機動戦士ToLOVEるSEEDー猿山ケンイチの受難ー 作:SS好きのヨーソロー
そんなこんなで夏休みが秒速で終わった。
というよりかは夏休みはほとんど特筆することがなかったのだ。
やってきたことといえばいつも通りのMS装着トレーニングと強制エンドレス勉強。
予習予習復習予習とやりまくって高校レベルを全部叩き込むと言う無茶苦茶なやり方。
無論メリットもある。まずは勉学においていかれない。
ここは漫画の世界ゆえにいつ何時巻き込まれるかわかったもんじゃない。余裕を持っておいて損はないと言うわけだ。
そして次に。勉強をせんで良いと言うことはその時間をMSのトレーニングやバイトもしくは賞金首稼ぎに使えるというところ。
金銭確保も重要になってくる。
デビルーク王から300万なんて大金が貰えてはしまったが現実問題出費は止められない。多くあって損はないと言うことだ。
それにもらった金だけでぐーたら、というのもいささかいい加減な物だろう。
まあそんなこんなで書くほどでもないが充実している夏休みが過ぎ去り今日から二学期となる。
学校に到着するや否や、生徒たちの噂話が聞こえてくる。
噂によれば転校生が来るらしい。
二学期からの転校生か、確かに珍しくはない。
しかし、そこに現れたのは珍しい存在だった。
レン・エルシ・ジュリア。
これがここにきた新しい生徒の名前だ。
そして面白いことに、彼はララちゃんの近くに行き花嫁と言ってみせたのだ。
もちろん沸き立つクラス。
一斉にララちゃんとリトを見比べる生徒たち。
これはまあ一種の地獄絵図とも言えるだろう。
件のララちゃんは覚えていない様子だったが彼が取り出した手紙で彼のことを思い出したらしい。
簡単に言えば、泣き虫だった弱い子が男磨きを続けて会いにきてみればそこに結城リトがいると言う状態。
結城リトを見れば悪い男に騙されていると断言するレンくん。
確かに気持ちはわかる。がしかし、親友をそうも言われてしまえば不愉快極まりない。
ここは一つ、こちらも手を打つとしよう
「・・・やぁ。レン・エルシ・ジュリアくん。名前が長いので略してレンくんと呼んでも良いだろうか」
「あぁ、構わないよ。・・・君は?」
「俺は猿山ケンイチ、彼の友人だ」
「・・・ほう、君が。危険な力を用いて騙しているようじゃないか」
きっ、とにらむレンくん。
よし、やはり予想通りだ。
「・・・・・・ふむ。ではその危険な男からの誘いだ。もしも彼女のことを大切に思うならば今日の放課後、1人で屋上に来てもらう。
もちろん他の生徒には内緒で一直線に来い。良いね?」
「・・・・・・あぁ、構わないよ」
もちろん、この呼び出しは他の生徒には聞こえないようにしている。
「ケンイチ・・・」
「案ずるなリト。どうにかしてみせる。
君は君で一旦ララちゃんに対する向き合い方を考えろ。
・・・いいか、単純に答えを出すな。悩め、悩みに悩め」
こんなことを言ってしまえば彼を苦しめるが・・・仕方があるまい。
男の欲の話だ。好かれていると思った女の子に別の存在が出た瞬間気にも止めなかったのに急に戸惑う、それが一番よろしくない。
自分は好かれている、と言う立場から一度離れる必要があるのだ。
自惚こそが、一番自分の価値を壊す危険性のある物なのだから。
「・・・来てやったぞ、猿山ケンイチ!」
放課後、約束通りきた彼。
その目はやはり憤怒に近かった。
「・・・やれやれ、君。気持ちはわかるが殺気は抑えろ。
近くに宇宙人でもいれば察知されるぞ」
「・・・お前、やはり宇宙人と気づくか」
「そりゃな。何度も宇宙人を相手にしているからなんとなくわかる」
「ほう・・・何度も?」
頭を傾げるレンくん、まずはここからだ
「あぁ。まず君の聞いている情報を推察するに結城リトはララを騙す悪で俺はその横にいる危険な能力者、って感じか。
結城リトはデビルークを乗っ取る、とでも言われているんじゃないか?」
「っ!!やはりあれは本当なのか!」
彼の反応からそう言われてることの確信を得る。
「結論から言うと答えはノーだ。
まずどうしてリトがララちゃんの婚約者になったかの経緯を説明しよう。
