騎馬戦が終わって、生徒たちは昼休みに向けて移動していた。
『一時間ほど昼休憩挟んでから午後の部だぜ!じゃあな!!オイ、イレイザーヘッド飯行こうぜ!』『寝る』『ヒュー!』
「悔しいわ。三奈ちゃんおめでとう。」
「爆豪、轟の氷対策で私入れてくれただけで、実力に見合ってんのかわかんないよ...」
「飯田君あんな超必持ってたのずるいや」
「ズルとはなんだ!あれはただの誤った使用法だ!」
「ミーチアさん、流石にあれはさすがにひどいですわ...」
「まあ自覚はありますわ...皆さん頑張ってらしたのに、わたくしだけ勝ちが確定してたっていうのは...その...申し訳ありませんでしたわ」
「まぁまぁミーチアも本気で戦ってただけだからさ...」
「それは私もわかっておりますが...」
その後みんなで食堂に向かいお昼ご飯を食べ終わった後、休憩をしているとそこに峰田、上鳴が慌てたようにやってきた。
「なあお前ら!午後の最初は女子全員ああやって応援合戦しなきゃいけねぇんだって!」
「聞いてないけど...」
「信じねぇのも勝手だけどよ...相澤先生からの言伝だからな!」
そう言って峰田と上鳴は走って去っていった。
「えぇ...マジで言ってんの?」
「確認する時間ももうないですし...仕方ないのでは?」
「うーん...まあ仕方ないし、やろうか!百ちゃんチア服作れる?」
そう言って女子全員が着替えてグラウンドに出てみるが...
『最終種目発表の前に予選落ちの皆に朗報だ!
あくまで体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してんのさ!本場アメリカからチアリーダーも呼んで1層盛り上げ...ン?アリャ?』『なーにやってんだ?』
『どーしたA組!?』
プレゼントマイク先生も相澤先生もチアガールの服を着てステージに待機する女子たちに疑問を投げかけた。
峰田たちが言ってたことは嘘だったようだ。
「峰田さん!上鳴さん!騙しましたわね!?」
峰田と上鳴は目を合わせてサムズアップしあっていた。
「何故こうも峰田さんの策略にハマってしまうの私...」「アホだろあいつら」
「まあ本戦まで時間空くし、張り詰めててもしんどいしさ...いいじゃない!やったろ!」
そう言って葉隠が手に持ったポンポンを振り回す。
「透ちゃん好きね。」「とりあえずこれを振っていればいいのですか?わたくし分からなくて...」「ミーチアもなんでやる気なの...?」
『さぁさぁ皆楽しく競えよレクリエーション!
それが終われば最終種目!進出4チーム、総勢16名からなるトーナメント形式!一対一のガチバトルだ!』
そして最終種目への出場者はミッドナイト先生が立つステージの元へ集まる。
「トーナメントか!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ!」「去年トーナメントだっけ?」「形式は違ったりするけど、毎年サシで競ってるよ。去年はスポーツチャンバラだった。」
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ!組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!
レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ!息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ1位のチームから順に...」
そう言ってミッドナイト先生が1位のチームメンバーを集めようとした時、出場者の中から声が上がった。
「あの...すみません!俺、辞退します。」
そう言って片手をあげているのは尾白だった。
「尾白くん!?なんで!?せっかくプロに見てもらえる場なのに!」
「騎馬戦の記憶、終盤ギリギリまでほぼぼんやりとしか無いんだ。多分やつの個性で...
チャンスの場だってのはわかってる。それをフイにするなんて愚かなことだってのも。
でもさ!みんなが力を出し合い争ってきた座なんだ。こんな...こんな訳分からないままそこに並ぶなんて...俺はできない。」
それを受けてA組の生徒が口々に言う。
「気にしすぎだよ。本戦でちゃんと成果を出せばいいんだよ!」「そんなん言ったら私だって全然だよ!?」
「違うんだ...俺のプライドの話さ...俺が嫌なんだ。
あとなんで君らチアの格好してるんだ...」
その時もう1人集団の中から声をあげる人が現れた。
B組の庄田二連撃、騎馬戦で尾白と同じチームだった生徒であった。
「僕も同様の理由で棄権したい!実力如何以前に...何もしてないものが上がるのは、体育祭の趣旨と相反するのではないだろうか!」
「なんだこいつら...男らしいな!」
『なんか妙なことになってるな。』
『ここは主審ミッドナイトの采配がどうなるか...』
ミッドナイト先生はムチを構えながら言う。
「そういう青臭い話はさぁ...
