エターナルフレイム   作:泰丸B

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「一閃、命を賭した刃。鋼の巨影に挑む、最後の迎撃。」 死力を尽くした戦場で、エルが放つ一撃は、希望か、絶望か。魂を削る刹那の交錯が、静寂を切り裂く。


第15章迎撃戦

 

ジンが対象ヒューマノイドに追いついたとき、

 相手は1体となっていた。

与えられた指示は、目の前の1体の殲滅であるので、

 彼女にとっては、なんら問題ない状況である。

おもむろに、36連装機関砲という化け物を構え、

 迎撃に向かってくる相手に発砲する。

かん高いモーター音とともに

 毎秒100発を超える弾幕がエルの目の前に現れる。

エルは、回避行動に移り圧倒的な弾幕をかいくぐる。

周りの建造物は、なぎ倒されるように崩れてゆく。

戦闘データー転送開始・・・・・・。

ケイとのダイレクトリンクが開き、

 リアルタイムでの情報転送を開始する。

ケイは、森林を疾駆しながら、

 エルと知覚を共有する。

センサー妨害のジャミングと、

 自らの行動のための情報制御をオートに任せ、

 転送されてくるデータに意識を集中してゆく。

・・・エルの体、心がケイの中に染みこんでゆき

 次の瞬間、耳をろうする銃声、着弾音、

 目まぐるしく回転する視覚の中に放り込まれ、

 一瞬パニックに襲われそうになるが、

 そこに冷徹なエルの意識を見出し安堵する。

ケイは、エルの行動を正確に数値化し

 戦闘データとして蓄積してゆく作業をはじめる。

 

エルは、思った。

「こいつは、ヒューマノイドだ、だが、

 従来のものとは明らかに違っている。

 どうやら製造されてあまり日が

 たっていないようだ。

 そのため、経験不足と言う訳か。

 早めの銃撃もそのせいか

 おかげで余裕を持って回避できたわけだが」

ジンは、機関砲を捨て、アーマーを展開しながら

 距離を詰めてくる。

エルもオリジナルアーマーをまとう。

エルの緊張が高まってゆく。

「ダイレクトコンタクトで互いの性能の

 如何を計測しあうことになりそうだな」

ケイは双方の移動速度を比較し

 敵のほうが20パーセント上回っていることを見出し

 この情報をエルにフィードバックする。

「足は速そうね。」

「全体の運動速度も速いと、考えられるわ、

 ・・・気をつけて・・・エル・・・」

 

直接攻撃の間合いに入ってきた、

ジン13は長大な剣をトレーラーから転送させ

 それは、実戦用のまがまがしいいまでの代物だった。

エルは、共に幾多の戦闘をかいくぐってきた太刀を現出させる。

それは、はるかな昔における名刀、

 古の戦士の戦いと力の象徴を

 魔法科学を以ってここに実体として存在させる。

 

ジンは、その大剣を振り下ろす。

その巨大さの前にエルの太刀はあまりに非力、華奢に見えた。

振るわれる剣の、ありえない速さ。

その衝撃は計り知れなかった。

ケイは、恐怖に襲われた。

殺される!!。

「回避、回避」、エル・・・エル!!!。

 

ジン13は、その華奢な太刀を粉砕し

 敵を真っ二つにするのも

 容易なことと考えていた。

が、エルの行動はジンの予想を覆した。

真っ向剣を受けたかに見えたが、

 その長剣は太刀の表面を滑り

 エルはたくみに圧倒的な力を受け流し、体を避ける。

しかし、その衝撃は大きかった。

エルは太刀を翻し、

 がら空きになった腕を断ちに行く。

しかし、ジン13の剣の戻しは尋常の速さではなかった。

 まさに、突然現われた大剣に、弾き飛ばされる。

胴体に迫り来る切っ先を危うくかわす。

エルは考える。

「経験値は不足だが、それを補って余りある

 スピードと、パワーか、厄介な。」

ケイが、

「力において、あいつは化け物なみよ。

 特に、運動速度はわれわれヒューマノイドの

 通常限界を超えているわ。

 このまま戦うのは危険だわ。」

「そうだとしても、ここで、引くことは出来ない。

 出来れば、ここで討つ・・・。

 あいつから、あらゆるデータを引き出す・・・・・。

 ケイしっかり受け取ってよ。」

 

それから先は、まさに死闘。

 ジン13の力と速さ、そして、

 エルの経験と技のせめぎ合い。

振るわれる大剣は

 空間をも切り裂かんばかりの豪速。

足場となる屋根を踏みし砕き

 粉砕するほどの構えから

 繰り出されるそれは、

 剣とは名ばかりのまさに弾丸のごとく、

 エルの体をかすめ、

 アーマーを削り取る。

対し、

 受け流し、かわし、

 しなやかに切り込む太刀は

 疾風のごとく鮮やかに光琳を放つ。

刹那、

 大きな横払いの一閃をかわされたジン13は、

 軸足を元に大きく半回転し背をエル向けた。

 すでに、動きを読んでいたエルは

 空かさず踏み込んだ、が・・・・、

 エルの幾多の死線を潜り抜けた経験が

 強引に己が体を引き戻す。

 

次の瞬間、

ジン13の大剣が、

 魔法のように頭上から襲い掛かる。

ジン13の恐るべき身体能力の発揮。

 エルは自らの体を横に投げ出し、

 屋根を蹴り、

 建物の壁面を蹴って

 駆け抜けた。

 

