「……マジかよ」
私、上条当麻はどこまでも不幸だ。
もうかなり寒い時期だというのに上条の部屋のガスストーブは、温かい風ではなく冷たい風を吐き出し続けた。
「…不幸だ」
仕方なくストーブの電源を切り、部屋の中だというのにジャンバーを着た。他人から見ると、部屋にストーブがあるのにジャンバー着てバカじゃねえの、と思うだろう。しかしそれでも上条のストーブは扇風機のようにただただ冷風を吐き出し続けるのだが。
「…くしゅんっ」
と上条の部屋のベッドを占領し、半べそ見せながら小さくくしゃみをした少女は、上条の部屋の居候、インデックスである。彼女はイギリス清教のナセサリウスとかいう機関のシスターで、訳あって上条と一緒に住んでいる。
しかし上条は彼女と会ったことすら覚えていない。なぜなら上条は、いわゆる記憶喪失というやつなのだ。諸々の事情で彼は記憶を失い、そしてそれから魔術師だのビリビリだのシスターズだののトラブルに巻き込まれ、今に至る。
「起きろ、インデックス」
「…うーん、当麻?」
「うーんじゃねえ!さっさと起きなさい!」
「…はーい」
ほんと寝相悪いな、こいつ。
それから上条は冷蔵庫の中の特売品のおかずやらを電子レンジで温め、インスタントみそ汁をお湯で作り、即席朝食を手早く完成させた。
「トウマー、ご飯まだ?」
「お前も少しは手伝え!」
と毎朝恒例のツッコミをいった後、上条は朝食を食べ、インデックスに「食べ終わったら、食器は水場に置いといてくれ」と言い残し、制服を着て、学校に向かった。
今、上条の学校は期末テストになってから、今日が最終日。テストの点数は絶望的だが、学校には行かねばなるまい。
そして上条はいつものように向かい側の通りにあるバス停に行こうとしてふと気づく。今上条が行こうといていた向かい側とこっち側の間にある横断歩道の真ん中。そこに女の子が立っていた。外国の貴族を思わせるような黒いひらひらしたドレス、金髪で年は多分5、6歳といったところか。って何、冷静に観察してんだよ!てかなんで子供があんなとこに。危ないだろ!とにかくあの子のところに行ってみよう。
上条は意を決して赤信号を渡ってみた。幸い、車は通っていなかったが、その時上条は妙だと思った。
(なんで女の子が道路の真ん中にいるのに誰も行ってやらないんだ?)
そもそもなんでさっきっから車が一台も走ってないんだ。なんかおかしい、そう思ったが上条はまず女の子をどうにかしようと思った。
「ちょっと、君。危ないだろ」
「……」
女の子は上条に話し掛けられて心底驚いたようだった。
と女の子は言った。
「…お前には関係のないことだ。今すぐ立ち去れ」
「……は?」
女の子は低い声で言った。
「……とにかく、ここは危ないから向こう側まで行くぞ」
と上条が女の子の手を握り向こう側に行こうとした時、
「おいおい、そいつは持って行かないでもらえるかな?」
いつの間にいたのか、そこに男が立っていた。
まるで西部劇のカーボーイのような格好のその男は言った。
「そいつは我々に渡してもらえると助かるんだが」
「は?なんだよあんた!この子になんのようだよ」
ふと周りを見ると、通りには誰一人いなかった。上条は一度この光景を見たことがある。
「まさかお前、魔術師か!」
いつぞやの炎の魔術師、ステイル=マグヌスもそれを使い、街の人間に気づかれないようにしていた。確か、人払いのルーンだったか。
「ならこの子も魔術関係なのか」
「青年よ。俺はガキを殺すことはしたくないんだ。だから何も聞かずに消えてくれるとうれしいんだが」
「嫌だね!そんなんならなおさら引けるかよ!」
「……」
男は少しの間黙り、顔を背けた。そして再びこちらを向いた男の目には殺意があった。
「……そうか、残念だ。だったら、
死んでもらうぞ」
静かに告げられた男の殺意が上条に襲いかかる。まさにそれは殺意そのもの。
そして、上条と魔術師の戦いが静かに始まった。
始めに書いた通り、私は初めてなのですが、自分では意外とうまく書けたと自負しています。