我輩は
なに言ってんだコイツ?と思うかもしれないが転生者なんだ。
架空原作物に転生した悪役令嬢とかでなく既存原作に転生した転生者だ……転生先?ワールドトリガーだ。
ジャンプで大人気で作者の体調の問題でジャンプSQに行ってしまったが、今のジャンプなら覇権を取れるほどに面白い。
そんなワールドトリガーの世界に転生している……勿論転生特典を持ってだ。神様が転生特典をくれる!と言っていてコレでラノベでよくあるヒャッハーが出来るぜ!と思ったが……無理だった。
まぁまぁ、冷静に考えてみようよ。
外国ならば銃を撃てる射的場はあるけども日本じゃあってもクレー射撃かレーザーピストルだ。日本独自の剣である日本刀はあるが剣道の剣技と日本刀での剣技はまた違うわけだ……前世から鍛えているわけじゃないんだ。
原作知識というアドバンテージを持っているが、戦闘経験は皆無だ。
ワールドトリガーはSFだが文明が異なる異世界との戦争物でもあり場合によっては命を奪わないといけないのである……普通の人が後遺症が残るレベルでのダメージを与える暴力を振るったことがあるか?と言う話である。
まぁ、それを言い出せばマジで力を手に入れたとは言え訓練も何もしていない人間が敵とはいえ命を奪えるのは倫理観がどうなってんの?状態ではあるが。とにかく漫画みたいなことが起きたものの漫画みたいに都合よくはいかなかった。
転生させてくれた神様は最初からこういうオチになるのはお見通しだったのか、一応はチートを貰えた。それを使いこなす為の特訓をしたりはしたが、それを使う場面は大分大変な時でそうならない様に色々と対策をする。事件は起きるのは仕方ないとは言え起きた以上は適切に対処し同じ事例を作らないように予防する。事件が起きた解決したカッコいい!素敵!だけの都合の良い展開にはならない。
「ただいま〜」
「おかえり」
「秀信、夕飯はなに?」
一応はチートを持っており、色々とあって旧ボーダーの頃からボーダーにいる。
タイミング的に言えば小南より後、迅やレイジさんより先であり……小南には見下されている。自分よりも後に入ったレイジさんの事をレイジさんと言う。今のボーダーが出来てから入った加古とかもさん付けをしている。しかし太刀川や俺は呼び捨てにしている。
小南が呼び捨てにしているのは先輩だからと自分が上だからと思っているから。
つまりは呼び捨てにされている俺は小南に見下されているという立派な証拠なのだ。
「今日の夕飯はトンテキだ」
まぁ、仕方ないと言えば仕方ないだろうなとは思う。
小南は人間性が純粋というかバカだが一般教養は普通に賢いし戦闘能力は物凄く高いのだから。
小南に今日の夕飯がトンテキである事を伝えた。夕飯に対しては特に文句なんかは言われることはなかった。
「トンテキすか……とんかつじゃダメなんすか?」
「君、毎回言うね」
豚肉を使った料理を作る時に高確率で烏丸がとんかつじゃないのかと落ち込んでいる。
材料が殆ど同じと言うか揚げるか焼くかの違いであり、食べれるのならば好物であるとんかつが良いのが本音なのだろう。
「もうトンテキのソース作っちゃったし、途中で変更は出来ないよ」
「……」
「次はとんかつにするから」
肉的にとんかつがいける!と烏丸が訴えかけてくるので折れる。
次に俺の料理当番が回ってきたらとんかつを作る。
「サラダ油じゃなくてラードからお願いします」
「君、サラリとリクエストするね」
「揚げる油から作ったとんかつなんて贅沢品は家じゃ作れないっすよ」
烏丸が訴えかけてくるので仕方なく折れたのだがサラリと要求を追加してくる。
とんかつ大王のとんかつを作ったからホントに美味いとんかつの味を烏丸は知ってしまった……そのとんかつを作ったのは俺だからなんとも言えないが。
「はぁ……なにやってんだろうな……」
なんか望んでいたものとは違う。楽しい日々を送っているがなんというか満たされない気分である。
夕飯のトンテキを作れば美味い美味いと玉狛支部の面々は食べてくれた。その言葉を待っていた!なんて言わないよ。もう聞き慣れたから。
「毎度のことながらだけど、ホントになんか満たされない。嫌になる」
