機動戦士ToLOVEるSEEDー猿山ケンイチの受難ー 作:SS好きのヨーソロー
リトたちとのイベントも楽しく終えて、俺は自宅にてMSのトレーニングをしていた。
俺の家は転生しMSの力を手に入れたと同時に有難いことに地下の空間があるのだ。
それはいわゆるトレーニングルームという感じ。
地下はトレーニングルームと客室、そして戦艦状態で出撃することのできるハッチ
しかも都合のいいことに、戦艦はハッチにある登録システムに登録さえすれば電子体として機体に入ることができる。
故に空中でMSを人間体サイズに置き換えた時のスケールで大きくすることもできるし、実寸大デカさにも拡大可能。
なんなら電子体での状態ならばプラモデルサイズのスケールでも動けるという超優れ物。
かなりチートっていうか無茶が効くが・・・まあその分俺の体力頼りになってしまうところがある。
しかしまあ、鍛えれば鍛えるほど無茶苦茶をすることができる、それだけでも悪くはない。
戦艦の力さえあればリトたちを連れて進軍することだってできるのだから悪い事はない。
そんなこんなで俺はトレーニングルームでMSを纏って運動をしている。
纏うMSは基本的に初期GAT-Xシリーズだったが正直に言えばフェイズシフト装甲の頑丈さとG兵器の強さに過信しすぎていたことも間違いではない。
ふと考えたとき、リトを守るということについてどこか油断をしてしまっている気がしてままならない。
俺自身の身体能力だって悪くはないだろうが、それでも宇宙人と比べてやはり劣る。
だからこそより難しい環境でも動ける必要がある。
「・・・量産機でも、まともに動けないと意味がないな。
ストライクダガー!アーマーもスタンバイ!!」
ここで纏ったのが地球連合軍の"正式採用機"のストライクダガーだ。
「くっ・・・やはり少し重いか・・・!」
別段動けないことはないがそもそもが本来の機体はある程度動きのコマンドが設定されている。
つまりはよく言えばどれだけ複雑でも期待通りに動く。
悪く言えばその通りにしか動けない機体。
それがこのストライクダガーなのだ。
OSなんかも当時はまだナチュラル用のものが開発されたがコーディネーターのようなものが複雑すぎるから採用されたのがインプットされた半自動操縦だし。
銃を構えて撃つ。走る。ビームサーベルを構えて切る。シールドで構えて防ぐ。
うん、明らかに滑らかな機体たちに比べれば動かしにくい。
しかしそれはSEED劇中での話
纏う能力による感覚は『重い鎧を着て動く』って感じだ。
トレーニングにはもってこいだろう。
この感覚さえ慣れてしまえればMSの戦闘スキルも上がるはず。
身体を慣らし程度に走らせて肩のマウントラックから単一式のビームサーベルを引き抜く。
このビームサーベルはイージスと同じ黄色の物で、作中で言えば第13独立部隊のストライクダガーが3機編成でジンを突き刺したことで深くイメージがしやすいだろうか。
「もともと複数機運用前提の機体か・・・、個人でどこまでやれるか」
的として出した箱からマシンガンが撃ち込まれる。
ストライクのようなフェイズシフト装甲の機体ならば突貫だが、今の機体じゃそれは分が悪い。
足を動かし、目線は銃口に。
回避しつつ前進する。
対ビームシールドを構えて被弾を抑えつつ、サーベルで一突きだ。
動きに重さがあるが、なんとか攻撃はできる。
そこからも、トレーニングを続けて身体に慣らすのだった。
「やっぱり動きはかなり重くなるかなぁ。
自動操縦自体は確か任意での切り替えができたはずだし、動くとすれば俺自身の身体能力って言ったところか」
トレーニング後、シャワーを浴びた俺はリビングで冷えたコーラを飲みながらそんなことを呟いていた。
PS装甲機は高性能故に若干のバフがかかる。
それ以外の機体はバフがなく自身の身体能力が肝になるというわけだ。
体力向上のための筋トレなども行っているし、これは継続だな・・・。
そんなことを考えつつふと携帯を見るといつも通りリトからメールが来ていた。
「・・・なになに?父親の仕事現場についてきてほしい?
