悪役令嬢のヒーローアカデミア   作:めめ師

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第四十二話です。だいぶ進んできたなーと実感します。物語自体は爆速で進めてたんで割かし早かったとは思うんだけど、なんかあっという間に感じます。


決戦に向けて

男子皆で緑谷を風呂に入れたあと、疲れから眠ってしまったメンバー以外は共同スペースに集まって話していた。

 

「麗日さんは...?」

「寝ちゃった。安心したら力抜けちゃったみたい、他の子もそんな感じ」

「そっか...皆、ありがとう。そして迷惑かけてごめん。」

「そだよー、ワン・フォー・オールねー、言ってよねー。

手紙のおかげでもう驚きとかそういうのはないんだけどさ。」

「そうですわ。...陛下が雄英高校に攻めてきたとき、個性がなくても力になる、やれることはたくさんあると言ってくださったのは貴方でしょう?」

 

共同スペースに風呂から上がったみんなが続々と集まってきた。

 

「無個性からのトップオブトップの力なんて...大変だったろ」「そりゃ骨折れますわ。」「どういう感覚なの?」「ホークスに電話に出るように言ってほしかった。」

 

その時轟がまるで映画の俳優のように髪を拭きながら出てきて言う。

 

「緑谷が一番眠ぃだろ、寝かせてやれよ。何のために連れ戻したんだよ。」「お前その登場ポーズって素でやってんの?」

「大丈夫...っていうかまだ眠れなくて」「どう?何点?」「停学」「ふはっ停学って...」

 

後ろで峰田が轟のポーズを真似して停学処分になっていた。そのやり取りにミーチアが吹き出す。

 

「なんで?」

「オールマイトに、酷いことをして...そのままなんだ...

謝らなきゃと思ってるんだけど...連絡がつかなくて...」

 

轟がその話を聞きながら外を指さす。そこには窓から寮の中を覗き込むオールマイトがいた。

 

 

「こちらこそ!力になれずすまなかった緑谷少年!」

 

寮の中に入ってきたオールマイトが頭を深々と下げる。

 

「そんな...!オールマイトは十分、力になってくれています!」

「謝るなら私たちにも謝ってヨネ!オールマイト!

黙ってどっかいっちゃわないでよー!」

「そうですわ。わたくし達だけでなく、雄英全員心配していたんですのよ。」

 

オールマイトは頭をあげると暗い表情のまま小さく言う。

 

「...決戦の日はおそらくもうすぐそこだ。心労をかけてすまなかった。

詳しい話は避けるが、情報を得ている。近いうちに答えがわかる...

総力を持って当たる。私も...この身で出来ることなど限られているが、それでも...」

「オールマイト!」

 

おそらく不穏なことを言おうとしたであろうオールマイトの言葉を緑谷が遮った。

 

「トンカツ弁当、とても力になりました!僕はきっとオールマイトから離れてしまったらあんな風に...

だから、一緒に...守りましょう...!」

 

オールマイトは緑谷の言葉に笑顔を返して言った。

 

「...ありがとう...それでは、行かなくては...」「もう!?何処に!?」

「エンデヴァー達の所へ、私にはまだやるべき事がある!」

 

そう言って出ていったオールマイトをみんなで見送ったあと、共同スペースに戻ると、気がつけば緑谷が寝ていた。

 

「ようやく少しは気が休まったみたいですね。」

「...そういえばエンデヴァー達は雄英に入らないのかな。」

 

そこに轟が緑谷のために毛布を持ってきながら言う。

 

「いたずらに人前に出れねぇよ、荼毘がチラつくからな。今回の件で避難してる人達全員が全員、一様に見方が変わった訳でもねぇだろうし。

...荼毘の兄弟、エンデヴァーの息子。内心ではきっと俺の存在も未だ不安だろう。」

「家庭事情で...悔しいよなぁ、轟がなにかした訳じゃねぇのにな...」

「したよ...血に囚われて原点を見失った。

でも、今は違うから、違うってことを証明する。...みんなに安心してもらえるように...」

「...漢だよおめぇは!俺、なんだか涙が出てくるよ...!」

「避難してる人達全員が全員見方が変わった訳でもない...か...

