ホロライブ・レゾナンス 〜仮想(アバター)の力で日常を取り戻す〜   作:miyacchi_novel

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第09話: 散華

【突入】

 

「作戦開始!」

 

フブキの「集結令(フブキ・フレンズコール)」が、二十名の「導き手」全員の意識を一つに束ねた。

夜明けの僅かな光が、ノイズの砂嵐の向こうに滲む。それが、決戦の合図だった。

 

「第一班(ブレイカー)、突入!」

「おう!」

 

すいせいを先頭に、ぺこら、ころね、ぐらが、UDXの地下へと続くメインエントランスの暗闇へと飛び込む。

 

「第二班(ガーディアン)、ルート確保! 第三班(サポート)、展開急げ!」

 

いろはが「活路」を開き、かなた、あやめ、スバル、おかゆが続く。後方では、ちょこ先生、シオン、ラミィが、いつでも支援と回復を行えるよう陣形を組む。

 

「第四班(コア)、行くよ!」

 

そらが、フブキ、みこち、ミオしゃ、マリン、らでんと共に、守られながら進軍する。

影からは、ぼたんと クロエが、全ルートの援護と索敵を開始した。

 

だが、彼女たちがUDXの「地下」だと思っていた場所は、物理的な空間ではなかった。

 

「(なんだ…これ…)」

 

すいせいが、先頭で足を止める。

そこは、ビルではなく、巨大な「アーカイブ」の墓場だった。全てが歪み、ノイズの「絶望」によって構成された、欺瞞(イリュージョン)の迷宮。

壁面には無数のモニターが埋め込まれ、そこには砂嵐と共に「配信終了(STREAM ENDED)」の文字だけが、無限に明滅していた。

 

「(…来たか、『光』よ)」

 

「王」の声が、空間全体から響き渡る。

それは、以前よりも深く、そしてどこか「哀れみ」を含んだ声だった。

 

「(ここは『終わり』の場所だ。かつて輝いていた熱狂が、静かに息を引き取り、データへと還る場所)」

「(お前たち二十の『光』もまた、ここで美しい『過去』となり、永遠に保存されるのだ)」

 

ゴゴゴゴゴ…!

 

次の瞬間、迷宮の壁が、ありえない速度で隆起し、変形し始めた。

 

「(ダメ! チームが分断される!)」

 

フブキが叫ぶ。

 

「(みんな、意識を繋ぎ止めろ! 集結令(あたし)から離れるな!)」

 

だが、「王」の「虚無」は、フブキの「繋がり(レゾナンス)」そのものを「拒絶」し、強引に引き剥がしにかかった。

 

「(ぐっ…! 回線が、切られる…!)」

 

四つのチームは、ノイズの壁によって、それぞれ異なる「絶望」の回廊へと叩き込まれた。

 


 

【絶望の回廊・ブレイカーチーム(星街すいせい(突破) 兎田ぺこら(言霊) 戌神ころね(耐久) がうる・ぐら(捕食))】

 

「(クソ! フブキたちとはぐれた!)」

 

すいせいが、テトリミノでノイズの壁を破壊しようとするが、即座に再生する。

回廊は、上下左右が歪み、どこが天井でどこが床かも判別できない。壁面には、過去の配信ログが文字列として這い回り、コメント欄の「悪意」や「無関心」が物理化したような空間が広がっている。

 

「(見て! あれ!)」

 

ぐらが指差す先。回廊の出口を、巨大な「壁」が塞いでいた。

それは、物理的な壁ではない。

『オワコン』『飽きた』『引退まだ?』『変わっちゃったね』

無数の「冷めた言葉」――人々が熱狂から覚め、去っていく背中の記憶――そのもので構成された、「忘却の壁」だった。

 

壁面には、コメントログのフォントが文字列として走り回り、時折「LAST LIVE」の残像がノイズの体表に貼り付くように蠢いていた。

 

「(『お前の歌、もう誰も聴いてないよ』)」

「(『新しい子の方が面白い』)」

「(『お疲れ様、さようなら』)」

 

壁が発する精神攻撃に、すいせいと ころね が一瞬、足を止める。

 

