機動戦士ToLOVEるSEEDー猿山ケンイチの受難ー 作:SS好きのヨーソロー
臨海学校最終日の朝、俺は朝からすごい頭痛に悩まされていた。
例えるなら頭を万力でめちゃくちゃ締め付けられているような、そう言う感じのやつ。
すごく気持ち悪いやつ。体内でげっぷしそうになると中身がこんにちわしそうになるやつ。
「・・・ケンイチ、顔色悪いぞ?大丈夫か」
「おはようリト。大丈夫・・・だと思う」
理由はまあ、ある程度予想はつく。
「・・・お前、臨海学校で何回MS装着したよ」
「・・・正直わかんねぇ。初日はジンを何回も装着したし次の日もザクウォーリアやらディンやら纏いまくったし。
・・・ちっ、くそ。俺の体力に影響されるのはわかってたけどここまで耐久がないとなると自信無くすな」
ただでさえ体力消耗を抑えるためにザフトの量産系MSで済ませてたのにこれでも負荷がかかる。
やっぱり元の体力がない、ってことなのだろうか。
そう思ってるとリトがため息と共に俺をジト目で見ていた。
「あのな・・・・・・お前、前日だってストライク?で戦ってただろ」
「あぁ、フウレイな。あいつ地味に厄介だったな、ララちゃんがいなければかなりきつかったぜ」
「・・・連続して纏いすぎてるのに、なんでそれでお前が悪いって感じになるんだよ」
リトの不満はそこにあるらしい。
いや、そう言われても仕方がないだろう。
「いやいや、何言っとるんだリト。宇宙人迎撃は俺のやるべき事だろうが・・・。お前それ軍人が出撃しません!とか言ってストライキ起こしてるようなもんだからな」
ただでさえ評価悪く叩かれてるんだ。
俺が俺であるにはせめて戦わなければ居場所もあるまいよ。
「・・・お前が背負うもんじゃないだろ、それは」
沈痛な顔でどこかに行くリト。あいつ一体どうしたってんだ。
けれども確かに身体はかなり限界が出てきていた。
先生や西蓮寺、籾岡までもが心配するくらいの顔色らしい。
まあ大丈夫大丈夫、なんともないって。
すっきりしました。アクエリアスって美味しいですね。
「ねぇ、猿山君。さっき大丈夫大丈夫って笑ってたよね?
さっき問題ないって笑ってたよね?何してるのかな???何してるのかな本当に???」
はい、目の前に仁王立ちの西蓮寺が居ます。
あの、どうしようめちゃくちゃ怖い。こんな怖いとか言ったらダメかもしれないけど目が。目が特に怖いのだ。
「あ、あのう、西蓮寺さん・・・???どうされました???」
「いやね、私たちに何も言わずに1人でずっと吐いてた冷たい人がいるんだ。ひどいよね、こっち心配してるのにさ」
にこにこ、と微笑む。また冷気が強くなった。
「ひぃっ!?ち、違うんだ西蓮寺!待ってくれ!話せばわかる!!何かしたなら謝るから!!」
滅多に怒らない西蓮寺がめちゃくちゃブチギレとる。なんで??泣いていいか??なぜキレられる?存在か??存在なのか???泣けてくる。
「ほうら、また。猿山君自分のこと何にもわかってない」
ごごごご、とやがて炎まで見えてきたわけだが本当に理解できない。
「・・・・・・・・・はいはい、そこまでよ西蓮寺さん」
それを止めたのは意外な人物だった。
黒髪のロングヘアーはまるで清廉潔白な大和撫子を思わせる純情な気配。
男のおの字も知らない、と言うよりかはそれをまるで穢らわしい!と断罪でもしてしまうんじゃないかと思わせる真面目さぶり。
そうして、いわゆるネットの俺、同人誌の俺と因縁が悲しいことに深い少女。
彼女の名前は・・・・・・
「・・・古手川、唯・・・?」
そう、風紀委員であり本来であれば高校二年生編から登場するキャラクターなのだ。
あ、アニメ版なら一年生から同じクラスらしいぜ
とかそう言う話をしてるんじゃない!!なんでだ!?
本来ここじゃ絡みなんてなかっただろ!!
待て待て待て待て、これはあれか西蓮寺の叱責が古手川の地雷のハレンチに勘違いされたか!?
おいおい待て待て待て待て、今は流石にゲロったばかりだ、叱責も鉄拳制裁も受ける余裕はない。
流石にどこかでもう一度MSで強制回復しないと死ぬ。マジで死ぬ。さっきから熱出ててぶっ倒れそうなんだ勘弁してくれ。
そう思っていたのだが、彼女はため息を吐くだけだった。
「猿山ケンイチ君ね。あなたの噂は予々聞いているわ」
「・・・へえへえ、まあ凡そ碌でもない噂でしょうに」
「あら、その自覚はあったのね」
「・・・こう見えてもお調子者なんでね」
「いや見た目通りね」
「ひでぇな!?」
「・・・しかし、今回あなたに言うのはそれに対する叱責ではないわ。
貴方、水着騒動の時もいち早く動いてくれたじゃない」
意外にも彼女からの言葉はこちらを認めるような内容だった。
「あぁ、あの時のことか。仕方がないだろうよ、あの時は他の利用者の目に映る場合もあったし男子生徒達のアリバイを作るにはあれしかなかった、ってだけだし」
「えぇ、そうね。それに貴方ではないのに貴方が責められていると言うのも聞いたわ」
「・・・・・・籾岡達が反応したあれか。あれも仕方がない。実際に水着を見つけた時点で疑われてもおかしくないからな」
「・・・・・・の、割には校長先生を見逃していたそうね」
「校長先生ではないよ、あれは。俺ははっきり見ていたからわかる。
・・・っと、普段からあの人が暴れてるから悪く見えるのはごもっともだがな。
制裁はあの人が女子風呂に乗り込んだ時にされていたような実際のやらかしの時だけであるべきだし。
無実の罪で責められる謂れはない。それだけだよ」
「・・・そう。ならば貴方が責められる謂れもないわね。何かあれば言いなさい、弁明に力を貸すわ」
「・・・・・・一体どう言う風の吹き回しだ?君からすれば俺は地雷原みたいなもんだろう」
「えぇ、確かに貴方のおふざけや結城リト君、だったかしら。あの人との絡みもハレンチであることは変わりないけど真意が真面目ならばそれに応えるべきだもの」
そう言う彼女の目はつり目で真面目なものだった。
「・・・やれやれ、風紀委員の美少女には手も足も出んな」
流石にこんな完璧な回答を出されてはなんとも言えない。
良い女、と言うのはまあこう言うことを言うのだろう。
「っ!!あ、あなた!そう言う発言は許していないわよ!!」
「ははっ、悪い悪い。
・・・改めて俺は猿山ケンイチだ。古手川唯さん、ぜひよろしくお願いするよ」
そう言い握手のために手を差し出す。
「・・・古手川唯よ。改めてよろしく、猿山ケンイチ君」
古手川も握手をしてくれる。
「・・・あら、これは?」
「飴さ。よければどうぞ」
ニコリと微笑むと古手川は顔を赤くして怒っていた。
「あ、貴方ねえ!!キザったらしいったらありゃしないわね!?」
「はははっ!そう言うのも手厳しいか!
じゃ、失礼!」
ここは逃げるが勝ち、と言うことで古手川から離れてさっさと帰りのバスに乗る。
まさかの早めの遭遇という変わった展開に頭を悩ませつつ、受け取った言葉に少し癒されていたのはここだけの話だ。