「えー...そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが30日間、1ヶ月休める道理はない。」
相澤先生のその声にクラスのみんながざわついた。
「まさか...」
「夏休み、林間合宿やるぞ。」
「「「「知ってたよー!やったー!!」」」」
「肝試そー!」「風呂!!」「花火」「風呂!!」「カレーだな!」「行水!!」
「自然環境ですとまた活動条件が変わってきますわね。」
「いかなる環境でも正しい選択を...か...面白い」「湯浴み!!」「寝食皆と!ワクワクしてきたああ!!」
クラス全員がヒートアップしていく中、相澤先生が個性を発動させて髪を逆立たせた。それを見たクラス全員は一瞬にして静かになった。
「ただし、その前の期末テストで合格点に見たなかったやつは...学校で補習地獄だ。」
「みんながんばろーぜ!!!」
そして時は流れて6月末。
「全く勉強してねーー!!
体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねーーー!!」
教室で上鳴(成績20/20)が嘆いていた。その隣で芦戸(19/20)は諦めたように笑い続けている。
「確かに」常闇(14/20)
「中間試験なら範囲狭くて何とかなったんだけど...」口田(12/20)
「ま、期末は中間と違って...演習試験もあるのが辛えとこだよなぁ」峰田(10/20)
「あんたは同族だと思ってた!」「お前みたいなやつはばかで初めて愛嬌出るんだろうが!どこに需要あんだよ!」「世界...かな...」
「芦戸さん!上鳴くん!頑張ろうよ!林間合宿みんなで行きたいもん!ね!」緑谷(5/20)
「うむ!」飯田(3/20)
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ。」轟(6/20)
「言葉には気をつけろ!」
そんな中八百万が2人に声をかける。
「お二人とも...座学なら私、お力添えできるかもしれません」八百万(2/20)
「ヤオモモー!!」
「おふたりじゃないけど...ウチもいいかな?二次関数ちょっと応用躓いちゃってて」耳郎(8/20)
「わりい俺も!八百万古文わかる?」瀬呂(17/20)
「俺も」尾白(9/20)
「イイデストモ!!」
「八百万さん一人では大変でしょう?わたくしもお手伝いいたしますわ。」ミーチア(1/20)
「この人徳の差よ。」切島(15/20)
「俺もあるわ!てめぇ教え殺したろうか!」爆豪(4/20)
八百万はみんなを集めて勉強会の予定を立てていた。
「では週末にでも私の家でお勉強会催しましょう!」
「まじで!?うん。ヤオモモん家楽しみー!」
「まあ!そうなるとまずお母様に報告して講堂を開けて頂かないと...(((講堂!?)))皆さんお紅茶はどこかごひいきがありまして?我が家はいつもハロッズかウェッジウッドなのでご希望がありましたら用意いたしますわ!(((お紅茶?)))必ずお力になってみせますわ!」
「あー...そういうのはミーチアなら...」
「わたくし、(この世界の)紅茶にはあまり詳しくないのですわ...ですので今度教えていただけると助かりますわ。」(((あ、そうなんだ以外)))
「じゃあなんだっけ?いろはす?でいいよ。」「ハロッズですわね!」
それから週末...
ミーチア、芦戸、上鳴、尾白、瀬呂、耳郎が八百万の家に来ていた。
「「「「「でっっか!!」」」」」(前世のわたくしの家よりも大きいですわね。)
そこにいかにもな執事の格好をした高齢の男性が出てくる。
「ようこそいらっしゃいました。お嬢様の御学友の皆様ですね。」
「ええそうですわ。お出迎えありがとうございます。こちらお土産の羊羹ですわ。どうぞ。」
「おや、これはこれは...お気遣いありがとうございます。それでは早速参りましょう。」
「ミーチア流石だね...こういうの慣れてそう...」「やっぱヤオモモと同じような家に住んでるんだろうね...」
それから八百万家の講堂で目いっぱい勉強をしたのだった。
そして期末試験当日。
「ヤオモモー!!ミーチアー!!ありがとう全然わかるとこいっぱいあったよー!!」
「あら、それは良かったですわ!お勉強会をした甲斐がありましたわ。」
「よし!あとは...ロボ無双ーー!!」
A組生徒全員は、コスチュームに着替えてバス乗り場に集められていた。そこには相澤先生、プレゼントマイク先生、スナイプ先生、13号先生、エクトプラズム先生、ミッドナイト先生、セメントス先生、パワーローダー先生の計8人の先生方が集まっていた。
「それじゃあ演習試験を始めていく。この試験でももちろん赤点はある。林間合宿行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ?
