私が3匹の巨猿から逃げていると目の前には猿の大群と蜘蛛1匹が戦っていた。
うわぁ……多勢に無勢ってやつですね……
でも、あの蜘蛛は魔物にしては中々に頭が良い気がしますね……やられないように上手く立ち回っている。
にしても、巨猿達しつこいなぁ……どうやら私を逃してはくれないみたいですね。仕方ない、ここでやりますか……
幸い、猿の大群からはまだ距離があるから、巻き込むことはないでしょう。下手なことをして猿の大群に攻撃して目をつけられたくないし、もう少し頑張ってみますかね。
さてと、MP消費しちゃうけど出し惜しみしてたら殺されちゃいますからね。取得したばっかのあのスキルを試すとしましょうか!
まずは『気闘法』で攻撃力を上げてからのぉ〜……『瞬速』!
私は一瞬のうちに巨猿の首に接近してそのままの勢いで噛みちぎった。
『瞬速:MPを消費して素早さを一時的に上昇させる。MP消費量×スキルレベル×10分、素早さが上昇する』
ちなみに現在のスキルレベルは2でMPは50使いましたね。このスキル、素早さが上がるとはいえ、発動時間が短いから基本的に直線にしか進めないのが難点ですね……
ていうかあの巨猿(巨猿3匹いるからあいつは巨猿1号としておこう)首の一部が欠けてもまだ生きてるのか。だが今は痛みでまともに動けていない……今のうちに残りの2号と3号を何とかしないと……!
でも、今の攻撃を明らかに警戒されてるからもう一度やるのはリスクが高いかな……どうするべきか……
そう考えている間に巨猿2号がこちらに飛びかかってくる。それを余裕を持って右に避ける。
(さてもう1匹は……真上ですか……!)
真上から巨猿3号が落下してくるが難なく回避する。そして巨猿2号がすぐさま攻撃してくるので跳び上がって回避するが……
……!嘘……巨猿1号、もう動いちゃうんですか……!?
空中にいたところを巨猿1号に掴まれてそのまま地面に叩きつけられる。
ぐはっ……!油断した……1匹の時は結構余裕で勝ててたから……
さらに追い打ちで壁に叩きつけられた私を2号と3号が2匹で殴ってくる。
私は壁を蹴ってギリギリで回避することに成功した。
……こっからは本気だ。少しの油断もせず徹底的に終わらせてやる……!
ぶっつけ本番だけどやろう。『並列意思』、頼む。
『並列思考』が進化して『並列意思』に。よってもう1人の私が私の中には存在する。私はそいつに魔力操作を任せていた。
すると私の目の前に白く輝く光の弾が出来上がる。魔法ではない。ただの魔力の塊。さしずめ魔弾といったところかな。
それを巨猿3匹の周囲を覆うように魔弾をいくつも作り上げる。
これだけあれば充分だ……放て!!
魔弾が一斉に巨猿へ向かっていく。ただし、威力は低い。これはあくまでも相手の邪魔をするだけのもの。
巨猿達が魔弾に気を取られている間にまずは手負の1号からトドメを刺す。再度首を噛みちぎって頭を胴体からちょん切って終わり。
続いて『瞬速』で即座に2号の頭に飛びつき、脳天を食い荒らす。2号は悲鳴をあげてぶっ倒れるが、おそらくまだ生きているためトドメに胸の辺りを噛みついて終わり。
その間に3号が脇目も振らず私に突撃。『予見』で見切っていた私はその辺に転がっていた1号の頭を咥えて投げて3号に思い切りぶつける。それで3号の動きが止まる。それはほんの一瞬だけ
されど一瞬
それだけ隙があれば事足りる。
『気闘法』『瞬速』
次は首ではなく脳天へ攻撃する。そのまま残りの魔弾全てを3号にぶつけて終わり。
はぁ……疲れましたね……本気を出すとどうしても素の自分の口調が出てきてしまう。よくないよくない。元友達からは淡々としてて怖いと言われていた記憶が朧気ながらあるんですよねぇ……
《経験値が一定に達しました。個体、スモールエルローアントがLV9からLV10になりました》
お、レベル上がりましたね!これでやっと進化が出来る!