好み!庄田、尾白の棄権を認めます!」
((((好みで決めた!?))))
「繰り上がりは5位の拳藤チームだけど...」
それを受けて拳藤がチームを代表して言う。
「そういう話で来るんなら...ほぼ動けなかった私らよりあれだよな?な?
最後まで頑張って上位キープしてた鉄哲チームじゃね?馴れ合いとかじゃなくてさ、フツーに。」
「お、オメェらぁ!!」
その言葉に鉄哲が涙するのだった。
「というわけで、鉄哲と塩崎が繰り上がって16名!組はこうなりました!」
第1試合 緑谷 - 心操
第2試合 轟 -瀬呂
第3試合 塩崎 - 上鳴
第4試合 発目 - 飯田
第5試合 芦戸 - 青山
第6試合 ミーチア - 八百万
第7試合 鉄哲 - 切島
第8試合 麗日 - 爆豪
(いきなり八百万さんとですか...少なくとも完封できるような相手では無さそうですわね。)
『よーしそれじゃあトーナメントはひとまず置いておいて...イッツ束の間、楽しく遊ぶぞレクリエーション!』
それからレクリエーション中ミーチアは他のA組女子と一緒に葉隠に振り付けを教えて貰いながら応援をしていたのだった。
そしてレクリエーションが終わって...
「オッケーもうほぼ完成。」
『サンキューセメントス!ヘイガイズアァユゥレディ!?
色々やってきましたが!結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!心・技・体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!
最終種目!タイマンガチバトルトーナメント!今!スタートだぁーーー!!!』
プレゼントマイク先生のアナウンスに会場内の観客のボルテージが今までないほどに上がった。
ステージ上に緑谷と普通科 心操が上がってくる
『早速行くぜ1回戦!
成績の割になんだその顔!ヒーロー科!緑谷出久!
ルールは簡単!相手を場外に落とすか行動不能にする、あとは「参った」と言わせても勝ちのガチンコバトルだ!怪我上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!道徳倫理は一旦捨ておけ!まあもちろん命に関わるようなのはクソだぜ!アウト!ヒーローは敵を捕まえるために拳を振るうのだ!』
その時心操が口を開く。
「参った...か...わかるかい緑谷出久。これは心の強さを問われる戦い、強く思うビジョンがあるならなりふり構ってちゃダメなんだ。あの猿はプライドがどうとか言ってたけど、チャンスをドブに捨てるなんて馬鹿だとは思わないか?」
その声と同時に試合が開始する。緑谷は心操の言葉に怒りを露わにして突っ込んでいく。が...
「なんてこと言うんだ!........」
それを見た心操は顔を綻ばせる。
「俺の、勝ちだ。」
『オイオイどうした!?大事な初戦だ、盛り上げてくれよ!緑谷開始早々...完全停止!?アホ面でビクともしねぇ!心操の個性か!?
全っ然目立ってなかったけど彼、ひょっとしてやべぇ奴なのか!?』
観客席側ではA組が集まってみていた。そこで緑谷止まったのを見て尾白が声をあげる。
「ああ緑谷!せっかく忠告したのに!」
「彼は尾白さんと騎馬戦で組んでた方ですよね?記憶がなかったと言ってましたが...あれを見るに個性は洗脳と言ったところでしょうか?」
「うん...多分そうだよ。発動条件はおそらく質問に答えたら、とかだと思う。」
「ええー!そんなの初見殺しじゃん!やば!」
「お前は、恵まれてて良いよなぁ緑谷出久。振り向いてそのまま場外まで歩いていけ!」
緑谷はその声に従うままに振り向いて歩いていった。
『ああーーー!緑谷ジュージュン!!』
「これは...いきなりですが、仕方ないですかね」
「うわー緑谷いきなり敗退かぁ...」
その瞬間、緑谷が場外ギリギリでとどまったかと思うと、その左手から衝撃が走り緑谷が意識を取り戻す。
『これは...!緑谷、留まったあーーー!!』
「すげぇ!無茶を...!」「洗脳下で個性の発動を...?緑谷さん...ものすごい精神力ですわね...」
そこに勝ちを確信していた心操は声を荒らげて再度緑谷に話しかける。
「何で...体の自由は効かないハズだ、何したんだ!」
緑谷は答えず、心操に向かっていく。
「何とか言えよ!指動かすだけでそんな威力か!羨ましいよ!俺はこんな個性のおかげでスタートが遅れちまったよ。恵まれた人間にはわかんないだろ!誂向きの個性に生まれて、望む場所に行ける奴らにはよ!」
緑谷はそのまま心操には答えず、心操を背負い投げで場外に落としたのだった。
「心操くん場外!緑谷くん、2回戦進出!」
『IYAHA!初戦にしちゃ地味な戦いだったが、とりあえず両者の健闘を称えてクラップユアハンズ!!』
会場に歓声が上がり、緑谷たちが退場していく。それを眺めながらA組の生徒たちも口々に話し出すのだった。
「いやー緑谷も凄かったけど、心操ってやつ!あいつやべぇな!!宣戦布告しに来ただけあるわ!」
「あの個性だと入試の実技試験を突破するのは難しかったということなのでしょうね...なんともまあ、相澤先生の嫌いそうな話ですわ、合理的じゃないと。」「あ〜言いそう!」
それからすぐ、ステージ上に轟と瀬呂が入ってきた。
『お待たせしました!続きましては〜こいつらだ!