諸君なら事前に情報入れて何するかは薄々わかってるとは思うが...」
「入試みてぇなロボ無双だろ!!」「花火!カレー!肝試しー!」
その時相澤先生が首にまく捕縛布から校長先生が出てくる。
「残念!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
その言葉に芦戸、上鳴が固まってしまった。
「校長先生!」「変更って...」
「それはね...これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実践に近い教えを重視するのさ!というわけで...諸君らにはこれから2人1組でここにいる教師ひとりと戦闘を行ってもらう!」
「先生方と...」
「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み。動きの傾向や、成績、親密度...諸々踏まえて独断で組ませてもらったから発表していくぞ。
まず轟と八百万がチームで俺とだ。
そして緑谷と...爆豪がチーム。」
その言葉に緑谷と爆豪が目を合わせた。
「デッ...!」「かっ...!」
「そして相手は...」
「私がする!協力して、勝ちに来いよ、お二人さん!」
その言葉と共にいつの間にか来ていたオールマイトが前に出てきた。
「次に芦戸、上鳴がチームで校長先生と。麗日、ミーチアで13号と。口田、耳郎でプレゼントマイクと。蛙水、常闇でエクトプラズム先生と。瀬呂、峰田でミッドナイト先生と。葉隠、障子でスナイプ先生と。青山、切島でセメントス先生と。飯田、尾白でパワーローダー先生とだ。
それぞれステージを用意してある。10組1斉スタートだ。試験の概要については各々対戦相手から説明される。移動は学内バスだ。時間がもったいない、速やかに乗れ。」
相澤先生の指示に従い、ミーチア、麗日、13号先生がバスに乗る。
その時13号先生は先日の会議の様子を思い出していた。
「組の采配についてはこの資料の通りです。一番の問題、ミーチアに関しては13号先生、お願いします。ヤツの魔術を全部吸い込んで無効化してやってください。...正直それ以外、あいつの試練になれそうな人がいません。」
「オールマイトとかお前じゃダメなのかよ?」
「オールマイトについては、緑谷、爆豪に立ちふさがってもらいます。一番試練が必要なのは...あいつらだ。そして俺のほうは...体育祭の最後、皆さん覚えてますよね?あの時、俺は個性を使ってあいつを止めようとしました。でも、止まらなかった。疑問に思ってそのあとも何度も試してみたんですが、どうやらあいつには俺の抹消が効かんらしい。原理は不明だが、そんなこんなで俺とあいつは相性最悪だ。ですので13号の担当ということになりました。」
その会話を思い出し、13号先生は思案する。
(ミーチアさん...いまだ底の見えない生徒ですが、僕のブラックホールは限界なんてありません。僕は一筋縄ではいきませんよ...!)
それから数十分移動するとUSJに着いていた。
「あれ?ここって...」
「そう。USJ、今回の試験会場はここになります。それでは試験の説明をしますね。まず試験の目標はこのハンドカフスを私にかけること、もしくはこの脱出ゲートから逃げること。制限時間は30分間です。」
そう言って13号先生が指をさした先には無駄に可愛い装飾の施されたゲートがあった。
「逃げてもいいんですのね。」
「ええそうです。今回は極めて実践に近い状況での試験。僕らを、敵そのものと考えて本気でかかってきてください。」
「......本当に本気でいいんですのね?」
「?...えぇもちろんです。逆を言えば僕もそのつもりで行きますよ。」
ミーチアの隣に立つ麗日は妙にいい笑顔を見せているミーチアに対し(なんか怖...)と考えていた。
それから開始位置に付き少し経つとアナウンスが聞こえる。
『皆位置に着いたね。それじゃあ今から雄英高1年、期末テストを始めるよ。レディィィ...ゴォ!!』
(さて、どう来るか...)
そうやって身構えた13号先生の目に映ったのは、
土砂ゾーンから土、火災ゾーンから炎、水難ゾーンから水、暴風雨ゾーンから氷がそれぞれドラゴンのような形を形成しながらこちらに突っ込んできている様子だった。
「うわああああああああ!!!!!」
ミーチア、麗日チーム開始位置にて。
「ミーチアちゃん、それ何?」
「ふふふっ、ようやくこの子達が日の目を見る機会を得たのですわ!試さずにはいられませんことよ!」
やけにテンションの高いミーチアは隣に大量の魔術書を出し、それを一つ一つ広げながら魔術を連発していた。
「13号先生の個性はブラックホール!この程度ではまだまだ足りませんわよね!どんどん行きますわよ!