あれだね、なんか...同列に言っちゃうのもおかしな話だけどさ。」

 

その時、耳郎が上鳴、八百万、常闇をイヤホンジャックで引き寄せ、爆豪の襟を引っ張って引き摺りながら言った。

 

「ウチら不安視してた人達がいてさ。みんなに安心して欲しくて、笑って欲しくてさ。...やれること考えてさ。

文化祭(あの時)みたいに最大限の力でやれることやろう!ウチら出来たじゃんね!」

「...そうだな。」

「取り戻すだけじゃなくて、前よりもっと良くなるように、みんなで行こうよ。

 

ー更に向こうへ」

 

 

それから二日後、雄英にやってきたオールマイトから話があった。

 

「猶予ォ!?」

「あぁ、本来なら死柄木は明日にも万全の身体となるハズだった。少なくとも1週間、死柄木は動けない。スターアンドストライプが遺してくれた...最後の猶予だ。この時間を有効に使う。

死柄木とオール・フォー・ワンを、倒す。」

 

オールマイトによると、アメリカのトップヒーロー、スターアンドストライプが死柄木と戦い、彼女は亡くなってしまうも個性によって死柄木の内包する数々の個性を損壊させたとの事だった。

 

「それじゃあ今が...」「千載一遇のチャンス...」

「一般人の避難も進みつつある今、早速残存ヒーローが総出で捜索を行っている。しかし、痛手をおったオール・フォー・ワンがどう動くか...これまで以上に読み辛い。見つかっても見つからなくても、結局は総力戦になるだろう。

ともかく君たちには、動けないとは言ったが、依然最凶の敵 死柄木弔。

同じく本体のオール・フォー・ワン。

エンデヴァーに匹敵する炎、狂気の男 荼毘。

翻弄し続ける少女 トガヒミコ。

残る6体のニア・ハイエンド。

解放戦線の残党。

そして未だ捕まることなくオール・フォー・ワンに従い暴れ回るダツゴク。」

「...恐らくそれだけじゃない。」

 

そういった障子に続き、ミーチアが話し出した。

 

「わたくしを狙ってくるであろう敵もおりますわ。...彼女がいる限り、わたくしの魔法が機能しなくなる。...総力戦は彼女にとって絶好の舞台でしょう。」

「ミーチア少女を狙う敵?」

「えぇ、群訝山荘襲撃時、わたくしを狙ってきた...わたくしと同じ世界からやってきたであろう方ですわ。」

 

ミーチアの言葉にみんなが驚いた。

 

「ミーチアと同じ世界から来た...!?」

「えぇ、彼女はわたくしの魔法を無力化してしまう。理由は存じませんがわたくしを殺そうとしている節があるのですわ。」

「そうか...君の不安もあるだろうが、恐らく敵はまだ増えていく。

対してこちらはもう半数以下に減ってしまった。

...スターの殉職を前にして敢えて言う。

君たち自身と、君たちが守りたいものを守るために、この猶予を使って少しでも力を底上げしてもらう。」

「んなもんとっくにやっとるわ!!」

 

オールマイトの言葉に爆豪が大声で返した。他のみんなもそれに続いて話していく。

 

「オールマイトはデクくんと出ていっちゃったから...」

「いらしてもすぐ出ていきますし。」

「群訝・蛇腔以降、プッシーキャッツの圧縮訓練を続けてたんです。」

「我々は緑谷と共に征く者。死柄木らを止めるまで戦い続ける所存!」「ショゾン!」

「これからかっちゃんたちが組手してくれるんです。ワン・フォー・オールを完成させてやるって」

「はあああい!?言ってねぇよ!ダツゴクに耳千切られたんか!!」「変われよ!」

「俺の新境地、クラスターが通用するか確かめてぇ。ワン・フォー・オール相手は対死柄木、オール・フォー・ワンへの1つの指標になる。」「そうだな。」

「俺のことも殴ったりしてくれよ!」「サンドバッグ役を取られまいとしてる...!」「俺はもっと硬くならなきゃいけねぇんだよ!」

「スターの意思を繋いでいかねば。」

「とりあえず中庭開けとくわ!」「わたくしの図書館も開けますわ。デコイも出しますので、動きの要望があればわたくしに言ってくださいまし。」

「オイラのスターをよぉ...許せねぇクソが...!」「みんなのスターだよ」

 

