クールビューティーでサイエンティストな先輩は実験がしたい。   作:赤瀬 涼馬

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第七話 「桜子の追及と静乃の助言」

 理緒が桜子と対面したまま黙り込んだ状態がしばらく続いていた。

 

「そうやっていつまで黙っているつもりですか? 新見先輩」

「………」

「あの~大津さん」

「今は。新見先輩に訊いているから久我君は黙っていて」

 

 真剣な表情で話す馨子。彼女の真面目な口調を訊いた優希はそれから言葉を口に出すことができずにいた。

 

「後輩ちゃん」

「何ですか? 新見先輩」

「あのとき、後輩ちゃんは私と助手くんが〝いかがわしい〟ことをしていたと言っていたな」

「それが何ですか? 現に私はしっかりと見ていますし嘘はついていません」

 

 自信満々な様子で話す桜子に理緒はふと小さな笑みを漏らす。

 

「だったら後輩ちゃんは、なぜ私たちがあんなことをしていたのか、までは知らないってことだろ?」

「何が言いたいんですか? 新見先輩」

「つまりは、〝目的を知らないのか〟と訊いているんだ」

「………」

 

 理緒の反論に今度は桜子がだんまりを決め込む。まるで悔しさを噛みしめるようにして………。

 

「後輩ちゃんは一部始終だけを見て、私たちの活動が悪であるかのように断じたが、何事においても必ず理由が存在する。私が無暗に意味もない行動をするはずがないだろう?」

 

 と、理緒が呆れたような口調で言い放つ。

 

「それくらいにしておけ。新見………大津もだ」

「待って下さい。平塚先生、話はまだ終わっていません」

「大津、お前の気持ちも分かるが少し冷静になれ」

「私は十分冷静です」

「本当にそうか?私にはそうは見えないが」

「どういう意味ですか? 平塚先生」

「お前は新見と久我の〝行為〟ばかりに目が行って肝心な部分を見ようとしていないってことだ。なぜ二人がそういうことをしていたのか、をな」

「つまり先生も新見先輩の味方だというわけですか」

「そういうわけじゃないさ。私はただ、可愛い教え子が理由を訊かれずに一方的に貶されているのが我慢できなかっただけだ」

「………」

 

 静乃の言葉に誰一人として異議を唱える者はその場にいなかった。それを見た静乃は続けて言葉を紡ぐ。

 

「ここからは私の想像になるが………」

 

 真剣な表情で言葉を口にした静乃が白衣の内ポケットから一つの箱を取り出す。そこから一本の棒を取り出した静乃はそのまま、何食わぬ顔で先端に火をつける。

 

「平塚先生………校舎内は禁煙ですよ」

「まあ、硬いことを言うな、大津………時にはこういうことも必要なんだ」

 

 はあと小さく煙を吸い込んだ静乃が、美味しそうに体内に煙をため込み、吐き出す。

「………っごほ、………っごほ、ちょっと平塚先生、煙臭いですよ。早く火を消してください」

 

 近くにいたせき込みながら桜子が抗議の声を上げる。

 

「ああ。すまない」

 

 せき込む桜子を見た静乃が急いで煙草の火を携帯用の灰皿で火を消す。吸殻を中に投げ込んでポケット中に仕舞う。

 

「それで先生、話の続きというのは………」

「ああ。そうだったな」

 

 優希が半ば呆れたような声色で静乃に話の続きを促す。

 

「新見たちの実験についでだが、おそらく私も白だと思う。いくら放課後とはいえ、科学実験室で致そうと思うほど二人は馬鹿ではないと思うし、どうせいつものように新見が強引に久我に迫って、仕方がなくやってしまったというのがオチだと私は睨んでいるのだがどうかね二人とも」

 

 静乃の言葉を訊いた優希は感激のあまり言葉を失っており、理緒も正確に顧問に状況を言い当てられて言葉を失っていた。

 

「沈黙は肯定ということでいいか?」

 

 いつぞやの理緒の台詞を口にした静乃は落ち着いた様子で、対面に座る優希と理緒を見つめる。その様子を桜子はどこか納得いかないと言った感じで見ていた。

 

 

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