ま、まだ土曜日の37時って事で……ギリセーフって事で……(震え声)
【Tips】拙作におけるホロメンの呼び方/呼ばれ方は、現実の配信内に準拠する。
故に、『設定上は同級生にも拘わらず、“先輩”呼びをする』という奇妙な事象が発生している。
後半推奨BGM:薔薇に傅く愛の奴隷
「成程。朝起きたら堕天していて、その原因が“王”との決戦での
「そう、なんだよ。何とかならない?」
都合よく現れたそんな彼に状況を説明した所、彼は申し訳なさそうな顔をしながら口を開いた。
「頼りにしてる所申し訳ないんだが……あくまで俺のは補助的な運用が基本だぞ。
魔法専門の奴──それこそ、常闇とかの方が詳しいんじゃないか?」
暗殺を得意とする彼が、唯一扱うことの出来る魔法/魔術の名は【振動操作】。
分類としては魔術の亜種である“妖術”にあたり、読んで字の如く『振動を操作する』事が出来るもの。
『メインに据えるには弱く、サブとして運用するには器用が過ぎる』と評されるソレを、彼暗殺の補助として見事に運用してのける……のだが。
あくまでそれは暗殺の補助。いくら彼が選択授業の枠に『魔導論』を入れており、成績も悪くないとは言え、本職には程遠い……はずなのだが。
「いや~……トワ、結構感覚でやってる所あるし?
魔導論も取って無いから、理屈的な部分は割と曖昧だし?」
「……つまり?」
「魔導論取ってる瑞樹の方が、詳しい可能性がある。って事だね」
そこまで聞くと、瑞樹は深くため息をつき。
しょうがねぇなぁ、とでも言いたげな表情で顔を上げ。
「協力はするが、本職じゃねぇんだ。何も分からなくても文句は言うなよ」
「ありがとう。本っ当にありがとう。
正直今は、猫の手でもいいから借りたい状況なんだよ」
「そ、そこまでなのか……
それじゃあ、ちょっと失礼」
そう断ると、瑞樹はかなたの手を両手で握る。
……一つ。
「ちょっと……これっ、くすぐったっ……」
「魔力回路の具合を見るにはこれが一番手っ取り早いんだ。ちょっと我慢してくれ」
「そんな事っ、言ったって……ひゃっ」
「……変な声を出さないでくれ。俺が変なことをしてるみたいだろ」
とてつもなく、くすぐったいのだ。見ての通り、
それこそ、瑞樹がセクハラで訴えられてもおかしくない程には絵面がよろしくない……のだが。
しばし経ち。瑞樹はかなたから手を放し。
『本職じゃ無いから間違っているかもしれないが』と前置きしてから、かなたの状態についての推測を語り出した。
「多分だが、黒に近い状態みたいだな」
「黒ちゃん……?」
「そ、魔力回路が丸っと作り変えられてるんだ。光属性に適性がある回路から、闇属性に適性がある回路に。な」
「確かに白上と黒ちゃんの関係っぽいけど……」
同じ“フブキ”であっても、白上は氷系妖術。黒上は炎系妖術と、特異な妖術が異なっている。
これは、人格と同時に“魔力回路のつくり”も切り替わっている事に所以するのだが……
それと同じことが、かなたの身体でも発生しているのだ。
「じゃあさ、フブキ先輩は黒上さんと変わる時どうしてるの?」
「う~んと……こう、お腹の辺りにグって力を入れると、体がグルンってなる感覚がして入れ替わってる……って感じ?」
「……何もわからないのら」
「フブキも大概感覚派だからな……」
それを受け、フブキが黒上と切り替わる方法が、かなたの症状解消に役立つのでは……と思い質問してみるが。
何の手掛かりも得られない結果に、その場にいる全員が落胆を隠しきれない表情をとる。
気を取り直して、と言わんばかりに両手を打ち合わせ。その場の雰囲気を変えるべく瑞樹が口を開いた。
「魔力回路に詳しい奴となると、紫咲の奴が思い当たるが……」
「シオンちゃんは確か今、魔界に行ってるはずだね」
「学会で論文を発表するんだっけ? ホント凄いよね~」
紫咲シオン。ホロライブ学園きっての魔法の天才であり、魔法戦闘の一点
瑞樹も、術式の効率化で行き詰った際には彼女の研究室を訪れているほどだが……
優秀
今回新規で行っている研究が、すぐさま学会で論文を発表するべきレベルであったがために。現在はホロライブ学園を離れ、魔界学校にて発表の準備を行っている所なのだ。
「他の選択肢ってなると……?」
「この中に、
瑞樹が問いかけるが、当然、解答は沈黙。
魔導師──魔導院と呼ばれる魔法/魔術を研究する専門機関に所属する魔術師の事を言い。
つまるところ、他の分野では“教授”と呼ばれるような立場で。当然、一学生にそんな存在へのツテがある訳も無く。
「だよなぁ……と、なるとだ。後はアソコになる訳だが……」
