悪役令嬢のヒーローアカデミア   作:めめ師

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第二十七話です。頭の中にある構想の全てをメモに起こしきれてなくて書き進めようとする度にツギハギのストーリーが組み上がっていってる気がする。頭の中で矛盾する分にはどうでもいいけど、ここで変なことにならないようには気をつけます。


死の裁定

雄英高校学生寮襲撃事件の夜

 

「あぁクソッ!撤退してしまうしかないとは...だが、この世界でも女神様の加護が働くことは確認できた...

女神様の加護を破れるのは同じ力のみ!この世界にそんなものは存在しない!これで俺の勝ちは確定だ!

ハハハッ!ハハハハハハ!!」

 

傲慢な王は自らの勝利を信じて疑わない。

だがそれも無理のないこと。なぜなら女神様の権能を行使するのはとても難しいこと、それも一人で行うなど常識外れもいいとこだったのだ。過去にはそういった大魔法使いもいくつか例があるが、それも数万年の歴史の中で数える程度。

まさかその例外が自分の時代にいたとは...ましてやそれが自分の時代に、罪人として刑罰を下したものが該当していたとは...

 

雄英高校会議室にて

 

「学生寮襲撃事件について、今現在も継続してプロヒーロー2名による警戒を続けています。

そして犯人の狙いについてですが、解明しました。それの説明としてうちのクラスのミーチアに来てもらっています。...入ってこい」

「失礼しますわ」

 

1人の敵による雄英襲撃事件という前例のない事件の関係者としてミーチアは会議に呼ばれていた。

教師陣は彼女を見て驚くこともなかった。

雄英高校全体で個性が使えなくなっている中、彼女だけが個性を使い、その敵と戦って見せたのだ。何も関係がないというほうがむしろ不自然だろう。

 

「まずは順を追って説明いたしますわ。

かの敵の名前はレオニダス・リビニア。リビニア王国の国王陛下ですわ。」

 

ミーチアの言葉に教師陣は疑問をいくつも抱えた。何故そこまで詳細がわかっているのかと、そもそもそんな王国の名を知らないのだから。

そんな疑問はすぐに解消される。

 

「...皆様はそんな名前の王国なんて聞いたことは無いでしょう。それもそのはずですわ、何故ならこことは異なる世界の存在する国ですので。

そしてわたくしも、その世界からやって来ました。

わたくしの個性は魔術、それは皆様もご存知でしょうが、事実は違います。わたくしは無個性、魔術や魔法はわたくしの世界に存在した技術ですわ。

そして件の敵は元の世界での目的達成のため、わたくしを殺しにやってきた、ということですわ。」

 

そこまで説明をしたところでミッドナイト先生が待ったをかけた。

 

「ちょ、ちょっと待って!色々と理解が追いつかないわ!

...まず、あなたが無個性というのは本当なの?」

「本当のことですわ。相澤先生。」

 

ミーチアの言葉を合図に相澤先生は個性をミーチアに使い、その視線の中でミーチアは火を手から出して見せた。

 

「...本当なのね...じゃ、じゃあ次は...あなたは異世界からやって来たというのは?」

「わたくしはその世界で冤罪を被せられ、魔法でその意識ごと追放されたのですわ。そしてこの世界にやって来た。証明出来るものがあるわけではありませんが...魔術や件の敵が証拠になるでしょうか?」

「え、えぇ信じるわ。

じゃあ最後、敵があなたを殺そうとしていた理由は?」

「そこは憶測になりますが、わたくしの世界では王の妃として選ばれる際、女神様に認めてもらうという風習があるのですわ。元々認められていたわたくし以外の方を認めさせるため、わたくしを殺そうという魂胆だと睨んでいますわね。」

「そ、そう...」

 

会議室の中は困惑に包まれた。誰もが彼女は嘘を言っていないだろうと思いながらも、もし本当にそうであれば彼女が言う、異世界の存在や、魔術、女神などの非科学的な事象を肯定することになる。

個性すらも原因不明ながら個性因子という形で解明された現代において、女神や魔術といったものは受け入れがたかったのだ。

沈黙が続く会議室の中で校長先生が声を出した。

 

