悪役令嬢のヒーローアカデミア   作:めめ師

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第十七話です。無個性なのバレちった。どうなるんでしょうか?


林間合宿 後編

「単刀直入に聞こう、ミーチア

 

お前、無個性なのか?」

 

相澤先生の言葉にミーチアは目を見開いた。

 

「なんの話ですの?わたくしは...」

「嘘はいい。隣の彼女、ラグドールの個性はサーチだ。

見た相手の情報を知れる。居場所や弱点や...個性を。

ミーチア、もう一度聞くぞ。お前は無個性なのか?」

 

再度聞かれたミーチアは数分間悩んだ様子を見せていた。相澤先生についても、さすがにデリケートな質問だという自覚があるのか急かすような真似はしなかった。

 

「.........えぇ、そうですわ。わたくしは無個性ですの。」

 

そう告げたミーチアにわかっていたことながら、相澤先生とラグドールは目を見開いた。

 

「...お前が個性として使っているそれは何だ?」

「これはその名の通り魔術・魔法、現存する技術ですわ。使おうと思えば...原理を知れば誰でも使えるもの。」

「それは...あちき達にもできるってこと?」

「本来ならば。ですが皆さんにとっては魔力は馴染みの無いもの。魔力の操作はおろか、知覚すらも難しいと思いますわ。」

「お前が使える理由はなんだ?お前以外にも使えるやつはいるのか」

「わたくしには...魔術は昔から馴染み深いものでしたので...わたくし以外には、わたくしの知る限りではおりませんわ」

「そういう環境に育ったってことか?...ここからはお前が言いたくないなら答えなくてもいい。お前は確か、4歳から孤児院に住んでいたな。孤児院からか?それ以前か?」

 

新しく出てきた情報にラグドールが驚いていたが、それとは関係なく相澤先生とミーチアの話は進んでいく。

 

「...それ以前ですわ。」

「生まれて4年間でってことか...お前は4歳になるまで何処にいた?両親は?」

「4歳になるまでの記憶が、わたくしにはありませんの。」

(魔法を覚えているのにか?...まだ隠していることがあんな。)「お前がでかい魔法を使う時の口上...あれは何だ?口調的には神話だが...俺たちは誰も知らない話だ。」

「それは........わたくしの創作ですわ」

 

明らかに不自然に空いた間に相澤先生は確信した。

 

(これか。)「そうか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でいい。」

 

そう言って相澤先生が席を立った。

 

「戻るぞ。今回の話は...ここだけの秘密だ。良いな?」

「無論ですわ。」「あちきも黙っておくにゃん。ほら元気だして、誰もあなたを否定なんてしないから。」

「ありがとう...ございますわ...」

 

それから訓練所に戻ってみんなに混じって訓練を続けるミーチアだったが、周りから見てわかりやすいほどに気分が沈んでいたのだった。

 

それからPM4:00、プッシーキャッツのみんながテーブルに広げられた食材たちを前にテンションを上げて言っていた。

 

「さァ昨日言ったね!世話を焼くのは今日だけって!」

「己の食う飯くらい己で作れ!カレー!」

「「「イエッサ...」」」

「アハハハハ!全員全身ブチブチ!だからって雑なネコまんまは作っちゃダメね!」

 

その言葉に飯田が思案する。

 

「たしかに...災害時など避難先で消耗した人々の腹と心を満たすのも救助の一環...

さすが雄英!無駄がない!世界一旨いカレーを作ろう!皆!」

 

何故か教師側の意図しない部分で深読みを始めた飯田に対し、相澤先生は(飯田便利...)と考えていた。

 

「轟ー、こっちも火ィちょうだい!」「爆豪、爆発で火ィつけれね?」「付けれるわクソが!」

 

A組生徒たちがワイワイとカレーを作っていく中、ミーチアは離れたところで黙々と野菜を切っていた。

そこに耳郎が声をかけてきた。

 

「ミーチア、大丈夫?途中から全然元気なかったけど...」

「え、えぇ...大丈夫ですわよ。」

「そう...か...あの、何を悩んでるのかは分からないけどさ、ウチで良かったら相談に乗るよ!」

「えぇ...ありがとうございますわ」

 

明らかに無理に作った笑顔を向けるミーチアに耳郎は相談して貰えないことを悲しく思うのだった。

 

ミーチアの不調にはクラスの全員が気付いていたが、これまでの3ヶ月間において、ミーチアは全員にとって雲の上の存在だという認識があった。

そんな相手に自分は何が出来るだろうと、多くのクラスメイトは悩むのだった。

 

