悪役令嬢のヒーローアカデミア   作:めめ師

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第二十六話です。書き始めといてなんだけど、実際にあげた時の評価どうなるんだろうと不安になってます。今まではヒロアカっていう主軸になる作品があったからさ...


雄英襲撃事件

A組寮内、共有スペースにて

普段から垂れ流しにされているテレビの画面にひとつのニュースが報道されていた。

 

『先日から○○市で立て続けに起きている異形型を狙った誘拐事件ですが、現在警察は反異形団体の犯行によるものとみて捜査を進めています。』

「最近こういうの多いわね。○○市と言うと個性が使えなくなる事件が起きていたでしょ。」

「ええ、そうですね。○○市を狙った犯行として、他の地域のプロヒーロー、トップヒーローなんかも招集しているようですし」

「何か保須思い出すな...」

 

保須といえば過去ヒーロー殺しとその仲間の敵連合と思しき複数の敵が大暴れをし、現在のステイン信奉の思考を世間に植え付けた大規模襲撃事件のあった街。

A組の中でも緑谷、飯田、轟の3人が職場体験においてヒーロー殺し逮捕の現場に居合わせたため彼らのクラスメイトには記憶に新しい事件となっていたのだった。

 

それから数日、訓練や授業を続けていく日々が続き週末、食堂でみんなが昼ごはんを食べている時。

ミーチアは唐突に膨大な魔力の動く気配を感じ、声を張り上げた。

 

「皆さん!個性を使えますか!?」

「ミーチア急にどうした?ってあれ?出ねえわ。相澤先生?」

 

みんなが個性を発動できない事に違和感を覚えているとミーチアが食事をやめて、()()()使()()外に飛び出した。

 

「風よ!」

「え!?ちょっ、ミーチアちゃんどこ行くん?」

「ほんまに個性出ねえ。あいつだけ使えんの?」

 

皆は唐突に外に向かって飛び出していくミーチアを心配して着いていく。

 

外に出るとミーチアは空中を飛ぶやけに荘厳な衣装に身を包む男性と対峙していた。

 

「レオン王太子殿下、お久しぶりですわ」

 

ミーチアの台詞にクラスメイトのみんなは驚く。

 

「え!?知り合い!?」「誰!?イケメン!」

 

ミーチアと対峙する男性はクラスメイトのみんなを一瞥すると、再びミーチアに向き直り声を出した。

 

「今は国王だ!それにもはや婚約者などではない、愛称で呼ぶのはよしてもらおうか。」

「...レオニダス国王陛下、御即位おめでとうございます。...して、なにかご用事が?」

 

クラスメイトは聞こえる会話に何やら不穏な気配を感じ取った。

ミーチアは外国出身とはいえ、日本には4歳からいたはず。婚約者とはそんなに早くから決まるものなのか。

そして目の前の男性を国王陛下と呼ぶ。彼女の故郷の国王が彼ということなのだろうか。

 

「貴様が生きていると、女神様が貴様を忘れられんようでな。ソニア姫を妃として認めてもらうため、貴様を殺しに来たのだ。」

 

レオニダスの言葉にクラスメイトのみんなが驚愕して声を上げた。

 

「ミーチアを殺す!?」「ダメだよさせないよ!」「ミーチアちゃん逃げて!」

「...ふん。あの不気味な力があるならばまだしも、それすら無いのに粋がるとはなんとも浅ましいな。大人しくしていろ」

 

そう言ってレオニダスがA組一同に向けて唐突に巨大な炎を放った。

ミーチアはそれを水を放出して防いで言う。

 

「皆さんに傷はつけさせませんわよ。どうやら昔の陛下とは違うようですが、わたくしも成長していましてよ。」

「ふん...どう成長したのかは知らんが、直接献身の女神様に謁見して加護を頂いた俺には遠く及ぶまい?」

 

そう言ってレオニダスが無言で炎をミーチアに向けて放出した。ミーチアは同じく無言で水を出して瞬時に消火する。

 

「ふん。俺は炎で貴様が水。この相性差がずっと煩わしかった。これのせいで俺は次期国王でありながら万年次席という座に甘んじるしか無かった!ああ今思い出すだけでもイライラする!」

 

ミーチアとレオニダスが話している裏で耳郎が相澤先生に電話をかけていた。

 

「先生!今みんな個性使えなくなってて!ミーチアだけは使えるみたいだけど、なんかミーチアがよくわからん男と戦ってる!」

『何?わかったすぐ行く!』

「先生も個性使えないかも!」

『わかってる!』

 

そう言って電話を切った相澤先生が職員室にいるほかの先生に声をかけて職員室を飛び出す。

 

「A組から連絡が入った!ミーチア以外個性が使えなくなってる!ミーチアが正体不明の男と戦闘中!戦える人は来てください!」

 

一方でミーチアとレオニダスの戦闘は激しさを増していた。

お互いに無言で炎を放出しては消火をして、水流を避けては炎を放出してを繰り返していた。

その様子を見ていたクラスメイトは違和感を覚える。

 

