それからブラドキング先生の通報によって敵が去ってから15分後、救急や消防がやってきた。
生徒40名のうち敵のガスによって意識不明の重体15名それから重軽傷者11名。無傷で済んだのは13名であった。
そして...行方不明者2名。
プロヒーローの方は6名のうち1名が頭を強く打たれて重体、1名が大量の血痕を残し行方不明となっていた。
一方、敵側は3名の現行犯逮捕となった。
彼らを残し、ほかの敵は跡形もなく姿を消した。
こうして林間合宿は幕を閉じたのだった。
それから2日後、林間合宿内で最も重傷となった緑谷の病室にA組生徒が集まった。
「おー緑谷!起きてんじゃん。テレビ見たか!?学校今マスコミやべーぞ」「春の時の比じゃねぇ。」「メロンあるぞ!みんなで買ったんだ!」「迷惑かけたな緑谷」
「ううん、僕の方こそ...
みんなで来てくれたの?」
「いや、耳郎くんと葉隠くんは敵のガスによって未だ意識が戻ってない。そして八百万くんも頭を酷くやられここに入院している。昨日、ちょうど意識が戻ったそうだ。だからここに来ているのはその3名を除いた...」
飯田がその先を言いづらそうにし、その言葉を麗日が引き継ぐ。
「14人だよ。」「爆豪とミーチアがいねぇからな。」「ちょっ、轟!」
緑谷はその言葉に、目に涙を浮かべてつぶやく。
「......オールマイトがさ、言ってたんだ。手の届かない場所には助けに行けないって...だから手の届く範囲は必ず助け出すんだ...
僕は...手の届く場所にいた。必ず助けなきゃ行けなかった...僕の個性は、その為の個性...なんだ...相澤先生の言う通りになった...
体......動かなかった...」
「じゃあ今度は助けよう。」
「「「「「へ?」」」」」
切島の発した言葉にクラス全員が騒然とする。
「実は俺と...轟さ、昨日も来ててよ。
そん時に聞いたんだ。八百万が敵のひとりに発信機を付けたって、そしてそれを受信するデバイスをオールマイトに渡してた。」
「.........つまりその受信するデバイスを、八百万くんに創ってもらう...と...?」
切島は無言で頷く。
「オールマイトのおっしゃる通り、プロに任せるべき案件だ!俺達の出ていい舞台ではないんだ馬鹿者!!」
「んなもんわかってるよ!でもさァ!何っも出来なかったんだよ!ダチが狙われてるって聞いてさァ!何っっも出来なかった!!しなかった!!
ここで動けなきゃ俺は...ヒーローでも男でも無くなっちまうんだよ!!」
切島は病院内であることも忘れて声を張り上げる。
「飯田が正しいよ!でも!なあ緑谷!まだ手は届くんだよ!」
そう言って切島は緑谷に手を差し出した。
芦戸が切島の意図を理解し、それをまとめる。
「ヤオモモから発信機のヤツもらって...それを辿って...自分らで爆豪とミーチアの救出に行くってこと...!?」
「敵は俺らを殺害対象だといい爆豪とミーチアは殺さず攫った。生かされるだろうが、殺されないともいい切れねぇ。俺と切島は行くぞ。」
「ふっ...ふざけるのも大概にしたまえ!!」
飯田が激昂して声を荒らげるが、障子がそれを止めた。
「まあ待て、落ち着け。
切島の何も出来なかった悔しさも、轟の眼前で奪われた悔しさもわかる。俺だって悔しい。だが、これは感情で動いていい話じゃない。」
「オールマイトに任せようよ...戦闘許可は解除されてるし...」「青山の言う通りだ。助けられてばかりだった俺には強く言えんが...」
「みんな、二人がさらわれてショックなのよ。でも冷静になりましょう。どれほど正当な感情であろうと、また戦闘を行うというのなら...ルールを破るというのなら、その行為は敵のそれと同じなのよ。」
蛙水のその言葉に生徒全員が押し黙った。
その時病室の扉がノックされる。
「お話中ごめんね。緑谷くんの診察の時間なんだが...」
「...い、行こうか。耳郎とか葉隠の方も気になっし...」
その言葉にみんなが病室を出ていくが、切島だけは緑谷の元に残って言葉を残した。
「八百万には昨日話した。行くなら即行...今晩だ。
重症のおめーが動けるかは知らねぇ、それでも誘ってんのは...おめーがいちばん悔しいと思うからだ。
...今晩、病院の前で待つ。」
