エターナルフレイム   作:泰丸B

18 / 37
岩肌に残る痕跡、静かに迫る影。標高とともに高まる緊張の中、第一小隊は運命の夜へと歩を進める。


第18章 登攀

ギエスの偵察部隊A分隊およびB分隊は、

 各々のルートを確実進行していた。

彼らは、警察部隊の中でも選りすぐりのエリートたちで編成された、

 山岳戦闘専門の特殊部隊。

A分隊の隊員の一人が、岩肌の洞の中に何かを見つけた。

「隊長、これは・・・?」

「ふむ、野営の痕跡だな、

 相手は、かなりの精鋭ぞろいだろう。

 これまでのトラップといい、移動の手際よさといい、

 手ごわい相手だぞ」

ニトスの元に偵察部隊からの連絡が入ったのは1300時を過ぎたころだった。

「ターゲットの痕跡を、Aルートにて発見。」

「間違いないのか?」

「現地では、そう判断しております。」

「映像をモニターへ」

ニトスはその画面をしばらくにらみつけていた。

「B分隊をAルートへ向かわせますか。」

「いや、フェイクの可能性もある。現状のまま作戦を遂行してゆく。」

「本国ラボからの連絡でありますが、

 ジン13および予備ヒューマノイドを空輸にて

 搬送を行うとのことであります。

 到着予定、1900時であります」

 

山間部での移動は平地の歩行とは根本的に異なり、

 まず、平坦な地面というものがなく、常に傾斜した面を

 歩くことになる。

また、足元はほとんどが岩場であり

 次の一歩を踏み出す地点を確認しながら歩を進めないと

 思わぬアクシデントに見まわれたりする。

また、これだけ標高の高い山となると、高山病の心配もある。

神経も使うが、肉体的な疲労が大きくなってくる。

追われる身ともなるとストレスはさらに高まる。

レリの消耗が激しくなるのも無理はなかった。

「レリ、疲れてはいませんか」

ぴったりとペースをあわせて進んでいたケイが、

 心配げにたずねる。

レリの額には汗が光り、高度が高くなってきたせいで

 呼吸も大きくなっていた。

ミラルも最後尾で警戒しながらも、

 レリの様子をたびたび見に来ていた。

背負って移動したいところだが、

 人員が手一杯なのでそうもいかない。

ミラルは休憩を取ることをジェイに伝える。

ジェイが隊員に連絡する。

「これより、30分休憩を取る。

アル、サキ背後の監視を、カイ、

 進路の前方をチェック」

「了解」

 

ケイが、レリに話す。

「レリ、ここで30分の休憩を取ります。

少し足を休めてね」

ミラルも様子を見に来た。

「レリ、登山は結構大変でしょ?無理しないように、

何かあったらすぐ話してね」

「うん、ありがとうミラル。

でも、ごめんね、私のせいで、

時間を取っちゃうわね」

「いいえ、私たちにも休憩は必要ですから・・・ね」

そこへ、クーが現れ

「レリ、結構がんばってるじゃない、

初めての登山にしては上出来だよ」

「そうかなあ、」

その後、クーはミラルと連れ立って、

後衛のアル、サキのところへ行く。

「クー、その後敵の様子は?」

「うん、着実に近づいてきているよ。

  でも、朝の部隊じゃないよ。

 もっと小人数・・・8名編成、軽火器、のみ、

 移動速度も段違いに速いよ。

 山岳専門の部隊かな。

 いろいろ痕跡をチェックしてるよ、でも、

 監視結界には、気づいていないみたいだけど」

「先を急いだほうがよさそうね、

 レリにはもう少しがんばってもらうしかない。

 サキ、ここにトラップを。

 できるだけ大きな岩で進路を塞ぐよう」

「了解」

と、おもむろに岩肌から、岩塊を剥ぎ取り岩の壁を作り出す。

なんといっても、その岩の塊は1つ優に1トン以上はありそうだ。

その後、敵部隊は、あまり距離を詰めてこない。

ミラルに、わずかだが不安がよぎった。

「いったい、どんな手を打ってくるのか」

レリと、第一小隊は、

山での二日目の夜を迎えようとしていた。

 

まだ、誰もこの夜が

大きな運命の転換点になるとは気づくはずもなく。




山の中での逃避行、追手の迫る中ヒロインの身に迫る危機とは。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。