・・・どういうこっちゃ」
流石に要領を得なかったため、電話をかける。
『あ、ケンイチ!悪い、今大丈夫か?』
「おうリト。大丈夫だ、あのメールどういうことだ?」
『いやぁ、実は俺の親父が漫画家しててさ。
俺その手伝いをして小遣いもらってるんだよ。
それで行くしかないんだけど、ララもついていくって言い出してさ。ケンイチも呼んだらどうだって言っても聞かないんだ』
「おいおい・・・ララちゃんはともかく俺がそこに来る理由になるのか?」
『向こうでララのこと見といてほしいなって・・・・・・。
あとまあ確かに俺も親父に親友を紹介したいとは思ってたし悪くはないんだよな。
あ、もちろんお前の予定次第だぜ。急に言い出したし』
「気にするなよ。・・・・・・けどまあ買い物だけしたい。それが終われば迎えるから家の場所だけメールくれ」
ということで、なぜかリトのお父様のご自宅に伺うことになった俺。
急なことだが親友として紹介されるのは気分が悪くない。
シャツにジャケットを羽織り髪の毛をセットすると俺は買い物だけ済ませて目的地へと向かうのだった。
「場所は・・・・・・っと、あそこか。おーいリト!ララちゃん!」
「おうケンイチ!お・・・今日はジャケット??なんだか硬い感じだな」
「あ、なんかそれっぽいの電車で見たことあるよ!」
「あはは・・・ちょうど風呂に入った後だったし。
それにご家族に会うってのに清潔感のない格好は出来ないだろ」
「お前ほんと、おふざけキャラのくせして根はど真面目だよな・・・」
「褒めてんのかよそれはおい?」
ということで彼を筆頭にマンションに入る。
出迎えたお父様はこう・・・なんか存在感が大きかった。
「おいリト!てめー女の子呼ぶなら先に言えよー!
どうもどうも!リトパパでーっす!!」
テンション高い感じのこの方。この方が結城才培
リトのお父様である。
藤原啓治ボイスの豪快な方である。
ララちゃんはそりゃリトのお嫁さん候補だろうから歓迎されるだろうが・・・・・・。
俺を見て目を見開いた才培さん。待って俺死ぬ?
「あ、あの・・・急にすみません。私は」
「お前がリトの親友か!!話は聞いてるぜ!
俺的には大歓迎だ!だが美柑はお前にやらん!!」
「なんの話です!?」
なぜか親友の親父に急に娘はやらんムーブをされた件について。
いやこれどう言うことですか???
リトの方こそ困惑してる。そりゃララちゃんを歓迎する動きも驚くし俺に対する発言も驚くよなぁ。
「ララちゃんは宇宙人なんだろ?面白え、国際的になったよなぁ。
ケンイチか。・・・リトを守るため頑張ってくれてるみてえじゃねえか、リトの親父としてありがてえ限りだが美柑の親父としてこう簡単に認められねえんだよな。
いや、悪くないのはわかるんだが認めたくないっていうかよ」
「いやいやいやなぜ美柑ちゃんの名前が???」
リトの方を見ても困惑するだけ。おいなんだどういうことだってばよ????まるで意味がならんぞ。
「いやぁ、色々美柑から話を聞いてたからよ。あいつが興味抱く奴は基本いねえし」
ということらしい。興味を抱くということは少なからず嫌われてはいないのだろう。
「あぁ・・・・・・まあ彼女大人びていますもんね。興味ないのも無理はないか」
納得できる。だってリトという出来た兄がここにいるんだ。それと比較すれば他の男子たちなんて有象無象だろう。
可哀想に小学生男子諸君。確かに惚れるのはわかるぞ
同じ立場であろう男子たちに同情していると、才培さんは苦笑いしつつリトに声をかけていた。
「おいリト。テメーの親友はどうやら重度の鈍感野郎らしいな?あいつん目、なかなかに冷え」
「そーなんだよ。・・・なんだかなぁ」
「まぁ見といてやれや。ララちゃんのこともだが、ダチのことを気にかけるのも男の務めだぜ」
ということで案内された編集部屋。スタッフたちが忙しなくも頑張っている様子だった。
OK、買っておいて正解だった。
「才培さん、一応これ。差し入れです」
栄養ドリンクのパックを取り出すと、驚きつつ嬉しい顔をして受け取ってくれる才培さん
「おう、済まねえな!テメーら、息子んダチが差し入れくれたぞ、気合い入れろ!」
「「はいっ!!!」
漫画の作風と似た感じで部屋に熱気が篭る。
ララちゃんは絵が描けない、ということもあるので別室。
俺も絵が得意なわけではないので散らばってる部屋の掃除に移る。
「才培さん、皆さん。後ろ気になるかもですが気にしないでください」
才培さんは気にするなというハンドサインをくれたので問題なく清掃に移る。
ゴミ拾って、汚れついてたらアルコールとペーパーで拭いて。
そんなことをしつつ、締め切りがきついと叫ぶスタッフと万能ツールで手助けするララちゃん。
そんな中、腕時計が反応を示した。
「(きた・・・・・・ッ!!)」
それはどうやら小さい機械虫ようなものだった。
狙いはリト・・・・・・ではなく、俺の方らしい。
身体に何かを打ち込まれたと思ったら刹那腕時計がアラートを起こす。
『システムダウン 機体コストに制限がかかります』
腕時計を見てみると、面倒なことにフェイズシフト装甲製のMSが軒並み出陣不可となっている。
ストライク、イージスはもちろんのことブリッツもだ。
「ちっ、面倒なことに・・・」
その機械虫はどうやら戦力をまとめるためにここから離れたらしい。
「・・・・・・やってくれたな、おい」
『ケンイチ殿、今のは・・・』
「気が付いたかペケ、済まんが不覚をとってしまった」
『やつはおそらくプリューマ。機械小人族ですが力が面倒で戦闘能力を奪ったり謀略に秀でるものです。
・・・やられましたか?』
「あぁ。PS装甲機が軒並みアウト。一般兵器しか使えないな」
『ケンイチ殿的に、それは大丈夫なのですか?』
「五分五分。動けはするけど楽ではないな。
つっても、何もしないわけにもいかん。ララちゃんを頼むぞ」
すぐにジャケットから服を連合の青服に変えれば気合を入れる。
「おうケンイチ!その服も似合ってるじゃねえか!」
「ありがとうございます才培さん!すみません、急用を思い出しすぐに失礼します!まともに挨拶できず申し訳ない!」
「気にすんな!また挨拶させろや!」
「はい!失礼します!」
ドアを開ければすぐに走る。
さっきの機械、あれが大群となれば楽にも戦えない。
「やるしかないってな・・・!!
