飯炊系隊員の憂鬱   作:アルピ交通事務局

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飯炊系隊員の憂鬱 その2

 

「秀信くん、加古隊(うち)に新しい子が入ったわ」

 

「どうも、黒江双葉です」

 

「加古に認められてよかったな……で、どうしろと?」

 

「正隊員になって隠密行動とかも無事にこなせて実力は問題無いわ……記念に秀信くんの料理を食べさせたいのよ」

 

「……一応言っておくけど、俺隊員で衛生兵じゃないからな」

 

 加古が新たに自分の部隊に才能を持った新人が入ったと報告に来た。

 そういうのは普通は最初の隊長である東さんに報告をするものだろうと思ったので裏があるかどうかを聞けば、俺の料理を食べさせたいと言ってくる。

 

 一応言っておくが、俺はフリーのA級隊員であって衛生兵とかじゃない。

 まぁ、玉狛第一がA級どうのこうのの際に便乗してA級になった情けないA級だけども。

 

「この前頂いた炒飯で充分ですよ?」

 

「アレを食ったのか……」

 

「はい。独創的で美味しかったです」

 

 加古の極稀にあるクソまずい炒飯を食べて美味いと言うのは大丈夫だろうか?

 味覚障害とかメシマズとかだったら普通に嫌だ……ちゃんと美味しい物を食べて美味しいという感覚にさせなければならないな。

 

「甘い物を食べさせてあげたいなって」

 

「いや、それこそA級で蓄えた貯金使えよ……」

 

 女の子は甘い物が大好きだからと加古は黒江に食べさせたいという。

 だったらA級で貰える固定給で美味しいお店に連れて行ってやれよ……

 

「だって、秀信くんの料理の方が美味しいんだから仕方ないじゃない」

 

「……はいはい、分かりましたよ……メロンパンを作ってやるよ」

 

 美味しい店を知ってはいるが俺の料理の方が美味しいと言ってくれる。

 それを言われたのならばなにも言うことが出来ないので仕方がないとメロンパンを作ってやると言った。

 

「メロンパンですか?」

 

「ああ……名前の通りメロンを使っているメロンパンを作ってやるよ」

 

 ケーキとかパフェとかにしようとしたが名前の通りホントにメロンを使っているメロンパンを作ることにした。

 

「パン、と言う事はアレを使うのね?」

 

「当然だ」

 

「双葉、運がいいわね。最高に美味しいメロンパンが食べれるわ」

 

「……美味しいメロンパンはあっても、物凄く美味い!と言うメロンパンはイメージ出来ないんですが?」

 

 パンを作ると言えば加古が嬉しそうにしている。

 黒江はメロンパンと言えば何処で食べても大抵は同じ味で特別に美味いメロンパンなんて食べた記憶が無いので物凄く美味いメロンパンをイメージすることが出来ない。

 

「その通り。普通にやっても美味しいメロンパンは作れない。だが、俺にはコレがある」

 

「小麦粉の生地?」

 

「これこそメロンパンを最も美味くする秘訣、老麺だ」

 

 小麦粉の生地を出せばなんなの?と疑問を抱く黒江。

 メロンパン、いや、パンを作る上で最も大事であり転生特典の1つとして貰っている物である。

 

「黒江、漢字で饅頭と書けるか?」

 

「バカにしないでください。書けますよ」

 

「ならば、何故饅頭に(あたま)と言う文字がついているか疑問を抱いたことはないか?」

 

「いえ、無いです」

 

「……無いのか……饅頭に頭の文字がつくのは諸葛孔明が関わっているから。そしてこの小麦粉の生地こそ老麺、三国志の時代から伝わる生地だ!」

 

「……加古さん、大丈夫なんですか?三国志の時代って1000年以上前ですよね?腐ってませんか?」

 

「双葉。鰻屋がウナギのタレを継ぎ足して使うのは知ってるでしょ?あの生地は三国志の時代に作られた物を継ぎ足して作られた生地なのよ」

 

 1000年以上前に作られた老麺を見て食べても問題は無いのか?食あたりしないかを危惧する黒江。

 加古に問題が無いのかを聞けば加古は俺がしようと思っていたウナギのタレの説明を先にしてしまった。

 

「まぁ、疑問に思うのは無理もない。なので今回は生地を2つ用意しよう!ホントに美味いパンを食べさせてやろう」

 

