飯炊系隊員の憂鬱   作:アルピ交通事務局

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飯炊系隊員の憂鬱 その3

 

「どないすればモテるんです?」

 

「なにが?」

 

「いやいや、しらばっくれんくてもええですよ……女の子に料理振る舞って着実に好感度稼いどるのイコさん知ってますから」

 

「なんかすんません……」

 

 生駒と水上が現れた。正確に言えば生駒とセットで水上が現れた。

 生駒がバカな事を言い出すので何処かで仲裁役をしようという水上の大人な対応だろう。

 

 なにをしに来たと言えば生駒は俺がモテる理由を聞いてくる。

 

「ギターを覚えても披露する機会あらへんのに……やっぱ料理出来る男子ってモテるんやな。この前迅に勧められて俺もはじめたんです」

 

「いや、違うぞ。俺の場合は料理出来るじゃなくて料理をするが正しいからな……俺の場合だと料理は出来るでもあるしするでもあるけど」

 

 生駒が料理を覚えようと考えているが、料理が出来ると料理をするのはまた違う。

 俺は料理が出来るでもあり料理をするでもあるのが正しい。

 

「てか、そもそもでなんでそない料理作ってはるんすか?」

 

「……俺が今のボーダーが出来る前の秘密の組織だった頃のボーダーの隊員だったの知ってるだろ?」

 

「え、そうなん!?」

 

「チラリとは聞いたことはあります……なんか関係してはるんすか?」

 

「俺が入ってから食事関係の殆どが俺の担当だったんだよ」

 

 俺が入る前はなんか色々と当番制だったが、俺が入ってからは旧ボーダーの飯炊きは俺がしていた。

 レイジさんとかゆりさんとかもやっていたことがあるが、俺に任せた方が色々と良いと旧ボーダーの食事関係は俺の仕事だ。

 

「なんだったら俺が試験無しで強制的に遠征に行かされてるのは飯関係の問題を俺1人で全て解決する事が出来るからだぞ。1回その辺の事を東さんが知ったらガチギレたし、向こうの世界の偉い人にもガチギレされたからな」

 

「なにやらかしたんすか?」

 

「A級に上がったら教えてやるよ」

 

 東さんがガチギレしたしアリステラの重役もブチギレていた。

 水上が何をやらかしたのかを聞いてくるが一応は言わないようにしてあることなので言わない。A級に上がって真面目に遠征を目指す事になったらそれとなく聞かされる事ではあるのでA級に上がってからのお楽しみという事にしている。

 

「秀信さん、俺はモテる為に料理を覚えてるんやけど大変な事実に気付いたんや……披露する機会が無いと言う事実に」

 

「お前、交友関係広い方だろう?飯を作るシチュエーションとかそういうの無いのか?生駒隊で料理作ってみましたとかないの?」

 

「それが無いんすわ。イコさんが料理を覚えようとしとるのは知ってますけど、いざ食べるって機会が無いんすわ……ボーダー園の子供達に料理振る舞うの禁止にされとりますし」

 

「じゃあ、出来る方の料理を振る舞う?」

 

 生駒が料理を振る舞う場所が欲しいと言っているが、皆なんだかんだで普通にご飯を食べている。

 生駒が手料理を作って振る舞うタイミングが殆ど皆無なので出来る料理のアピールをするかと聞いてみる。

 

「そもそも出来る方の料理ってなんです?」

 

「寿司とかハンバーグとかある程度は簡単に作れるけれども本気でやる場合は凝った物が作れて、その凝った料理しか出来ない……まぁ、ざっくりと言えば卵焼きみたいに毎日食べる料理じゃなくてローストビーフとかの特別な時に食べる料理に特化した。毎日食べる料理に関しては振る舞う機会はホントに難しいからな」

 

 生駒が出来ると言う意味合いでの料理がなんなのか分かっていないのでざっくりと説明をする。

 要するに凝った料理か毎日食べるなんでもない普通の料理であり、生駒が覚えているのは多分毎日食べるなんでもない料理だろう。

 

「出来る料理言いますけど、なんかあるんすか?イコさんはそもそもで料理に誘えないところがあるんですよ!その辺真剣に考えてるんですか?」

 

「大丈夫だ。この国伝統のパフォーマンスがある……そう、マグロ解体ショーだ」

 

「マグロ解体ショー!それはスゴい閃きや!」

 

「秀信さん、幾らなんでも難易度高すぎます!!」

 

「大丈夫だ。ここは3人体制で行く。水上が俺と生駒がマグロ解体ショーをすると噂を流す。俺がマグロを解体する。生駒がマグロを使った料理を振る舞う。この三段活用で生駒飯を広めるんだ」

 

「え、巻き込まれとる!?……いや、ええんすけど」

 

