悪役令嬢のヒーローアカデミア   作:めめ師

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第三十九話です。書くために原作読んでると心が痛くなってくるよ...でも改変してこの世界でハッピーエンドを書ききる自信なんかないんだ...原作がすごすぎんだこれ...


戦争の行方

それからミーチアが戦線を離脱している内に色々なことが起こった。

 

元異能解放軍メンバーの多くは制圧出来た。

しかしその間、地下から起き上がって来たギガントマキアが大暴れし、敵連合の面々を連れて蛇腔病院へ向けて大進行を開始した。

 

後方で待機していた学生組がその進行を止めようとしたのだが、奮闘虚しく通過を許してしまうのだった。

 

インカムにより、それぞれの戦場の状況を聞いていたミーチアは体力を回復させながら常に魔法が使えないかどうかを試し続けていた。

 

しかし、ようやく魔法が機能するようになったのはギガントマキアが街中を破壊しながら進行しているという報告を聞いた時だった。

魔法の発動を確認したミーチアは直ぐさまインカムに向けて叫んだ。

 

「ドロシー、復帰しましたわ!お待たせいたしました、かの巨人はわたくしが追います!」

『ちょっと待っ...』

 

ミーチアは返事を待つ間もなく意識を移して巨人を追っていくのだった。

 

その道中、地獄のような景色がミーチアの眼前に広がった。

 

今回の作戦には多くのヒーローが参加していた。それはつまり、逆を言えば普段街中にいるヒーローがほとんどいないということだった。

 

そんな中、街中を大進行する巨人。避難指示はおろか、時間稼ぎをするような人もいない。状況が状況だけにニュースで流れた避難勧告に意義を唱える声はなく、一般人はすぐに避難を開始したがそれでも遅れは発生する。

巨人の進行に巻き込まれた人は多くいたのだった。

 

ミーチアは道中常に幾重もの回復魔法を街中にかけ続けながら移動をしていた。

 

それによって遅れが生じてしまうが、彼女もヒーロー志望、負傷した一般人を放置して敵退治に向かうことなどできなかった。

 

それから数分、ミーチアが蛇腔病院の戦場にたどり着いた時、戦場には大暴れするギガントマキアとそれを拘束しようと奮闘するベストジーニスト、そして複数の脳無、轟と対峙する荼毘。戦況を理解したミーチアはギガントマキアに向けて魔法を発動させる。

 

「これなるは怒れる龍を縛る鎖。女神様より賜った平定の証であると知れ!」

 

その言葉に合わせて天空の魔法陣から巨人に向けて光が伸びる。その光が消えた時ギガントマキアは金色に輝く鎖によって拘束されていた。

そのままミーチアは脳無を相手する。

 

脳無と対峙するヒーローの隙間を縫ってミーチアは炎を噴きあがらせるが、脳無はいずれも超回復の個性を持っているらしく、すぐに動き出してミーチアに飛び出してくる。

 

「大地よ、蠢け!」

 

ミーチアの号令に合わせて地面が大きく流動し脳無の足場を不安定にさせると共に、脳無を拘束しようと飛び出す。しかし脳無は全員個性とは関係なく人外の筋力を持たされているため、簡単に襲いかかる土を破壊し尽くす。しかしそれだけでもミーチアにとっては十分な成果。脳無の全てをその場に拘束し、ほかのヒーロー達の戦力を敵連合捕縛に割かせるのだった。

 

しかしその瞬間、ギガントマキアの方から強烈な衝撃波が走る。

エンデヴァーのプロミネンスバーンによって意識を失っていた死柄木が目を覚ましたのだった。

 

「本当に...いい仲間を持った。心とは力だ。彼の心が原点を強くいだけば抱くほど、共生する僕の意識も強くなる。憎しみを絶やすな弔。」

 

静まった戦場にあってよく通る声がミーチアの耳に届いたとき、ミーチアが足止めしていた脳無の全てが一斉に迫り来る地面を潜り抜けて死柄木の方へと向かう。

ミーチアはそれを止めようとするが、現状用意していた拘束用の魔法は高速で動き、そのまま逃げだした。脳無たちには届かない。急いで他の魔法を準備しようにももはや間に合わなかった。

 

そのままヒーローは敵たちの戦場からの離脱を許してしまったのだった。

 

その後避難、救助の役割を終え前線へと向かったプロヒーローたちが敵の撤退を阻もうとする。

その過程で脳無三体の討伐に成功するも、残り七体の脳無と死柄木一行を取り逃がしてしまうのだった。

 

一方、敵が去った後の戦場では、ミーチアが負傷者の治療にあたっていた。

 

「相澤先生、あまり無茶をなさらないでください...本当に心配したんですのよ。」

「悪かったな。だが、俺じゃないと奴を止められなかった。」「事情は理解しますが...納得は致しません。...立派なヒーローになるまで付き合ってもらう。あの言葉、わたくしは忘れておりませんわよ。」「...わかってる」

「...はい。これでわたくしのやれる治療は終わりです。ですが、しっかりと病院で診断を受けてくださいな。」

 

相澤先生の治療を終えた後、次に重症であった爆豪の治療にあたる。

 

「まったく...爆豪さん、身体の各所に穴が開いた状態で無茶をなさらないでくださいまし。出血多量で本当に死ぬところだったんですのよ。」

「うっせぇ。俺が動かねぇとやべぇ状況だったんだよ。」

「そういう状況はありましょうが、それでもです。」

 

そこに一足先にやけどの治療を終えた轟がやってくる。

 

「ミーチア、お前の方は大丈夫だったのか?なんか魔法が使えなくなったって聞いたが...」

「今は大丈夫ですわ。ですが、()()が今回の作戦で捕まったとは思えない...まだ脅威は去っていないでしょうね。」

「彼女?」

 