「まあ何であれ、今重要なのはうちの生徒が狙われているということさ。引き続きプロヒーローによる監視体制を続けつつ対策を練っていくのさ。」

 

そうして会議が終わり、会議室から寮に戻ろうとするミーチアをミッドナイト先生が止めた。

 

「あなた...本当に言ってよかったの?」

 

何を、とは問わなかった。もしかするとその質問の中にはミーチアが説明した全てについて問われていたのかもしれない。

ミッドナイト先生が聞きにくそうながらも聞いたその質問にミーチアは笑顔を向けて毅然と答える。

 

「えぇ、わたくしにはもう、わたくしを認めてくれる仲間がおりますもの。」

 

ミッドナイト先生は自分が見ていないうちにおそらく行われたであろう青春の気配に後悔を覚えた。

 

 

それから数日、学生寮襲撃事件から1週間の時が経過した時、共有スペースで談笑をしている中、ミーチアが魔法発動の気配を捉え、声を上げた。

 

「...!来ましたわ!皆さん!手筈通りに!」

 

ミーチアの声にみんながサポートアイテムを片手に臨戦態勢を整えた。

各自サポート科に依頼して自身の個性を再現したようなサポートアイテムを用意していたのだ。それを1週間と経たずに用意して見せたサポート科、特に発目明には頭が上がらない。

ミーチアは寮の外に出て、空を飛びながらこちらを睨みつけるレオニダスを見つけた。

 

「ミーチア・リダー、今日こそ決着だ。」

「いいでしょう。こちらも準備は万端でしてよ?」

「フン、余裕綽々ということか。その余裕は直ぐに剥げるさ。」

 

レオニダスが手を横に広げると雄英高校の門を超えて校舎内に続々と魔物が、ゴブリンやスケルトン、二足歩行の狼等、いかにもファンタジーらしい敵が攻め入ってきたのだった。

 

「うわ!ゲームっぽい!」「うぎゃ!骨が動いてる!」「ちょっ、落ち着けって耳郎!ミーチアに聞いてたろ!」

「先日の様子から余程仲間が大事と見える。であれば守るのだろう?ヒーローとやらよ。」

 

そう言って嫌な笑みを浮かべるレオニダスをまっすぐと見据え、ミーチアは毅然と答えた。

 

「何もヒーローはわたくしだけではありませんわよ。仲間とは守るものではなく、信じるものですわ!」

 

そう言ってミーチアはレオニダスとの戦闘に入った。

その間、A組の面々は各自のサポートアイテムを駆使して魔物を押しとどめ、果ては討伐をしてみせていた。

それを見たレオニダスは目に見えて狼狽える。

 

「なっ!?何故力の使えんヤツらが戦える!?」

「国王陛下、彼らは強い力を持って生まれたからヒーローなのではありませんわ。強い心を持つからこそヒーローを志すのです。...まあ、あなたには分からない話でございましょう。持って生まれたものを全てと勘違いするあなたには...だから、わたくしの努力も理解できない。」

 

そういってミーチアがレオニダスの後ろから気づかれないように大地を動かして彼を拘束した。

 

「何!?大地の魔術だと!?貴様水しか使えんはずだろう!」

「一体いつの話をしていらっしゃるのですか?わたくしは既に全属性魔術という基礎なぞ終えておりましてよ。」

「基礎魔術だと...!?舐めるのも大概にしろ!そんな...」

 

そうレオニダスが喋っている時、ミーチアが唐突に魔力を活性化させた。

その瞬間パリィィン!という大きな音とともに周囲を包んでいた個性因子不活性化の結界が壊れた。

 

「皆さん!これで個性が使えますわよ!」

 

ミーチアのその声を皮切りにみんなが個性を使い、先程まで拮抗していたはずの魔物たちをものすごい速度で一斉に制圧した。

 

「なっ!貴様よくも...!」

 

レオニダスが自身の作った結界をものの数分で攻略されてしまったことに激昂してミーチアに今までの中で最大の炎を放った。

が、地面から突如生えた巨大な氷塊に防がれた。

 