優秀!優秀なのにその拭いきれない地味さはなんだ!ヒーロー科 瀬呂範太!「ひでぇ」
それじゃあレディ、スタート!!』
試合開始の合図と同時、瀬呂がいきなり轟にテープを巻き付けてそのまま場外に向けて引っ張る。
『場外狙いの不意打ち!この選択はコレ最善じゃねぇか!?正直やっちまえ瀬呂ーー!!』
そのまま轟が場外にはじき出されるかと思ったが...
轟の生み出した氷がスタジアムの半分を覆い尽くすほどに膨れ上がり、そのまま瀬呂に襲いかかったのだった。
「や......やりすぎだろ......」
「瀬呂くん...動ける?」
「動けるはず無いでしょ...いてぇ...」
「瀬呂くん行動不能!轟くん2回戦進出!」
なおミッドナイトも半身を氷に巻き込まれており、そのコスチュームも相まって寒そうにしていた。
会場では一瞬の蹂躙に対し、各所から「どーんまい」と瀬呂を慰める声が上がっていた。
「...ミーチア、あれできる?」
「事前に準備をすれば、あるいは...あんな瞬間的には不可能ですわね。さて、わたくしも氷を溶かすの手伝って来ますわ。」
「出来るんだ...」
一方A組の方では何故かミーチアが引かれていた。
『ステージを乾かして次の対決!B組からの刺客、綺麗なアレには刺がある!?塩崎茨!
「申し立て失礼します。刺客とはどう言うことでしょう?私はただ勝利を目指しここまで来ただけであり...」
『ごっ、ごめん!!』「B組にもこういう感じいるのね...」
そのまま焦ったプレゼントマイクがスタートをかけると上鳴が塩崎に話しかけた。
「体育祭終わったら飯とかどうよ?俺で良かったら慰めるよ。この勝負多分、一瞬で終わっから。」
そう言って放電をする上鳴だったが、塩崎の髪に防がれ、そのまま茨に絡め取られてしまうのだった。
『瞬殺!あえてもう一度言おう!瞬・殺!!』
上鳴は茨に絡め取られたままキャパオーバーを起こして「うぇい...」と呟いていた。
「上鳴くん行動不能!塩崎さん2回戦進出!」
「あぁ...与えられたチャンスを無駄にせず済みました...」
A組の観客席では困惑が場を埋め尽くしていた。
「切り離しが厄介だったな...壁貼りに拘束...上鳴の個性が完封された...」
「いくら相性があるとはいえ...あれはさすがにダサくね???」
「次は飯田さんの試合ですわね...見てみたいですが...私そろそろ移動しますわ、八百万さんも一緒にどうです?」「あ、行きますわ!」
ミーチアたちが控え室に移動する間、飯田対発目の試合兼発目のサポートアイテム解説が10分間繰り広げられていた。
「ミーチアさん、あなたの個性はとても強力ですが、私も負ける気はサラサラありません!正々堂々とお願いしますわ!」
「えぇ、勿論ですわ。わたくしとしても八百万さんは強敵ですので、本気で勝負しますわよ!」
『続いて第6試合!第1、第2種目共に堂々の1位!個性も強すぎだろ!ヒーロー科 ミーチア・リダー!
試合開始の合図とともにミーチアが仕掛けた。
「炎よ!吹き荒れなさい!」
(炎!なら耐熱のコレですわ!)
八百万は咄嗟に準備していた耐熱板を生成して炎を防ぐ。
「炎は防ぎますか!これならどうでしょう?激流よ!押し流して!」
(今度は水流!)
