注意
※自殺表現が含まれます。
原作に沿って書いてますが、多少のキャラ崩壊あり。
微クロスオーバーの二次創作作品となります。
リゼロの死に戻り設定をお借りしてますが、
リゼロキャラは出てきませんのでご了承下さい。
リゼロを知らなくても本作は問題なく見れます。
僕のヒーロー人生は、あの時終わったんだ。
そう。
──── 「 諦めた方がいいね 」 ────
あの瞬間から。
*
「あのオールマイトをも超えて!俺はトップヒーローとなりィ!必ずや!高額納税者ランキングに名を刻むのだァ゛!!」
「そういや、緑谷も雄英志望だったな」
その一言で、爆豪勝己。
基、かっちゃんの動きはピタッと止まる。
教室には、生徒たちの笑い声がドッと沸き上がる。
「緑谷!?無理っしょ!」
「勉強できるだけじゃヒーロー科は入れねぇんだぞ!」
「そんな規定は、もうないよっ!前例がないだけでっ...」
「ア゛ァ!?」 BoooM!!!
「ゴラァ、デクゥ゛!!
没個性どころか "無個性" のテメェが!なんで俺と同じ土俵に立てるんだァ゛?」
「まっ...違う!待ってかっちゃんっ...!
べつにっ、張り合おうとか!そんなの全然...本当だよ!?」
「ただ...小さい頃からの目標なんだ...それにその...
やってみないと分かんないし...?」
我慢できずに零したその一言が、かっちゃんの逆鱗に触れてしまったのか、かっちゃんの両手からは煙が上がる。
「なァにが、やってみないとだァ゛!記念事典かァ゛!?」
「テメェが何をやれるんだ?
"無個性" の癖によォ゛!」
*
「雄英受けるな、なぁ、デクゥ?」
「っ...!」
僕の肩に手を置き、手から煙を立てるかっちゃんの顔は本気の顔で、僕は何も言えずに固まってしまう。
「いやいや...流石になんか言い返せよ」
かっちゃんと教室を出ようとするクラスメイトに、バカにされても何も言い返せず、顔を俯ける出久を背にかっちゃんは続けて言う。
「あ、そんなにヒーローに就きてぇなら、効率いい方法あるぜ?」
「来世は個性が宿ると信じて!屋上からのワンチャンダイブ!」
「っ...!!!」
「な゛ぁに?」
出久は言い返そうと振り向くも、かっちゃんの個性には適わないと自分が一番分かっているから。
嫌いでも、いつも言い返せない自分が嫌になる。
*
(馬鹿野郎!本当に僕が飛んだら自殺教唆だぞ!考えて物言え!)
窓から投げられたノートを拾いながら僕はふと思い出す。
『屋上からのワンチャンダイブ!』
本当に...僕が飛んだら...
(...いいや!絶対そんな事してやるもんか!)
どれだけ望んでも絶対に叶わない願いというのは、こんなにも虚しいのか。
たった一言。
ほぼ毎日と言っていい程吐かれる暴言の内の一つに過ぎないその一言が僕の人生を大きく変えるなんて、今はまだ、誰一人として知らなかったんだ。
そんな事を思いながらいつもと同じ帰り道を歩き、トンネルを潜ると後ろから気持ちの悪い気配と音。
「? っ...!ヴィラン!!」
振り返るとそこには、ヘドロようなヴィランが僕を見ていた。
「はっ...はぁ!うわぁぁ!!」
『ダイジョウブゥ...体ヲノットルダケサァ...オチツイテ?苦シイノハ、約45ビョウ。スグ楽ニナルサァ...』
その場から逃げ出すもすぐに口を塞がれ、もがくも流動的なヴィランの体を剥がすことはできずにいた。
(体が...力入らなっ!
死ぬ、死ぬのか!?死ぬ!誰か!嫌っ...!)
「もう大丈夫だ。少年!」
「私が来た!」
そこに立っていたのは、僕が目指すヒーローそのものが居た。そんな認識する間もなく、そのヒーローはヴィランを人殴りで吹き飛ばしちゃう、あぁ...かっこいいなぁ...
(オール...マイ、... ──────)
*
「ヘイ!ヘイ!!」
ペチペチペチペチ
「ヘッ、あ!よかったぁ!!」
目を開けた先にはオールマイトの顔がデカデカと「トォあああああ!」オールマイト!?!?
「元気そうで何よりだ!いやぁ、悪かった!ヴィラン大事に巻き込んでしまった!いつもはこんなミスしないのだが...オフだったのと、慣れない土地で浮かれちゃったかな!?」
「はわ、はぁあわわ、」
「しかし!君のおかげさ、ありがとう!
無事、詰められた!」
先程まで僕を殺しかけていたヴィランの液体を入れたペットボトルをデデン!という効果音が似合う見せ方をするオールマイトに戸惑いを隠せない。
(オールマイト!ほ、本物だ!生だとやっぱり...画風が全然違う!!)
「あっ、さ、サイン!どっか...あ!あのノートに!」
「してあるぅぅぅ!?うわぁぁ!ありっ、ありがとうございます!家宝に!家の宝にいぃぃぃ!!」
頭を何度も下げ、感謝を伝えて今も興奮を抑えきれない出久を横目にオールマイトは次へ行く準備を始める。
「じゃ、私はこいつを警察に届けるので!液晶テレビ越しにまた会おう!」
「えっ、そんな...もう...?」
「プロは常に敵か時間との戦いさ!」
(待って!まだ...聞きたい事がっ!)
そんな事を思っている間にパッと一瞬にして姿を消してしまいそうな、ナンバーワンヒーローの背中を僕は眺めているだけでいいのか?