「鳴神君? 凄い嫌そうにしてるけど、大丈夫?」
「いやぁ……出来れば頼りたくないんだがなぁ……」
そう言いながら、瑞樹はかなた・トワ・ルーナの3名へ目線を向ける。
その3名の共通点を考え……とても、とても深く納得した表情のフブキは複雑そうな表情で、口を開いた。
「確かに……普段ならともかく、今日のメンバーだとちょっと悩むよね」
「いや、何々? どんなところに連れてこうとしてる訳!?」
「……他に選択肢も思いつかないし。しょうがない」
席を立ち、覚悟を決めた表情で。
瑞樹は、こう言い放った。
「行くか。フィクサー協会に」
◇
フィクサー協会支部。主に都市 の外におけるフィクサーの管理を目的とし、ハナ協会が世界各地に設立した支部……なのだが。
ハナ協会の人員不足によって、事実上その地域で力の強い協会や高位のフィクサーが管理している施設。
そんな施設の中でもホロライブ学園近くの支部は、複数人の特色 を抱える稀有な支部となっており──
「しとどに濡れる青く可憐な一輪の薔薇──おお、それは貴女のこと
瑞々しい未熟な果実よ、その白桃が如き美の極限で今日も私を狂わせるのか
幼き魔性の艶を前に、この身はもはや──げぶらぁっ」
「いい加減、その天丼ネタも聞き飽きたぞ。石玆」
──丁度今、瑞樹が顔面へと右の拳をめり込ませた相手こそが、その一人。
まるで、初めて会った時の再演のような光景に苦笑いを浮かべながらも、フブキは彼に声をかける。
「久しぶりに見ましたが……ソレ、相変わらずなんですね」
「おや、白上くん。そうだね、コレが僕のアイデンティティだからね」
若干引いているフブキに対し、綺麗なウィンクで答える彼。
どうしようもないドMの
「え~っと……鳴神君。この人は?」
「俺の親友の、
「ご紹介に預かりました。刀佩 石玆です。好みのタイプは幼女、15歳未満がストライクゾーンど真ん中さ」
どうしようもない変態で、尚且つ酷いセクハラ癖があるという、いくら強いとは言えそれを台無しにして余りある欠点を持つ男。
刀佩石玆の発言に、その場にいる全員がドン引きするのであった。
その場の空気をどうにかしようと、口を開いたのはルーナであった。
「って事は、んなたん狙われちゃうのら?」
「ふむ……そうだね」
ルーナの言葉を受け、顎に手を当て、しばし考えるような素振りをして。
上から下まで見定めるような視線を向け……ある一点で止め。
「
君は、ストライクゾーンより上になるようだね」
「「「うわぁ……」」」
3人も当然、この発言にはドン引きであった。
「いい加減にしろ」
「げぶらぁっ」
そしてこれには、石玆のセクハラを聞きなれている瑞樹も怒り心頭。
石玆の右頬を思い切り殴りつけた……今度は、右手を金属製の義手へと変貌させて。漆黒のオーラを腕に纏いながら。
「ぶったね……二回もぶった……! それも今度は
親父にもぶたれたこと無いのに!!」
「いい加減、初対面の相手にセクハラするのはやめろと言っているんだ
風評被害を受けるこっちの身にもなれってんだ」
と、某有名ロボットアニメのパロディをやった所で。
石玆は、『もうふざけるのは満足した』とでも言わんばかりの雰囲気で。
先ほどまでがウソのような真面目な雰囲気で問いかけて来た。
「よし。じゃあ、そろそろ真面目に話をしようか。
それで? わざわざ尋ねて来るとは、何の用だい?」
「あ、え~っと。僕なんだけど……」
「ふむ? 堕天使……にしては少々違和感があるね」
ここに関しては流石と言うべきか、本人が説明するよりも前に、『天音かなたが純粋な堕天使では無い事』を看破してのけた。
「詳しく、聞かせてくれるかい?」
「あ、はい。実は──」
◇
かなたから説明を受けた石玆は、『少し考える時間をくれ』と断って。
腕を組み考える事5分ほど。辛うじて、似た事象に心当たりがあったようで。
「ふむ、そういう事なら先ずは【闇魔法】を使えるようにしないとね。
確か、丁度その手の指導が得意な人がいたはずだ。天音くん、と言ったかね? 一緒に来てくれるかい?」
「あっはい。じゃあちょっと、行ってくるね」
石玆の案内で、件の人物の下へと歩いてゆくかなた。
2人がドアの外へと姿を消し。部屋の主のいなくなった副支部長室は、静寂に包まれていた。
少し経った頃、静寂を破ったのはフブキで。
「それじゃあ私たちは、適当に座って待っとこうか」
「だな。そうだ、迷惑かけた詫びに飲み物奢るよ」
「おっ、いいの? 太っ腹ぁ」
瑞樹の提案に、2人は喜びの表情を見せる。
