ダンまちの世界に転生したら不死鳥になってしまった件 作:ヒキニックニク
アリーゼたちとダンジョンに潜った次の日、俺はへファイスト・ファミリアの新人の店にきていた。
ゴアライズの強化種を倒したから懐が少し暖かいので、武器を見に来たのである。
しかし、俺は武器を使うのがあまり得意ではない。
ザルドに教わったが「センスがない」と言われてしまったので武器は使わない肉弾戦を鍛えたのだ。
まぁ、ダンジョンに入る時のかっこだけだから何でもいいかと思いながら歩いていると、声をかけられた。
「おい坊主、こんなところで何をしている。迷子か?」
声のした方を向くと、そこには椿・コルブラントが立っていた。
「迷子ではありません。冒険者なので武器を見に来たんです」
「お主が冒険者?どこのファミリアだ?」
「ロキ・ファミリア」
「ロキのところか!!確かに剣姫もお主と同じぐらいだったな」
ロキ・ファミリアと聞いて納得していた椿さん。
「それで?あなたは?」
知っているがこう聞かないと怪しまれる恐れがある。
「ん?手前は椿・コルブラントだ。へファイスト・ファミリア団長だ」
「団長さんがこんなところで何をしてるんですか?」
そう、今いるのは新人たちの作品が売っている階層。
団長ということは一流鍛冶師ならここより下の階だろうに。
「なに、他の団員たちの売れ行きを見に来たのだ。けして書類が面倒になったから逃げ出したわけではない!!」
逃げ出したのかと思ってジト目で椿さんを見る。
すると椿さんは気まずくなったのか話を変える。
「お主はどんな武器を探しているのだ?」
「ナイフか短刀がいいかなと思ってるんです。基本は体術で戦うので」
「ふむ、では小手などはどうだ?攻撃力も上がるし、防具にもなる」
小手かぁ、不死鳥になる時邪魔になりそうだなぁ。
「小手はいいです」
「そうか。ではついてこい」
椿さんはそう言って俺を抱きかかえて歩き出した。
あのっ!素晴らしい大きさのお胸様が後頭部にこれでもかってぐらいにあたってるんですが!!
ありがとうございます!!!!!
「ほれ、ついたぞ」
幸せな感触を味わっていたらついたみたいだ。
「ここは?」
「手前の鍛冶場だ。お主に合うであろうナイフと短刀がここにあるのだ」
そう言って椿さんは机の上にナイフと短刀を並べ始めた。
いやいやいやいやっ!!一流鍛冶師の作品なんて俺には宝の持ち腐れだから!!
「ほれ、右から順番に使ってみろ」
言われるがまま俺はナイフと短刀を順番に使っていく。
「お主、武器を扱うセンスないぞ?」
「うん、戦い方を教えてくれた人もそう言ってた」
「刃物を使っているのに切るのではなく叩くような使い方だったぞ」
だって前世では銃刀法とかで刃物なんて持ち歩けなかったし、使える刃物なんて鋏やカッター、包丁ぐらいだったからねぇ。
だから扱ったことのある武器って言ったら特殊警棒ぐらいなんだよねぇ。
住んでたところの治安が最悪だったので、護身用として持ち歩いていたんだよね。
「これなら刃物ではなく丈夫な棒を使ったほうがよいな」
「それじゃあこんなの作れます?」
俺は前世で使っていた三段式警棒の図を用いて説明してみた。
「ほぉ、これならそんなにかさばらんから予備の武器として持ち歩くことができるな。よし!今からこれを作ってみるから3日後にまたここにこい!!」
「わかりました」
椿さんが鍛冶に没頭してしまったので鍛冶場から出て、街に行く。
どうせならこの前行けなかった教会に行ってみることにした。
場所がわからないので、いろんな人に聞きながらやっと教会についた。
誰も手入れしてないからオンボロになっていた。
後7年ぐらいしたらここにベル君とヘスティアが住むんだよねぇ。
一ファンとして聖地に来れたことに感激しながら教会の中に入ってみると、そこには祈りを捧げている女性がいた。
「あら?あなたも祈りに来たの?」
祈っていた女性は女神アストレアだった。
「まぁそんなとこです」
ヤバい!アストレア様が綺麗すぎて直視できない!!
