真・恋姫無双 ~海の一族~   作:みずしろオルカ

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 遅くなりました。

 予想より進まない!
 3000字前後だけど、結構四苦八苦したしね。

 とりあえずようやく、タグ要素が登場。
 ただし、話だけ・・・。

 活躍できるのは何話先だろう?


第二話 ~嫌われ役と未知の力~

 反董卓連合。

 

 都で実権を握った董卓を良く思わなかった袁紹が立ち上げた有名諸侯を巻き込んだ連合だ。

 僕たち『風影の団』は、いくらその名が知られていようとも放浪軍なのだ。傭兵稼業、それ故に使おうとする諸侯は多くとも雇おうという諸侯は極端に少なくなる。

 

 影紗の調査では可能性があるのは、才能のある人材を好む魏の曹操、今はまだ袁術の客将ながら何れは独立するであろう江東の虎の娘たち孫策や孫権、新興勢力でありながらこの連合に籍を置いていて良い人材にも恵まれている劉備、万年人材不足と言われながらもその手腕で異民族を撃退し続ける白馬長史として名高い公孫賛。

 

 精々この四勢力ぐらいが、僕たちを諸手を挙げて迎え入れてくれる可能性のあるところだ。

 

 その中から僕ら……、いや僕が仕えるべき主がいる勢力を探さなくてはならない。この戦中に見つかるのだろうか?

 それとも、まだ先なのだろうか?

 

「秀護、軍議に呼ばれているわ。と言っても、袁紹の後ろで控える形でとの事よ」

 

「僕と影紗だけ?」

 

「ええ、『風影の団』を使っていると諸侯に自慢したいのでしょう。ま、ぜいぜい諸侯に顔を覚えてもらいましょ」

 

 言葉には出せないけど、めんどくさい。

 有名諸侯の前に出るのだから普段使いの鎧で軍議に出るわけにはいかない。返り血やら泥やら煤やらで汚れているからだ。

 

「誰かある!」

 

 影紗が天幕の外に声をかけると、すぐに団員の一人が入ってくる。

 

「ここに」

 

「我々二人分の正装を用意して、後は副団長補佐の指示に従ってください」

 

「かしこまりました。すぐにお持ちします」

 

 そういうと団員は風の様にその場から消えた。

 どうやら、『影』の方だったようだ。

 

「相変わらず、『風』と『影』の見分けが難しいな」

 

「当然です。私含めて『影』は秀護の文字通りの影。『風』は秀護の手足。手足にも当然影はできますからね」

 

 『影』と見抜かれないことも『影』の素質なんだろうな。

 しかし、儀礼用の鎧はあまり好きではない。戦闘に特化させた実戦用の鎧は僕の戦い方に合わせて新調させているが、儀礼用はそれこそ完全に見た目重視のものだ。

 動き辛いし、関節部分が他の所と干渉しているのか動くたびに金属音がうるさいのも減点対象だ。

 

 見た目は、普段使いの鎧を少し豪華にした感じなのだけど、使い心地は雲泥の差と言っていい。

 

「さぁ、秀護。私たちは袁紹軍にとっては捨て駒、どんな死地に送り込まれるかわからないけど、それを乗り越えて私たちの名、この天下に響かせましょう」

 

 確かに、ある程度名が知れていて、捨て駒にしやすい傭兵集団だ。

 実に分かりやすい扱いだし、他の周辺諸国も同様の扱いをするだろう。しかし、そこで袁紹側の予期せぬ活躍をしたら、当然だけど僕たちの名は天下に轟く。

 

「死地へ向かうか……。所詮捨て駒の放浪軍、そう思っているならこの戦でその認識を否応にでも改めてもらう」

 

 

**********

 

 

 反董卓軍の軍議。

 前半は、軍議というか顔合わせの会合というか、あれを軍議と言っては他の諸侯に怒られる。

 

 しかし、後半になって曲がりなりにも話が進んだ。

 

「それでは、劉備さんには汜水関での先陣を務めていただきましょう」

 

 まぁ、劉備という義勇軍にとってはかなり致命的な役目だ。

 そして、僕たちにとってはかなり嫌な任務になる。

 

「大丈夫ですわ。彼ら『風影の団』があなた方の後ろにて布陣しますので、何の心配もありませんわ!」

 

 要は彼女たちの軍勢が役目を放棄しない様に見張る役目だ。

 前線でもなければ、後衛でもない。味方の背に槍を突きつけるかなり印象の悪い役目だ。

 

「……」

 

 しかし、所詮は雇われの身だ。

 嫌われ役をこなすのも、傭兵稼業だ。慣れている。

 

