特異点P.D. 火継承起始典 ダークソウル   作:藤原エ寿司

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この先、ワイバーンあり。

 

特異点という危険地帯。

万全であるべきバックアップは、しかしそれとは言い難い。

時代は不明、場所も不明。

辛うじてマスターのバイタルは生存を意味する信号を返している。

 

昨日のこと。

あるいは管制室からしてもっと長い時間が経ったかもしれないが。

現地の商人から買った蝋石のおかげで、

リツカは筆談での状況報告が可能になっていた。

それでも音声通信が可能であるならば、

より多くを共有できるだろう。

 

戦力はシャドウサーヴァント(いつもは赤い弓兵)が一騎。

現地協力者がひとり。

 

エネミーとして確認できているのは亡者、

そして不死院で出会ったデーモン。

先に戦った牛頭のデーモン。

脅威としては昨日見た飛竜もだが。

剣持ち(セイバー)槍持ち(ランサー)、その他諸々。

味方にバーサーカーが欲しいところではあるが、

増援を送る試みは、今の所成功していない。

 

鐘の音。

時折鳴らされるそれは、

どうも使命とやらの必須課題であるらしい。

そのうち一つはこの不死街よりさらに奥。

不死教区の中にあるという。

 

この地には、常人というものが見られない。

それが特異点特有の歪みなのか、

しかしロードランと呼ばれる地は、

古今東西、幻想虚構にその創造者すら擁するカルデアの集合知を以てして、なお未知であった。

 

なぜこのような神秘に満ちた環境にあって、

サーヴァントの一騎も現界させられないのか。

火は、きっとヒトのヒトたるを拒んでいた。

 

 

####

 

 

市街。見張塔を上り、外壁の上へ。

市街中心部へと続く大橋が見える。

もう一つ隣のエリアに渡れば、すぐに辿り着けるだろう。

曇天越しの太陽が、幻想的な輝きで空を彩っていた。

 

「危ないっ!」

 

先行するオルファの頭。

その真横をボルトが掠めた。

背後、高台からの狙撃である。

それを放った亡者は緩慢ながらも迷いなく、次弾を番えた。

反転するか、駆け抜けてしまうか。

逡巡の最中。向かう道に巨大な影が躍り出る。

 

筋骨隆々、見上げるほどの巨体。

その手には荒削りの重厚な斧。

そして立派な角の突き出した、牛頭の怪物(デーモン)が。

爛々と輝く目でこちらを見下ろしていた。

そして背後に視線を向けていたオルファは気付いた。

見張塔の入り口。

即ち退路が、白い光に塞がれる様を。

同時に後方のリツカも、目撃していた。

向かう先、外壁を降りる道が白い光に覆われる様を。

 

影の双剣が白い光に触れる。

まるで霧を斬るが如く、

だが何の手応えも返さないそれを、

リツカもアーチャーも通過することは叶わなかった。

おそらく前方のものも同じ性質と見える。

まさしく袋の鼠であった。

立ち塞がる巨躯が大斧を振り上げ、

亡者のボウガンがボルトを放った。

 

「リツカ! 射手を任せられるか!」

 

バックステップを踏み大斧を躱したオルファは、

後方のリツカに声をかける。

自分が敵を抑え、リツカと黒いの(サーヴァント)が後方から援護する。

黒いのはともかく、リツカに前衛は務まるまい。

デーモンを前線に留めるは、彼の役目だろう。

そして後方の射手を処理しない限りは、

黒いのの支援も望めなかった。

 

「任された!」

 

周囲を見遣るリツカ。

その視線は真横の梯子で止まる。

リツカはそれを登り、アーチャーは一跳びして見張塔の屋上へと立った。

 

亡者が二体。

盾持ちならばいざ知らず。

例え一騎でも、シャドウサーヴァントの戦力を以てすれば造作もない。

一人目の射手は迎えうつ間も無く、

もう一人も腰からショートソードを抜いたところで倒れた。

 

前方に視線を向ける。

オルファはやや後退しながらも、

振るわれる大斧から逃れ続けていた。

アーチャーが矢、あるいは剣を放つ。

 

今や高台を陣取っているのはリツカだ。

後方からの狙撃が頭部を狙い、

防ごうとした隙を見て前衛のオルファが斬りかかる。

当初の挟み撃ちを、しかしより強力に実現した彼らの前に。

牛頭のデーモンが膝を屈するのは時間の問題だった。

 

堪らず体勢を崩したデーモンの身体に、

突き立てられた直剣の刃が乱暴に引き抜かれる。

ついに力を失った巨体は、倒れながら空気に溶けて消えた。

 