 そんなこんなでメロンパン作りが始まる。

 小麦粉と水と塩と砂糖を混ぜて生地の塊が出来た後に老麺を加える。老麺を加えたことで爆発的にメロンパンのパン生地が膨らむ。

 

 しかしコレでは終わりじゃないのだと発酵に入る……と見せかけてのとっておきを使う。

 

「ふふ、やはりコレは便利だ」

 

 とぐろを巻く龍を模した壺、俺の持っている転生特典の1つである転龍壺だ。

 この壺は味噌等の発酵や熟成に時間を費やさないといけない物を一瞬にして最高の熟成具合に持っていく物だ。

 

 味噌やソース以外にも使える。

 肉を入れれば最高に熟成された肉が生まれる……そしてパン生地を入れれば最も最適な発酵を一瞬にして行う。

 

 転龍壺にパン生地を入れればパン生地は風船に空気を入れたかの様に膨らんだ。

 ピカァ!と転龍壺が光ったので転龍壺からパン生地を取り出してガス抜きを行い再び転龍壺に入れた。

 

「さて、なにもしないのを作るか」

 

 特別に美味しいメロンパンを食べたことがない黒江の為に、まぁ、メロンパンってこんなもんじゃないの?と言えるメロンパンを作る。生地は先ほどと同じだが老麺を使わず市販のイーストを使い、発酵もしっかりと時間をかけてする。

 

 極々普通のメロンパンのパン生地を作る。

 そしてメロンパンの難問であるクッキー生地、本来ならばべちょっとするがクッキー生地とパン生地を別々にして焼くことで問題点を解決する。そしてメロン、極上のメロンを使い生クリームと混ぜ合わせてメロンクリームを作り出す。

 

「メロンパンは見た目がメロンだからメロンパンと名付けられているがこのメロンパンは逆、メロンを使っているからメロンパンだ」

 

 そんなこんなでメロンパンを作ることが出来た。

 焼きたてジャぱんのメロン寿司パンでパンを作る過程でどうしても複数個作ることになる。自分で食べる分もあるが、加古隊の面々に配る事が出来る量もあり渡した。

 

「食べちゃダメなの?」

 

「今回は黒江に味の差を理解してもらう為だ」

 

 よく分からない謎生物もとい加古隊のトラッパーこと喜多川は食べたそうにしているが、最初に食べる権利があるのは黒江だ。

 老麺を使い転龍壺を用いたメロンパンと普通のメロンパン、2つの味を食べ比べて貰わなければいけない。

 

「いただきます……美味しいですね」

 

 普通のメロン寿司パンを食べた感想は美味しいだった。そりゃジャぱんだから美味しくて当然だろう。

 顔には出ていないが甘い菓子パンを食べて満足げになっている黒江。もう1つ、メロン寿司パンがあるからそっちを食べないといけないとメロン寿司パンを食べた。

 

「!?……美味しい……物凄く美味しいです!」

 

「そっちが老麺を使ったメロンパンだ。生地からして別格だろう」

 

「はい。しっかりとパンを食べているってパンの味がします」

 

 老麺を使い転龍壺で熟成させたメロンパン。

 最高に美味しいと使わなかった方のメロンパンと違いバクバクと食べ進めている。

 

「美味い。美味い」

 

 黒江がリアクションを取ったのでもう食べても問題無いと判断した喜多川もメロンパンを食べる。

 どっちもメロンパンとしてのクオリティが高く絶品であるとバクバクと食べ進んでいる……なんか変な生物だから面白い。

 

「やっぱりコレよね……遠征でこの味を知ったら、向こうの世界のご飯が物足りないって感じるわ」

 

 メロンパンが美味しい!と加古も言うが、色々と余計な事を言う。

 遠征で主な俺の仕事は飯作りだったりするわけで……戦闘員としては求められていない。

 

 今回、加古がスカウトした黒江は戦闘員としての才能があるからとスカウトされた。

 俺が欲しいと思っている才能を持っており行使する事が出来ている……

 

「はぁ……凹むわ……」

 

 黒江と数回勝負したが1本しか取れなかった。

 だからと言って黒江が俺を見下したりはしない……木虎とかは俺を見下している。真木?あいつはお前には別の仕事があるだろうで一応は認めてくれているよ。

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