ジン13は今の攻撃をかわされたのは意外だった。

 しかし、時間は費やされ、

 互いの力は拮抗し

 いたずらに消耗して行った。

だが、おかげで、ジン13の戦闘時の

 性能の如何はほぼ解明されてきた。

後は装甲の強度が分かれば、・・・

 深く一刀なりと、浴びせられれば

 装甲の強度も計算できようが、

 しかし、あの長剣をかいくぐり

 間合いを詰めるのは至難の業。

 振るわれる剛剣は、

 疾風怒涛のごとく、

 それは、

 鋼をも、ものともせず

 断ち切るであろう。

唸りを上げる、裁断機の中へ

 飛び込むようなものである。

エルは、一気に飛びのき、

 間合いを空ける。

お互い、決め手が見つからず

 攻めあぐねているかに見えるが、

 長引けばジン13に

 有利に傾くことは否めないであろう。

エルはそろそろ、

 自らの限界が近いことを

 悟り始めていた。

 

アーマーは、あちこち剥ぎ取られ、

 運動機能も体も

 軋みを上げ始めている。

ケイはエルの心が

 ある決意を持ち始めているのに

 気が付いた。

「エル、もう逃げて、

 これ以上はむりよ・・・

 戦闘能力も落ちてきているわ

 このままでは、

 本当に

 殺されてしまう

 ・・・お願いだから・・・」

 直接リンクした心に

 ケイの思いが

 そのまま入ってくる。

 ケイの悲痛な思いが心に痛い

    ・・・だけど今は・・・。

「ケイ、逃げ切れないわ。

 もう、今の私では、・・・」

「エルっ!!」

「ケイ、あいつに、

 最高の一撃を食らわせてやるわ

 ・・・うまくすれば、

 倒すことが出来る。

 一回限りよ、

 データは正確に計測してよ。」

「・・・エル・・・

 何をする気?」

「ケイ、あなたが好きよ、

 今までも・・・

 これからも・・・

 ・・・だから、

・・・身体制御プラグラムオン

・・・セーフティーフューズオフ

・・・全リミッター解除

・・・オートカウンター攻撃

・・・・・・セット」

 

「エル、

 止めて!!

 そんな・・・

 体が

 ばらばらになっちゃうっ!!」

「ごめんね・・・ケイ」

ケイの叫びがエルの心に響き渡る。

 

ジン13は、こうも戦いが

長引いていることは不本意であった。

「仕方あるまい、ブースターを使うか・・・。

 自動攻撃プログラムセット、

 加速装置オン。

 トリガーセット。

 3・2・1・ファイアー」

ジン13が衝撃音とともに突進してくる。

瞬時にして音速を突破したようだ。

エルのカウンター攻撃が発動される。

迎え撃つその速さはまさに神速と言えた。

 ジン13にはその航跡すら

 見ることが出来なかった。

あらゆる制限を外した

 エルの捨て身の一撃。

突然ジン13の懐に現われた

 エルの太刀一閃。

袈裟懸けになぎ払わんとする。

それを、長剣で受けるにはすでに遅い、

 これほどの速さを経験したことはなかった。

太刀すじを剣持つ腕を捨てる覚悟で塞ぐ。

太刀はその敵のアーマーを断ち切り、

 腕を断ち切った。

が、・・・無情にもそこで

 力尽きたかのように破断した。

エルは、自らの最後を悟った。

 全身の筋肉は過度の負荷により

 オーバーヒートし

 機能を停止した。

ジン13は、己が片腕を切り取られたのが

 一瞬信じられなかった。

が、次の瞬間

 初めて自らの心に芽生えた感情

 ・・・怒り、

 そして殺意が爆発した。

ジン13が憤怒をこめた拳を放つ。

「ぐああああ!!、死ねーっ!!!」

エルの体に、加速装置で倍加した

圧倒的な力の衝撃が加えられる。

ケイが、エルに加えられる力を

そのまま感じ取った。

「エルーっ!!」

リンクされた心に

エルのダメージがそのまま伝わる。

 腹部アーマー破壊。

 腹部、胸部筋群断裂。

 内蔵器破裂。

 背部骨格粉砕

 システムダウン

「ケイ・・・

 私・・・死ぬ・・・の・・・ね

 ・・・ケイ・・・

 レリ様のこと・・・、

 大佐のこと・・・

 仲間のこと・・・

 ・・・お願い・・・

・・・このデータを・・・」

エルの体は、一直線に落下し、地上に激突した。

その巨大な衝撃で、付近の建物は吹き飛ばされ、

 路面はクレータのごとく

 大きく陥没した。

森林を駆けていたケイの体が

 突然バランスを失い、地面にたたきつけられ、

 さらに何度か横転しとまった。

 彼女は最後にエルから送り込まれた

 苦痛のため身をよじり、うめいた。

そして、エルの死の感情に恐怖する。

 突然エルからのリンクが切れ、

 体を引き裂かれるような苦痛が襲った。

 そして、心を、満たしていた、

 エルの存在が

消失した。

 ケイは、その喪失感に

  呆然とし

   何も

    考えられなくなった。

     ただ、ただ、

   ・・・・悲痛な思いで

     エルの名を叫ぶ・・・・。

    そして、

   悲鳴にも似た

  号泣をした。

 




命を懸けての、迎撃。使命を果たすため、仲間を守るため、戦う大義のため、
自らのすべてをなげうち、捧げる。
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