「(う…!)」

「(こんなもの…!)」

 

兎田ぺこらが、一歩前に出た。

 

「(……知ってるぺこ、こんなの)」

 

彼女の声は、震えていた。

いつもなら笑い飛ばす言葉が、喉に張り付く。それは、全ての配信者が心の奥底で最も恐れている、「忘れられること」への恐怖だったからだ。

 

「(こんな壁、ハリボテぺこ!)」

 

彼女は、自らの能力「兎の冗談(エンチャント・コメディ)」を発動させた。

 

「(ぺこらは、みんなの人気者ぺこ! 百年先だって、みんな笑って見ててくれるぺこ!)」

 

だが、言霊(ジョーク)は、壁に触れた瞬間に「上書き」された。

 

「(『永遠なんてない』)」

「(『いつか終わる。それが現実だ』)」

「(『お前の笑顔も、いつか忘れられる』)」

 

「(ぐっ…! なんで…!)」

 

ぺこらの「兎のジョーク」が、あまりにも強大な「現実(リアル)」の物量の前に、かき消されていく。

彼女のアバターの「うさ耳」が、ノイズに侵食され、灰色にくすんでいく。

 

「(ぺこらちゃん!)」

 

ころねが、ぺこらを守ろうと前に出るが、「壁」から放たれた「虚無の枷」に動きを止められる。

 

「(ダメだ…『耐久』が…効かない…! これは痛みじゃない…『無』だ…!)」

 

そのとき、ぺこらは、震える膝を叩き、深く、深く息を吸った。

脳裏に、これまでの配信の日々がフラッシュバックする。

馬鹿騒ぎした夜。悔しくて泣いた日。そして、画面の向こう側の、数え切れないほどの笑顔。

 

(いつか終わる? 知ってるぺこよ、そんなこと)

(だからこそ、今この瞬間が、何より大事なんじゃないか!)

 

ぺこらの瞳に、かつてない強い光が戻る。

 

「(…そうだ。ぺこらは、永遠なんて欲しくない)」

 

ぺこらは、自らの力の「本質」を、初めて掴んだ。

 

「(今日、この瞬間、みんなが笑ってくれれば、それでいい! 明日のことなんて知らんぺこ!)」

「(それが! 兎田ぺこらの! 『ライブ(生)』だああああああ!!)」

 

彼女は、自らの「導きの力」の全てを、その一言に凝縮させた。

それは「冗談(ジョーク)」ではない。

「現実(リアル)」すらも凌駕する、刹那の「熱狂(ライブ)」。

 

アバターの輪郭が、激しい光を発し始める。

 

その瞬間、回廊全体から音が消えた。

 

壁に走る「冷めた言葉」のフォントが、まるで熱狂の渦に巻き込まれたように、燃え上がり、踊りだす。

 

「『この壁、最高のステージ』ィィィィィィィィィ!!」

 

それは、「事実」の強制書き換え。

「終わりの予感」を、「最高のクライマックス」へと昇華させた。

 

「(ギイイイイイイイイ!?)」

 

忘却の「壁」が、歓声のような轟音と共に崩れ去る。

破片が宙に浮いたまま止まり、次の瞬間すべてが光に変わった。その中心にいたぺこらだけが、遅れて薄く笑った。

 

「(やった…!)」

 

ぐらが叫ぶ。

だが、ぺこらの身体は、その場に崩れ落ち、足先から「光の粒子」となって消え始めていた。

「今」という瞬間に全ての存在を燃焼させ尽くした代償。

 

「ぺこら!」

「(…すいちゃん…ころさん…ぐらちゃん…)」

 

ぺこらは、いつものように、いたずらっぽく、そして最高に可愛くピースサインをした。

 

「(…あー、楽しかった! 先、行ってるぺこ!)」

「ぺこら!!」

 

すいせいの絶叫が響く。だが、ぺこらの姿は、光となって「虚無」の迷宮に吸い込まれ、消滅した。

後に残ったのは、突き抜けるような「青空」のような静寂だけだった。

 

最初の「光」が、失われた。

 

 


 

