酸賀に拾われた少年と少女   作:サクラマッド

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第三話 懐かしいオルゴール

 家に戻るとそれはそれはひどいことになっていた。

 

「帰った、ぞ‥‥‥まじかよあんた達」

 

 あたり一面の床を埋め尽くすほどの研究資料が雑に積もられて埋め尽くしていた。

 

「だぁもう全然見つかんない! どこにやったけ人体改造記録!」

 

 ガンマが資料それぞれに目を通しているが苦労しているのか持っていた資料を投げ出してしょんぼりしていた。

 人体改造記録、なんか久々に聞いたように感じる単語だな。人体をどこまでいじれるか記録したファイルが確か3つくらいあって最近赤ガヴが出てきてせいで見てなかったけどここまで探すほど奥にはやった記憶ないんだが。

 

「なぁに時間かけちゃってんのガンマちゃん。‥‥‥あっベータくん帰ってきてそうそう悪いんだけどさってどうしちゃったのその怪我。えっなにまぁた無茶しちゃたの?」

 

「まぁ少しだけな」

 

 唖然としていた俺に気づき酸賀が招くように手を振ったが俺が両腕をまともに上に上げていないことからなにかしら勘づいたようだ。

 

「ガンマちゃん、悪いんだけど奥から包帯とシップ持ってきて、それからまた探して」

 

「えぇうーん、分かった取ってくる。待っててベータ」

 

「ああ」

 

 ガンマは無駄にきれいな長髪を手でかき少し考えを巡らせたあとに大人しく部屋の奥に行こうと立ち上がった。

 その途中だった。

 

「ッ!? いったぁっ!?」

 

 明るいステップを踏んでいるガンマが突然何かを踏んづけたのかバランスを崩し倒れそうになった。がまぁ持ち前の身体能力でなんとか立ち直した。

 

「なにやってんだガンマ」

 

「つみきでも踏んだ?」

 

 俺は両腕が使い物にならないまま足を気にしているガンマに近寄りパソコンと向き合ってた酸賀はひょこと顔を出しながらガンマの方を心配していた。

 

「これってオルゴール?」

 

 ガンマが宝箱のようなかたちをしたものを拾い上げた。

 

「おぉ懐かしい。ベータくん覚えてる? ちょうど君たちを拾って一年経った記念に買ったやつ」

 

「‥‥‥あぁガンマが駄々こねて酸賀が折れて買った」

 

 クリスマスだっけな、闇市に材料買うために回ってたらどうしても欲しいってガンマがこねて酸賀が一年記念という建前で購入したオルゴール。

 

「うわぁ懐かしい! まだ使えるかな?」

 

 ガンマが目を輝かせんがらオルゴールを鳴らし始める。心を落ち着かせてくれるような子守歌がすっと流れてくる。

 

「ベータくんとガンマちゃんがなかなか寝付かない日とかこれ流してたねぇ。ガンマちゃんとかおばけが怖いからってトイレ行くときもこれ持って言ってたよね」

 

「いやあれは! 寝る前にホラー映画見せてきたベータが悪い!」

 

「知るか、つっかかってきたお前たちが悪い」

 

「えっ俺も?」

 

 そうだ、俺は悪くない。夜中、一人でこっそり楽しもうとしたところをあんたらが止めて来たんだろうが!

 酸賀はかなり平気な様子だったけどガンマは序盤からガンマ用に改造した熊のぬいぐるみが潰れる勢いで抱きしめて半分以上を見栄のために見てただろ。

 あと酸賀、お前疑問をいだいてそうな顔をしてるが最初につっかかってきたのあんただから。

 

「し、しかたないじゃん! あれはその‥‥‥バカみたいに怖かったんだから! い、いまならへ、へいきだし‥‥‥!」

 

「なら今日徹夜で俺のオススメホラー映画見るか」

 

「いやぁそ、それは別の日でいいかかなぁ」

 

 なんだコイツ。流石に冗談だがそこまで冷や汗かくものか?