「させねぇよ。次は俺らの番だ。」

 

轟がそう言って炎をレオニダスに向けて放つ。

レオニダスはそれを避けるが、その避けた先に飛び上がった爆豪が迫る。

 

「個性が使えりゃてめぇなんざ敵でもねぇんだよ!」

 

そう言って爆豪がサポートアイテム内に溜め込んだ汗を一気に爆発させた。

対してレオニダスは献身の女神の加護によって爆発の軌道を逸らして対応しながら言う。

 

「大層な妄言を履いたところで貴様らに女神様の加護を破る術など無いだろう!」

 

そう言って爆豪を迎撃しようとするレオニダスの元に次々と炎、酸、礫等が飛んできた。

 

「ミーチアから聞いてる。その女神とやらが捌ききれないほどの攻撃を続ければ当たんだろ?」

「それならひたすら攻撃し続ければいずれ限界は来る!」

「あなたはここで止める!ミーチアちゃんを殺させなんかさせんから!」

 

それから尚も続くA組全員からの攻撃にレオニダスも流石に加護を信用しきって無視などできず、ミーチアを無視してA組の方に降り立ち、炎を放った。

しかし当然それはミーチアの水によって防がれてしまった。

レオニダスは自身のやろうとすることをことごとく防がれるストレスからミーチアに向かって叫んだ。

 

「いい加減にしろ!このまま続けたところで意味など無い!どうせ貴様は俺にこr...」

 

その時、レオニダスはミーチアの頭上、遥か上空でどんどん形成されていく魔法陣を目にした。

その上、その形からその魔法陣が何の魔法、何の女神を表すものかを理解してしまった。レオニダスは顔を引き攣らせて言う。

 

「ま、まさか...これは...いや、そんな一人で...」

 

そんなレオニダスを見たミーチアは手に取り寄せた魔力石を8つ砕いて言う。

 

「優秀だった陛下なら気づいたでしょう。これが何を表すかを。」

「な...!貴様貴重な魔力石を8つも!」

「この世界は魔力を循環させる機構などとうに失われておりますわ。滞った魔力は霧散することなんてない、それは地下深くでとある鉱石に蓄積し続けていた...

この世界にとってはありふれたなんでもないものでも、わたくし達にとっては値千金。

わたくしはその価値の高さを知る唯一の人間でしてよ。」

「な...」

 

絶句するレオニダスを意に介さず、ミーチアは大魔法を発動する。

 

「神代に根差した十の神罰!そのうちの一つがこれなりや!後の世に普遍なれど、其の偉業こそ数多なりて!これこそは!死の女神の大いなる回帰である!!

擬似神話・黄泉の裁定!!」

 

その瞬間空中に浮かぶ魔法陣がこれまでに無いほどの光を放ち、そこから巨大な美しい手が伸びてきた。

レオニダスは絶望した表情でそれを黙って見つめ、無抵抗なままに手に飲み込まれてしまった。

A組のみんなも、その手の異様さとレオニダスを包むその手の柔らかな仕草になんとも言えぬ神秘的な印象を覚え、見惚れる様に動けていない。

そんな中、ミーチアが祈るように手を合わせゆっくりと口を開いた。

 

「...貴方の結界。どれほど前から研究を始めたのかは分かりませんが、明らかに人の細胞を大量に貼り付けたような術式をしていました。それも大量に。この術式を組むためにいったい何人を犠牲としてきたのでしょう。何があなたをそんな狂気に走らせたのかは知りませんが、そんな貴方には裁きが必要でしょう。

...貴方を裁くのはこの世界の神様ではございません。

死の女神様にその身を委ね、罪を償いなさいな。」

 

まるで神話を思わせるその一場面を眺めていたA組のみんなは、数秒惚けたあと魔力不足によって膝を着いたミーチアを見てハッとすると一斉にミーチアの元へと駆け出した。

 

「ミーチア!?大丈夫!?」

「えぇ、大丈夫ですわ。ですが、さすがに大魔法をそのまま行使するのは無茶でしたかね...わたくしは少し寝ます。運んでいただけると助かりますわ...」

 