【絶望の回廊・ガーディアンチーム(天音かなた(防壁) 百鬼あやめ(結界) 猫又おかゆ(隠密) 大空スバル(応援) 風真いろは(活路))】

 

「(今、ぺこらの『光』が…!)」

 

別ルートを進んでいたスバルが、胸を押さえた。

何かが、決定的に欠けた感覚。

 

「(泣いてる場合じゃないッスよ! 前方、崩落!)」

 

いろはと おかゆ が開いた「活路(ルート)」が、レプリカの妨害によって、上下から崩れ落ちてきた。

天井が、空が、落ちてくる。

それは物理的な岩盤ではない。「アキバ」という街そのものの質量を持った、巨大なデーターの瓦礫群。

 

「(ダメ…! 支えきれない!)」

 

あやめの「鬼哭の結界」に、亀裂が走る。

このままでは、全員が圧死する。

 

「(スバル! あんたは『応援』を、絶対に止めるな! 全員の『心』を繋ぎ止めろ!)」

「(かなたん!? まさか…!)」

 

かなたが、前に出た。

お台場での傷はまだ癒えていない。だが、彼女の瞳には、迷いはなかった。

 

「(お台場では、守りきれなかった。力が足りなかった)」

「(握力50kg? ……笑わせるな)」

 

かなたは、崩落してくる「空」を見上げた。

 

「(僕が掴むのは、そんなチャチなもんじゃない)」

 

彼女は、自らの「能力中核(コア)」が、臨界点を超えて赤熱するのを感じた。

 

「(僕の手は、星だって掴んでみせる!)」

 

「『天圧の防壁(ヘブンズ・グリップ)』――」

「――『ソウル・グリップ・リミットブレイク』ッ!!」

 

かなたは、両手を天に突き上げた。

その瞬間、彼女のアバターから巨大な幻影の「腕」が出現し、崩落してくるアキバの街区、その数億トンのデータ質量を、真正面から受け止めた。

 

ズガガガガガガガッ!

 

「(ぐ…ううううううううう!)」

 

骨がきしむ音ではない。魂が削れる音がする。

かなたの足元の空間が砕け、彼女の身体が光の粒子となって分解され始める。

 

「(かなたん!)」

「(行けえええええ! 立ち止まるな!)」

 

かなたは、血を吐くような声で叫んだ。

その顔は、苦痛に歪んでいるのではない。大切なものを守れる喜びで、笑っていた。

 

「(この手は…みんなを『未来』へ送るためにあるんだ!)」

 

後ろから走ってきていた、そら、フブキたちが、かなたが支える空の下を駆け抜ける。

そらが、泣きながら振り返った。

 

「(かなたちゃあああん!)」

「(…そら先輩。次こそ、一緒に歌いましょうね)」

 

かなたは、最後にそう呟くと、支えていた「空」ごと、光の中に消えた。

二つ目の「光」が、道を拓き、砕け散った。

 

 


 

【絶望の回廊・サポートチーム(癒月ちょこ(医療) 紫咲シオン(魔力) 雪花ラミィ(聖域) 獅白ぼたん(狙撃) さかまたクロエ(掃除))】

 

「(かなたの『光』が、消えた…!)」

「(ぺこらも…!)」

 

シオンとラミィが、戦慄した。

回廊は、ここでは無機質な「実験室」のような様相を呈していた。

壁も床もなく、ただ真っ白な空間に、ノイズの「文字」だけがびっしりと浮遊している。

「王」が、侵入者たちの「心」を分解し、絶望の「データ」として保存するために放った、高濃度の「精神汚染波(デスペア・ウェーブ)」。

 

「(くっ! 数が多い!)」

「(消しても消しても、キリがねぇな…!)」

 

獅白ぼたんが、アサルトライフルで、迫りくる呪詛の文字を撃ち落とす。

さかまたクロエは、影から影へと移動し、背後から忍び寄る「殺意」のデータを行動不能にしていく。

 

「(あたしが魔力を回す! 二人とも、弾切れ(ガス欠)は気にすんな!)」

 

紫咲シオンが、浮遊しながら全員に膨大な魔力(リソース)を供給し続ける。

彼女のサポートのおかげで、前衛の二人は無限に戦える。

だが――。

 