それと同時に、出入り口を覆っていた光もまた薄れて消え、

最後にリツカの前にいた影が、輝き解けて失われた。

リツカとオルファは、突然の消失に目を瞬かせた。

 

 

####

 

 

「おお! 貴公ら、どうやら亡者ではないらしいな」

 

アストラのソラール。

外壁を降りて出会った、太陽を眺める彼はそう名乗った。

バケツのような円柱型の兜に、太陽のペイントがされた鎧。

自分自身の太陽を探しに来たと、ソラールは言う。

オルファはやや胡乱な顔をし、

当のソラールすら、仕方のないことだと語った。

しかしリツカは、明るく笑う声に確かな理性を、

先に出会った商人以上のものを感じた。

 

「ところで貴公ら。こうして亡者ばかりのこの地で出会ったのも、一つの縁だとは思わないだろうか」

 

「だから、どうだろう。貴公らと俺、互いが旅の助けにならないか?」

 

ソラールの提案は、まさしく戦力の三分の一、あるいはそれ以上を失った彼らにとって渡りに船というものだった。

リツカはもとより、オルファもまた首を縦に振る。

白いサイン蝋石、そしてリツカにとっては重要なある情報は、そうして彼らの手に渡った。

 

時の流れが淀んだロードラン。

100年以上前の伝説が居ると思えば、

ひどく不安定で、色々なものがすぐに崩れてしまう。

ソラールがいるのは、リツカにいる世界からは少しずれ(・・)た場所らしく、それらがいつまで繋がっているかは分からない。

ともすれば、リツカとオルファも。

 

しかし。

 

「それを使えば、世界のずれ(・・)を超えて協力ができる」

 

「霊として召喚されることで、ずれ(・・)を渡るのさ」

 

「俺は太陽の戦士。召喚のサインも、光り輝く特別製だからな」

 

「よーく目立つと思うぜ」

 

そう言ってソラールは快活に笑ったのだった。

 

 

####

 

 

ソラールと別れた二人は、遂に市街の中心部、『城下不死教区』へと続く大橋に足を踏み入れた。

 

「明るい人だったね。ソラールさん」

 

「そのようだな」

 

「オルファはアストラって何処にあるか知ってる?」

 

「さぁ……どうだったか。戦士の国だったか、それとも魔術の……? 少なくとも、ここよりはまともだろうさ」

 

オルファはサイン蝋石を片手で弄びながら問うた。

 

「ところで、あの黒い影はもう呼び出せないのか?」

 

実際のところ、彼らの戦闘は、観察(発見力)と支援に長けたリツカを後方に、オルファが敵を食い止め、そしてアーチャーが側面を叩く、といった分担がされていた。

アーチャーを欠いた彼らの攻撃能力は、大きく下がっていると言えよう。

だから例えば、目前。

大橋の中程に固まった亡者たちを如何に手早く片付けるかは、彼らの頭を悩ませた。

今はリツカが後方から火炎壺を投げ込み、火力を補っていた。

 

「今すぐは難しいかも……落ち着いたら試してみるけれど」

 

リツカとしてもどのようにしてシャドウサーヴァントの召喚に至ったかは定かでない。カルデア式の、正規のシステムを使用したわけでもなく、簡易的な召喚にしても随分と適当というか、直感的に『喚んだ』覚えがあった。

 

つまり、レポートを書く際に困る事案である。

少なくとも、敵前で試行錯誤できる物でもない。

 

「ならば、ソラールの言っていたサインとやらを探してみても良いかもな」

 

そうした取り留めもない話をする二人。

集団であっても、開けた場所、密集してる訳でもない。

不死街の探索で慣れた彼らにとって、そこは確かに油断するに足る場所であった。

尤も、注意していたとてそれに対応できたかは不明であるが。

 

 

諸君らに鷹の眼の如き視力があれば、見ることができただろう。

遠く空より近づくその影を。

作戦会議などをしていると、

きっとそれは現れるものなのだ。

そう。

二人の背後から、

大きな影を落とし飛来したそれは。

 

大橋を火の海と化し、そして二人は。

実に呆気なく、それに呑まれたのだった。

 

 

 

 

YOU DIED……

 

 

 

 





wave 3
亡者 (アーチャー)
亡者 (アーチャー)
牛頭のデーモン (バーサーカー)

と言ったところでしょうか。
三人掛かりでの攻略は流石に
盛り上がりに欠けますね。

そして終章!からのアフター!
二番煎じを恐れない強い心をもって更新したいものです。

ダクソ本編から大きく逸脱したエピソードン

  • ほんへに組み込んでいいよ
  • 外伝でやれ
  • どっちでもいいよ
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