その言葉を、飯田が病室の外から聞いていた。
そして時間がたち、夜。病院の前では切島と轟が会話をしていた。
「八百万...考えさせてくれっつってた...どうだろうな...」
「まァ...いくら逸っても結局あいつ次第だ。」
そこに院内から八百万と緑谷が出てきた。
「八百万...答え...」「私は...」
「待て」
八百万の答えを聞き出そうする切島達の元に飯田が現れたのだった。
「...なんでよりにも寄って君たちなんだ...俺の私的暴走を咎めてくれた、共に特赦を受けたハズの君たち二人が...なんで俺と同じ過ちを犯そうとしている!?あんまりじゃないか...
俺たちはまだ保護下にいる。ただでさえ雄英が大変な時だぞ。君らの行動の責任は誰が取るのかわかっているのか!?」
「飯田くん違うよ。僕らだってルールを破っていいなんて...」
その時、飯田が緑谷を殴った。
「俺だって悔しいさ!心配だ!当然だ!
俺は学級委員長だ!クラスメイトを心配するんだ!爆豪くんやミーチアくんだけじゃない!!
君の怪我を見て、床に伏せる兄の姿を重ねた!君たちが暴走した挙句、兄のように取り返しのつかない事態になったら......僕の心配はどうでもいいって言うのか!!
僕の気持ちは......どうでもいいって言うのか......!」
「飯田くん...」
そこに轟が声をかける。
「飯田。俺たちだって何も正面切ってカチ込む気なんざなぇよ。
戦闘無しで助け出す。」
「ようは隠密行動!それが俺ら卵のできる...ルールにギリ触れねぇ戦い方だろ!」
「私は轟さんを信頼しています...が、万が一を考え私がストッパーになれるよう...同行するつもりでまいりました。」
「八百万くん!?」「八百万!」
「...僕も、自分でも分からないんだ...手が届くと言われて...いてもたってもいられなくなって...
救けたいと、思っちゃうんだ。」
緑谷の言葉に飯田が諦めたように言う。
「平行線か...
ならば...俺も連れていけ!」
場所は変わって、ミーチアが目を覚ますと、ベットに寝かされていた。
「ここは...」
そこに設置されたモニターから声が響く。
『ああ、起きたかい?良かった。聞きたいことがいっぱいあってね。おはよう、ミーチア・リダー君』
「...貴方は誰ですの?」
ミーチアは敵に誘拐された。目の前のモニターから聞こえる声が敵でないわけがないと思い警戒する。
『僕が誰かはどうだっていいさ。今重要なのは...君だ。
君は...無個性なのかい?』
「何を言っているんですの?雄英体育祭を見ていなかったのですか?」
口調から明らかに味方ではないと判断し、ミーチアはいっそう警戒を強めた。
この質問は二回目だ。ラグドールと同様の個性を持つ敵がいないとも限らないと考えたミーチアは、この質問に対する答えは準備できていた。
『僕の個性は他人の個性を奪うことができるものでね。それで君の個性が欲しいと思ってね。弔達に攫ってもらったんだが...いざ奪おうとすると出来なかった。仕方なく、もう1人から先に貰ったんだが...それでわかったんだ。君が無個性だってね。』
「ラグドールさんから...!?」
会話の情報からラグドールも攫われ、なおかつ個性を奪われてしまったと察したミーチアは動揺する。
「...何を言っているんですの?もちろん個性を持っていますわ。こんなふうに...あら?」
ミーチアは事前に考えていた通り、無個性なのかという質問に対して、個性を使おうとするが出なくなったと言うふうに演技をした。
『無駄だよ。僕は嘘を見抜く個性も持っているんだ。
君は...あれを無個性でやったんだね。どうやったんだい?』
「そうですか...では黙秘いたしますわ。」
演技がバレるや否やミーチアは諦めたようにベットに横たわり目を閉じる。
『そう拗ねなくてもいいじゃないか...っと、こっちでも用事ができてしまった。ドクターにも見てもらいたかったが今は時間が無いし、僕は行くがあまり暴れないでくれよ。』
そう言ってモニターの電源が消えたようで、ミーチアは起き上がり空中に魔法陣を描き出す。
(まずはココがどこか...ですわね。脱出の手立てはあるのか...爆豪さんは無事でしょうか...?)
