機動戦士ToLOVEるSEEDー猿山ケンイチの受難ー 作:SS好きのヨーソロー
「さて・・・・・・猿山ケンイチくん。
あなたはいったい、前世で何を経験したの?」
保健室の中、カギはかけられてほかの生徒たちの声は何も聞こえない。
窓から聞こえる、くぐもった部活動の掛け声や演奏の音、それはまるで日常を彩るBGMのようなもの。
そんな中、養護教諭の御門涼子から発せられた言葉は、俺の頭を真っ白にして、外の喧騒を一発で失わせた。
すべての音が、遠く聞こえる。
なにも、耳に入ってこない。
今、この先生は何を言った?前世?何の話だ?
女性から話しかけられるといえば、ほとんどが自分の態度による不満の意見のはずだ。俺はこの自らの性格も合わさり、お調子者のおふざけ野郎としての立場を獲得している。ゆえにそこに対する文句の一言だと心得ている中でのこれだ
実際原作でもお調子者だし。
そうだ、原作だ。この先生はさっき、確かに前世といった。
前世という単語は転生という概念がなければ浮かんでも来ないはずの言葉。なぜ、そんなものが?
「前世?・・・・・御門先生、いったいどうしたんです。発言の意図がいまいち理解できないのですが」
何言っているんだ、と笑いながらごまかそうとする。まずは真意を知らなければ
「あら、わからなかった?はっきり言うわね、あなた転生者でしょう?」
にこっと微笑む御門先生。これは非常にまずいことになった。なぜか俺は転生者ということが、原作キャラにばれてしまったのだ
・・・・・・これなら、無実の罪で冤罪吹っ掛けられたほうが内心自分悪うないって言い訳できるのでそっちのほうがましだった説、あるぞ。
「まず御門先生、確認がしたい。なぜあなたは転生者という言葉をご存じなのです?」
まずは考えの確認だ。相手の状況を確認できなければ、大ポカをやらかすことだってある
「ええ、まず私は宇宙人なの。私は結城リトくんと一緒にいるララ・サタリン・デビルーク・・・・彼女がデビルーク星のお姫さまってのも知ってるわ。次に転生についてなのだけれど・・・・・・・・この世界にはある病気があるの、その名も『ウマレカワリ症候群』
これは一見何ともない、まったく無害な病気。特徴があるとすれば1000人に一人の割合でこの病気を持つ人が産まれるの」
「1000人に一人!?・・・そんな割合で転生している人がいるんです?」
流石にそんな人数がいるのは予想外だったが、御門先生は苦笑いするのみだった。
「1000人に一人、確かにこの症状を持っている人はいるわ。
けど、実際に自分を転生者として自覚するのはごく僅かなの。
この日本では、生まれ変わりだとか人生のやり直しを教材にしたものが多いでしょう?
天国に行ったものがやり直しでまた人生を歩む、だとか地獄で反省した後にやり直すだとか。
それはこのウマレカワリ症候群のことを指しているの。
実際に生まれ変わった自覚のある人たちが、それらを神のお告げや自己反省によるもの、また道徳的に良い道を進むことが生まれ変わりの必須と伝えたからこそ、今の世にも宗教などの形として知られてるの」
だから、簡単に言ってしまえば天候が神様のお告げと言われてたように転生も同じ流れで知られてはいたが、そのメカニズムが特殊な病気だった、ということだろう。
「それでね、これは賭けだったのだけれど、猿山君は無理にお調子者を演じていることがあるわよね、時にそれがひどく衝撃に出て嘔吐することも。
だから、この子は転生者としての自覚があり、それによっていろいろ苦しんでいるんじゃないかって予想していたの。
まあ、予想通りって感じかしらね?」
その言葉に何も言い返せない。
しんどいか、しんどくないかで言えばしんどい。逃げ出したいくらいに、しんどい。
「・・・・・・御門先生、一つ。ご相談をしても良いでしょうか?」
「ええ、いいわ。話くらいだったら聞いてあげれる」
そこで、俺は自分の立場を打ち明けた。
この世界が、俺が前にいた世界では結城リトを主人公にした娯楽作品であること。
俺は友人キャラであるが、お調子者で仕方がない奴という設定であること。
いわゆる同人誌、と言う形では俺が竿役という形で主人公に想いを寄せてる子たちを寝とっていく立場であること。
それゆえに、元の世界では俺は嫌われているという立場であること。
正直に、能力のことも話した。
神様から授かった、MSを纏う力。
本来は交わらない力、だけれどこれを手に入れたからこそ皆を守る為に戦いに身を置いていること。
全てを話した後御門先生はため息を吐きつつも、目が少し赤くなっていた。
「猿山くん・・・大変だったわね」
仕方がないわね、なんて言いながら俺を抱き寄せ優しく頭を撫でる先生
豊満な胸に一瞬息が詰まりかけるがすぐに身じろいだ。
「せ、先生・・・何を・・・・・・」
「実感は湧かないわよ。ここが創作である、なんてことは。
けれど、それでも。あなたが話していたこと。貴方が苦しそうな顔をしていたこと。それはきっと"本物"なのでしょう?」
その言葉は、どこまでもまっすぐであたたかなものだった。
「・・・・・・・・ッ!!」
息が、苦しい。
この人だって、大切な人なんだ。この世界の住人なんだ。
この人のことを、襲って・・・・・・、俺が。
頭ン中がぐしゃぐしゃになりそうになる。
優しい、暖かだ。だからこそそれに甘えるのが・・・・・俺がそのぬるま湯につかるのが当人を汚してしまうような気がして。
気色が悪かった。想像しただけで、胃の中のものがすべてあふれ出てしまいそうになるくらいに・・・・・・・・。
「大丈夫よ。君はそんな子じゃないのでしょう?」
俺の考えが見て分かったのか、やさしく微笑む先生
「本当にろくでもない人は友達やみなを守るために命を懸けることなんてしないわ。
あなたが持っているそのMSってものを纏う力、守るために戦う力。
その二つ、誇りに思うべきよ。あなたは
先生のその強い肯定の言葉に、俺の胸が救われたような気がした。
なお、後日の一幕なのだが、ララちゃんがコロット風邪という感染すれば二重人格かってレベルで性格が変貌する宇宙特有の珍しい風邪に感染したらしく、それを治すためにリトたちの前で正体をばらしていた。
ありがたいことに、俺の正体・・・・・・・・・・・・・転生者であるということは内緒にしてもらったのだが、気にかけてくれるのか、話しかけられる機会も増えたのだった。
美人に話しかけられて気分は悪くないが、御門先生人気で周囲から妬まれるし、俺自身美人と話しなれていないので毎回胃がサイクロプス起こしそうで困ると言っておこう。俺にとってのフリーダムガンダムはきっと水洗式トイレ(ウォシュレット付き)なのかもしれない(殴
舞い降りる翼ならぬ流れ下る水洗ってな。・・・・・・・はい、すみませんでした。
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