ミーチアは治療を継続しながら前世で親から聞いた話を思い出していた。

 

⦅聖女...ですの?⦆

⦅そうだ。なんでも女神様に認められた一人の少女が魔法こそが絶対であるこの世界を根幹から覆すような魔法を...いや、あれは魔法ではないな。まあ、そういう能力を扱うらしい。

彼女がいれば我が国の優位は確定だ。お前の世代で、戦争は完全に終結するかもな。ミーチア、お前は戦争を終結させた代の王妃となるのだ。⦆

 

(彼女の名前や能力は聞いていないので存じ上げませんが、わたくしが魔法を使えなくなったのはそういうことでしょう。しかし彼女、”あの世界の魔法は使えない”と仰っていましたね。そういうシステムだと。

...システム...?変な言い回しですわね...)

「...ミーチア?大丈夫か?」

「あっ、えぇ。問題ありませんわ。」

「ならいいが...」

 

 

 

「はぁ...邪魔が入ったな...あのまま死んでくれりゃ万々歳だったんだけど...でももう、世の中終わりだろ。アッハハ!さーていつ殺してやろうか。簡単に死ねるだなんて思うなよぉクソ女...」

 

 

 

それから負傷者の治療を繰り返しているうちに気が付けば日が暮れていた。その日の夜にそのまま逃げおおせた敵が日本最高峰の敵拘置所、タルタロスを襲撃し、世に多くのネームド敵を解き放ったのだった。

 

今回の作戦に際して、多くの死傷者が出た。ミーチアに関係のある人で言うと、ミッドナイト先生とマジェスティックがそれにあたる。その報告を夜にあったクラスメイトから聞いた。

 

「ミッドナイト先生...マジェスティックさん...そんな...」

「ミーチア...」「ミーチアさん、お気持ちはわかりますわ...」

 

ミーチアは数時間の間、泣き疲れて眠るまで泣いたのだった。

 

 

それから数日、今回の戦闘の負傷者は全員最先端最高峰の治療を受けられる病院に入院となっていた。

そこに荼毘による告発の内容についてエンデヴァーに説明を求めるマスコミの群れが連日押し寄せている。

 

それもそのはず。荼毘による告発の内容とは自身がエンデヴァーの息子であり、エンデヴァーの行ってきた所業、自分の子供をデザイナーベイビーのごとく扱い、虐待まがいのことを繰り返していたというものだったのだから。

 

その様子に動けるクラスメイトは轟の病室を訪れていた。

 

「気にすんなよ。」

「大丈夫だかんね...」「轟さんのこと...私たちは見てましたもの。大丈夫です。」

「轟さん...貴方は貴方にやれることを全力でやってきた。わたくしたちはそれを肯定いたしますから」

「あぁ...わかってる」

 

そういった轟は、けれど、クラスメイトを見ていなかった。

 

 

あの事件以降、世間はパニックに陥っていた。あの夜に解き放たれた数々の凶悪敵が都市部を襲ったのもあるうえ、全国に広がる真偽不明の脳無目撃談。加えて、件の作戦で多くのヒーローが亡くなったことにより、ヒーロー飽和社会とまで呼ばれた世の中は一新された。

人々は不安を抱えたまま日々を生きることを強いられ、それによって溜まり続けたフラストレーション、ヒーローに対する不満はついにあふれ出してしまうのだった。

 

異能解放軍によって世に蒔かれた自衛のためのサポートアイテム。それを用いた一般人と敵による戦闘が各所で起こっていたのだった。

しかし、対敵戦闘訓練を受けていない一般市民の武装戦闘は周辺一帯を巻き込み、更なる被害を生んでしまっていた。

 

平和が前提にあった世の中がこうも崩れた時、人々はその責任をNo.1ヒーロー、エンデヴァーに問うた。

それに加えてもう一つ。荼毘の件の説明とは別にマスコミが気にする一つのワードがあった。

 

それこそがワン・フォー・オール。死柄木との戦闘中にエンデヴァーがつぶやいたという言葉。

嫌でも連想される神野の悪夢を起こした凶悪敵、オール・フォー・ワンとの関係性を疑われるのは当たり前のことだった。

そのことについては依然不明。エンデヴァー自身も知らないそうだ。

 

 

そんな中にあっても月日は流れていく。

負傷者が続々と雄英の寮に戻っていく日々の中で、ある日、全員の部屋のドアに緑谷からの手紙が置かれていた。

 

その内容はワン・フォー・オールについて。

曰く、ワン・フォー・オールとはオールマイトから緑谷に受け継がれた特別な力で、オール・フォー・ワンがそれを狙っている。だからみんなに迷惑をかけないように緑谷は寮を出ていくというものだった。

その手紙を読んだクラスメイトは皆、共同スペースに集まっていた。

 

「お前のとこにもあったのか...」

「なんですの...これ...」

「緑谷...超人社会において特別な力などなかろうが...!」

「......ばかやろう」

 

皆が抱える心配も文句も、彼には届かない。




地獄...マジで地獄だな本編。何度読み返しても心がきゅっとなるこのあたり。
ミーチアちゃんに大暴れさせて止めてもよかったんだけど、それだとなんも解決しねぇよなというジレンマ。ヒーローという職業があるが故なのかもしれないけど、こういう世界観を見事に描ききった原作者様ほんとにすごいっす。読むだけじゃわからんもんもあるねこれ。

アンケート結果また丸くなってんだけど...ほんとなんでだよ

ミーチアちゃんのいた世界の設定とかって出して欲しい?

  • 欲しい(ストーリー上で)
  • 欲しい(ストーリーとは別で)
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