7月のある日。
ここは転生者たちが作った「大和」の市役所。
その市役所の市長室に市長は1人でいた。
1人で仕事をするには広すぎる部屋で市長は悩ましげな表情をして空中に投影されているスクリーンを見つめていた。
「え〜〜っと今の所は徳島と香川での開発が一通り終わり、愛媛は南予と高知は西部以外は完了か。北の方はまだ港町ができた程度でそれより北側は手付かずか」
市長はそうブツブツと言いながら現状把握をしていた
「領土確認はこれでいいとして、まずすることは、南予と高知西部の土地開発だな。まずは道を敷いてそのあと区画設定をして、電気はガス・石炭・原子力発電所は西側に建てるか。勿論アップグレードもつけて。そのあとは植民スレで言ってたゴミ処理と通信だな。まずゴミ処理はゴミ焼却場とリサイクルセンターと産業廃棄物処理場を各県に1つずつ建てるか。通信はデータセンターを各県に1つずつ建てて、それでも届かないところは通信塔と1つ、或いは2つ以上立てるか。通信塔以外は住宅区から離して産業区か何もない場所に設置だな。これもアップグレードをつけよう」
そう決めて適当な場所に設置していく。
「よし他には………ん?これは水道か。上下水の設備が過負荷?ついに限界が来たか。これも淡路と鳴門市に一箇所づつあっただけだからな。こうなるのは当たり前か。それと郵便と駐車場が足りてないな。公共施設もか。あっ、道路も渋滞が頻発しているな。こうなったら公共交通機関も作らなきゃダメだな」
一難去ってまた一難、この諺がぴったり当てはまるほどに次から次へと問題が出現する。
「上水設備は揚水場を1県に10基ずつ増設して、下水設備は排水処理施設を1県に1つ設置する。当面はこれでどうにかなるし、ダメになったら増やせばいいだろ。公共施設は病院と警察本部と消防本部を淡路島には設置したから四国の各県に1つずつ設置して、公共交通機関は鉄道とバスとタクシーとトラムと船を……ってこれ全部四国の道路を作り直さなきゃいけないから今設置しても意味ないな。ああもうメンドクセー」
あれこれ考えていたら1から全部作り直す必要が出てきて頭を抱える市長。
(メンドイけど逆に言えばそれで済んでるんだよな。これらの公共施設や公共交通機関はゲームの時はバグを発生させていたみたいだし)
と、前世の時に見ていた最大手の無料動画サイトで投稿されていたプレイ動画を思い出しながら悩んでいると
「また悩んでいるようですね」
心配する声が市長室の出入り口から聞こえてきた。
その人物は市長と同じくらいの年齢で外見は冷静沈着を絵に描いたような人物である。性格も外見通りである。羨ましい。
「ああ元助さん戻ってたんですか」
彼の顔を見て市長の顔色が晴れた。
彼の名前は松野 元助(まつの げんすけ)。EU5にあったオリジナルキャラクター作成(略してキャラ作成)の能力で作り出された市長の補助するための人物である。
「元広でいいですよ。私はあなたの秘書ですから。好きに呼んでいいんですよ」
「えっいいの?ならゲンさんって呼ぶね」
「はい、わかりました。ではそれで。それはそうと何かお困りのようで」
と名前の呼び方についてちょっと話しているとそう聞いてきた。
「ああ。四国地方の土地開発で問題がね。公共施設や交通機関を建てようとしたら、色々と不備が出てきてな。あれこれ考えていたら街そのものを作り替える必要が出てきてな〜。どこから手をつけていいかわかんなくて」
「なるほど。なら私も街づくりを手伝いますよ」
「え、いいの?」
「はい。と言うかそのために私は作り出されたのでしょう?」
「ああそうだった。ごめん忘れてた。じゃあ手伝って。今こんな状態だ」
といってスクリーンを見せた。キャラ作成の能力によって作られた人物は市長のパラドゲーの画面を見ることができる(操作はできないが)。
「フムフム………こう言う状態ですか。大丈夫、解決できますよ」
「本当?」
「はい、安心してください」
「わかった。信じるよ」
「では早速、と行きたいところですがそろそろお昼なのでするのは午後にしましょうか」
「え!もうそんな時間?」
市長はそう驚いて慌てて時計を見る。
時計は11時を2分過ぎていた。
「うわ、確か作業開始が8時前だったから3時間以上もここにいたのか」
「どうします?このままお昼抜きで作りますか?」
「いや流石にこれは長丁場になるだろうから腹ごしらえは必要だ。四国と淡路全域を作り直すんだし」
「そうですねそうしましょう。それでどこで食べますか?」
「そうだな。外食にしよう。ここ2週間ほど役所にカンヅメだったし、外の様子を徒歩で見ながら食べにいく」
「わかりました。ではどこで食べますか?」
「ファミレスで」
「そうですか行きましょう」
食事が決定して2人は立ち上がり外へ出ていった。途中で色々な人にあって話をしながらファミレスに着き、食事をしたら市役所に戻って街づくりを始めた。
「さて、腹ごしらえも済んだし街づくりーいや街の再開発をしますか」
「はい、お手伝いします」
〜〜街の再開発を行なって数時間経過〜〜
「終わった〜〜〜」
「お疲れ様です」
2人はそう言いながら安堵の息を吐いていた。
「…今8時だけど何時からやってたっけ」
「午後1時から始めたので7時間ですね」
「そんなにも経ったと言うべきか、そんなしか経っていないと言うべきか。ぶっちゃけ明日いっぱいまでかかるかと思ったぞ」
「まあ今回は街が元々整っていましたから手直し程度するくらいでこれぐらいの時間で済んだのでしょう。兵庫と中国地方だともっと時間がかかるかもしれません」
「そうだねー。1週間から2週間かかるかも。いやもっとか」
「とにかく片付けて明日に備えて寝ましょう」
「そうだな、もう真っ暗だし。ん?」
「?どうしました?」
「いや、植民隊長から掲示板で連絡だ。出雲についての報告らしい」
「いつも思いますが便利ですねそれ。私も使えれば少しは楽になるんですけど」
「できないものはしゃーないって。その代わりと言ってはなんだが、うちのパラドゲーの画面を見れるんだからトントンでしょ」
「…それもそうですね」
と、元助が苦笑いで返す。
「っと、報告だったな。どれどれ。出雲に人を確認したらしい。すでに接触してしかもこちらに友好的らしい」
「そうですか。おめでとうございます」
「ありがとう。その礼は植民隊長や調査隊にもいってやってくれ。そんで先方からの要望なんだが市長である私に会いたいらしい。いつなら大丈夫だ?」
「そうですね。少々お待ちを……」
そう言って元助はスケジュールを確認した。
「9月の中旬か下旬くらいなら可能かと」
「よし。じゃあそのぐらいにしよう。あっちにも今伝える」
市長はそういうと考えるような姿勢をして動きを止めた。
「………うんうん、そうなったから。そう、そちらもそれでいいと。わかった、よろしく。ゲンさん、話はついたよ。予定はさっき決めた通りで」
「わかりました。それで調整しましょう。さて、今日は寝ましょう。明日も予定がありますから」
「そうだね。今日はもうやる仕事はないし、あとは夕飯食って、風呂に入って、寝るだけだ。じゃあヒロさん、おやすみ」
「はい。おやすみなさい」
こうして市長の1日の仕事が終わった。