そう言って意識を手放したミーチアを寮のソファに寝かせて警察による事情聴取の後、ようやくひとつの街と雄英高校学生寮を巻き込んだ一連の事件が終わったのだった。

 

ミーチアが目を開けるとそこは保健室のベッドの上だった。

 

「!!起きた!皆ミーチア起きたよ〜!!」

 

隣から聞こえた声に視線を向けるとどうやら隣にいてくれていたらしい葉隠がみんなを呼びに行く様子が見えた。その声にミーチアが起きたことを察したリカバリーガールが声をかける。

 

「大丈夫かい?あの子、授業の合間にも毎回起きてるかって確認に来てたんだよ。全くこっちの気も知らないで...

...いい仲間を持ったね。」

「えぇ...本当に。」

 

それから保健室にA組のみんながやって来た。

 

「ミーチア!起きたって!?」「心配だったぜ!丸1日起きねぇからよ!」「そうだぞ!学校ももう始まっていると言うのに...!心配したんだからな!」

 

入ってくるなり口々に言うみんなにミーチアは苦笑いを返して言う。

 

「ご心配おかけしましたわ。ですがお陰様でこの通り、すっかり元気になりましたわよ。

...ところで皆さん、次の授業はよろしいので?」

「「「「「あ...」」」」」

 

時計を見ると授業開始の1分前だった。ちなみに次は相澤先生の授業が待っていた。髪を逆立たせる相澤先生を想像したらしいみんなは震えながら保険室から飛び出して行くのだった。

 

「委員長だと言うのに授業に遅れる訳には行かない!皆、急いで戻るぞ!」「言われなくてもわかってらァ!!」

 

慌ただしい様子にみんならしいなと笑みを零すミーチアにリカバリーガールが声をかけた。

 

「さて、あんたは今日は授業おやすみさね。後日補習があるらしいが、詳しいことは担任にでも聞きな。

先日の事件について、事情を聞きたいと校長先生から呼ばれてる。行ってきな。」

「分かりましたわ。リカバリーガール先生、ありがとうございました。」

 

それから校長室にて

 

「ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は、校長さ!」

「あまり犬や熊には見えませんが?」

 

お馴染みの挨拶にずっと思っていたツッコミを入れたミーチアを軽く無視して校長先生が話を始めた。

 

「あの時の戦闘を見させてもらったのさ。君は最後、あの敵に何をしたんだい?」

 

校長先生の疑問にミーチアがすぐに答える。

 

「最後の大魔法ですわね。あれはわたくしの世界の死の女神様の神罰を再現したもの、神獣殺しの禁忌を犯した罪人への裁きですわ。

今回は違う罪に対する裁きですが。」

「...あの敵を殺したのかい?」

「いいえ、私が行ったのは女神様の元にかの敵の罪を告発しただけ。その果てにどうなるかは女神様次第ですが、女神様が応えてくださった以上何かしら罰は下るでしょう。」

 

 

 

「聖女様!ご報告申し上げます!只今国王陛下に死の女神様より神罰が下ったと王宮魔術師殿から連絡が入りました!」

「......は?

ーそ、そんな!まさかレオンが!?あの人に限ってそのような事がある筈が...」

 

王国を守る女神の加護の維持を一手に担っていた国王の消失により混乱に包まれた王国は、そのまま世の戦乱に巻き込まれ遂には絶えてしまったという。

しかし、その戦場の中には1度たりともかの聖女が姿を現すことは無かったそうだ。

 

「クソがっ!全っっっっ部あいつのせいだ!あの女が!原作通りに動かないから!醜く生き永らえやがって...!許さねぇ!...殺してやる!!」




早いけど、これでオリジナルストーリーは一時切り上げです。
今後のストーリーにもちょくちょく変更を加えますが、間章のような形で放り込むのはこれだけかな?たぶん。

ミーチアちゃんのいた世界の設定とかって出して欲しい?

  • 欲しい(ストーリー上で)
  • 欲しい(ストーリーとは別で)
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