夜も白みかけてきたころに、
ビーリカの宿のカウンターの男は雑誌を脇に置き、
窓の外の様子を窺う。
ロビーに人影はなく、ひっそりと静まり返っている。
一睡もしていないはずだが、一向に疲れた様子もなく
人間離れした体力を示している。
用心深く目を凝らしていたが、
やがて少し警戒を解き、
戸口に向かい外に出、がたついたドアを閉める。
見かけより重い音を立てがっしりと鍵がかかる。
彼は内臓の通信機をオンにした。
「ジェイだ、第一小隊点呼を取る。カイ」
すばやくレスポンスがある。
「カイです。異常ないですよ」
「タキ」
「タキ、異常なし」
「ケイ」
「ケイ、報告、ギエスの捜索チームを酒場で発見」
「制服か?」
「私服です。」
「監視を続行」
「了解」
「エル」
「エル、異常ありません」
「アル」
「アル、異常ないよ」
「大佐が戻った、よってミラルのサポートシフトを解除する。
今後はレリ様の行動サポート、
警護、に任務を変更する。
個別任務を通達する。
エル、ケイのサポートに行け、遂次連絡を入れろ。
カイ、タキ、アル、ビーリカの周辺、24時間監視。
・・・これから、いよいよ始まるぞ、以上だ
エザワイスとその栄光に誉れあれ」
ジェイは、通信を終え宿に戻った。
そこへ、見違えるほどすっきり美しくなったミラルが部屋から降りてきた。
彼は、さっと姿勢をただし、敬礼をする。
ミラルも軽く答礼し声を掛けた。
「潜伏期間の間いろいろと
手間を取らせたみたいね」
「恐縮です、大佐殿。われわれは、最善を尽くしたに過ぎません。」
昨日の態度とは正反対の、礼を尽くした対応だ。
「困難な潜伏期間を無事に過ごせたのは、
あなたたちのおかげよ、礼を言っておくわ。」
「光栄の至りです。大佐殿」
「で、早速何だけと、現状はどうなっているの?」
「ご報告なら、部屋へ出向きましたが」
「レリ王女に無用な不安を与えたくないのよ、ここで聞くわ。」
「はっ。現在、ギエスは、偵察部隊をエルカトに置き、
森林地帯もセンサーを設置しわれわれを捜索中です。」
「発見されるのも時間の問題といったところね。
われわれは、レリ王女の準備が整い次第移動します。
北部山岳地帯経て、自治都市サレンをめざします。」
「では、敵偵察員の処理はどうされますか?、処分いたしますか?」
「まだ早いわね、しばらく泳がせて置きなさい」
「森林地帯のセンサーは、破壊させましょうか。」
「それは、護身プログラムをつかいましょう。
クーは確か 不可視の天蓋 を実行可能なはず。」
必要な装備を調達し、移動開始できるよう準備を」
「アイ、マム」
一方、酒場ではエルとケイが接触していた。
エルが尋ねる。
「連中はどの程度知っているの」
ケイが答える。
「正確な場所までは特定できていないようだけど、
エルカトに潜伏していると確信しているようね
連中を見当違いな方向へ誘導できないかしら?」
「時間稼ぎができれば上等か、
適当な、ブラフを使って引っ張りまわす・・・いや、
おとりを使ったほうが確実かな」
内臓通信機を起動しジェイに報告をする。
「エルです。偵察員を確認、
彼らはエルカトに的を絞り込む様子です。」
「そうか、 できる限り時間稼ぎをしたほうがいいだろう。」
「おとりを使って、誘導を試みたいと思います。
そうすれば、連中をこの町に釘付けに出来る
可能性が高くなると思いますが」
「そのおとりとは、君か?」
「はい、私の機動性は群を抜いておりますから」
「いいだろう、君らに任せよう。われわれは、
北部山岳地帯を抜けサレンを目指す。
・・・無理をするなよ」
「了解」
通信回路を切る。
「ケイ、早速はじめましょう」
「じゃ、彼らと仲良くならなきゃねぇ・・・」
「私は、町の反対側のスラム街で待機するわ」
二人は、見つめあい
手をとりあった。
「エル・・・、気をつけてね」
「ええ、・・・ケイあなたも」
ヒロインたちは無事に脱出できるのでしょうか、残された者たちの行くへは、、、