夕暮れ時、まだまだ元気があまり余ってるであろうガンマの背中を見ながら家に帰ると酸賀は椅子に座りパソコンや瓶の中に入れたお菓子の生物と代わる代わるにらめっこしていた。
「ガンマが帰ってきたー!」
「機械の部品買ってきたぞ」
俺は片手に部品が入った袋をもう片方の手に野菜やら肉やら適当にスーパーとうで見繕った食材が入った袋を持っている。
「ベータくぅん、俺食材買って来てなんて言ってないけど?」
酸賀は俺らの声で気づいたのかいなや俺が持っている袋につっこんできた。正味、帰ってきた人に向ける第一声がそれかよと思ったのは自分の心の中だけに抑えておこう。
「ちょうど冷蔵庫の中のやつがそろそろ切れるはずだからなついでに買ってきた」
「自由すぎでしょー。別にいいですけども、あっそうだ例のやつとってきた?」
「うん! ガンマが獲ってきた!」
そう言ってガンマはバックからお菓子の生物が入った瓶をいくつも取り出して机に置いた。
「おっおーこれはこれは圧巻だねー。これはグミでこっちはポテトチップスかな?」
「食べれるかな!」
「できるわけないだろ」
「なんだとぉ!」
嘲るように俺は鼻で笑った。俺に突っかかって来るガンマを酸賀が瓶を置きまぁまぁと言いながら子供をあやすように手で抑えた。
「ところで酸賀、連れてきた客って誰だったんだ?」
今日、俺とガンマがすぐに家に帰らず寄り道をしてから帰ってきた理由の一つ。基本的に酸賀が誰か連れて来る場合は面倒なことが起こらないよう姿を隠すのだが今日は一体誰を連れてきたのだろうか。
酸賀は怪しまれることも多々ありそんな中に俺とガンマがいるとさらに怪しまれるからな。まあもう生きていないのならそれで結構なんだが。
「辛木田絆斗くんっていって、年齢は大体ベータくんと同じくらいで親の仇のグラニュートを追ってるらしくてねベータくんと違って素直だったよぉ」
「酸賀それはどういう意味だ?」
俺が素直じゃないと言っている気がするのだが? 俺は十分素直だろ。何故、何言っているんだベータくんは?みたいな心外な顔をするんだ?
「はいはーい質問! その絆斗って人はどうするの?」
「うーーん。そ、う、だ、ねぇグラニュートへの恨みを狩りたててこいつを使ったアイテムの使用者になってもらおうかな」
「武器ってそれでか?」
俺は酸賀が持っている瓶を指さしながら聞いた。
「そうそう、赤ガヴくんを見た感じこの子達をつかってあの力を発揮しているっぽいからね。ガンマちゃんとベータくんは剣と銃どっちがいいと思う?」
「銃、かな! やっぱりかっこいいからさ!」
「剣よりかは銃だな」
個人的に銃のほうが扱いやすい、酸賀の最強生物をつくる過程で俺も造った武器を使う可能性もあるからな。
いや使わせてもらう。色々俺は負担がひどい戦い方だからそれがあればいくらか軽減されるはずだ。まぁどんなものになるのかは検討もつかないが。
「はいはい、じゃ銃ってことでつくっていきますか、ガンマちゃん手伝って」
「うん!」
省かれるのは多分夕食つくってくれってことなんだろう。ガンマに任せたらまぁひどいことになるし酸賀はしばらく忙しくなるだろうし作り置きもつくっておこか。
そんな思考を巡らせながら俺はキッチンへと向かっていく。
「ベータくん、一応聞くけどなに作るつもり?」
「焼きうどん」
即答した。こういう日は焼きうどんにかぎる。ちょうどいい濃さに食べている実感をしみじみと感じる弾力、うどんだとスープ処理がめんどいので迷ったらこれ一択だ。
「好きだねぇ焼きうどん」
「あっ私野菜多めね!」
「分かってる、酸賀も野菜多めでいいんだよな」
ガンマの要望と酸賀の好みは似ているところがある。それに関しては俺も含め小さいころに酸賀が作った料理を食べて生活していたのが大きいのだろう。
「いいよ、あっけど俺おじさんだから濃いめな味付けはやめてね」
「‥‥‥考えとく」
少し悩んだ、がまぁたまには薄味でもいいか。ソースじゃなくて塩味の方でいいか。まだソースよりかはマシだろ‥‥‥多分。
「あっあとベータくんはどのお菓子が好き?」
「そうだな‥‥‥ホワイトじゃないほうのチョコだな」
「りょーかい」
一体何の質問だろうか? 聞く気にはなれないが別に聞いても特になにかあるわけではないと決め俺はキッチンに向かう。
◇◇◇
その日の夜、俺は毎日のトレーニングであるランニングのため外を走っていた。
特段変わり映えのしない風景に涼しい夜風、走ることに集中していても周りへの警戒は怠らない。