「...ミーチア何で水しか使わねぇんだ?相手が炎だから相性はあるにしろ、なんか変だろ...」

「それに、ミーチアってだいたい戦闘中に空に魔法陣描いてるイメージだけど、それもやってないね...」

「まさかそれだけ余裕がないということか!?クソッ!個性が使えていれば直ぐに加勢するというのに!」

 

口々に言うクラスメイトに向けて緑谷が声を上げた。

 

「いや、個性が無くても加勢くらいなら出来るはず...!僕たちだって個性の使えない状況下での訓練をやっているんだ!サポートアイテム取ってくる!」

 

緑谷はそう言って寮の中へと駆け出した。が、そこにミーチアの声が響いた。

 

「いけませんわ!これはわたくしの戦い、わたくしに任せてくださいまし!」

「ふん、周りを心配する余裕があるとは腹が立つ。

...まさかとは思うが貴様、ヒーローだったか?あのような不合理な輩を目指しているのではあるまいな?」

「...でしたらなんだと言うのです。」

「フハハハハ!これは傑作だ!貴族が真面目に民草なぞ守ろうとして何になる!むしろ戦わせる立場だろう!やはり貴様なぞ国王の妃になるべきでは無かったな!」

「わたくしも願ってなどおりませんでしたわ!」

 

再び炎と水がぶつかった。

そしてそこにプロヒーローたちが到着した。

 

「まじで戦ってんのか...!チッ!」

 

戦闘を走る相澤先生が捕縛布をレオニダスに向かってなげる。

対してレオニダスがそれを燃やそうと炎を向けたが、

 

「悪いがしっかり耐熱性だ。そのまま大人しくしてろ、敵。」

 

相澤先生がレオニダスを拘束して地面に叩き落とす。

が、レオニダスの余裕そうな笑みは消えていない。

 

「ふん、人が増えたか。あのわけのわからん能力もなしに戦えるやつがいたのは誤算だったな。次は人が入って来れないような結界でも張っておくか。」

「いけませんわ!相澤先生!離れてください!」

 

ミーチアが声を張り上げたと同時、捕縛布が何故か急に解けてしまい、相澤先生に向けて炎が放たれた。

ミーチアが咄嗟に水で消化したことで大事には至らなかったが、その隙を着いたレオニダスが空中に飛び去って行ってしまったのだった。

 

「次は殺すぞ!ミーチア・リダー!覚悟していろ!」

 

それから諸々の事後処理が終わって夜、皆は相澤先生に寮の共有スペースへと呼び出されていた。

 

「えー、っつーわけで明日は大事をとって臨時休校だ。それと明日から各学年寮の監視のためにプロヒーロー2名が常に見張りに着くことになる。

狙われたのはミーチアひとりって話だが一応な。

話は以上だ。じゃー解散。」

 

そう言って相澤先生、他のみんなが離れようとするが、爆豪が声を上げてそれを止めた。

 

「待てや。おい、話すべきことがあんだろがよ」

 

その声にそこにいる全員の視線はミーチアに向けられた。

ミーチアは座って俯いたまま動かない。

 

「ちょっと爆豪、私らだって気になるけど。その言い方はないじゃん」

「うるせぇ、さっさと話せ。」

 

ミーチアは数秒黙ったあと、小さく声を上げた。

 

「相澤先生......お願いしますわ。」

「いいんだな」

 

ミーチアの意図を理解した相澤先生はミーチアに向けて個性を発動させた。

そしてみんなが見守る中でミーチアは手から火を出した。

その様子にクラスメイトが驚愕した。相澤先生が個性発動時に髪が逆立つのは最早周知の事実。その視線は今ミーチアに向けられている、ミーチアは個性が使えないハズだった。そんな中でミーチアは個性の魔術を発動して見せたのだ。

 

「わたくしの魔術は...個性はありませんわ。

これは理解をすれば誰にでも扱える技術。それが魔術なのですわ。」

「えっ、俺らにもできるってこと!?」

「本来であれば。しかし皆さんにとって魔力は馴染みの無いもの。扱うどころか知覚するのも難しいでしょう。

わたくしがこれを学んだのは...前世での事ですわ。

わたくしは魔術の存在する異なる世界から転生してきましたの。」

 

その言葉にクラスメイトは再び驚愕した。

前世を信じる信じないはそれぞれあるが、みんなが個性を使えない中でひとり戦えたことや、相澤先生の個性を受けたままに魔術を使ってみせた様から魔術が個性ではないというのは証拠が出ていた。

 

「襲撃をしかけてきたあの男は、わたくしの前世での婚約者。わたくしのいた国を収める王族でしたわ。

口ぶりから察するに女神様に新しい妃を認めてもらおうと古い妃候補であったわたくしを殺そうとしたのでしょう。」

「つまり、あの男性が使っていたのも個性ではなく魔術だということですか?」

「ええそうです。この世界に生まれた人間ではありませんので個性なんてものはありませんわ。」

 