何でこの女神が美の女神じゃなくてあんな拗らせたフレイヤとイシュタルが美の女神なんだよ!!
この女神こそが美の女神だろうが!!
そんな事を思っていたらアストレア様が近くにきていた。
「あなたね?リューが言っていた不思議な気配がする少年は」
そう言われた瞬間、俺はアストレア様から距離を取った。
「誤解しないで。私はあなたになにかしようとは思わないわ」
「失礼しました。変な神にしか会ったことがないので」
ヘルメスとかゼウスとかフレイヤとか。
「そう、それなら仕方ないわ。私は気にしてないから大丈夫よ。名前を教えてくれるかしら?私はアストレア、正義を司る神よ」
こんなしっかりした女神があのスケベ爺のゼウスの娘で、ヘルメスと異母兄弟姉妹とは思えない。
「ロキ・ファミリアのケンジと申します。女神アストレア」
「そんなに畏まらなくてもいいわ。予定がないなら少しお話でもしない?」
「俺で良ければ喜んで」
俺は教会でアストレア様と他愛ない話をしていた。
あ〜、改宗できるようになったらアストレア・ファミリアに行こうかなぁって思うぐらい良い神様なんだけど。
しかし、アストレア様と楽しいおしゃべりの時間を邪魔する者たちが現れた。
「おいおい、こんなところに1人でいて良いのかよ?正義の女神様」
ガラの悪い闇派閥共が下卑た顔をしながらやってきた。
「この女神を送還しちまえばあのうざったい女共は恩恵を失って非力な女になる。そうなれば簡単に捕まえて好きにできるってわけだ!!」
「いいねぇ!!あのエルフにはたっぷりと仕返ししたかったんだ!!」
「大和竜胆は俺がもらうぜ?ああいうお高く止まってる女を跪かせたいんだ!!」
「でもその前に、女神の体を味わうとしようぜ!!」
その言葉と同時に男たちはアストレア様に向かっていく。
俺がそんなの許すわけないだろうが!!
俺はアストレア様を不死鳥の炎で囲む。
「なっ!!なんだ!!!」
「いきなり青い炎がっ!!」
驚いている男たちの前にアストレア様をかばうように立つ。
「いきなりクイーンは取れねぇだろうよ」
「何だこのガキ!!」
「どこにいやがった!!」
「ずっとここにいたけど?まぁそんなことはどうでもいい。暴れるんなら外に行ってくれないか?この教会壊すと怖いお姉さんが怒り狂うから」
教会が壊れたなんてアルフィアが知ったら『教会が壊されただと?どこのどいつだ!福音してくれる!!』ってなるに違いない!!
そして俺にも『何故教会を守らなかった!』なんて言う八つ当たりが来るだろう。
そんなことになったら、考えるだけで恐ろしい!!!
だから何としても教会を守らないといけないのだ!!!!
「うるせぇ!!邪魔すんならガキだろうとぶっ殺すぞ!!」
そう言いながら武器を振るってくる男たち。
あまりにも遅くて欠伸が出てしまう。
男たちの攻撃をらくらくかわして、アルフィアに教わった手刀で顎に打撃を入れて気絶させていく。
「さて、これで全員か」
とりあえず男たちを一箇所に纏めておいて武装を取り上げておく。
それが終わったのでアストレア様のところに向かうと、アストレア様は俺の不死鳥の炎に祈りを捧げていた。
どうしよう、まだ消さないほうがいいんだろうか?
「あっあのぉー」
「はっ!ごめんなさい。こんな綺麗な炎なんて見たことがなかったから」
「いえ、大丈夫です。とりあえず男たちは無力化しましたけど、どうしますか?」
「そうね、ガネーシャ・ファミリアを呼んだほうがいいかもしれないわ」
そうなんだが、こんなところにアストレア様を残していけないし、かと言ってアストレア様が1人で街中を歩くのも危険な気がする。
2人で行けば安全だが、コイツラが目を覚まして逃げる恐れがある。
どうしたのもかと悩んでいると誰かが教会に入ってきた。
「アストレア様!!」
教会に入ってきたのはリューさんでした。