「風間達の代わりとかは別の誰かが出来るけど秀信の代わりは出来る奴は居ないから……適材適所で割り切れよ」
「分かってるけど……それでも凹みますよ」
場所は変わりボーダーの本部。
太刀川、冬島さん、諏訪さん、東さんが麻雀をしている。俺?ガン牌を仕込んだのがバレてお前相手だとなにをするか分からねえと言われているので参加禁止をくらっている。じゃあ、何をしているかと聞けば
「はい、麻婆春巻です」
飯を作りに来ている。ウホッ!野郎だらけの徹夜麻雀!というダメな大学生まっしぐらな事をしている。当然徹夜麻雀なので腹が減り、飯が必要になる。
水で戻したライスペーパーを数層に重ねて日本人向けに味付けた麻婆豆腐を包み蒸し器で蒸した後に春巻きの皮に包んで揚げたものを出す。
「いや〜これだよこれ!これがあるから深夜の準備は楽しい!」
「……」
当たり前だが近界民への防衛体制は24時間年中無休だ。
シフトはローテーションに組み込まれているが、深夜に入らないといけない人達は普通に居る。ボーダー隊員の大半は若い学生であり一応は特例で深夜シフトには入れる……が、深夜なので普通に眠たいとかがある。
太刀川隊、諏訪隊、東さん、冬島隊は本日の深夜にシフトが入っている。
それに合わせてあえて徹夜麻雀をすることで体内時計を狂わせて深夜のシフトに入っても問題無く動ける様にしている。一歩間違えればニートのマキシマムドライブが起きる可能性があるが……まぁ、うん。太刀川隊と冬島隊はボーダーでも上から数えてすぐの最強戦力だから体調不良はよくない。
「あ〜ビール欲しいわ」
夜中なのでドカンとした物は食べない。麻婆春雨を軽く摘んで小腹を満たす程度で納めている。俺の料理が美味しくて諏訪さんがビールが欲しいという……そう、俺の仕事は料理だ。
サイドエフェクトとかは特に持っていない。転生特典が料理に関係ある物だ。
私、料理得意なんですよ!とか言う女子がいるだろう。
実際料理得意なんだろうが聞いてやろう。貴様は料理に使う油を自作するところからスタートしているのか?と。
パンとかお菓子を作るのが得意な人は居るだろう。
だが、その人達は電子オーブンという文明の利器があるおかげで一部は成り立っている。電子オーブンでもなんでもない純粋な窯を用いてパンやケーキを焼いたことがあるのか?否、大抵は最新のオーブンだ!それが悪とは言わない。むしろ正義だ。
しかし、俺は知っているのである。
近界民の世界って飯があんまり美味しくない……こっちの世界みたいに広いわけじゃないし資源が限られているから美味しくないんだ。香辛料の塊であるカレーライスなんて最高級料理。そしてボーダー隊員は日本人で構成されている……飽食国家の人間だぞ?宇宙飛行士みたいなしっかりした訓練を受けたわけじゃないぞ?
王族とかのコネはあったりしたものの、食糧事情が限られているという意外とキツい状態だ。
特に林藤支部長と忍田本部長は好物がラーメンで、向こうの世界にも小麦粉があるんだからラーメンは作れる!って挑戦して普通に失敗していた。小麦粉と水を混ぜ合わせた物がラーメンの麺じゃない、ラーメンの麺のコシを出すにはかん水が必要なんだよ。後、シンプルに熟成も大事なんだ。
流石の料理上手をアピールポイントとして持っているレイジさんや鈴鳴の今もラーメンの麺を作る為に必要なかん水の作り方は知らない。仮にラーメンの麺を作ってと言った場合、顆粒だしと同じでラーメンのかん水になる粉と水を混ぜ合わせるだろう。
「秀信、今度大根餅作ってくれよ。甘めのやつで」
「甘くするの時間かかんだぞ……いいけどさ」
太刀川に大根餅を作ってくれと頼まれた。
ボーダー内部での俺の扱いは都合の良い飯炊きである。俺はもっとこう、A級らしい強い隊員!と活躍したいんだが出来ない。なんだったらポイントは香取の方が上だったりする。
A級とB級の制度が生まれた際に玉狛第一に便乗してA級になったが俺は雑魚だからとカモられる。
どうにかしようにも最後に物を言う才能の部分で突破出来ない。とにかく色々とやってみようとやっても形になっても初見で対応してくる小南はいったいなんなんだよと言う話だ。