まずララちゃんはデビルークでのお見合いに嫌気がさして家出をした。
そして逃げ込んだのが君たちで言う辺境の惑星地球である。
ララちゃんはたまたまリトの家にワープしたらしく、お見合いで連れて帰られそうになったララちゃんを助けたのがリトだ。
そうして俺の立場はリトの親友なわけだが、神様と言われる存在からMSというロボットを鎧みたいに纏う力を授かった。
そんななかリトが宇宙人の黒服に襲われているのを見かけて応戦した、という経緯なのだ。
その黒服はララちゃんを連れ戻そうとして咄嗟にララちゃんを連れて逃げたのがリトということだな。
ララちゃんはリトのその行動をとても気に入られた様子でな、そこから婚約者という流れになったのだ。
レンくん、確かにご友人が・・・それも大切な幼馴染が知らぬ男に取られているのはさぞ屈辱的だしさぞ不愉快だろう。
その心労は図りきれないものと推察する。
がしかし、悪役として・・・彼女に害をなすものとして彼がいるわけではないことだけを理解して欲しいんだ」
「・・・簡単には信じられないな」
「・・・そりゃそうだ。俺が君に話しかけたのも君のスタンスに好感を持ったからってだけだしな」
「好感?」
「あぁ。好きな子のために自らを鍛えようとする。それこそ一番男らしい。
普通であれば揶揄ってきた相手を恨むことだってあるのに君は腐らずに格好良い立ち振る舞いをした。それを好感に思うのは当然だろう?」
「・・・驚いたな。まさかそこまで真っ直ぐ言われるとは」
「俺の性分なのだよ。・・・とりあえず俺たちの経緯を伝えたいだけ。
あぁ、力自体は本物だぜ。こんな風にな
ストライク、アーマードスタンバイ!」
そういうとストライクガンダムになる。
「・・・これが、MS」
「そういうことだ。もしも危険が舞い降りてダメな時、俺の名前を呼べ。助けてやるさ・・・では失礼する」
そういうとエールストライカーを接続しそのまま離脱する俺。
猿山ケンイチとしてはリトの味方になるべきなのだが、どうしてもこの心強き男、彼の力にもなりたいとそう思うのだった。
次の日、俺は朝から妙に落ち着いていられなかった。
どこか、なぜか、胸がざわつくのだった。
落ち着かない感覚、なんなんだこれは。
どこか、遠い記憶。
頭の中で、ぼんやりと映る顔と響く声。
『・・・・・・あんたなんかより、・・・・・・の方が』
ダンッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!
気がつけば思い切り机を拳で打ち付けていた。
なんなんだ、今の声は、記憶は・・・。
なんの、話だ・・・・・・・・・ッ!!
誰だ、お前は・・・俺のなんなんだッ!?
はっ!?と周囲を見渡す。
クラスメートは何があったとこちらを見てきている。
レンくんだってこちらに目を向けている。
「さ、猿山くん・・・大丈夫か??」
「・・・・・・あ、あぁ。えっと、その」
「あー、あんたどうせレンくんがイケメンだから嫉妬したんでしょー?」
そういう籾岡。目が泳いでいるのは気になるがそのいつも通りのからかいに乗らせてもらおう。
「チッ!!そうだよ籾岡!だって羨ましいじゃんか!!俺だってそのたわわをその手に掴みたいわァ!!」
こうゴッドフィンガー!とふざけてたら男子も乗ってきた
「サイテー!猿山ありえなーい!」
さっきまで戸惑ってた子達も俺にそういうだけで笑っている。よしよし、問題ないな。助かったぜ。
「・・・ねぇ、里紗。猿山の顔」
「わかってるわよ未央、あいついつもと違ったし」
2人が違和感を抱いていたが、本人は知る由もなくその場から離れた。
「・・・・・・あいつの目、いつもと違いすぎるだろ」
親友であるリトにとっては猿山の違和感などは当然わかる話だった。
放課後、リトはレンくんとのバトルのために女子たちと出かけることとなったらしい。
全く女の子たちに囲まれて羨ましいなぁ!?なんてふざけつつ、見送ることにしよう。
さてはて、リトが居ないなら今日はフリーの日だな。
久しぶりに飯でも食いに行こうか。
何食いに行こうかな、とお腹を確認しながら悩んでいると籾岡から声をかけられた。
「ね、猿山。アンタも一緒に来ない?」