僕のヒーローアカデミア トライアングルストライカーズ   作:たくtyan

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お待たせしました。続きです。


プロローグ① 「治龍局」(後編)

「オラァァ!」

 

 先に攻撃を仕掛けたのは男の方だった。男は足のタイヤできりんに向かって前進し、そのスピードを利用してパンチを繰り出そうとする。彼の驚異的なスピードが合わさったパンチを喰らってしまったら危険だと察知したきりんは回避を試みるも、男は既に目前まで迫っており、やむを得ず刀で防御する。きりんはダメージを最小限に防いだが、パンチの衝撃で吹き飛ばされ、後ろに下がってしまう。

 

(回避はおそらく困難…防御ばかりでもいつかはやられる…なら!)

 

 きりんは足に着けているホルダーから御札らしき物を一枚取ると、それを男に向かって投げる。御札は男に当たるも大したダメージにはならず、男は拍子抜けし、彼女を煽ろうと、

 

「なんだァ今のは?ちょっと身構えたが全然痛くも痒くもな……」

 

 

 

 そう言い放った瞬間、男の目の前にきりんが現れる。

 

 

 

「い…」

「はあっ!」

 

 きりんは男目掛けて斬撃を叩き込む。何が起こったのか理解できず、男はしばらく動けなくなり、斬撃を何回も受けてしまう。男は急いで後退し、先ほどの現象を理解しようと、きりんをじっと見つめる。

 

(あの一瞬で距離を詰めたのか…俺が見切れ無いほどのスピードで…)

 

 男が考えている間にもきりんは再び目の前に現れ、斬撃を与えていく。

 

「やっ!はあっ!!」

「グハッッッ!!!」

 

 斬撃を何回も受けたことでダメージが蓄積してしまい、男はきりんの前で膝を付いてしまう。

 

(クソッ、まただ。また斬られちまった。なんだ、あの訳の分かんねぇ攻撃は。どんな個性してんだ…いや待て、そういう事か!)

 

「テメェのその攻撃の仕組みがよくわかったぜ。その札を貼った所にワープすんだろ。」

「ご名答。こんな短時間でわかるなんて、あんたやるじゃん。」

 

 「雷霆煉鎖」。きりんがGVの力を借りることで使えるようになった攻撃法の一種であり、護符を貼り付けた対象に向かって刹那の踏み込みで斬り付ける技となっている。この技は攻撃、移動、回避の3つが優れており、きりんはこれまでこの技を使って何体もの暴龍を退治してきた。

 

「テメェの戦い方はよくわかったぜ。でもコッチも負けちゃいねェ。見せてやるぜ、俺のとっておきをなァ!!!」

 

轟速が創る地獄のリング

 

乱反射する数多の幻影

 

妨げる物全てを砕け

 

DANGEROUS CIRCUIT(デンジャラス サーキット)!!

 

 男が円を描きながらきりんの周囲を駆け回る。きりんは男を目で捉えようとするが、一つの赤い円に見えるまで加速した男のスピードを目視することは不可能だった。きりんは回避を諦めてカウンターの姿勢で男の攻撃に待ち構える。しかし、

 

「オラァ!!」

「っ!」

 

 左斜め後ろから男が飛び蹴りを放つ。突然の攻撃にきりんは反応できず、直撃してしまう。男は円の中に戻ると、今度は右から蹴りを放つ。今度は防御に成功したきりんだったが、次の攻撃が何処から来るのか予測できず、

 

(360度全方位から繰り出される超スピードの連撃…一体どうすればいいの!?)

「きりん、僕に考えがあるんだ。」

 

 敵の連撃を必死に防御や回避をしているきりんにGVが話しかける。

 

「僕が相手の攻撃のタイミングと方向を見極めるから、君は僕が言うタイミングに合わせて彼を攻撃してほしい。」

「言ってることは理解できるけど、そんなこと出来るの?」

 

 作戦を聞いたきりんが、発案者であるGVに問いかけた。

 

「僕は大丈夫だよ。きりん、君は攻撃に集中して。」

「わかった、GV。私はアンタを信じるよ。」

 

 きりんはいつでも抜刀できる姿勢に入り、男の次の攻撃を待ち始めた。そして、

 

「きりん、今だ!左後ろに攻撃が来る!」

「了解、GV!」

 

 きりんはGVが指示した方向に向かって斬ると、その攻撃は左後ろから迫ってくる男目掛けて命中した。

 

「何だとっ!」

 

 不意打ちを喰らった男はきりんの傍で停止し、またしても膝を付いてしまう。男が停止したことできりんの周囲を囲んでいた赤い円は無くなり、彼女の視界には遠くのビル群が再び見えるようになった。

 

「形勢逆転だね、今度はこっちの番だよ!!」

 

 きりんが男にそう言い放つと、彼女の刀から電流が流れる。攻撃の構えに入った彼女に対して、動けない男はただそれを眺めるしかなかった。

 

「行くよ、GV!!」

 

斬入こと雷霆の如く

 

迸ること百華の如し

 

裏八雲が奥義

 

裏九十二式・雷霆夜叉砕き!!

