エターナルフレイム   作:泰丸B

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失った仲間を悼む間もなく、敵の追撃は容赦なく迫る。山を越えたところに希望が待つのか
更なる、更なる困難を迎えるのか。


第16章 麓にて

ニトスは、指令所となった建物の1室で

戦闘データの解析結果報告を受けていた。

技官が、渋い表情で報告をまとめにかかっている。

「戦闘能力、つまり、機動性、打撃力、正確性で

劣る部分はなかったといえます。

しかし、実戦での経験による

戦術の応用性においては、

まだまだ不足な部分が多いといえます。」

ニトスは、冷ややかに応じる。

「ふん、いかに強かろうと、

所詮は新兵と同じと言うことね・・・。

頭の固い、人形の限界かも知れないわね。

いいでしょう、ジン13をラボへ返送しなさい。以上」

次いで、副官に命じる。

「現在の状況が明確になるまで、

この場所に指揮所を維持します。

逃走したヒューマノイドの捜索を実施。

破壊したエザワイスのヒューマノイドの回収も急ぐように。」

ニトスは、本国のルゴルへの報告のため回線をひらく。

「あの長官の怒り狂う顔が眼に浮かぶようだわ。

ふふっ・・・。はははは・・・・」

 

 

 

数刻の後、日も翳りだしたころ、

ギエスの兵士たちが街の真ん中にできた

クレーターの中で途方にくれていた。

小隊付軍曹が兵卒に怒鳴っている。

「敵ヒューマノイドの落下地点はここにまちがいないんだな?」

「はっ、記録の上からも、映像からも確認しております。」

兵隊は、そういわれても分からないと言う表情で答える。

「しかし、この状況はおかしいだろう、

 なぜ破片のひとつも残ってないんだ?」

「ここいらあたりは、盗人ばかりですから

 みんな持ち去られたんじゃ」

 この不毛な捜索も終わりのころ兵士が軍曹に声をかける

「軍曹殿、何か町の様子が変ではないですか?」

「ここは、言ってみれば、反乱分子の巣窟みたいなもんだからな。

 おれたちは、町中の嫌われ者ってところだ。」

「大丈夫なんでしょうか、ここに長居しても。」

「なんだ、怖気づいたか。

 しっかりしろ、新兵じゃあるまいし

 よし、場所を移して捜索をするぞ」

 

ケイは、森の中をひた走っていた。

 その心は、引き裂かれる思いに苦悶し、

その口は、苦しげに嗚咽を漏らす。

「今すぐにでも、エルカトに戻り、

 エルを取り返したい、ひと目あいたい。

でも、それはだめ・・・

 あなたは、

  その命を賭して戦ったんだもの、

  でも、・・・でも・・・ああ・・・

  叶うならば・・・

  その手を・・・、

   その眼差しを・・・、

    そのほほを・・・・、

     その髪を・・・、

      その香りを・・・、

       ・・・その口付けを

        ・・・今一度・・・」

流れる涙は止まる事を知らず、

頬をぬらし・・・

涸れ果てるまで・・・。

 

 

警察部隊副長官ニトス・パゴレの元に、

森林地帯を捜索していた部隊より、

報告が入った。

「短時間ですが、センサーに反応のあった地点に痕跡を発見しました。

おそらく逃走したヒューマノイド

のものと思われます。」

ニトスは思案顔で応ずる。

「いずれにしろ、山岳地帯に逃げ込んだことには間違いなさそうね、

 われわれ本隊も明朝移動します。」

「了解。通信終了」

『山越えをして、サレンを目指すようね、

この敵の指揮官、頭も切れるし

・・・度胸もありそう・・・。ふふふ・・・

ぞくぞくしそう・・・』

 

 

ミラルが森林地帯を抜けた後、

 山の麓で佇み、

 視界全てを覆う山脈を眺め、

 踏破するルートを検討していた。

 いずれにしろこれからは、

 徒歩で行かねばならない。

 

レリが、森のはずれに腰を下ろし、

 この圧倒的な山塊を見上げている。

「大きな山ね、まるで世界の壁みたい。」

クーが答える。

「大陸北部の山岳地帯、標高8000メートルを

 超える峰もあるんだよ。

 この先の高原地帯は山に囲まれていて

 そこへ行くにはここを超えるしかないんだ、

 天然の要塞みたいなもんだよ。

 このため都市サレンは、中立を維持し、

 この時代でも自治を守っているのさ」

「だから、ミラルもそこへ行くと決めたの?」

「うん、それに、サレン首長はプロラ王后の

 兄君でもあるんだ、そして、

 ギエスのやり方を批判する人々が、

 密かに集まっている場所なんだ」

 

 

レリは、少し心配そうに目を伏せ話す。

「あのね、クー・・・、わたし、

 少し変になってきてるのなかなあ、

 ・・・今朝もあんなことになったし」

クーはレリの前に回り、元気付けるように言った。

「レリ、心配しなくても良いと思うよ、

 レリは決しておかしくなんかなっていない。

 レリはレリだよ」

「・・・そう・・・かな」

「レリは、だんだん心が強くなっているのさ」

「・・・」

 

ミラルの元にジェイからの連絡が入った。

「大佐、目視で確認可能な位置まで到達しました。

 警戒ラインを敷いています。

 エルカトよりケイ報告、損失1名エル」

「エルが、人間相手に考えられん」

「ギエスの新型ヒューマノイドです。

 相手に損害は与えたようですが、

 詳細なデータはケイが、届けます」

「ジェイ、今夜安全が確認され次第、

 レリ王女にメンバーの紹介を行う予定だ 」

「了解、通達しておきます」

 




仲間を失うし、ヒロインも大変な精神状態のようで、この先耐えられるのでしょうか、この人たち。
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