こういう夜中だからこそ人間に化けたグラニュートに襲われ人プレスになる可能性だってある。ガンマは俺と腹違いの兄弟でグラニュートとのハーフだから問題ないが俺は普通の人間なので危ない。
「ふぅ、とりあえず休憩するか」
かれこれ一時間走り続けたので目と鼻の先にあったベンチで一度休憩しようと歩いて行く。あと二時間程度走ってアイスでも買って帰るか。ポケットを確認すると百円玉が二枚と十円玉が何枚か入っていた。
「ぐっ!?」
「!」
その途中の交差点、角で左から来た人とぶつかり転んだ。サラリーマンの若い男性__に見えたが腹に口が見えた。グラニュートの特徴である口が見えたのだ。
その次にグラニュートの手元を見ると黒くて四角いゼリーにも見える透明感あふれるお菓子__闇菓子を一つ持っていた。
なるほど人プレスをそこそこ集めたが質が最悪で全然もらえなかったってところか。
「くそ、ついてないついてないついてない!」
「あぶな」
そのグラニュートの腹から伸びてきた舌を紙一重でかわし横にそれた。男は腹の口からミミックキーを抜きグラニュートの姿を露わにした。
「なんだお前なんだお前! 早く俺は闇菓子が喰いたいんだぁ!!」
そうとう闇菓子で頭いってんな。別に食うのは好きにすればいいしそれで自身の人生いやグラニュート生を壊しても興味はない。
ただ、俺はまだ死ぬわけにはいかない。仇を取って酢賀の目標が達成させるその時までは。
拳銃と手りゅう弾を持ちグラニュートの方に銃口を向ける。
「殺す」
「がっ!?」
引き金を引き一発の弾丸をグラニュートに心臓付近に放つ。闇市に売っている普通の弾丸では傷ひとつつかないグラニュートの身体だがこの弾丸はグラニュート用に色々と改良しダメージが出る弾丸を使っている。
「くそが!」
「‥‥‥」
バカの一つ覚えのように舌を伸ばしてくるが当然すべてを避け引き金を引き弾丸を放つ。がここで問題がある。この弾丸、いまだ人間で表すならゴムでっぽうを当てられる程度の痛さなので決定打にはならない。かといって接近戦は種族のフィジカル差で負ける。
「ふぅ」
息を整え手りゅう弾のピンを抜いた。
先程も言った通り銃だけで戦えば千日手となる。ならどうするか。それは‥‥‥
バンッ
地面を踏み込んで急接近し口の中に特製手りゅう弾を放り込み内側から爆発させる。
「なぁっ!?」
手りゅう弾が爆発し黒煙がグラニュートの口の中から吹き上がる。
「ッやっぱ痛いなこれ」
ただこちらも問題として近づくため爆発の余波を腕で防ぐため約一日ほど使い道にならないことだ。投げてもいいんだが確実性をとるにはこちらの方がいい。後ろに下がり様子をうかがう。
「お前やるなぁっ!!」
「まだ動くか」
案外丈夫だな。普通のグラニュートならこれで倒れるはずなんだが。どうしたものか。もう一回すればいいが。
「次はやらせねぇ!!」
まぁだよな。一回喰らえば警戒するのは当たり前か。グラニュートは警戒して腹部の防御を厳重にしていた。
「一つ聞くがお前は闇菓子をやめ研究の材料になるつもりはないか?」
「ああ? 闇菓子を辞めるなんてありえねぇよ!」
そうか、なら普通に殺して材料にするか。まぁまともな材料が残るかは怪しいが。再び俺は急接近する。
「死ね」
「なぁあああああ!?」
急接近しながらあごに二発弾丸を撃ちひるんだ再び腹の口に手りゅう弾を放り込み爆発した。そしてグラニュートは跡形もなく爆発した。
拳銃を腰に再び戻した。
「あーやっべやりすぎた」
両腕が尋常じゃないほど痺れる。これは丸一日は使い物にならなそうだ。以前よりはましにはなったが流石に限界もあるか‥‥‥いやこれしかない、非力な人間の俺にはそれしか対抗策がないのだから。
だが酸賀が作る武器を使えば俺でも無茶せずガンマに心配かけずにグラニュート達と対等程度には戦えるはず。それまでそれまでだ。包帯残ってたけか。
「すぐに帰らないと‥‥‥」
幸い今回は大けがは負っていないし足はどちらも動かせる。さっさと帰って寝よう。
しかし今回の相手は弱かった。特段能力を使ってくる気配もなかったし舌を使う速度も遅かった。しいていうなら硬かったが前に戦ったカニもどきのグラニュートよりはましだったな。
弾丸や手りゅう弾もまたマッドサイエンティストや裏のヤクザなどが集まり法外な商品を販売している闇市で買い直さないとなぁ。
風が吹き瞳が霞むように静かにゆれ痺れている両腕をびくんっと震わせるがそんなものはどうでもいいとばかりに俺は帰路についた。
酸賀さんの苗字修正完了! まだ誤字があったら報告ください!