ギエス警察部隊長官 ルゴル・ロタフは、
警察部隊司令室の 大きなディスプレイ上の地図を眺めていた。
「長官、現在未開地の捜索は、
残り2つの小都市と
最大の街エルカトのみです。」
「森林地帯はどうなっとるんだ。」
「センサーでローラーを掛けていますが、
発見にはいたっておりません。」
「ふむ、怪しいのはエルカトだな・・・」
「あの町は、無法地帯になっておりまして、
通常の方法では成果は上がりにくいかと
考えられます。」
「邪魔立てするものは、反逆者として処分してよい。
徹底的にやれと現地部隊に伝えろ」
「はっ。」
そこへ、副長官ニトス・パゴレが現れた。
相変わらず、挑発的なプロポーションを
強調するような制服のきこなしだ。
「長官、捜索状況は、いかがですか?」
「そろそろ、大詰めといったところだ。
かなりの強硬手段を
取れねばならんことになるやも知れん。
お前が現地指揮を執ってはくれんか?」
「それは、懇願ですか、それともご命令かしら?」
「命令だ!」
「では、了解いたしました。ただし・・・」
「ただし、なんだ!」
「戦闘用ヒューマノイドプロトタイプを同行させますが、
よろしいかしら?」
「許可する・・・」
「では、直ちに出撃準備に取り掛かりますわ。」
広大な、戦闘演習場で
ジン13が戦闘訓練をしている。
片手で、大砲並みの機関砲を軽々と操り、
楽々とムービングターゲットを粉砕してゆく。
次に、重戦車相手に銃撃をかわしながら走り回り、
巨大なランチャーを担ぎ、
ロケット弾を発射する。
戦車は強烈な爆発音とともに粉砕される。
さらに、背後から迫るアンドロイド、
2ダースほどを相手に白兵戦を演じる。
刃渡り2メートルもあろうかと言う長大な剣を振り回し、
相手の攻撃を鮮やかに撃退する。
やがて、アンドロイドのスクラップの山が出来上がる。
ついで、無人戦闘機が頭上から襲い掛かる。
機銃弾が雨のごとく降り注ぐが、
信じがたい速さで戦闘機の先を走る。
ついでジンは、いきなりジャンプした。
背面に回転しながら、低空飛行をしていた
戦闘機の頭上を越え、
そして、なんとその長剣で戦闘機を叩き落したではないか。
彼女は、何事もなかったかのように着地し
剣を背中の鞘に収め、監視塔に戻り、
開口一番こう言った
「このような訓練は、私には不必要ではないのか。
すべて、能力の半分ほどで終了してしまう。」
「そう言うな。」
とラボ所長ジン・ネルプが笑いながら言う。
「これはデータの収集が目的だ、
そのために高価なお前に傷をつけるわけには、
いなかんのでな。」
「所長、パゴレ様から連絡です。」
「よし、出よう」
部下を背後にし、やや隠すようにインコムにかがみこむ。
「ねえ、ジン。そちらのヒューマノイドの具合はいかがかしら?」
「ニトス、いくら親族とはいえ礼儀と言うものがあるだろう」
「あら、あなたとしては、ずいぶんと良識的な物言いね」
まるで、相手を誘惑してしまいそうな微笑を浮かべる。
「うっ、よ・・・用件はなんだ?」
「まあ、ずいぶんと愛想ないのね、あの夜とは大違い・・・ほほほ・・・」
「ニトス!やめないか」
「そうね、実は、あなたのかわいいジン13の
実戦デビューをさせてあげようと思っているのよ」
「そうか!ついに実戦配備か!」
「十分な成果を挙げれば、
あなたの研究の予算も大幅に増額されるわよ」
「そうか!そうか!そうか!・・・で、相手は誰なんだ」
「それは、まだ分かっていないわ。でも任務は、レリ・プロラ追跡捕獲。」
「思ったより、地味な仕事だな。」
「でもないわ、総督が今一番力を入れている作戦よ」
「よし、私の最高傑作を世界に見せてやる。
その力の前にひれ伏すがいい・・・あははは・・・」
「出撃は、2200時」
「問題ない。彼女は、いつでも戦闘可能だ。」
「じゃ、よろしくね、・・・ね・・・また・・・?どう?
わたしもしばらく現地任務になりそうなの。
いいでしょう・・・うふふふ・・・ね」
まるで、絡みつくような視線を送ってくる。
「・・・うっ。分かった、分かったから切るぞ。」
通信を終え振り返ると
「どうした? 皮膚温度と、心拍数の変動が激しいぞ」とジン13。
「なんでもない!」
「それより、出撃命令だ。
メンテナンスチームは再点検を十分にしておけ。
搬送チームはトレーラーを準備しておけ。
兵装チームは可能な限りの高性能火気を準備しろ。
後はお前しだいだジン13」
「私は、いつも与えられた指令を
最大限のパフォーマンスで実現するだけだ」
「心強いぞ。ははは・・・」
内務大臣イベアス・ビアトは、
内務大臣とは言いながらその権限は
内政だけにとどまってはおらず、
外交、諜報活動にまで及ぶ。
そして今、大臣室の重厚な木製執務机を前にし
ゆったりとした革張りのいすに腰掛け
側近官僚の報告を聞いていた。
「そうか、あのルゴルも、ヒューマノイドの使用に踏み切ったか。
ふふふ・・・。まあ、当然だな。これで、
人員不足と言う問題も解決するだろう。」
「続いて、諜報局より報告が入っております。」
「何か?」
「レリ王女の隠れ家が絞り込まれてきました。
エルカトのスラム街近辺に潜んでいるようです。
これは、ルゴル長官にお知らせしますか?」
「ん・・・、その必要はない。
これは私のところで止める事とする」
「承知いたしました、大臣」
「ルゴルめ、もう少し右往左往したほうが
ヒューマノイドのありがたみが身に染みるであろう。
ふ・・・ははははは・・・」
強力な兵器が出てきましたが、ヒロインたちは、太刀打ちできるのでしょうか。
ますます、困難な状況になりそうで、どうなりますか。