 ため息をつきながら包帯を取りに行こうと場を去ろうとした時だった。

 

「ほらほら、ガンマちゃんさっさと片付けて()()()()()()手伝ってやって」

 

「‥‥‥は?」

 

 酸賀から思いもしない言葉に俺は動きが止まった。

 

「俺、けが人なんだが」

 

「そんなこと言わないで。ほらあとで羊羹買ってあげr‥‥‥」

 

「よしすぐ片付けてやる」

 

 羊羹を買ってくれるなら仕方ない。そう思ってすぐに床に散らかっている資料を一つずつ拾い上げ仕分けをし元々の棚などに戻していく。

 

「まだ俺言い切ってないんだけどなぁ」

 

 酸賀がなにかため息をつきつつ言葉を吐いていたがそんなこと今は無視だ無視。

 なんやかんやあり夜はふけていった。

 

 ◇◇◇

 

 翌朝、実際は昼頃の12時だが朝方に6時に寝て今起きたから実質朝。

 酸賀とガンマは闇市に行っているのを机の上においた手紙に書き残していて今は家にいるのは俺一人だけだ。

 

「しっかしやっぱコーヒーと羊羹はうまい」

 

 暇なため包帯を巻いた腕で適当にスマホを弄りつつコーヒー片手に羊羹(ようかん)を口に運んでいる。

 個人的には市販のものにも限らず羊羹の味は小豆一択である。

 

「やぁベータ、今は君一人かな」

 

「二エルブか。なんのようだ? 酸賀は今いないぞ」

 

 部屋の扉から茶髪で優男のような印象を受ける男__二エルブ・ストマックが出てきた。

 闇菓子の元締めストマック社の次男らしいが酸賀とは研究者としてとても仲がいい。報酬が弾むたまに離反したグラニュートの始末などの仕事を引き受けるときもある。ほんと数カ月に一回あるかないかといったところだがな。

 

「酸賀さんが帰ってきたらこれを渡しておいてもらえる?」

 

 そういって一つの黒いUSBメモリをポケットから出し俺に差し出した。

 

「これは?」

 

 俺はそのUSBメモリを受け取り疑問を問いかけた。

 

「赤ガヴの戦闘の様子が記録されているものだ。まぁなにかの足しにしてくれたら嬉しいと酸賀さんに言っておいてくれ」

 

「分かった。他にはあるか?」

 

 受け取ったメモリをジップロックに入れて机に置いた。

 

「特にないからお暇させてもらうよ。あ、それとまたうちのバイトが迷惑かけたのなら謝っとくよ。君とガンマは酸賀さんの大切な息子、娘だからね」

 

「別にいい。そういうのなら少しくらいバイトの質を上げたらどうだ。って一企業にほぼ他人の俺が言うことじゃないな」

 

「君は飽きないね。あとこのバイトの処理頼めるかな?」

 

「ん?」

 

 一つの資料を差し出され受け取る。その資料にはレリヴと書かれたワニの見た目のグラニュートとそいつが化けている大柄で強面の男の姿が貼られていた。

 

「他のバイトを食べうちのエージェントを数人倒して逃走中、頼めるかな」

 

「へぇエージェントをやるなんてそうとう強いんだな。そのレベルだとグロッタ様案件な気もするだが」

 

 バイトを喰うってあたあかだな。それにニエルブのかどうかは知らないが眷属(エージェント)たちを倒すなんてそうとうな実力者なのか。一体だけでも骨が折れるのにどうやってというのは考えるだけ無駄か、実際できるようだし。

 

「そこまで手が回らないから君に頼んでいるんだ。倒しても構わないがなるべく生け捕りにしてくれ以上だ」

 

「期限は?」

 

「なるべく早めで頼むよ」

 

「そうか」

 

 それだけいってニエルブは扉を開き元のグラニュート界に戻っていった。

 再び俺は一人きりになりベットにもたれかかりながら考えた。

 

「どうすっか」

 

 エージェントを倒すほどの強さなら骨折とか四肢欠損とかの危険もあるし不本意だがガンマの力も借りるか。

 

「まっとりあえず銃弾とかを明日買ってからだな」

 

 一度そう結論づける。もしかしたら酸賀が造った武器を使うことになるかもなと思いながらコーヒーを飲み進める。

 

 ◇◇◇

 

「ん、こ、ここは‥‥‥」

 

 ある洞窟、刺青が右腕に刻まれている強面の男は目覚めた。

 

「ほっほっようやく目覚めたか」

 

「グラニュート!」

 

 男の視界に移ったのはクジラのような見た目のグラニュートであり男は警戒をし後ろに下がるが腹部の痛みが響き地面に崩れおちる。

 

「まだ痛むじゃろ。ほれ少しゆっくりしとき」

 

「っ、感謝する。あんたは一体?」

 

「儂はデンテ・ストマックじゃ。よろしく」

 

「ストマッ!」

 

 ストマック、その単語を聞いて殺意を向ける男、が再度痛みが流れる。その様子を見てデンテは包帯や消毒などをもって男に近づきつつ質問をする。

 男は困惑していた。

 

「一応聞くがお主名前はなんじゃ?」

 

「レリヴだ」

 

 流されるがまま男のグラニュート__レリヴは口を開いた。

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