水流で八百万を押し流そうとするミーチアに対して八百万はこれまた準備していた鉄の棒を地面に突き刺し踏ん張った。
『いきなりミーチアが炎と水で仕掛けるが八百万、どちらも耐えたー!』
「なるほど...対策はしてきているのですね!大地よ!隆起なさい!」
ミーチアはこれまで実技試験以外で見せたことの無い大地の魔術を発動させた。
「そういうこともできますのね!でも、これで!」
八百万は咄嗟に腕から棒を射出してその勢いでその場から離れた。
『地面が動いたあ!セメントスみたいなことも出来んのかよお前!』
(ミーチアさんは個性を使う時、何をするのかを言う!それを聞き逃さなければ対応はできますわ!問題はどうやって攻めるか!)
「これも避けますのね。ならこれで!大地よ!」
(大地...今!)
その声に八百万は先程と同じように棒を射出して今度はミーチアの方に飛んだ。
が、そのまま浮いたところに強風が吹き八百万は空中で踏ん張るすべもなく場外に吹き飛ばされてしまったのだった。
「八百万さん場外!ミーチアさん2回戦進出!」
「申し訳ありませんわ八百万さん。詠唱はなくとも魔術の発動は可能でしてよ。」「そうだったのですね...完敗ですわ...」
その後ミーチアが再び観客席に戻るとA組の生徒が迎えてくれた。
「ミーチアちゃん、強すぎるわ。おめでとう」「八百万も粘ったけど、さすがにミーチアが強すぎだったな...」
「ありがとう存じますわ。」
そう言って席に座ると次の試合のために爆豪、麗日が入場してきていた。
「次、ある意味最も不穏な組ね。」「ウチ、なんか見たくないなー」「爆豪さんのあの性格なら手加減とかなくいつも通り戦うでしょうね。」
『1回戦最後の組だな...
中学からちょっとした有名人!堅気の顔じゃねぇ!ヒーロー科 爆豪勝己!
試合開始と同時、麗日が爆豪に突っ込んでいくが、爆豪は冷静に爆発で迎撃をする。それによって煙が上がり、その瞬間煙の中から何かが飛び出してくる。爆豪はそれを押さえつけるが、そのに麗日はいなかった。その後ろから麗日が飛び出し爆豪に触れようとするが、それすらも爆豪は迎撃して見せた。
『上着を浮かせて這わせたのか!よー咄嗟にできたな!』
「見てから動いてる!?」「あの反応速度なら煙幕はもう関係ねぇな。触れなきゃ発動できねぇ麗日の個性、あの反射神経にはちょっと分が悪いぞ...」
それから数度同じような攻防を繰り返していると会場で観戦するヒーローからブーイングが飛んだ。
「おい!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あんなら早く場外にでも放り出せよ!女の子いたぶって遊んでんじゃねーよ!」「そーだそーだ!」
『一部からブーイングが...でも正直俺もそう思...わあ肘!何
『今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?シラフで言ってんならもう見る意味ねぇから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ。ここまで上がってきた相手の力を認めてるから警戒してんだろうが。本気で戦ってるからこそ手加減も油断もできねぇんだろうが。』
「道理ですわね。麗日さんもまだ諦めてない。何より...これからですものね。」
ミーチアが上を向いてそうつぶやくと...
麗日が手を合わせたのを皮切りに上空から大量の礫が降ってきたのだった。
『流星群ーー!!』『気づけよ』
「そんな捨て身の策を!麗日さん!」
が、その礫の全てを爆豪が上空に向けてはなった爆発で破壊されたのだった。
「デクのヤロウとつるんでっからな、テメェ。なにか企みがあるとは思ったが...」
『会心の爆撃!麗日の秘策を堂々...正面突破!』
「いいぜこっから本番だ、麗日!」
麗日が再び爆豪に突っ込もうとするが...膝を折ってその場に倒れてしまった。
ミッドナイトがステージに上り麗日の状態を確認すると...
「麗日さん...行動不能。爆豪くん、2回戦進出!」
その後、試合で引き分けた鉄哲、切島が腕相撲で勝負をし、そこでも拮抗したが、切島が何とか勝利したことで2回戦進出は切島となった。
こうして第1回戦全試合が終了した。
第2回戦
第1試合 緑谷 ー 轟
第2試合 塩崎 ー 飯田
第3試合 芦戸 ー ミーチア
第4試合 切島 ー 爆豪
麗日vs爆豪は流星群の後、爆豪が丸顔から麗日呼びになるの良いよね。認めたんだなぁって。
一方ミーチアちゃんは余裕の勝利です。まあそらそうなる。