エターナルフレイム   作:泰丸B

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「その炎は、希望か災厄か。」
レリの力に秘められた、かつて世界を焼き尽くした“エターナルフレイム”。
ギエス総統の冷ややかな眼差しが、その可能性に燃える。
少女を巡る思惑が交錯し、運命の歯車が静かに狂い始める――。


第25章 総統の謎の思惑

ニトスはテーブルにこぶしを打ちつけ叫んだ。

「おのれ、レリめ。こうもまんまと出しぬかれるなんて!」

戦闘はあっけなく終了していた。

攻勢が始まって応戦に追われている間に、敵はあっさりと引いていき、

 後は何事も無かったような静寂が支配している。

双方兵員に損害はなく、完全にもてあそばれたようなものだった。

副官をにらみつけるように言う。

「やつらは、どちらに向かったのか?」

「はっ、東の第六分隊を排除し東方向へ向かったと思われます」

「東だと?下山して逃走するつもりか・・・」

ニトスは、地図を睨み付け考えていた。

「どこだ、次はどこへ向かうつもりだ?」

「われらも東へ向けて移動する。麓付近の町に偵察部隊を

先行させなさいやつらの足取りをつかむのだ」

一方、ギエス本国ではギエス警察部隊長官ルゴル・ロタフが、

ギエス総統の招集命令を受けて、執務室へ入ると、

ギエス総統は未だ来ていなかったが、イベアスとジンがすでにおり

用意されていた椅子に腰掛け待っていた。

イベアスが冷ややかな表情でルゴルに話しかける。

「またも、逃げられたようですな、こうも失態が続くと

 長官殿の威厳も損なわれようというものですな、

 ふっ、はははは・・・」

「今回の、作戦は大臣閣下も同等の責を負っておられるのでは

 ないのですかな?」

 と、険しい表情で対するルゴル。

ラボ所長ジンが興奮気味に、声を張り上げ、ルゴルにせまる。

「私の、ジン13は今回見るも無残な状態で

送り返されてきましたぞ、一体どのような扱いを

しているのですか。

作戦そのものに齟齬があるのではないのですか!」

「学者に、実戦の何が分かるかっ!」

ルゴルは、割れんばかりの大音声で一括した。

「兵も同様に傷ついておるのだ、お前のヒューマノイドだけを

特別扱いは出来ん。」

そこへ、ギエス総統が現れた。

3人は起立をし出迎える。

部屋の温度がサッと下がったように感じられた。

ルゴルは思う、「総統閣下がお見えになると、

毎度のことながら、寒気がするわい。」

ギエス総統が声をかける。

「まあ、お互いにもめることは無い。

 ともにこの作戦を成功させようではないか

 そうであろう・・・イベアス」

「はい、内輪もめをしている場合ではないですな」

イベアスは、総統の切れ長な目で鋭く見られるといつも

凍り付くような緊張を感じてしまう。

ついで、総統はルゴルに目を転じた。

「先の北部山脈での作戦のの報告を読んだが、

 その際、敵が高エネルギーの兵器を使用したとあったが

 どの様な被害をこうむったのか」

ルゴルは、総統の目を見たが、そこに一瞬ではあったが

飢えのような、渇望のような欲求を見た気がしたが。

「はっ、レリ王女の一行を追跡した小隊8名ほどが瞬時に

 蒸発するほどの熱量で、岩肌も溶け出したようです

 ヒューマノイドもそのエネルギーに焼かれたのではないかと」

イベアス総統が訊ねる。

「ラボの見解はどうなのか、ジン」

「はっ、損傷の状態からすると高温の放射熱により、

 破壊されたと言って良いでしょうな、純粋な

 熱エネルギーによるものと思われます」

 

総統はしばし沈思黙考の後語り始めた。

「私が、レリ王女にこうも固執することを怪訝に思うであろう、

 かような損害を出してまで行うことなのかとな、

 だが、この得体の知れない熱エネルギーが、レリ王女に

 よるものだとしたらどうなる?」

ルゴルら3人はこの意外な言葉がにわかかには信じがたかった。

「過去にこの世界が、幾度か破壊されたことは知っておろう。

 その時、国を焼き尽くしたものをエターナルフレイムと呼ばれておることも

 最後の破壊は大陸の東部、わが国を含む大部分が壊滅したことも」

 

ラボ所長ジン・ネルプがやや思案気に言葉を発した。

「しかし、総統閣下、今回のエネルギー量は強力とはいえ

 それほどの規模を有しておりませんが」

ギエス総統は中空を見つめ言葉をつないだ。

「今のところはな、だが徐々にその規模も大きくなってゆくとしたら

 これは、脅威となるだろう、違うかルゴル?」

「確かにそうですな、しかし、年端も行かぬ小娘に

 使いこなせるようなものではありますまい?」

ギエス総統が冷ややかに語る。

「そこよ、あの善人面したプロラ王の冷血な策略であるな

 しかし、今の段階なら王女を取り込みわれらの思惑にあわせ

 使うこともかなうであろう、そうは思わんかイベアス?」

イベアスが語る。

「総統閣下の策は確かにすばらしいと考えます。

 かのエターナルフレイムをわが国の力に加えれば、世界は

 ギエスにひれ伏すこととなりましょう」

総統は、

「そうであろう、この世の全ての力を手に入れたも同然となろうて」

ルゴルは、内心とんでもないことになったと、あせっていた。

『冗談じゃない、そんな化け物相手にどう対処しろと言うのだ』

そんな、ルゴルの動揺を見透かすかのようにギエス総統は

言葉をかけた。

「ルゴルよ、レリ王女に直接手出しをする必要は無い、

 あちらから、ギエスへ出向いてこよう」

ルゴルは、その瞳の内に、まるで蛇が獲物を狙っているような、

執着心を見た気がしたが、ともかく内心ほっとすると同時に、

総統が本当は何を言おうとしているのか、何を渇望しているのか

理解できずにいた。




ギエス総統の、その正体とは。その欲求とは。
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