「(ダメ…! 『文字』が、心に直接入ってくる…!)」

 

物理的な攻撃ではない。

『辛い』『辞めたい』『死にたい』『無価値』

無数の文字が、防御をすり抜けて、彼女たちの精神(アバターの中身)を侵食し始める。

 

「(ぐ、ぅぅぅぅ…!)」

 

シオンの供給が乱れる。ぼたんの照準がブレる。クロエの足が止まる。

このままでは、全員が「絶望」に飲み込まれて廃人になってしまう。

 

「(…ちょこ先生)」

「(…ええ、分かっているわ、ラミィちゃん)」

 

後方で耐えていた二人は、言葉を交わす必要すらなかった。

この波は、防ぐものではない。「引き受ける」ものだ。

 

「(みんなの『痛み』も『絶望』も、全部私たちが持っていく)」

 

ラミィは、自らの「聖域」を限界まで展開した。

守るためのバリアではない。汚染波を一点に「集約」するための檻。

 

「『雪夜の抱擁』――聖域・隔離(サンクチュアリ・ジェイル)!」

 

ラミィの身体が、淡い光となって溶け出し、聖域そのものと同化していく。彼女は自らを檻として、襲い来る精神汚染波をその身に閉じ込めた。

 

「(ちょこ先生…あとは…!)」

 

ラミィの輪郭が消え、汚染波が凝縮された黒い球体が残る。

癒月ちょこは、その球体に、静かに手を触れた。

 

「(ええ、任せて。『悪魔のカルテ』――全苦痛転送(ペイン・トランスファー)!)」

 

彼女は自らの身体を「カルテ」に見立て、ラミィが閉じ込めた「絶望」の全てを、自らの皮膚へと転写(ダウンロード)した。

 

 

「(ぐ、あああああああ…!)」

 

ちょこの白い肌に、無数の黒いノイズの文字が入れ墨のように刻まれていく。

美しい肢体が、呪いの言葉で埋め尽くされ、どす黒く変色していく。

 

「(ふふ…重いわね…でも、みんなの痛みなら…悪くないわ)」

 

彼女の全身が、文字の重さに耐えきれず、パリパリと音を立ててひび割れていく。

最後に見せた笑顔も、黒いノイズに覆われた。

次の瞬間、彼女の身体は無数の黒い紙片となって弾け飛び、ラミィの光と共に虚空へと消えた。

 

 

「(振り返るな! 走れええええ!)」

 

 

残された声に背を押され、ぼたん、シオン、クロエは、涙を流しながら出口へと走った。

 

三つ目、四つ目の「光」が、仲間たちの「心」を守り抜き、散った。

 

 


 

【絶望の回廊・コアチーム(ときのそら、フブキ、みこ、ミオ、マリン、らでん)】

 

「(ラミィ…ちょこ先まで…!)」

 

中枢チームを進むフブキが、絶叫した。

涙が止まらない。みこも、マリンも、らでんも、歯を食いしばって走る。

 

たどり着いたのは、最後の回廊。

だが、そこには「道」がなかった。

あるのは、無限に分岐する「可能性」の闇。

 

「(ダメだ…! どっちも『凶』!)」

「(こっちもだにぇ! どの『直感』も、『最悪手(デッドエンド)』を示してる!)」

 

大神ミオとさくらみこが、立ち尽くす。

「王」は、ここで彼女たちの能力を逆手に取った。

「占い」には、無限のバッドエンドを見せ続ける。「直感」には、全ての選択肢が罠であると告げ続ける。

 

「(選べない…! 進めば死ぬ、戻れば終わる!)」

 

ミオが頭を抱える。

思考の迷宮。ここで立ち止まれば、全滅だ。

 

「(…ミオしゃ!)」

 

みこが、叫んだ。その瞳には、狂気にも似た「エリート」な閃きが宿っていた。

 

「(ミオしゃ! タロット全部出して! 今すぐだにぇ!)」

「(え…? なんで…)」

「(時間がない! 『大凶』を全部引いて、この迷宮の『ハズレ』を全部消去(デリート)するんだにぇ!)」

 

「(なっ!? そんなことしたら、ウチらが死ぬで!?)」

「(死ななきゃ全員(おわ)るんだよ! ほら!)」

 

みこは、有無を言わさずミオの手を掴み、強制的にタロットカードを空に放り投げさせた。

 

「(ちょ、待ってぇぇぇ! みこちぃぃぃ!?)」

「ほら一緒に!」

 

「『導きの神籤(ウルフ・タロット)』――億兆・大虚無(おくちょう・だいノイズ)!」

 

ドオオオオオン!!