夕飯を食べ終わって、各自部屋での自由時間の間、ミーチアは相澤先生に呼び出されていた。

ミーチアのいない間に、ほかの女子生徒が話していた。

 

「ねぇ今日のミーチアさ、明らかに不調だったよね。」

「そうね。ミーチアちゃんが沈んでいるのを見るのは初めてだったし、なんと声をかけたらいいか分からなかったわ。」

「ウチ、相談乗るよって言ったんだけどさ...特になんも言ってくれんかったよ...」

「ミーチアさんが不調になったのは相澤先生の呼び出しの後ですわ。相澤先生に聞けば何かわかるのでしょうか...」

「今呼ばれてるのも相澤先生だよね...多分、今日の様子を見てだと思うけど...」

「うん...何とか力になってあげたいよね...」

「「「うん...」」」「えぇ...」「そうですわね...」

 

 

一方ミーチアと相澤先生はとある部屋の中で話をしていた。

 

「あーその、悪かったな。急にあんな話して。途中からお前全然集中できてなかったろ。個性伸ばし自体はやってたからなんも言わんかったが、流石に態度に出すぎだ。」

「そう...ですわね。申し訳ありませんわ」

 

未だ下を向いているミーチアに相澤先生は頭を掻きながらため息を吐いた。

 

「はぁ...ミーチア、お前の素性がなんだろうとお前は俺の生徒だ。ちゃんと最後まで面倒見てやるからあんま抱え込むなよ。」

 

その言葉にミーチアは数十秒黙ったあと、ゆっくりと声を出した。

 

「相澤先生...少し...突拍子のない話を致しますわ。」

 

相澤先生は少し目を開いて答える。

 

「なんだ、聞かせろ」

 

「もし、この世界とは違う世界が存在して、そこから人が転生してきたとしたら...どう思いますか?」

 

あからさまに"もしも"の話ではないような語り口調に相澤先生は確信する。

 

「...それが、お前か」

「......えぇ、そうですわ。わたくしには前世の記憶がありますわ。わたくしは別の世界で...魔術師として生きていたのですわ。」

 

ミーチアの告白に相澤先生はゆっくりと言葉を選びながら返す。

 

「確かに突拍子の無い話だ。だが...お前の魔術に...無個性という事実...状況証拠が揃いすぎてる。お前の話も、本当だろうな。」

 

相澤先生の言葉にミーチアは静かに頷いた。

 

「はぁ......ミーチア、お前はなんでヒーローになりたいんだ?」

「急に何を...?」「いいから答えろ。」

 

ミーチアは思案しながらゆっくり答えた。

 

「最初は...不純な動機でしたわ。魔術を、魔法をなんの憂いもなく使いたかったというだけの...ですが...今は...皆の、期待に応えたいのですわ。

院長の、子供たちの、先生方の、クラスメイトの、皆の期待に。」

「そうか...お前が応えたいと思うように、お前の周りもお前に応えたいと思ってる。もっと皆の信頼に、応えてやれよ。」

 

そう言って相澤先生は席を立ち部屋を出ていったのだった。

 

「信頼に...応える...」

 

ミーチアは1人になった部屋の中で誰に言うでもなく呟いた。

 

 

それから部屋に戻ると

 

「「「「「「ミーチア!」」」ちゃん!」」さん!」

 

クラスの女子全員が一斉に出迎えてくれた。

 

「皆さん...どうしましたの?」

「ミーチア!何悩んでるのかはわかんないけど、私たちがいるからさ!ミーチアには及ばないけど...絶対力になるから!」

「そうだよ!なんでも私らに話してよ!ひとりで悩まないで!」

「そうよ、ひとりで抱え込むとなんでも悪いように考えてしまうわ。」

「ミーチアちゃん今日明らか不調やったからなんかあったんかと思って...私たちみんな味方だから!」

「そうですわ。私たち皆、ミーチアさんが心配なのですわ。どんな事でも、相談することで気が楽になりますわよ。」

「...ウチさ、入試の時にミーチアに助けられて、ウチにとってはミーチアはとっくにヒーローだったんだよ。

...ウチもヒーロー志望だからさ、今度はウチに助けさせてよ。」

 

そう言ってミーチアの周りに集まるクラスメイトにミーチアは涙を拭きながら言った。

 

「ありがとうございますわ、皆さん!」

(今はまだ話せませんが、いつか全部話せる時が来ることを願いますわ...)