 生駒飯を振る舞う機会を作るには派手な場所を用意しないといけない。

 日本の料理のド派手なパフォーマンスと言えばやはりマグロ解体ショーだろう。鮪が高すぎて買えないが、見るだけでも凄まじいと価値がある物だ。現に市場のマグロ解体ショーは定期的に開催されて一定の集客率がある。

 

「イコさん、大丈夫なんですか?鮪なんて言うたら寿司とか刺身とかで食うものでそれ以外で食う機会なんて精々ツナサンドぐらいですよ?」

 

「心配せんでも、料理の勉強はしっかりしとるから任せとき!と言うことでそれとなく鮪がタダで食べれるとマグロ解体ショーの噂を流してくれ」

 

「…………イコさん、イコさんがそれ出来たら最初からこない手間かかることせんでええんやけどな……」

 

 生駒がモテる為の料理出来ますよアピールをする為に急遽マグロ解体ショーが決まった。

 生駒は寿司と刺身以外の鮪料理を覚えてこいと言い、水上は生駒と俺がマグロ解体ショーをするという噂を流した。

 

「いや〜思ったよりも来てくれはったわ。なんかスマンな。お前らも忙しいのに」

 

「別に構わないよ」

 

「タダで食えるならば食ってみたい。デカい鮪を」

 

 王子や穂苅と水上と同じ歳の隊員がマグロ解体ショーを見に来てくれた。

 生駒の本来の目的でもある女子達もそれなりに来ており、マグロ解体ショーがこれで問題無く出来る。

 

「今から秀信さんのマグロ解体ショーが始まります!なんや鮪がデカいから玉狛支部だけで処理しきれなくて困るから、タダや!俺が料理するから遠慮なく食ってってな……ところで秀信さん、解体する鮪何処にあるん?」

 

「トリガー、起動(オン)

 

「え?」

 

 マグロ解体ショーの鮪は俺が用意する事になっている。

 鮪は何処なの?と生駒が聞いてくるので俺はトリガーを起動してトリオン体に換装した。

 

「生駒、お前もトリガーを起動しろ。鮪が重くて生身じゃ持てない」

 

「いやいや、幾らなんでも……こう見えて俺、結構鍛えてますよ」

 

「いや、無理だから……大体300kgはあるから」

 

「さ、300kg!?」

 

 生駒に鮪を出すから手伝わせる為にトリガーを起動する様に言う。

 生身の肉体をしっかりと鍛えているから数十kgの重さでも軽いものと筋肉を自慢する生駒だが用意した鮪が3mはある四捨五入したら300kgはある重さの鮪だから生身で持つのは不可能だ。

 

「デッカ!?」

 

「トリオン体なら俺1人でも持てるけど、重いから手伝え」

 

「いや、っちょ、秀信さん。こないバカデカいなんて聞いてへんで!」

 

「解体ショーなんだからデカいのは必須だろう」

 

 四捨五入したら300kgはある鮪を出せば生駒は予想していたのとなんか違うと慌てていた。

 1m程度だったら食べ盛りの学生が多いボーダーに行き届かないし、この鮪の一部は玉狛支部の夕飯に切り替わるのだからデカくていいんだよ。

 

 なんか予想していたのと違うとなったが、生駒はトリガーを起動した。

 巨大なまな板の上に2人で協力して鮪を乗せれば見に来ていた奴からマジか!と驚かれた。

 

 そこからはマグロ解体ショーが始まる。

 転生特典1つである2代目メルク包丁を使う。刀みたいな見た目のマグロ包丁を使わずに軽々とマグロを捌いていけばあっという間に鮪の解体が終わった。

 

「刺身関係は俺がやるから、火を入れた鮪料理を作れ」

 

「よし!じゃあ、鮪ステーキに鮪の竜田揚げに鮪の照り焼きに鮪の角煮を作るか!」

 

 解体が終われば鮪料理を振る舞う。

 見るからに美味そうな極上の鮪が目の前にあって無料で食い放題となれば食べ盛りの学生達には嬉しい事だろう。

 

「美味い!」

 

 しかし残念なことが1つあった。生駒の作った鮪料理は美味かったのだが、俺が作った寿司や刺身の方が人気だった。

 日本人にとって鮪と言えば刺身や寿司として食べる物のイメージが強すぎるから仕方ないとは言え仕方ないんだが。

 

「秀信さん、イコさんに協力してくれたんはええですけど……金かかったんちゃいます?」

 

「安心しろ。タダだ」

 

「……まさか、釣りに行きはったん!?」

 

 極上の大トロの寿司を頬張る水上がお礼を言ってくる。

 しかし、今回使った鮪が300kgはある巨体だったので金が物凄くかかったんじゃないのかと聞いてくるのでタダで手に入った鮪であることを伝えれば水上は若干引きつった顔をした。

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