それから数分後、裏社会を牛耳る最凶の敵、オールフォーワンとオールマイトが対峙していた。
その隣では敵連合と爆豪が戦闘を行っている。
その様子を陰から見守る一団がいる。こっそりと爆豪、ミーチア救出にきていた緑谷、轟、飯田、切島、八百万の5名であった。敵連合と戦闘に及ぶ爆豪を助け出そうと必死に考えを巡らせていた緑谷が他4人に声をかける。
「飯田君、皆!」
「ダメだぞ緑谷君」
「違うんだよ...あるんだよ!決して戦闘行為にはならない!僕らもこの場から去れる!それでもかっちゃんを助け出せる!方法が!」「言ってみてくれ。」
「でもこれは...かっちゃん次第でもあって...この策だと多分、僕じゃ成功しない。だから切島くん、君が成功率を上げるカギだ。」
そんな中、急に近くの壁が壊れ、そこから3人の人間が出てくる。
それがそのまま地面から盛り上がった氷山を登って空を飛ぶ。
それは緑谷と飯田、切島だった。
「来い!!」
切島のその声に爆豪が空に飛び上がり、切島の手を取る。
「......バカかよ」
そのまま彼らはこの戦場から離脱して行ったのだった。
戦場から生徒が離脱したことにより、オールマイトは対峙する敵に集中して対峙することができるようになったが、まだ心残りはあった。
「答えろ!ミーチア少女は何処だ!?」
「この近くにはいるさ...そうそうこれを言っておこう。彼女、無個性らしいね。」
「...何を?」
オールフォーワンが急に言い出したわけの分からない言葉にオールマイトは疑問を返す。何せ彼女は魔術の個性を持ち、その強大な個性で体育祭を優勝し、また普段のオールマイトの授業でも突出して優秀な成績を残し続けてきたのだ。無個性などということはありえないだろう。
「僕にも原理は分からないさ。彼女は無個性の身であれをやっていたんだよ。」
「何を訳の分からんことを!そんな言葉でこっちが動揺するとでも思ったか!?」
そのまま突っ込んで行ったオールマイトとオールフォーワンがぶつかった。
一方ミーチアの方では...
(近くにオールマイト先生と敵...戦闘内容的に先程の敵はこの方ですわね...まずは、ここから出ましょう。)
ミーチアが現在いる壁は簡単に壊すことができた。
(逃れられても問題がないと?意図が掴めませんわね...)