 

 雷撃を纏った無数の斬撃が男を襲う。斬撃を全て受けていた男には永遠のような時間に感じられたが、きりんはそれを一瞬の間に放っていた。斬撃が止んだ後には大輪の華状の光が咲き誇っていた。

 

「俺が、止まるだと…グワァァァ!!」

 

 男の体から光が漏れ出すと、男が見えなくなるほど爆発が起きた。爆発が終わると、そこには元の姿に戻っていた男が現れる。攻撃や爆発を沢山受けていたが命に別状は無く、気絶しているだけだった。

 

「任務完了。頑張ったね、きりん。」

「そっちもありがと、GV。それにしても凄まじいスピードの暴龍だったね、GVのおかげで勝てたけど、なんでアイツの攻撃を見切れたの?」

「昔、光速で移動する個性の持ち主と戦ったことがあってね。スピード系の個性の相手は慣れてるんだ。その彼ならさっきの暴龍にこう言うだろうね、"音速(おそ)い"って。」

「なんか、今変な言い方しなかった?」

「私も二人を見ていたわよ。」

 

 戦いの緊張が解けた二人が会話をしていると、何もない所が光り出し、和服に似たドレスを着た金髪の女性「モルフォ」が空中に現れる。

 

「二人ともお疲れ様。この後はどうするの?」

「労いの言葉ありがとう、モルフォ。この後はいつも通りだよ。しばらくは入院してもらって色々検査した後、龍放射の残滓が無いなら、元の生活に戻ってもらうよ。」

「それなら早速戻りましょうか。帰ったら私の新曲、聞かせてあげるわ。」

「じゃあみんなに連絡するね。」

 

 きりんは外で待機している三人に連絡を取る。

 

「こちらきりん、任務は終わったよ。三人とも帰還の準備をしてね。」

「超ベリーグッドだぜ、きりん!」

「既に任務完了か、流石だ。」

「よくやったな、きりん!」

 

 三人から安堵の声が聞こえると、きりんは連絡を切る。その後はGV、モルフォと会話をしながら男を運ぶための車両が来るのを待ち続けていた。

 

「………」

 

 遠くから一台のカメラが撮影していたのを、きりんは気付くことは無かった。

 

 

 

「あれが暴龍…!」「個性終末論の体現者そのもの!」「なんと恐ろしい…」

 

 教会の様な仮面やローブを着けた人間たちが目の前のスクリーンの映像を見ながら恐怖や驚愕の声を上げる。その映像に移っていたのは先ほどのきりんと暴龍の戦いの一部始終であった。

 

「あれこそが個性が行きつく可能性の一つ、暴龍だ。」

 

 奥から青く光る肌をした男が現れ、下にいる人間達にそう伝える。

 

「いずれ個性を持った全ての人間が暴龍になり、この世界を滅ぼす日もそう遠くは無い。超常黎明期から唱えられた個性終末論は今、まごうことなき真実になろうとしている。」

 

 男は下にいる信者たちに演説を始める。信者たちは暴龍に嘆く声を止め、男の演説に聞き入っていた。

 

「だからこそ我々純粋なる人間が戦わなければならない。かつて日本で勇気ある一人の英雄"白き鋼鉄"が人類の叡智の力を使い個性と戦ってきたように。」

「我ら"ヒューマライズ"も彼の力を借り、聖戦の為の準備を行っている。」

「約束の日は近い。我々無個性が勝利するまで、あと少しなのだ。」

 

 男が演説を終えると、祈りを始める。信者もそれに合わせて祈りを行う。

 

「人類の救済を。」

「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」「人類の救済を!」

 

 男の言葉に合わせて、信者が何度も復唱する。男の後ろのディスプレイはステンドグラスの様な模様に変わり、そこには白銀の鎧を着た少年と、背中から赤い翼を生やした少女が向き合う形で写っていた。




たくtyanです。初めての小説を読んでくれる人が予想以上にいることにびっくりしました。評価と感想お願いします。
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