困った時はお互い様だ」といってヒラヒラと手を振った。
「……おやすみ」
そうして、七代目火影うずまきナルトの、パラレルワールドでの一夜が終わった。
続く