ふと、蜘蛛の方はどうなったのかと見てみる。
するとちょうど戦闘が終わったところらしく、私の事をじっと見つめていた。
うーん、警戒されてるなぁ……
とりあえず鑑定してみた。けど、スピード以外のステータスがあまりにも低い。知能が高そうだったから、多分糸と毒を上手く使ったんでしょうね。あの巨猿を3匹倒せてるみたいだし、相当便利なんでしょうね……
私もその手のスキルが欲しいけど、私にはそういうスキルが向いていないのか要求ポイントが高くて手が出せない。
それはともかくこの蜘蛛、気になるスキルを所持しているようです。
それが『n%I=W』というスキルですね。
鑑定出来ない詳細不明のスキルだが、私は私が転生者だからこそ与えられたものなのかなと思っていたのだが他の魔物が持っているというのならこの考えは違っていたのかな……?
それとも……私と同じ転生者なのか……?
一応、確認はしておく必要がありそうですね……
******
蜘蛛子視点
すみませんでした!!
もしかしなくてもあの蟻がここで猿に襲われたのって私のせいだよね?だってあの猿は私を倒すためにここに集まっていたんだから。おそらく私のところに向かってくる途中で巻き込まれたとかそんな感じだと思うんだよね。なので、それでお怒りなのでしたら謝ります。すみませんでした!
とりあえず鑑定でステータス見てみたけど、正直言って勝てる気がしないわ……
まず、ステータスは言うまでもなく素早さ以外が私よりも遥かに高い。その素早さもそこまで大差あるわけでもないくらい高い。ここまではまだいい。だけど不自然なくらいスキルが多すぎる……
毒に耐性があるから効きにくいし、糸の拘束もさっき出していた光の弾で遠距離から攻撃できるのならあまり期待は出来ないよねぇ……
…………できるだけ戦闘はせずに逃げに徹しよう。
******
蟻視点
どうやら『念話』というスキルがあるみたいなのでスキルポイント100払って取りました。これで意思疎通しやすくなるかな……?
『あ、あーマイクテストマイクテスト。……その様子だと聞こえてるようですね』
蜘蛛はめちゃくちゃ驚いているみたいで、すごくアワアワしている。
その様子を見ながら確信して私は聞く。
『あなたも転生者ですか?であれば、協力しましょう』
蜘蛛は少し悩むようにしてから首を縦に振る。
『ちなみに前世が誰か聞いても?』
すると蜘蛛は足でガリガリと地面に名前を書いていく。そこに書かれたのは————
『若葉 姫色』
なるほど、若葉さんですか……少し嬉しいですね。完全にぼっちだった私にとって同じように独りだった若葉さんは他のクラスメイトより接しやすい存在だった。
『そういえば私名乗ってませんでしたね。私は……『
危なかった……記憶が曖昧なせいで一瞬、自分の名前出てこないかと思いましたよ……
そうして、私は若葉さん——いや、この蜘蛛さんと一緒に行動する事となりました。
******
蜘蛛子視点
まさかの黒華ちゃんとは思わなかった。黒華ちゃんは若葉姫色と1番言葉を交わした人物と言っても過言ではない。だから他の人ほど緊張もしない。コミュニケーションが不安でしかないけど、気持ち的にはそれだけで幾分か楽になった。
よーし!チームプレイとか全くした事ないけど、多分何とかなるでしょ!
少なくとも1人よりマシなのは間違いな…………足引っ張ったりしないかな、大丈夫だよね?
とりあえず今はお互いに進化して、私は『念話』のスキルの獲得を目指しつつ、この場所の近くに中層へ行ける道があるみたいなのでそこから中層へ行くこととなった。