 

それからみんなで訓練に入る。

 

そんな中常闇と八百万ががミーチアに呼ばれ、彼女の自室(図書館)に来ていた。

 

「先程の話だが...ミーチアの世界から来た敵がミーチアを狙っている、その敵によって魔法が機能しなくなる...だったか。その...大丈夫なのか...?」「そうです、そんなこと私たちも聞いていませんでした。」

「えぇ、それについて常闇さんと八百万さんにいくつか聞きたいことがあるのですわ。

...この世界の、神話について。」

 

 

 

数日後、A組のみんなはオールマイトにとある連絡を受け、学校の教室に急いで来ていた。

 

「...なるほど...個性を与えてもらい、支配されるに至ったと...」

「付与は約十年前か...今、無事ということはナガンのような裏切ったら爆発する仕掛けはないようだが...」「できれば...君たちは下がっていなさい。」

 

校長先生の言葉にA組のみんなは前に出ながら言う。

 

「下がってられる...」「道理がねぇよ...!」

 

その連絡の内容とは、青山が内通者であったこと、それが発覚し現在青山とその両親が拘束されているというものであった。

 

「...葉隠さんが見つけてなかったら...何するつもりだったんだ...!」

「青山...!嘘だって言えよ...!」

「...てめぇも元無個性だとは...世の中狭ぇな」

 

青山は涙を流しながらも無表情で何もしゃべらない。

 

「生憎まだ我々は秩序に生きようともがいている。オール・フォー・ワンについて知ってることを洗いざらい喋ってもらうぞ」

「...知ってることは、何もない。私たちはただ...頼まれたら実行するだけだ...

失敗すれば、殺される。嘘をついても...殺される...」

「どうやって?」

「......見せられた...そうした人間が処分される様を。警察に逃げ込んだものは、出所後に殺された。逃げられなかった...どこにいても居場所がばれる...必ず、死に追いやられる...!

言われた通りにしてどうなるか...優雅は知らなかった...!ただだれにも感づかれてはいけないとだけ...悪いのは私達だ!」

 

尋問される青山の父親の様子は怯えきっていて、とても嘘をついているようには見えない。

 

「自分が、殺していたかもしれない人たちと、僕は仲間の顔して笑いあった...笑いあえてしまったんだよ。同じ元無個性で、オール・フォー・ワンの重圧を背負った彼を知って、自分のみじめさに絶望した。彼の心配より先に絶望した自分に...絶望したんだ。性根が...腐ってたんだよ。

青山優雅は、根っからの敵だったんだよ...」

「...文化祭をみんなで盛り上げようとした日々は、本当に偽物だったんですの?」

 

ミーチアがこぼした質問に他のみんなも声を上げる。

 

「そうだ!仮免試験の時のレーザーは、本気で俺のためを思ってくれていただろう!?」

「そうだよ!あの夜のチーズは、オール・フォー・ワンに言われてやったことじゃないだろ!?あれは...!僕が気づけなかったSOSだった...だって、取り繕いもせずに泣いてるのは、オール・フォー・ワンの言うとおりにできなかったからじゃないだろ!?オール・フォー・ワンに心を利用されても、すべては明け渡さなかったヒーローを僕は知ってる!心が押しつぶされただけだ!罪を侵したら一生敵だなんてことはないんだ!この手を握ってくれ青山くん!君はまだ、ヒーローになれるんだから!」

 

そこで塚内が声を上げ、緑谷を止めた。

 

