次の日から通常通り授業が進んでいく。
最初の授業は入試の実技試験の時の先生。プレゼントマイクによる英語の授業だった。
「んじゃ次の英文のうち間違っているのは?
おらエヴィバディヘンズアップ盛り上がれー!!」
(授業はノリ以外普通なんですのね)
そこから昼食後、午後の授業はヒーロー基礎学。ヒーロー科らしい最初の授業だった。
「わーたーしーがー!!
普通にドアから来た!!」
そういって高笑いと共にオールマイトが教室に入ってきたことで、クラスメイトがざわついた。
「オールマイトだ!すげえや本当に先生やってるんだな!」
「
教卓に立ったオールマイトが構えと共にいう
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!
早速だが今日はこれ!戦闘訓練!
そしてそいつに伴って...こちら!入学前に送ってもらった個性届と要望に沿ってあつらえた、
「「「おおお!」」」
「着替えたらグラウンドβに集まるんだ!」
「「「「「はーい!!」」」」」
更衣室にて――
「ミーチアさんのコスチュームはローブ?」
「魔法使いのような服装とだけ書いて提出しましたの。結構いい感じで気に入っていますわ。
そういう耳郎さんは...かっこいいですわね。」
「ありがと。個性に関連した装備ってウチはブーツしかないからわかりやすくてうらやましいわ」
そう会話しつつ着替えてグラウンドβへ向かう
「始めようか有精卵ども!戦闘訓練のお時間だ!
...良いじゃないか皆、かっこいいぜ!!」
そういう先生に一人の生徒から質問が飛ぶ。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での
敵退治は主に屋外で見られるが統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。
監禁・軟禁・裏商売...このヒーロー飽和社会、ゲフン
真に小賢しい敵は
君らにはこれから敵組とヒーロー組に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!」
「基礎訓練もなしに?」
「その基礎を知る為の実践さ!ただし今度はぶっ壊せばオーケーなロボじゃないのがみそだ」
そういったオールマイトのもとに次々質問が飛ぶ。
「勝敗のシステムはどうなります?」「ぶっ飛ばしてもいいんすか」「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか?」「このマントやばくない?」
「んんん~~~聖徳太子ィィ!!!」
若干一名質問ではなかった。
「いいかい!?状況設定は敵がアジトに核兵器を隠していてヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーローは制限時間内に敵を捕まえるか核兵器を回収すること。敵は制限時間まで核兵器を守るかヒーローを捕まえること。
コンビ及び対戦相手はくじだ!」
「適当なのですか!?」
「プロは他事務所のヒーローと急遽チームアップすることが多いしそういうことじゃないかな」
「そうか...先を見据えた計らい...失礼致しました!」
「いいよ!早くやろう!」
くじの結果ミーチアはチームH、まだ話したことのないクラスメイトと一緒だった。
その男子にミーチアは声をかける
「常闇さんは貴方ですわね。よろしくお願いしますわ。わたくしはミーチア・リダーといいますわ」
「うむ...よろしく頼む。常闇踏陰だ。お前とは1度話をしたかった。」
「...?戦闘訓練ですので、まずはわたくしの個性から、【魔術】ですわ。独自のロジックで組み立てられる魔術を扱いますわ」
「俺の個性は【ダークシャドウ】。この影が俺に付き従ってくれる」「ヨロシクナ!」
「あらかわいい」
そこでオールマイトから声がかかる
「さあ早速最初の対戦相手はこいつらだ!
Aコンビがヒーロー!Dコンビが敵だ!
敵チームは先に入ってセッティングを、五分後にヒーローチームが潜入でスタートする。他のみんなはモニターで観察するぞ!
飯田少年爆豪少年は敵の思考をよく学ぶように!これはほぼ実戦!けがを恐れず思いっきりな!度が過ぎたら中断するけど...」
そしてビルの地下、モニタールームに集まったほかの面々へオールマイトが一声かけると訓練がスタートした。
モニター内ではビルの窓から潜入した緑谷たちが進んでいく中、急に表れた爆豪の奇襲、爆発によって、緑谷のコスチュームの顔左半分が消えていた。
「爆豪すっげぇ!奇襲なんて男らしくねえ!」
「奇襲も戦略!彼らは今実戦の最中なんだぜ!」
「緑くんよくよけれたな!」
ふたたび前に出た爆豪に対し、緑谷が前に出て背負い投げを返した。
それから少し、音声がないからわからないが話をしたようで爆豪が見てわかるくらいに激昂していた。
「アイツ何話してんだ?定点カメラで音声ないとわかんねえな」
「小型無線でコンビと話しているのさ!持ち物はそれ+建物の見取り図、そしてこの確保テープ!これを相手に巻き付けた時点で捕らえた証明となる!」
「制限時間は15分間で核の場所はヒーローに知らされないんですよね?」
「YES!」
「ヒーロー側が圧倒的不利ですねこれ」
「相澤君にも言われたろ?あれだよ。せーの!