あ、麗日さんは隙を見て13号先生にハンドカフスをかけてきてください!なるべく遅くでお願いしますわ!」
(うーん...この子これが素なんやろな...)
麗日は苦笑いを浮かべながら遠くから聞こえる悲鳴に、なるべく早くハンドカフスをかけてあげようと思うのだった。
それから約5分、未だ必死に迫り来る魔術を吸い込みながら悲鳴をあげる13号先生の横にまで隠れながらきた麗日がハンドカフスを浮かせて13号先生の足に装着した。
「え...あ...」
『報告だよ。条件達成最初のチームはミーチア・麗日チーム!』
そのアナウンスと同時に迫り来る魔術が止み、少しして空を飛びながらミーチアが2人の元へときた。
「麗日さん、早かったのですね。まだまだ試したい子たちが居ましたのに...」
少し残念そうに言うミーチアに麗日は苦笑いを返して考える。
(あれ以上は13号先生が可哀想やったしなぁ...)
「はぁ...はぁ...何はともあれ、試験クリアおめでとうございます...はぁ...」
「えぇ、ありがとう存じますわ!」
そう言っていい笑顔を返すミーチアに13号先生がボソッと言った。
「これ...僕の方の試練じゃないですか?」
それからミーチアと麗日は保健室のベッドに通された。
「私ほぼなんもしとらんかったけど、良いんかなぁ。」
「良いのですわよ、麗日さんは先生からの課題をクリアしたのですから。」
「そうかなぁ、絶対にミーチアちゃんの力やけど...
あ、あとミーチアちゃん、あれが素なん?」
その言葉にミーチアが固まった。そのまま少したつと、顔を覆って縮こまってしまう。
「...忘れてくださいまし...」
「えぇ!?いや、いいと思うよ!あんなところ見るの初めてだし、友達の素を見れるのって仲良くなった証みたいで結構嬉しいもんやし!」
「...そういうものでしょうか?」
「そうそう!テンション高くて可愛かったし!」
そうこう話していると同じく試験が終わったらしい轟と八百万が入ってきた。
「...お前らか、随分早かったな。」「さすがですわね、お二人とも。」
「いやーほぼ全部ミーチアちゃんの力っていうか...私はむしろ先生の為に急いだって言うか...」
麗日の説明に首を傾げるふたりに麗日が試験の結果を説明をする。
「開始と同時にミーチアちゃんが大量に魔法をぶっぱなしまくってね。13号先生が悲鳴あげながら吸い込んでたから急いで助けなって思って...急いで終わらせたんよ」
「立場が逆転していません?」「してるな。」
「わたくしはもっと色んな子たちを試したかったですわ。」
期末試験が終了して次の日、教室に入ると芦戸、上鳴、青山、切島の4人が絶望したような顔で突っ立っていた。そこに緑谷が必死に声をかける。
「まっまだわかんないよ!どんでん返しがあるかもしれないよ...!」「緑谷それ口にしたら無くなるパターンだ。」
緑谷の励ましに上鳴が激昂する。
「試験で赤点とったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺らは実技クリアならず!これでまだわからんのなら貴様らの偏差値は猿以下だ!!」
そこに瀬呂が入っていく。
「落ち着けよ長ぇ。わかんねぇのは俺もさ、峰田のおかげでクリアはしたけど寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされてない以上は...」
「同情するならなんかもう色々くれ!」
その時教室に相澤先生が入ってくる。
「予鈴がなったなら席に着け。
おはよう、今回の期末テストだが、残念ながら赤点が出た。したがって...