「まって、緑谷君、三茶、青山の口をふさいでおけ。...拘束中だ、手は取れない。事情はどうあれ、オール・フォー・ワンに加担した罪は消えない。それに、状況からセーフと推測しているだけで、まだナガンのような仕掛けがないとは言い切れない。

セントラルの検査結果が出るまでこれ以上彼にしゃべらせるのは良くない。」

 

そこでミーチアが前に出てきた。

 

「...では、しゃべらなくて結構ですわ。青山さんとそのご家族の方々に質問です。あなた方からオール・フォー・ワンに連絡を取ることは可能ですか?」

 

青山の父親が首を横に振った。

 

「では例えば、向こうから指示があった時に何か情報を伝えることは?」

 

青山の父親は今度は首を縦に振る。

 

「最後です。オールフォーワンとの連絡手段は、音声通話ですか?」

 

青山の父親は首を縦に振った。それを見たミーチアは満足そうに頷いた。

 

「なるほど。ありがとうございますわ...それなら可能でしょう。」

「ミーチア君?何を...?」

「あ...ああ!”せめて、出方を誘導できたら”!」「そっか...!」

「見方を変えれば...現状ただ一人、青山さんだけがオール・フォー・ワンを欺くことができるかもしれない。」

「待て待てガイズ!飛躍し過ぎだ!

罪は罪...言いたかねぇけどな...お前らが一番の被害者だ。いまさら...信じられるのか?」

 

プレゼントマイク先生の質問に飯田が前に出て答える。

 

「それは、過去の話でしょう。彼の心の内を掬い取れなかった、俺たちの責任でもあります。だからこそ、()()()()()()()()()()()()()()()()を、友として手を取りたい。手を取ってもらいたい。

それが...彼と俺たちが再び対等になれる、唯一の方法だからです。」

「そうだぜ!青山はオール・フォー・ワンに勝てねぇと思ったから、従っちまったんだろ!?でも今はちげぇからやめようって親御さんに言ってくれたんだろ!?

緑谷を止めに行ったとき、誰か一人でも無個性を責めたかよ!?涙こらえて隠し事してたやつ嫌いになったかよ!?

青山!!まだ、一緒に踏ん張れるんだよ俺たち!!」

「盛り上がってるとこ悪いが、青山一家に捜査協力を頼むとして...嘘は通じないと先ほど聞いてる。君たちの気持ちはわかるがここは冷静に...」

「...それが、嘘でないのなら話は変わってくるでしょう?」

「ミーチア少女...まさか...!」

「魔法の汎用性は皆さんも知っての通り。

連絡手段が音声通話のみなのであれば、嘘を見抜く個性は声を聞く必要がある。本人の意思を介在させずにしゃべらせる方法をとってもいいし、声帯を介さずに音だけを発してもいい。手段なんて、いくらでもありますわ。」

 

その時プレゼントマイク先生の持つタブレット端末から相澤先生の声が聞こえてきた。

 

『ミーチア...それを踏まえて何か具体策はあるのか?』

「いくらでもあるでしょう。オール・フォー・ワンにとって有益な情報を与えてあげればいい。緑谷さんの所在でも弱点でも...嘘であるという前提が、相手にはわからないのですから」

『なるほどな。塚内さん、この責任は見抜けなかった俺にあります。ただ、気持ちはこいつらと同じです。

青山、俺はまだお前を除籍にするつもりはない。俺に考えがある。塚内さん、一応青山には聞こえないようにお願いします。』

 

 

それから会議は終わり、運ばれていく青山を見届けて皆で寮に帰って来た時、葉隠が小さくつぶやいた。

 

「ぜったい、倒そうね」

「「「「「うん」」」」」

 

みんなはいずれ来る全面戦争に向け、再び訓練に励むのだった。




ミーチアちゃん便利すぎて原作で必要不可欠だった要素を一人で補えるようになっちゃうんだよなー。まあ最早、開き直りました。
ここまで来たらもういいでしょう。普通にチート主人公の感覚で。

ミーチアちゃんのいた世界の設定とかって出して欲しい?

  • 欲しい(ストーリー上で)
  • 欲しい(ストーリーとは別で)
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