ここでミーチアが立ち上がり、みんなに頭を下げながら言った。

 

「今まで騙していて申し訳ありませんでしたわ。わたくしはこの世界にとって異物。あの男もそうです。

...ですからこの事件は、わたくしが解決しますわ。」

 

そう言ってミーチアが寮を出ていこうとしたが

 

「「待って!」」「「「待ってよ!」」」「「待てって!」」「待ちたまえ!」

 

クラスメイトのみんながそれを止めた。

足を止めたミーチアにみんなが近づき、口々に言った。

 

「ミーチアのことはびっくりだったけど、私ら仲間じゃん!一人で抱え込まないで頼ってよ!」「そうだぜ!仲間のために動くのがヒーロー!そして漢なんだぜ!」

「俺はクラスの委員長だ!クラスメイトを見捨てるなんて無責任なことはしない!」「ミーチアさん、個性を使えない僕たちじゃ頼りないかもしれないけど、それでもやれることはいっぱいあるんだよ!」

 

ミーチアはそれらを聞いて、目に涙を貯めて振り向いた。

 

「皆...ありがとうございます...」

 

そこに相澤先生もやってくる。

 

「ミーチア、俺はお前の親に立派なヒーローにしてくれと頼まれてる。いいか、ひとりで何でも解決するから立派なヒーローなんじゃねぇ、頼れる仲間と協力して事件を確実に解決すんのが立派なヒーローだ、オールマイトだってひとりよがりなヒーローじゃねえんだ。どんな理由があろうとどんな経歴だろうとお前は俺の生徒だ。最後まで、立派なヒーローになるまでとことんやってもらうぞ」

 

ミーチアはそれを聞いてついに崩れ落ち、声を上げて泣いてしまった。クラスメイトは周りで見つめたり、ミーチアを抱いたりして泣き止むまで待っていた。

 

それからミーチアは数分間泣き続けた。

 

「皆さん、申し訳ありませんでしたわ...

...もう少し迷惑をかけることになると思いますが...よろしくお願いしますわ。」

 

そう言ってミーチアは笑顔になる。

 

「うんうん。ミーチアは笑顔が似合うからね!そうやって笑っていよ!」

 

それから皆は次にレオニダスが襲撃に来た時の作戦会議に入る。

 

「まずですが、あの個性が使えなくなる結界ですが、私があれを壊しますわ。今回も戦いながら壊すために解析していましたが、時間が足りませんでしたわ。

次の戦闘で結界の破壊にどれくらいの時間がかかるかは分かりませんが、次は人払いの結界も合わせると言っていました。そうなると術式が簡略化されますの。続きからともなるとおそらくすぐだと思いますわ。」

「...そういえば今回の戦闘なんか変だったよね。ね?みんな」「確かにそうだったな。」「いつもと全然違ったよな。」

「変...とは?」

 

ミーチアにとってはいつも通りの戦闘だったためクラスメイトが感じた違和感がわからず聞き返した。

 

「ミーチアちゃんが魔法を使う時に何も喋ってなかったし、水の魔法しか使ってなかったわ。」

「あぁ...魔術師同士の戦闘はそれがセオリーなのですわ。

陛下...敵は炎の魔術しか扱えない様子でしたがお互い複数の魔術を扱える同士での戦闘において、何をするのかを先に宣言することは愚策とされておりますの。

水魔術については、私が前世で収めていた魔術がそれだけだったからですわ。手の内を知らない相手に手札を見せる必要はありませんもの。」

「はぁー、なんでもできるからこそのセオリーだね。私らにはわかんない感覚だ。」

 

ミーチアの説明に皆は納得したような顔になった。

そこで相澤先生が疑問を飛ばす。

 

「俺の拘束が破られたのは何かわかるか?感覚的には無理やり内側から広げられたような感じだった。」

「あれはおそらくですが、女神様のご加護ですわ。

わたくしの世界には10の女神様がおりましたの。

そのうちの一柱、献身の女神様の加護。詳しい内容はわたくしも知りませんが、女神様がピンチを救う類いのものかと。それを破るのは同様に女神の力を用いるしかありませんが、わたくしにはそれが可能ですわ。」

「フム...必殺技の疑似神話だな...」

 

常闇の言葉にミーチアは頷く。

 

「ですが、わたくしがその大魔法を発動するまで結構な時間を要します。戦闘中かつ、手加減無しの本気でやるとなると恐らく5分は必要になるでしょう。

ですので、戦闘が始まったらわたくしがまず結界を壊します。それから皆さんに時間を稼いでいただいてわたくしの大魔法でフィニッシュですわ!」

「「「おおー!」」」

 

ミーチアの説明に皆が盛り上がる。

 

それから今後来るであろう襲撃に備えて皆は再び訓練の日々を送っていくのだった。




みんなから自分を認められて内心ウッキウキのミーチアちゃん可愛いね。
仲間がいれば仲間のためにどこまでも頑張れる子なので、自分を認めてくれる存在の有無はほんとに大きいのです。そのへんも描写していきます。
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