「大丈夫です。おそらく、向こうの軍師二人が大変優秀でしたし、敗走したように見せかけて敵を我々に押し付けるぐらいはするでしょう」

 

 相変わらず、怖いぐらいしっかりした情報収集能力だ。

 だけど、もしそうなるなら僕らにも面倒が来るだろうな。

 

「なるほど、なら立ち位置から見て僕らが最初に押し付けられるね」

 

「ええ、しかし同時に好機です。守将である華雄将軍は強力な将ですが、同時に血気盛んで前線での戦闘を好むと聞きます。我々に押し付けられると同時に我々にいちばん近い位置に居る可能性が高いです」

 

「つまり、上手くそこで華雄将軍を討てれば、名が天下に轟くと・・・」

 

「あちら側も名声が欲しいようですが、それは我々とて同じ。名を上げる機会を向こう側から提供してくださるのです。遠慮なく、容赦なく、頂きましょう」

 

「……なあ、基本的に武名は僕が担当する訳だけど、華雄将軍と戦うの当然僕だよね?」

 

「何をあたりまえなことを? 秀護は最終的に呂布と戦ってもらうのです。ここで挫けないでください」

 

「サラッと恐ろしいことを!? お前、何最強の将軍と戦わせようとしてんだよ!」

 

「何をいまさら、止めたって単騎駆けする団長なんですから、そこを踏まえたうえで策を練るのが私の役目ですよ」

 

 何も言い返せないので、戦の準備をしようと思う。

 おかしいな、僕団長なんだけどな。

 

「団長、今回は力使いますか?」

 

 急に真面目な口調になった影紗は『力』の部分に心なしか力を入れて聞いてきた。

 心当たりはある。

 フールは僕に何度も多くの技術を教えてくれた。闘い方から生活の方法まで今の僕を形作る上で彼の影響が受けていない部分は無いと言っていい。

 

「相手次第……かな? 集団相手なら何度か使ったけど、一対一の戦いでは使ったことはないし、できれば自力でやれる所までやりたい」

 

 そして、フールが僕に与えてくれた中で最も強力なのが

 

「『波紋』の力。今のところは、秀護と師匠のふーる殿以外に使い手がいないと言ってましたか。氣を操る人間には何度か会っていますが、その上位互換っといった所でしょうか?」

 

 波紋。

 特殊な呼吸法から体の中に力を発生させる技術だ。身体能力の強化や傷の治りが格段に早くなる技だ。それだけでもないのだけど、この辺りは使う機会があったらという所かな。

 

「師匠は氣を高めた上で波紋を使ってたから発展系ではなくて、別物なんだろうね。あの時は人間の限界を垣間見た気がするよ」

 

 フール中心に暴風と電が広がって、威圧感がとんでもないことになっていた。

 それこそ、拳一つで城を落とせるのではないかと思えるぐらいに。

 

「なるほど。秀護、使うなら派手な場面で使ってください。勇名とともに良い風評の糧になります」

 

「了解。影紗も深入りしすぎて失敗しない様にね?」

 

 

**********

 

 

 オレが見せた暴風と電を纏った状態は氣と波紋、霊力と魔力の四種混合ハイブリットエネルギーってやつだ。

 

 やぁ、愚者ことフールだ。

 

 あれからずっとあいつの生き様を見てきたけど、いやはや予想外だね!

 本当は秀護の奴は次世代を生むための種のつもりだったのだけど、想像以上に主人公やってた。

 

 波紋の力を渡し、それをどのように使うか。

 幸いなことに、あいつの才能は刀と波紋に特化している。そばにいる軍師の女も良いサポートをしてくれていて本当にこれからが楽しみだ。

 

 しかも、こいつから生まれる次世代はどんな奴になるんだろうな?

 ああ、今から待ち遠しい。

 バカバカしくなるぐらい生きた時間に比べればヒト一人分の一生なんて刹那の時間だ。

 それでも待ち遠しい、分かってくれ、オレのこの高揚感を。

 

 期待していなかった、ただの序章として読み飛ばしてもいいような部分がこんなにも面白い動きをしてくれているんだ。

 例えるなら、週刊雑誌で毎回読み飛ばしていた漫画を単行本で読んだら一発ではまったってレベルの高揚感なんだよ。

 

 ああ、こいつはオレのお気に入りだ。

 末代まで見せてもらおうか? 生き様を、血族の宿命を。

 

 さって、次はいつ介入するかな?

 




 いかがでしたでしょうか?

 時たまフールの視点が入ります。

 本当は誰視点であるか明記するのがいいのでしょうが、基本的にこいつはメタい上にカタカナワード連発なのですぐわかるかと・・・。

 誤字や感想などありましたらお気軽にどぞ~。

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