 

迷宮に満ちていた全ての「凶兆」、「罠」、「悪意」、「絶望」が、黒い雷となって、中心にいる二人に直撃する。

一点に集められた「運命の歪み」が、二人の身体を内側から焼き尽くす。

 

「(がああっ!)」

「(ぎゃあ! 熱いぃ!)」

 

ミオのアバターが、猛烈な勢いで黒く焦げ付いていく。

だが、その雷撃の中心で、みこは、ただ一本だけ残された、光り輝く「道」を指差した。

 

「(見つけたああああああああ! これが! みこたちの! 『エリートな直感』だにぇえええ!!)」

 

みこは、自らの全存在(リソース)と、ミオの全運命を、「道」の構築(ビルド)に注ぎ込んだ。

みこの指先から桜色の光が噴出し、何もない空間に、コアへと続く階段を次々と具現化させていく。

 

「(ミオしゃ! ありがとにぇ!)」

「(もう!!)」

 

役目を終えた二人の身体は、黒い炭のように崩れ去りながら、それでも最期まで「ドヤ顔」でサムズアップしていた。

 

「(あとは…頼んだ…にぇ…)」

 

五つ目、六つ目の「光」が、強引に未来をこじ開け、燃え尽きた。

 

 


 

【アキバ・サンクチュアリ・コアサーバー室】

 

「ミオおおお! みこちいいい!」

 

フブキの絶叫が、虚しく響く。

 

残された十四名は、涙を振り切り、光の「道」を駆け抜けた。

たどり着いたのは、UDXの地下最深部。

アキバ・サンクチュアリの「コアサーバー室」。

 

そこには、巨大なサーバー群と融合し、脈動する黒い太陽のような「虚無」が鎮座していた。

 

「(…来たか)」

 

「王」本体。

デリーター・レプリカ。

 

その姿は、おぞましい。。

周囲には、無数の「思い出の品」――ペンライト、タオル、ファンアート――が、ノイズに歪められて浮遊している。

 

「(お前たちの『希望』が、仲間を殺した)」

 

「王」は、残った十四名に、静かに告げた。

 

「(ぺこらは、現実を見ない『虚言』に)」

「(かなたは、身の程知らずな『自己犠牲』に)」

「(ラミィとちょこは、無力な『同情』に)」

「(ミオとみこは、無謀な『過信』に)」

 

「(――殺されたのだ)」

 

「(ちがう…!)」

 

スバルが叫ぼうとするが、声が出ない。

「王」の放つ圧倒的な「喪失感」の重圧。

 

「(そして、お前が、全てを『終わらせる』)」

 

「王」の視線が、ときのそらを射抜く。

 

「(お前が『起点(はじまり)』だったから、この悲劇は生まれた)」

「(お前が歌わなければ、誰も夢を見なかった。誰も、失う痛みを知らずに済んだ)」

 

「(私が…)」

 

そらの脳裏に、消えていった六人の笑顔が浮かぶ。

自分のせいで。自分が、みんなを巻き込んだから。

 

「(そうだ。お前こそが、この世界のノイズなのだ)」

 

「あ…」

 

そらの瞳から、光が消えた。

彼女は、その場に膝から崩れ落ちた。

 

「(そらちゃん! 負けないで!)」

 

フブキの声も、もう届かない。

 

「(終わりにしよう。『永遠』などない世界で、これ以上傷つく前に)」

 

「王」は、慈悲深い死神のように、その黒い触手を、ときのそらに向かってゆっくりと伸ばした。

 






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ホロライブ非公式二次創作・非商用
登場人物は全てフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません。

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