その瞬間、周りの街に巨大な衝撃波が走り、建物が崩壊して言った。
「っ!今はそれよりオールマイト先生を!」
ミーチアはおそらく使うことになるであろう大魔法の魔法陣を空に描きながら戦場に向けて飛んでいく。
オールフォーワンとオールマイトの戦闘のさなか、オールフォーワンが衝撃波を放とうと腕をふくらませた。
「でけぇのくるぞ!避けて反撃を!」「避けていいのか?」
オールマイトの後ろには瓦礫に捕らわれた一般人がいた。それによって避けられないオールマイトに対してオールフォーワンが容赦なく衝撃波を放った。
オールマイトは何とか残る力を振り絞ってそれを相殺するが、それによって肉体の限界が来てしまった。
そこにたっていたのはガイコツのような見た目をした男だった。
『え...えっと何が...?皆さん見えますでしょうか?オールマイトが...しぼんでしまっています...』
「頬はこけ、目は窪み!貧相なトップヒーローだ。恥じるなよ、それが
オールマイトはオールフォーワンを睨み、拳を握って言葉を放つ。
「身体が朽ち衰えようとも...その姿を晒されようとも...
私の心は依然、平和の象徴!!一欠片とて奪えるものではない!!」
「素晴らしい!参った強情できかん坊なのを忘れていた。じゃあこれも君の心には支障ないかな...あのね...
死柄木弔は志村奈々の孫だよ。」
その言葉にオールマイトは絶望したような表情を見せた。
志村奈々とはオールマイトの師匠、そして死柄木弔は敵連合のボスであった。
「君と弔が会う機会を作った。君は弔を下したね。何も知らず、勝ち誇った笑顔で。」
「ウソを...」
「事実さ、わかってるだろ?僕のやりそうなことだ。
あれ?おかしいなオールマイト。笑顔はどうした?」
そう煽るオールフォーワンにオールマイトは姿勢を崩しかけるが、そこに後ろから声が聞こえてくる。
「負けないで...オールマイト...お願い...助けて」
その声にオールマイトは再び力を振り絞って言う。
「お嬢さんもちろんさ。ああ!多いよヒーローは!守るものが多いんだよオールフォーワン!
だから、負けないんだよ!!」
「渾身それが最後のひと振りだねオールマイト。手負いのヒーローが最も恐ろしい腸を撒き散らし迫ってくる君の顔は今でも夢に見る。2、3振りはみといた方がいいな。」
そう言って腕を膨らませるオールフォーワンに向けて炎が迫ってきた。
「なんだ貴様...その姿はなんだオールマイトォ!!」
その戦場にエンデヴァーら別のプロヒーローが入ってきた。
さらにそこに新しい声が響く。
「治癒の女神の祝福をここに!混沌の世を正すは其の息吹!秩序ありて世に賛美を現す至上の祝福である!!」
戦場にやってきたミーチアの声とともにオールマイトに、それだけでなくこの神野区全体にじんわりと光が差し、負傷した人々をあっという間に癒してしまった。
「全く厄介だな。個性を奪って終わりかと思えば、無個性とは!ここは戦場だ!学生らしく大人しくしているといい!」
そう言ってオールフォーワンが衝撃波をミーチアに向けて放つが、ミーチアは簡単にバリアで防ぐ。
「わたくしだってヒーローの卵、人を救うのに躊躇はありませんことよ。さあオールマイト先生、回復は致しました。あとは貴方の出番でしょう?」
「あぁそうだな。オールフォーワンよ!決着だ!」
複数の個性を組み合わせて腕を肥大化させたオールフォーワンと再びマッスルフォームを取り戻したオールマイトがぶつかった。
「UNITED STATES OF
SMASH!!!」
2人がぶつかった衝撃は周囲を襲う。ミーチアが咄嗟に2人の周囲にバリアを貼るが一瞬で壊れてしまった。煙が立ち込める戦場の真ん中。
その煙が晴れた時、
オールフォーワンを下したオールマイトはカメラに向けて勝利のスタンディングを見せたのだった。
毎度のことながら悩む大魔法の詠唱。被らんように神話調べて、設定考えて、詠唱考えて、言葉いろいろ類義語とか調べて...まじ大変なんですよこれ。しかもまあミーチアちゃんの口調で喋らせられないから接続詞とかこれであってんの?って思いながら書いてる。文法おかしくても許してネ。そこまで気にかけてられんのです。