「それでは、今後とも!
応援よろしくな ⎯⎯⎯⎯⎯⎯!って!」
「アババババババ!!!」
気づいたら、僕は飛んでいくオールマイトの腰に手を回していた。
「コラコラコラコラ!離しなさい!熱狂がっ!過ぎるぞ!」
「いば!はなずと!!しっ!しんじゃう!!!今!離すと!死んじゃう!」
「確かに!」
「ぼぼ、ぼく!あなたにっ、直接!!いろいろと、ぼっ!あなっ...」
「オーケーオーケ!わかったから目と口閉じな!」
「っ...!」
「ゴホッ...ん ⎯⎯⎯⎯⎯(Shitクソ!!!...)」
*
「怖っかっった...」コヒュー...コヒュー...
ビルの屋上に下ろしてもらった出久は、カタカタと体を揺らす。そんな出久を他所にオールマイトは、次へと急ぐ。
「全く!階下の方に話せば降ろしてもらえるだろう!私はマジで時間が無いので本当にコレで!」
「待って!あの!!」
「No!待たない!」
オールマイトの背中に呼びかける。
話したいことがあるんだ。あなたに。あなただけに。
「っ ⎯⎯⎯⎯⎯ 個性がなくても!ヒーローはできますか!」
「個性のない人間でも、あなたみたいになれますか!」
僕の心からの願い。いつも僕を救ってくれたヒーローだから、言って欲しいんだ。ボクも...
「個性が... ⎯⎯⎯ っ!」
ドクンッ!!!
(ああ、いかん...ホーリーシットだ、どちくしょう...)
オールマイトの体からは煙が出てくるが、それに気づいていない出久はヒーローに喋り続ける。
「個性がないせいで...そのせいだけじゃないかもしれないけど、ずっと馬鹿にされてきて...だから、か分かんないけど...人を助けるってめちゃくちゃかっこいいって思うんです!
恐れ知らずの笑顔で助けてくれる、あなたみたいな最高のヒーローに、僕も ⎯⎯⎯⎯
⎯⎯⎯⎯ぉぉおあああああ!!?」
気づくと出久の目の前には、ヒーローの象徴ではなく、絞れた細長い男性が居た。
「し、ししし、しぼんでる!?え!?さっきまで!え!!?にせっ、偽物!?ほっそー!?」
「...私はオールマイトさ゛ぁーーー」
「うああああ!ウソだー!!!」
細い男の口からは、ドバーッと血が流れ出す。
「プールでよく、腹筋力み続けてる人がいるだろう、アレさ!」
「ウソだー!!!!!」
「嘘だ...オールマイトは、恐れ知らずで...いつも笑顔で助けてくれる、最高の、!」
震えてショックを受ける出久の言葉を聞いてオールマイトは、ため息をつく。
「恐れ知らずの笑顔ね...見られたついでだ少年。間違ってもネットには書き込むな?」
そう言うと、オールマイトは着ていたシャツをあげて体を見せる。
「ヒッ!」
「五年前...敵の襲撃で負った傷だ」
赤黒く変色したその傷は、痛々しく目を覆いたくなるようなものだった。
「呼吸器官半壊、胃袋全摘、度重なる手術と後遺症で憔悴してしまってね。私のヒーローとしての活動限界は今や、一日約三時間ほどなのさ。」
「そんなっ...五年前って、毒々チェーンソーと戦った時...?」
「詳しいな。だが...そんなチンピラにやられはしないさ!これは世間に公表されてない。公表しないでくれと、私が頼んだ。」
「人々を笑顔で救い出す "平和の象徴" は決して悪に屈してはいけないんだ」
「私が笑うのは、ヒーローの重圧」
「そして、うちに湧く恐怖から己を欺く為さ」
「プロはいつだって命懸けだよ。「個性力がなくとも成り立つ」とはとてもじゃないがぁ...口にできないね」
オールマイトの言っている言葉は、プロそのもので。
正論だから反論もできない。させてくれない。
オールマイト。僕は、ヒーローの助けを求めているんだ。あの時から、ずっと。
「あぁっ...」
「人を助ける事に憧れるなら...警察官って手もある。ヴィラン受け取り係なんて揶揄やゆされちゃいるが、あれも立派な仕事だ。」
「夢見るのは、悪い事じゃない。
だが...相応の現実も見なくてはな、少年 ⎯⎯⎯⎯」
⎯⎯⎯⎯ パタン
屋上の扉が閉じた瞬間。フラッシュバックする。まるで走馬灯のように。
『おかあさん...どんなこまってる人でも笑顔でたすけちゃうんだよ...?ちょーかっこいいヒーローさ...』
『ぼくも...なれるかなぁっ...?』
『ごめんねぇ出久っ...ごめんね...ごめんねっ...』
あぁ、違うんだ。違うんだお母さん。
あの時、僕が言って欲しかったのは...。
「ヒーローになれるって...」
たった一言だけで僕は救われるのに。
そして僕は、落ちていった。
⎯⎯⎯⎯ ベチャッ
*
(...さて、早くこいつを...)
「...?」
ポケットに入れていたはずの、ヴィラン入りペットボトルが見当たらず辺りを見渡すが見つからない。
⎯⎯⎯⎯ ドォォォン!
外から大きな爆発音が聞こえると、全てを察したオールマイトは冷や汗をかく。
「まさかっ...!」
バッと今までいた建物から走り出した時だった。
上から降ってくる青年と目が合ったあの瞬間。
(ぁ...?)
ナンバーワンヒーローが人を殺した瞬間だ。
原作に沿って書いたので少し長くなりましたが、次からは展開もガラッと変わると思います。
続きます。