 

 

それから次の日、ミーチアは前日と同じく個性伸ばし訓練を行っていた。

ただし、今日は昨日までとは違い研究をしながらではなく、B組も含めた全員と話しながらそれぞれに見合った魔法をかけてあげながらみんなの元を回っていた。

例えば、個性の限界使用によって酔う、あるいはお腹を下すものにはそれを和らげる魔法であったり、単純に個性を使い続けて強化するものには的を出してあげたり等だ。ついでに言うと空には常に魔法陣をでかでかと掲げており、定期的に全員に回復魔法をかけていた。

ミーチアは自分を心配してくれたみんなに相談という形で返せない分、ほかの形で返そうと必死になっていたのだった。

そんな中ピクシーボブが訓練中のみんなにとある事を言って回っていた。

 

「みんな頑張って!頑張ったキティたちへのご褒美として、今日の晩にはクラス対抗肝試しを決行するからね!しっかり訓練したあとにはしっかり楽しいことがある!ザ!アメとムチ!」

「あぁ忘れてた。」「怖いのまじやだぁ...」「闇の狂宴...」「イベントらしいこともやってくれんだ。」「対抗ってところが気に入った。」

「というわけで今は全力で励むのだぁ!!」

 

それからみんなで一緒に作った肉じゃがを食べ終わったあと...

 

「腹も膨れた!皿も洗った!お次は...」

「肝を試す時間だー!!」

 

その時みんなの元に相澤先生がやってくる。

 

「その前に大変心苦しいが、補習連中は...

これから俺と補習授業だ。」

「ウソだろ!!!」

 

芦戸が見たことない表情と口調になった。

 

「すまんな、日中の訓練で思ったより疎かになってたので()()()を削る。」

「うわあああ!堪忍してくれぇ!試させてくれぇ!!」

 

相澤先生の捕縛布によって芦戸、上鳴、切島、青山、瀬呂が引っ張られていく。

他のクラスメイトは為す術なくその様子を眺めるしか無かったのだった。

 

「はい、というわけで脅かす側先攻はB組、A組は2人1組で3分おきに出発。ルートの真ん中に名前を書いた御札があるからそれを持って帰ること!

脅かす側は直接接触禁止で個性を使った脅かしネタを披露してくるよ。創意工夫でより多くのものを失禁させたクラスが勝者だ!」

「やめてください、汚い。」

「なるほど!競争させることでアイデアを推敲させその結果、個性に更なる幅が生まれるということか!さすが雄英!」

「本当にそこまで考えていらっしゃるのでしょうか?」

「あれ?20人クラスで2人1組、補習5人だから...一人余る...」

 

肝試しのペアは

常闇と障子、爆豪と轟、耳郎と葉隠、麗日と蛙水、尾白と峰田、八百万とミーチア、飯田と口田、そして緑谷が1余りとなってしまった。

 

それから数分後、ほかのメンバーが次々と入っていき、ミーチアと八百万の番になった。

 

「それでは行きましょうか。」「えぇ...そうですね...」

 

八百万は明らかに怯えた様子でミーチアの後ろから着いてきた。

 

「八百万さんはこういうの苦手ですか?」

「まああまり経験がありませんので...そういうミーチアさんは平気そうですね?」

「わたくしは、まあ慣れていますので。」(前世で死霊系の魔物なんていくらでもいましたからね...対応策も知っている分特に怖がる必要のないと思ってしまいますわね。)

 

そうやって特に何も無いまま少し進んだ時、突如として頭に声が響いた。

 

『皆!敵2名襲来!他にも複数いる可能性あり!動けるものは直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せず撤退を!』

「...八百万さん、今のは...」「マンダレイのテレパスですわね。これは...すぐ戻りましょう!」

 

そこに別の生徒の声が届く。

 

「居た!助けてくれ!この先にB組のみんながこの先にいるのに...毒ガスみたいなのが充満してて進めねぇんだ!」

「...ミーチアさん、私はガスマスクを作って皆さんに配りますわ。お先に戻っていてください!」

「それならわたくしも行きますわ!」

「いえ、今からするのは隠密行動です。会敵しないよう努めますので、できるだけ少ない方がいいのです。」

「...わかりましたわ。どうかお気をつけて。ではわたくしは他のみんなの迎えに行きますわ。」

「いや、さすがに戻っとけよ!危ねぇぞ!」

「この中で全員の位置を把握できるのはラグドールさんとわたくしですわ。これが奇襲である以上、ラグドールさんが無事な保証はありませんわ。であればわたくしも動いた方がいい。」

