ついに、再び、ギエスの警察部隊との戦闘に突入した、その時、黒煙を引いて、
空から何かが落ちてくる。第一小隊とレリを挟み撃ちにしようと迫るジン13だ。
しかし、その背後に閃光が走った。
「……あれは……!」
ケイの瞳が見開かれる。戦場の喧騒の中、彼女の心臓が一瞬だけ跳ねた。
もう閉ざされてしまったと思っていた、リンクが再接合される。
エルの存在、感覚が、心に流れ込んできた。
「エル……?」
黒髪を刈り上げた少女が、空を裂いて舞い降りる。
かつての仲間、エル。
冷静沈着で、剣技において右に出る者はいなかった戦闘用ヒューマノイド。
だが、あの戦いで彼女は……。
「エル……生きてたの……?」
ケイの声は、戦場の轟音にかき消された。
しかし、彼女の胸の奥で、何かが確かに溶けていく。
冷たく凍りついていた感情が、再び流れ出すように。
エルは無言のまま、ジン13の前に立ちはだかった。
「また会ったな。」
「生きていたか。だが、前と同じ結末を迎えるだけだ。」
ジン13の声は冷たく、機械的でありながら、どこかに怒りと焦燥が混じっていた。
「それは、どうかな?」
エルの声は静かだったが、その目には揺るぎない意志が宿っていた。
次の瞬間、二人は刃を交える。
ジン13の長大な剣が、鋭く空を裂いた。
「消えろ!」
その声と同時に、彼女の身体が閃光のように突進する。
空間が歪むほどの加速。だが、エルは一歩も引かず、腰の剣を抜き放った。
「ふっ」
金属がぶつかる音が、雷鳴のように響いた。
一撃、
二撃、
三撃——。
剣と剣が交差するたび、火花が四散し、
地面に焦げ跡が刻まれていく。
ジン13の攻撃は正確無比。
一切の無駄がなく、殺意だけが研ぎ澄まされていた。
しかし、
「お前は、以前とさほど変わらんな!」と、エルは考える。
エルは低く構え、ジン13の斬撃を紙一重でかわす。
すれ違いざまに放った斬撃が、ジン13の左肩をかすめ、装甲を裂いた。
「早くなっているな、お前」
ジン13が舌打ちし、距離を取る。
だが、エルは追撃の手を緩めない。地を蹴り、風を裂いて迫る。
「これは、私たちの未来のための戦い……!」
エルの剣が、ジン13の右腕を狙って振り下ろされる。
ジン13は咄嗟に引き戻した剣で受け止めるが、
その衝撃で足元の地面がひび割れた。
「重い!この私が押されているのか!?」
ジン13は跳躍し、空中で体をひねって反撃の斬撃を放つ。
エルはそれを見切り、剣を横に弾いて受け流すと、
逆にジン13の腹部に蹴りを叩き込んだ。
「ぐっ……!」
ジン13が地面に叩きつけられ、土煙が舞い上がる。
だが、すぐに立ち上がり、顔を歪めて笑った。
ジン13の中に新たな感情が生まれた。
それは、歪んだいびつな喜悦だった。
「面白い……!」
再び、二人は激突する。
剣戟の音が連続して響き、周囲の兵士たちが思わず距離を取るほどの激しさ。
斬撃が風を裂き、地を穿ち、空気が震える。
ジン13の剣がエルの頬をかすめ、赤い線を描く。
だが、エルは怯まない。
逆にその隙を突いて、彼女の胸部装甲に深々と剣を突き立てた。
「これで……終わりよ!」
エルが力を込めると、剣がジン13の身体を貫いた。ジン13の瞳が見開かれ、
口元から火花が散る。
「なぜ……私が……!」
「つまり、あなたは、ただの機械よ。私は、仲間と共に生きるために戦ってる。」
ジン13の身体が崩れ落ちる。その瞬間、戦場に一瞬の静寂が訪れた。
エルは剣を引き抜き、血のように赤く染まった刃を見つめた。
だが、彼女の表情に安堵はなかった。
戦いは、まだ終わっていない。
仲間たちが待っている。
レリが、ケイが、ミラルが——。
エルは剣を納め、振り返った。
「さあ、次へ行こう。」
その背中に、ケイの心が再び強く引き寄せられていくのだった。
一方、戦場の中央では、レリが王家の銃を手にしていた。
「また……これを使うの……?」
彼女の手が震える。
この銃を撃つたびに、心が削られる。
命を奪うたびに、自分の中の何かが壊れていく気がした。
「でも……みんなを守るためには……!」
レリは唇を噛みしめた。目の前では、ミラルが指揮を執り、
その叫びと同時に、第一小隊の面々が一斉に応戦する。
サキが前線に躍り出て、巨大な盾を構えながら突進する。
彼女の一撃で、警察部隊の先頭の兵士が吹き飛び、
背後の兵士ごと地面に叩きつけられた。
「どけぇぇぇっ!!」
その声は、戦場の喧騒をも突き破る。
サキの拳が地面を砕き、破片が飛び散る。
その隙を突いて、アルが素早く駆け出した。
「サキ、右から来てるよ!」
「了解っ!」
魔道端末を手にしたカイが前に出ようとしたとき、銃弾を受け足をすくわれてしまう。
咄嗟に、アルにそれをパスして、
「敵の通信のジャミングお願い」
「了解、カイ」
アルの小さな体が、敵の死角を縫うように走り抜け、
手にした魔導端末から光弾を放つ。
敵の通信機器が一斉にショートし、混乱が広がる。
「通信妨害完了!」
「ナイス、アル!」
カイが即座に反応し、戦況を解析。
敵の配置を瞬時に把握し、仲間たちに指示を飛ばす。
「左の高台に狙撃手! エル、援護を!」
「了解。」
エルがジン13との戦闘を終えた直後、息を整える間もなく、
再び剣を構えて駆け出す。高台に跳躍し、
狙撃手の背後に回り込むと、無音の一閃でその動きを止めた。
もはや狂気ともいえるニトスの高笑いが、戦場に響く。
「あなたたち、すごいわよ。さあ、もっと楽しませてちょうだい! レリ・プロラ!」
レリの中で、何かが弾けた。
「……もう、仲間を傷つけさせない!」
彼女は銃を構える、照準ホログラムが現れターゲットをロックオンする。空気が震える。
心の引き金を引く。
閃光が走り、轟音が響く。幾分強くなったビームが一直線に飛び、
警察部隊の装甲車を貫いた。
爆炎が巻き起こり、ニトスの部隊が一瞬、動きを止める。
「今よ! 全員、撤退!」
ミラルの声が響く。第一小隊は一斉に動き、
レリを守るようにして装甲車両へと駆け込む。
「レリ、急いで!」
ケイが手を伸ばす。レリは銃を握りしめたまま、その手を取った。
装甲車両が走り出す。ギエスへ向けて、希望と絶望が交錯する道を。
ニトスは、爆煙の中から姿を現した。制服は焦げ、髪は乱れていたが、
その目には狂気の光が宿っていた。
「ふふ……面白くなってきたじゃない……。レリ・プロラ……次は逃がさないわよ……!」
彼女は無線機を手に取り、冷たく命じた。
「全軍、追撃を中止。」
走り去るレリたちに、ねばりつくような視線を向ける
「あの娘は……必ず、私のものにする。」
危機を脱したレリたち、しかし、執拗な執着を持つ敵将。その手に落ちるのか?