Plus Ul...」
「あ、ムッシュ爆豪が」
見せ場にかぶせられたオールマイトは少し悲しそうな顔をした。
画面では爆豪が再度緑谷に突撃、緑谷に蹴りを入れていた。それをガードした瞬間緑谷が確保テープを足に巻き付けようとする。それを見た爆豪が手の爆発を向けるが緑谷は再度、それをよけたのだった。
「すげえなあいつ!個性使わずに渡り合ってるぞ!入試一位と!」
場が膠着したとき、緑谷が横の通路によけて一時離脱を図っていた。それに対し爆豪は何かを叫び、掌を爆発させながら追いかける。
「なんかすっげーイラついてる。コワッ」
別の画面では、核兵器の前に陣取る飯田とその様子を陰から眺める麗日が映っていたが、唐突に麗日が噴き出し、それによって飯田がその存在に気づいてしまう。
飯田は麗日の個性を警戒しているのか、ジリジリと少しずつ近づいていた。その様子を見ていたミーチアの耳にオールマイトの声が届く。
「爆豪少年ストップだ!殺す気か!」
その声に爆豪の方のモニターに目を向けた瞬間。
巨大な爆発音とともにビル全体が揺れる衝撃が辺りを駆け巡った。
(授業でここまでやるんですの!?)
「先生止めた方がいいって!爆豪あいつ相当クレイジーだぜ殺しちまうぜ!?」
「いや...爆豪少年、次それ撃ったら...強制終了で君らの負けとする。屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしてはもちろん敵としても愚策だ、それは!大幅減点だからな!」
それを聞いた爆豪は緑谷に再度突っ込む。緑谷はそれにカウンターを決めようとしたが、その初動を爆発で上に避けて背後から緑谷に攻撃を浴びせた。
「目くらましを兼ねた爆発で軌道変更、そして即座にもう一回...考えるタイプには見えねえが意外と繊細だな。」
「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆発力を微調整しなきゃなりませんしね。」
「才能マンだ才能マン。ヤダヤダ...」
爆発を食らって怯む緑谷に右手の篭手を叩き込みそのまま掴んで爆発を利用し、地面に叩きつける。
「リンチだよこれ!テープ巻きつければ捉えたことになるのに!」
「ヒーローの所業に非ず...」
「緑谷もすげぇって思ったけどよ...戦闘能力において爆豪は間違いなく、センスの塊だぜ」
それに対し緑谷は立ち上がるともう一度爆豪に背を向けた。
「逃げてる」
「男のすることじゃねえけど仕方ないぜ。しかし変だよな...爆豪の方が余裕なくね?」
爆豪と緑谷が正面から殴り合いをしようとする。
「先生!やばそうだってこれ!先生!」
「双方、中s...」
オールマイトが試合中断をつけげようとした時、緑谷が拳を天井に向けて振り上げた。
その衝撃は麗日、飯田のいる最上階まで伝わり、その床を破壊する。麗日はその衝撃で壊れた柱をバットのように振り回し砕けた床の破片を飯田に向けて飛ばす。
その隙に麗日は核まで飛び、核に触れたのだった。
「ヒーローチーム!ウィーーーン!!」
「...負けた方が無傷で、勝った方が倒れてら。」
「勝負に負けて試合に勝ったというところか。」
「訓練だけど」
飯田、爆豪、麗日が戻ってきたところで試合の講評が始まる。緑谷はそのまま保健室へ直行した。
「...まあつっても、今回のベストは飯田少年だけどなあ!」
「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
「何故だろうな〜〜、わかる人!」
「はいオールマイト先生。
それは飯田さんが1番状況設定に順応していたからです。爆豪さんの行動は戦闘を見る限り私怨丸出しの独断、そして先程先生も仰っていた通り屋内での大規模攻撃は愚策。緑谷さんも同様の理由ですね。麗日さんは中盤の気の緩み、そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを核として扱っていたらあんな危険な行為できませんわ。
相手への対策をこなしかつ、核の争奪をきちんと想定していたからこそ、飯田さんは最後対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは訓練だという甘えから生じた反則のようなものですわ」
彼女の声にオールマイトは震えながら絞り出す。
「ま...まあ飯田少年もまだ固すぎる節があったりする訳だが...まあ...概ね正解だよ...くぅ...!」
「常に下学上達!一意専心に励まねばトップヒーローになど、なれませんので!」
場所を移して第二回戦。
第2回戦はヒーローチームが左右三対の腕を持つ障子目蔵と髪色が左右で違う轟焦凍対敵チームが透明人間の葉隠透としっぽを持つ尾白猿夫の対戦であったが...