スカイグラスパー!アーマードスタンバイッ!!」
ダンッッッッ、と高層から飛び降りると同時
自分の身体はFX-550スカイグラスパーに変わる。
すぐに飛行するとレーダーに先ほどの宇宙人が反応する。
「熱量は北上中。少なくとも複数機との戦闘になるな・・・。上から砲撃からのMS突撃かねぇ・・・・・・」
飛行しつつ場所が見えてくる。
さぁ、リトを攻撃するというのならばその前に潰させてもらおう。
『プリューマ様!熱源反応あり!これは戦闘機です!!』
「戦闘機ぃ!?」
『未確認機攻撃!ミサイルが接近中!!』
「な、なにぃ!?バカな、何故ここが!!」
『総員迎撃に移れ!迎撃に移れ!』
ウェポンベイからミサイルを撃ち、機関砲を撃ちながら旋回。確認したところやはり軍事要塞という感じだった。
小さくとも侮れないということだろう。
砲撃が飛んできたので回避する。
対巨大生物との考慮もしてるのだろう、俺が当たってもまずい弾丸が飛んで来る。
そろそろだ。
「ストライクダガー!アーマードスタンバイ!!
低空飛行しつつMS化。
すぐに施設に体を突撃させ崩壊させる。
爆炎と共に立つストライクダガー。
獲物を逃さんとビームライフルを構える。
敵はやはり特異な神経毒を使うのか巧みに機械を操る。
MSに似た形の生物だ。
砲撃の雨、流石にフェイズシフトでもないので突撃はできない。
だからこそ盾で防ぎつつ横に回避跳躍しつつ頭を蹴り飛ばすとビームサーベルを引き抜き全て切り落とす
「はぁっ!!!!!」
自動操縦化を解除。マニュアルにすれば
左側一門のイーゲルシュテルンを撃ちつつサーベルで突貫
「一人でも!!やれるっ!!!」
敵の集団にビームシールドを投げつけるとそのままバズーカ・・・正式名称はストライクバズーカを構えて放つ。
砲撃により火の海になる戦場
「貴様ぁっ!!よくも私の基地を!!」
プリューマが機械獣に乗ってこちらへと来る。
「お前がプリューマかっ!!」
「貴様さえいなければララを使った軍備強化も容易かったものを!!」
「ララちゃんを利用する!?」
「あの木偶の坊にはそんなことはできまい!?」
互いでサーベルをぶつけ合う。
「リトかッ!!リトはそもそもそんなことをしない!!」
「それが甘いんだよ猿山ケンイチ!もっと戦局を見ろ!」
「知らぬさ!俺は一般人だ!」
「ならばでしゃばってくるな!」
「それは貴様だろう!?ララちゃんを道具のように使わせてたまるか!!」
「ふん、道具のように使いつつちゃんと可愛がって楽しんでやるさ、混ぜてやろうか!」
結局はこいつもだ。
こいつも自分のことしか考えない、快楽に溺れるクズなのだ。
「・・・黙れ」
「結城リトではできなかったことを私ならできる!!」
「黙れ!!」
「さぁ!ともにあんな女さっさと捕まえて世界を」
「黙れえええええええええええええッッッッ!!!!」
スラスターフルパワー、接近すると思い切り敵を蹴り飛ばす。
「なぁっ!?その動き、こいつの見た目的に量産的なやられメカじゃないのか!?」
「そうだともッ!!
それでも、親友と友人をバカにされて黙っていられるかッ!!
覚悟おおおおおおおおおおっ!!!!!」
「負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!!!!!!!!!!」」
最後の一撃。
「ばかなっ・・・この、プリューマが不覚をとるなど・・・」
刹那、俺のサーベルが入ったプリューマが地面に伏せる。
俺も俺で、ふらついてはいる。
「・・・・・・リトが、あいつがいる限り。
あいつが幸せの道を進む限りッ!!
俺は、俺は・・・!!負けるわけにはいかんのだッッッッ!!!」
片膝をつけながらでも、最後まで倒れ伏す事はない。
炎が身体を包む。
それはまるで闘志を形取ったもの。
量産機の底力を見せ、健闘した少年の姿がそこにはあった。