 

その言葉に八百万は頷き、森の奥に消えていった。

それからミーチアは来た道から逸れつつ魔法陣を空中に描きながら移動を始めた。

 

その道中、再度テレパスが届く。

 

『A組B組総員、戦闘を許可する!』

「これは...対抗するための指示ですわね...皆さんむやみに戦闘して負傷しなければいいですが...」

 

そこに再度マンダレイのテレパスの声が届く。

 

『敵の狙いのひとつ判明!生徒のミーチアさんとかっちゃん!ふたりはなるべく戦闘避けて、ひとりで行動しないこと!』

 

その情報に対しミーチアはつい舌打ちを零してしまった。

敵の狙いは自分と爆豪、自分はともかく、爆豪は好戦的な性格だ。自分から的に突っ込んでいくであろうことは想像に容易かった。

ミーチアは早速完成した魔法陣を発動させ、森全体の様子を把握した。

それによると現在の状況は

麗日、蛙水と敵1人

爆豪、轟と敵1人、その近くに緑谷、障子とやけに気配の大きい常闇

ガスの中心にいる敵とそこに向かうB組の鉄哲、拳藤

そしてそこから少し離れたところに敵2人

その逆方向に八百万とB組の泡瀬とそこに向かう敵1人

スタート地点にマンダレイ、虎と敵2人

スタート地点から宿泊施設の間に光汰と相澤先生であった。

(これなら私が行くべきは...こっちですわね!)

 

ミーチアは魔法でわかった限り、負傷したまま敵に追われているらしい八百万と泡瀬の元へと向かった。

 

その道中でどうやら事情が変わったらしく、2人を追っていた敵が別方向へ向かった。

 

「八百万さん!泡瀬さん!無事ですか!?」

「俺は大丈夫だが...八百万が!」

 

負傷している八百万に回復魔法をかけ、泡瀬と話すと、どうやら敵は急に立ち止まったかと思うと検討違いの方向に向かったとの事だった。

それを不思議に思ったミーチアは再度魔法で森全体の状況を把握すると、爆豪と常闇がどこにもいなくなっていた。

先程まで爆豪と一緒にいた轟とその近くにいた緑谷、障子が1人の敵を追っている。その様子にミーチアは爆豪が攫われてしまったのだと確信した。ミーチアも急いでその方向に向かうのだった。

 

そこにミーチアが辿り着いた時、複数の敵と緑谷、障子、轟が対峙していた。

 

「爆豪は?」

「捕らえたよ。もうひとりの方が優先だったけど、あれは無理だね。相手したところで無駄に死ぬだけだ。...ってあれ?」

 

敵がポケットを漁って素っ頓狂な声をあげた時、障子が声を張り上げた。

 

「2人とも逃げるぞ!今の行為ではっきりした。個性はわからんがお前がさっき散々見せびらかした...これが常闇、爆豪だなエンターテイナー!」

 

それを見た轟、緑谷と障子が逃げようとするが、敵が仮面を外しながら舌を出すと...

 

「マジックの基本でね。モノを見せびらかす時ってのは...見せたくないものがある時だぜ?」

 

そこには常闇、爆豪の姿が浮かび上がった水晶玉のようなものがあった。

敵はそのまま現れた黒いモヤの中に消えていこうとしていた。

 

そこにミーチアが出てきて声をあげる。

 

「お待ちなさい!先程の口調、爆豪さんよりわたくしの方が優先対象なのでしょう?お2人を解放すればわたくしが着いていきますわよ。」

「ミーチア!?」

「...だってさ荼毘、どうする?」

「絶対こっちのが得だが...爆豪はダメだな。お前、1人になった途端暴れんだろ。人質がいる。」

 

その言葉にミーチアは舌打ちを零してしまった。

 

「...わかりましたわ。ただし、爆豪さんには手をあげないこと、爆豪さんに手をあげれば即刻全員を巻き込んで自爆致します。」

「えぇこいつこっわ!?」

 

そのやり取りを見ていた緑谷が声をあげる。

 

「ダメだ!ミーチアさん!」

「わたくしなら大丈夫ですわ。それより常闇さんを先に解放なさい。そうすればわたくしも無抵抗で捕まりましょう。」

 

ミーチアは常闇が水晶玉から開放されるのを見届けて、その意識を落としたのだった。




割とこうすればよかったんじゃね?ってのが浮かんでくる展開ですが、そこはごめんなさい。私の頭じゃ整理しきらんかった。
重要なのはその後なんでね。
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