轟が一瞬にしてビルを凍らせて、即座に試合終了となった。
「仲間を巻き込まず核兵器にもダメージを与えず、尚且つ敵も弱体化!」
「最強じゃねえか!」
「みなさま寒いでしょうしこちらへどうぞ。暖かいですわよ。」
「ありがてぇ!超ありがてぇ!」
ミーチアは魔術で熱源を作り出し、みんなに暖を取らせていた。
続いて第三試合、ヒーローチームがミーチアと常闇対敵チームがいかにもな熱血漢、切島と肘からテープを出す瀬呂範太となる。
待機時間にミーチアは常闇と作戦会議をする。
「魔術と言っていたが具体的には何ができる?」
「いざ説明するとなると、できることが多すぎて難しいですわね...自然現象を再現、増幅する魔術と自然に収まらない現象起こす魔法の2つに大きく分かれますわね。研究次第でその幅はいくらでも広がっていきますの。」
「ほう...」ソワ
常闇は目を光らせていた。
「ところで今描いているそれは?」
「魔法陣ですわ。自然現象に関しない魔法は術式の組み立てが複雑ですの、それを補助する物ですわ。これは一定範囲の状況を感知する魔法ですわ。これでビル内部の状況が丸分かりですのよ。」
「ほうほう...」ソワソワ
そうこう話しているうちにインカムから声が聞こえてきた。
『第三試合開始!』
「あら始まりましたわね。では...」
そう言って魔法陣に魔力を流し込むミーチア。魔法陣は薄く光り、常闇は目を輝かせてそれを見ていた。
「あら...最上階の中央の部屋で核とともに陣取っていますわね。瀬呂さんのテープが張り巡らされておりますので罠を用意しているかと...正直わたくし一人でやれますが如何なさいます?」
「これは授業だ、さすがに参加させてもらおう。」
「ではわたくしはサポートいたしますわ。」
そう言って常闇に手を当て、魔力を流し込むとそこが先程よりも強く光った。
(ダークシャドウちゃんが嫌そうにしてますわね...影ですし、光が苦手なのかしら...申し訳ないことを致しましたわね...)
「それでは参りましょう。かけた魔法は筋力増強、頑強、バリアですわ」
「ほう(ソワ)...では向かうとしよう。」
特に問題もなく核の部屋にたどり着く。
ドアを開けるとその先にはテープが張り巡らされた部屋と瀬呂、切島両名が核の前に陣取っていた。
「え、早くねえ?もうちょっと俺のテープとか警戒するでしょ!?」
「来たもんはしょうがねぇ、返り討ちにするだけだ!」
「ダークシャドウ!」「アイヨ!」
そう言って周囲のテープを巻き込みながら核に突っ込んでいくダークシャドウだが、切島に阻まれた。
「そう来るとわかっててさせるわけねえだろ!」
「切島がそっちなら俺はこっちだな!」「風よ。わたくしを守りなさい」
瀬呂がミーチアを拘束しようとテープを飛ばしてくるがミーチアは風魔術を身にまといそもそもテープを寄せ付けない。その隙に常闇にも同じ魔術をかけてあげる。
「ダークシャドウ!やつを横に吹っ飛ばせ!」「アイヨ!」
切島はその身を硬くできるが、その場に踏みとどまれるかは本人次第。魔法の補助も入ったダークシャドウには敵わず壁にぶつけられてしまう。
「ではこちらも...水よ。激流となって全て流しなさい」
その声とともにどこからともなく大量の水が流れてきて瀬呂、切島、周りのテープを巻き込み1箇所で大きな渦を作った。
そのまま常闇が前に出て核に触れる。
『ヒーローチーム、ウィーン!!!』
四名が地下に戻ると講評が始まった。
「今回のベストはミーチア少女だな!最初に索敵、そして仲間の補助、相手の拘束の全てをひとりでやってのけた!文句なし!常闇少年は切島少年に即座に対応したのが良かったな!瀬呂少年はミーチア少女に対応されたあと何も出来なかったのが痛かったな。次の手を考えるようにしよう!切島少年も同様だ!」
「ありがとう存じますわ」
その後特に問題もなく第四、第五試合を終えた。
「お疲れさん!緑谷少年以外は大きな怪我もなし!しかし真摯に取り組んだ!初めての訓練にしちゃみんな上出来だったぜ!」
「相澤先生の後でこんな真っ当な授業...なんか拍子抜けというか...」
「真っ当な授業もまた私たちの自由さ!それじゃあ私は緑谷少年に講評を聞かせねば!着替えて教室にお戻り!」
そう言ってオールマイトは目にも止まらぬ早さでグラウンドβを去っていった。
常闇くんとめっちゃ相性いいミーチアちゃん。相性いいってか常闇からの好感度が一方的に高いだけですが。他の大体の男子と私たち読者は個性の説明受けるとダメージ受けるので相性悪いです()