林間合宿は全員行きます!!」
「「「「どんでん返しだぁ!!!」」」」
「筆記の方はゼロ。実技で切島、上鳴、芦戸、青山。あと瀬呂が赤点だ。」
その言葉に瀬呂が顔を隠して机に突っ伏した。
「確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな...クリアできずの人より恥ずいぞこれ...」
「今回の試験、我々敵側は生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた。でなければ課題云々の前に詰むやつばかりだっただろうからな。」
「本気で叩き潰すと言ったのは...」
「追い込むためさ、そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点とったやつこそここで力をつけてもらわにゃならん。
合理的虚偽ってやつさ!」
「ゴーリテキキョギイィィ!!!」
その言葉に赤点組が立ち上がって喜んだ。
「またしてやられた...!さすが雄英だ!しかし!2度も虚偽を重ねられると信頼にゆらぎが生じるかと!」「わあ水差す飯田くん」「言わなくてもいいですのに...」
「たしかにな、省みるよ。ただし全部が嘘って訳じゃない。赤点は赤点だ。お前らには別途に補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツイからな。じゃあ合宿のしおり配るから後ろに回してけ。」
それから放課後、クラスみんなで話していた。
「まあ何はともあれ、全員で行けてよかったね。」
「1週間の強化合宿か!」「結構な大荷物になるね。」「暗視ゴーグル。」「水着とか持ってねーや。色々買わねぇとなぁ」
そこに葉隠の提案が飛んだ。
「あ、じゃあさ!明日休みだしテスト明けだし...ってことで、A組みんなで買い物行こうよ!」
その提案にみんなの賛同が飛ぶ。
「おお良い!何気にそういうの初じゃね?」「おい爆豪、お前もこい!」「行ってたまるかかったりぃ。」「轟くんも行かない?」「休日は見舞いだ。」「ノリが悪いよ空気読めやKY男どもお!!」
「ミーチアは?行くよね!」
「えぇ、もちろんご一緒させていただきますわ。」
そして翌日。
「ってな感じでやってきました!県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端!木椰区ショッピングモール!!
腕が6本のあなたにも!ふくらはぎ激ゴツのあなたにも!きっと見つかるオンリーワン!」
「なんですのそれ?」「今考えた!」
そこにショッピングモールに来ていた大学生と思しき集団の声がかかる。
「お!あれ雄英生じゃん!1年!?体育祭ウェーイ!!」
「うおお!まだ覚えてる人いるんだ!」
「とりあえずウチ大きめのキャリーバッグ買わなきゃ。」「あら、では一緒に回りましょうか。」
「俺アウトドア系の靴ねぇから買いてぇんだけど。」「あー私も私も!」「わたくしもですわ。ご一緒しましょう。」「靴は履きなれたものとしおりに書いて...あ、いや、しかしなるほど、用途にあったものを選ぶべきなのか...!?」
そこに切島がやってきてみんなをまとめる。
「目的バラけてっし時間決めて自由行動すっか!」
「そうですわね。葉隠さん、上鳴さん。参りましょうか。」「おっしゃいこー!」「おー!」
それから靴屋に入っていき、各々欲しい靴を探していた。
「葉隠さん、わたくし普段靴を買うことがないからどういう物がいいのかわからなくて...教えて貰えませんこと?」
「いいよ!ミーチアちゃんに似合うのだったら黒系とか...いや!案外明るい色も似合うぞ!よしこっからここまで全部試そう!」
そう言って腕を広げている(らしい)葉隠にミーチアは苦笑いを返す。
「お手柔らかにお願いしますわ...」
それから少し経つとスマホを開いた葉隠が叫ぶ。
「えっ...!?ちょっとみんな1回待って!緑谷くんが...」
どうやら緑谷がショッピングモール内で敵に襲われたらしく、連絡が来ておりその場にいたみんなが手を止め緑谷の元に向かった。
結果として緑谷は無事、モールは一時閉鎖され緑谷は事情聴取の為に警察について行った。A組のみんなはそのまま流れで解散となってしまったのだった。
翌日、HRで教卓に立つ相澤先生が栞を縦に破りながら言う。
「とまあ、そんなことがあって敵の動きを警戒し、例年使わせていただいてる合宿先を急遽キャンセル。行先は当日まで明かさない運びとなった。」
「「「えーー!?」」」
「もう親に言っちゃってるよ」「故に、ですわね。話が誰にどう伝わっているのか学校が把握できませんもの」「合宿自体をキャンセルしねぇの英断すぎんだろ!」
色々とあったが、何とか林間合宿は開催されるようだった。
13号先生ドンマイ。今まで殺傷力が高すぎて使えなかった魔術たちをついに使えてテンションマックスのミーチアちゃん。あのまま行ってたらUSJが崩壊するところでした。麗日ナイス!
ちなみに今回でUSJ内の物資がかなり減ったため、13号先生が頑張って修復することになりました。ほんとお疲れ様です...