いくらフィクサーとしては高位に分類されるとは言え、あくまでも彼女たちは学生。
金銭的な余裕があるとは、口が裂けても言えない状況なのだ。
飲食スペースの席に座り。注文したドリンクに口を付け。
少し落ち着いたタイミングで。そう言えば聞いてなかったな。とポツリと呟いたルーナが、瑞樹へと問いかけてきた。
「そういや、あの人何級なのら?」
「あ、確かにそれトワも気になってた。鳴神が頼りにしてるって事は、もしかして1級?」
『刀佩石玆が何級フィクサーなのか』。
確かに、石玆の変態発言とセクハラに意識を持ってかれていたと。
石玆の紹介自体は名前程度しかしていなかったな。という事を思い出した瑞樹とフブキは、思わず吹き出してしまっていた。
「あぁ、そう言えば2人は知らなかったね。刀佩君は特色だよ」
「【金の幻想】って、聞いたこと無いか?」
何でもないことのように発されたその言葉に、トワとルーナの2名は信じられないと言わんばかりの表情で硬直してしまっていた。
それもそうだろう。
“色”と“異名”を持つフィクサーであるなどと、そう易々と信じられるものではないだろうから。
「えっ……あの人が、あの?」
「今活動してる特色だと、最強って名高い?」
「その評価には少々異を唱えたいんだが……まぁ、それで合ってるな」
「瑞樹とどっちが強いかって言われると、悩ましいところだよね」
“王”との決戦で、『赤』『青』『黒』を始めとする有力フィクサー達が軒並み負傷し。療養のため一時活動を休止している今。
最強のフィクサーと言えば『金』で、次点が『銀』。もしかしたら、『白の候補』や『業炎鬼』も最強たり得るのではないか。
というのが、現在の主流な言説となっているのだ。
──そんな風に、雑談に花を咲かせる事30分ほど。
会議等で使うような個室の扉が開き、中からは石玆とかなたが姿を現した。
「お待たせ〜。ごめん、待たせちゃったね」
「思ったよりも時間がかかってね。なんせ、魔力回路が丸々入れ替わるなんて滅多にない事例だからね」
こちらに手を振るかなたの姿は、心なしか先ほどよりも軽やかであるように見えた。
少し遅れてやって来た石玆から、元に戻るために前準備として魔力回路を“ちゃんと魔力が通る”状態にしておかなければいけない事。
そのために、先ずは“【闇魔法】が使えない”状態を解消しなければならなかった事が語られた。
「それで、だ。これで次の段階に進めるね」
「あっ、そっか。これで終わりじゃないんだったね」
「次の段階って、なにするのら?」
とは言え、今はまだ“【闇魔法】が使える”ようになっただけであって、“天使に戻れる”ようになった訳では無い。
故に“第一段階”であり、次の段階に進む必要がある。と語った石玆はその場にいる全員を見渡し……フブキの前で視線を止めた。
「そうだね、誰か……白上くんが丁度いいかな?」
「白上ですか?」
「うん。ちょつと手を貸してくれるかい?」
「いいですけど……何するんですか?」
「うん、そうだね──」
「──天音くんと、戦ってほしいんだ」
鳴神瑞樹:拙作『銀狼哀歌』本編における主人公。
特色フィクサー【緑の影】に鍛えられた高い暗殺能力と、【振動操作】の妖術を武器として活動する、非常に優秀なフィクサー。
『開花E.G.O::冥狼』の反粒子生成能力によって、この世のありとあらゆる存在に相性有利が取れるトンチキスペックと化す。
高い功績から、学生ながら特色フィクサー【銀の人狼】の名を与えられている。
『シルヴァリオ・ヴェンデッタ』の主人公“ゼファー・コールレイン”をベースに、能力の一部に『PSYREN』の
刀佩石玆:拙作『銀狼哀歌』における瑞樹の親友枠。
幻影特化の独自アレンジがされた【闇魔法】と、【磁力操作】の魔術を武器とする刀使い。
幻影を一点に重ねた過負荷によって、世界を断ち切る刃を作り出すことが出来る。世界をキャンバスに例えるなら、色の塗り重ねすぎで穴が開いたような状態。
また、これを自身に適応する事で自らの“位相”をずらす絶対防御も可能。攻防共に優れた優秀なフィクサーであり、【金の幻想】の名を与えられている。
『開花E.G.O::ユメマボロシ』によって、幻影の過負荷を世界に残留・侵蝕させることが出来る。
『シルヴァリオ・ヴェンデッタ』より“ルシード・グランセニック”をベースとし、
・『ヴァーミリアン』の“トシロー・カシマ”
・『装甲悪鬼村正』の“湊景明”
・『蒼穹のファフナー』の“春日井甲洋”
・『銀灰の神楽』の“スマイヤー・ラプティス”
の要素を加えた闇鍋キャラクター。
尚、