今回も閲覧ありがとうございます。
さて、タイトルからお分かりかと思いますが、今回は主人公(転生者)の幼少期のお話です。
え!いきなり!?と思ってしまう方はごめんなさい。
それでも構わない方はどうぞ!
僕が生まれてから、4年の月日が経った。
つまり4歳になるわけだが、なにぶん前世から合わせると、現在の精神年齢は20そこらになるわけだ。
さて、あのチャラ神にスキルをつけられたお陰で、僕は今、箱庭病院にいる。
「全く余計なことしてくれるよな、あの神。『異常』だけならまだしも、『過負荷』までつけるなんてさ。『過負荷』なんて『欠点』(マイナス)でしかないのに。お陰で、考え方とか感情までマイナスが関わってくるよ。」
おっと、声に出ていたようだ。
独り言を声に出すことほど、恥ずかしいものはないな。
「それにしても、見渡す限り子供らしい子供がいないな。」
幼い子と言えば、あどけなさが残っていてもいいはずなのに。
そこはやはり、全国の『異常』が集まる病院。
良い意味でも、悪い意味でも、子供らしさなんてモノは感じられないな。
「晴間くーん。晴間雨兎烏くーん。診察室5番に入ってー。」
お、どうやら順番が来たようだ。
「失礼しまーす。」
診察室に入ると見た目小学生くらいの女性がいた。
人吉先生って、生で見るとホントに幼女だな。
「それじゃ、そこの椅子に座ってね」
人吉先生に促され椅子に腰かける。
そして、目一杯の笑顔を僕に向けて、人吉先生は話を始めた。
「こんにちは。晴間雨兎烏くんね。わたしはあなたの診察を担当する 人吉 瞳 です。よろしくね♪」
「よろしく、お願いします。」
「あら、そんなに緊張しなくても良いのに。」
「いやー、こんなにキレイな方とお話しするのはやっぱり緊張しちゃいますよー。」
「わー、嬉しいなー♪」
しまった。とても4歳児とは思えない発言をしてしまったかもしれない。
人吉先生も言葉とは裏腹に疑惑のような目を僕に向けている。
「ところで人吉先生。なんで僕は病院に連れてこられたんですか?どこも悪いところなんて無いと思うんですけど。」
解りきったことだが、疑惑の目を逸らすには素朴な疑問をぶつけるのが一番だ。
「そ、それは、あの、ご両親に聞いた方が、ほら、良いと思うの、ね?」
いやいや、人吉先生(笑)
いくらなんでも焦りすぎですよ(笑)
「そうですか、わかりました。」
それから、人吉先生が一度咳払いをして、
「とりあえず、雨兎烏くんにはしばらく通院してもらうから、よろしくね」
え、通院生活?
まぁ、いいか仕方がない。
「わかりました。」
「それじゃ、今日は診察を終わります。」
いつ診察したのみたいなツッコミはなしだよ。
「はい。ありがとうございました。」
そう言って、椅子から離れドアへと向かう。
あ、そうだ、1つ聞きたいことがあったんだ。
そう思いドアノブに手を掛けたまま、質問をする。
「人吉先生、どうして心療外科医になったんですか。」
少し考える素振りを見せる人吉先生だが、答えは分かっている。
「私はあなたのような子供を幸せにしてあげるために心療外科医になったのよ。」
「そうですか、どうもありがとうございました。」
そうして、僕は診察室から出た。
すると、待合所のベンチにウサギ(?)の人形を掴んでいる白髪の子供が座っていた。
ひょっとして、球磨川か?あの『混沌よりも這い寄る過負荷』球磨川 禊だな?
ちょっと声かけてみるか。
「やぁ、こんにちは。」
「『ん?こんにちは。』」
球磨川は少しも警戒する様子もなく答える 。
「僕は晴間雨兎烏、4歳だよ。」
「『僕は球磨川禊、君と同じ4歳さ。』」
それにしても、これが4歳児の放つオーラかい。
何て言うか、おぞましいというか、気持ち悪いというか、漫画だとそんなこと感じなかったけど生で見る球磨川禊はホントに『過負荷』だ。
「僕はしばらく通院することになったから、明日もここで会えるね。」
「『いや、多分僕は今日で終わりだと思うよ?』」
「え、どうしてさ。」
とはいえ、理由は解ってる。
球磨川は二千人分の『異常』のデータを人吉先生に渡すんだ。
確か、人吉先生は応じないと断ったが、こともあろうにコイツは息子を脅迫の材料にしちゃうからな。
「『んー、どうしてって言われても、そんな気がするだ。』」
また、コイツは解りきった嘘を。
「そうなんだ。それは残念だよ。」
そんな会話をしているうちに、球磨川が呼ばれた。
「『じゃ、僕は行くけど、なんだか君とは友達になれそうだ。良かったら友達になってよ。』」
ふむ、とりあえず応じようか。
「いいよ。改めてよろしくね。えーっと、禊くん」
「『うん、よろしくね雨兎烏ちゃん。じゃあ、また明日とか!』」
そう言って、禊くんは診察室に入っていった。
おや?あの凛とした座り姿、もしかしなくても黒神めだかだな?
うん、一応話しかけておくか。
「やぁ、こんにちは。えーと黒神めだかさん?」
「うむ。いかにも私は黒神めだかだ。そう言う貴様は何者だ?」
うーん、すごい毅然とした態度だなぁ(笑)
「あぁ、僕は晴間雨兎烏。よろしくね。」
「そうか、ところで、先程診察室に入っていった子供が私に、『人間は無意味に生まれて、無関係に生きて、無価値に死ぬ。世界に目標なんてなくて、人生に目的なんてない。』と言ったんだが、貴様もそう思うよな。」
……そういえば、禊くんがめだかちゃんにそんなこと言ってるシーンがあったなぁ。
ここはどう答えるべきか、うーん。
いや、ここは否定だな。
「いや、違うと思うよ。僕はそんなこと思わない。」
「そうか、だったら私に教えるがよい。私は何のために生まれてきた?」
ため息混じりにめだかちゃんが聞いてきた。
うーん、これは善吉くんの役目なんだがなぁ。
とりあえず、誤魔化しとくか。
「それは僕には分からないよ。僕だって自分が生まれてきた意味は分からないんだから。」
「うむ、やはりな。」
めだかちゃんは呆れたような声でいった。
ちょっと悪いことしたかな、よし。
「めだかちゃん、僕はしばらく通院することになったから、生まれた意味ってやつを一緒に考えようじゃないか。」
「なるほど、それも良いのかもしれない。」
「じゃあ、僕今日のところは帰るよ。また明日ね」
「うむ!」
そう言って、めだかちゃんと別れたあと僕は、託児室に向かっていた。もちろん善吉くんに会うためだ。
「確かこの辺りだったはずだが。あった。」
託児室を見つけドアを開ける。
案の定、善吉くんがおもちゃで遊んでいた。
「やぁ、こんにちは。僕は晴間雨兎烏って言うんだ。よろしくね。君の名前は?」
善吉くんはとびっきりの笑顔で答えてくれた。
「ぜんきちっ!」
「うん、善吉くんよろしくね。」
「よろしくっ!」
そこで、しばらく善吉くんと一緒になって遊んでいた。
子供向けのおもちゃだから僕はなんてことはないけど、善吉くんはいろいろ苦戦していたようだ。
おや、もうこんな時間か。そうしたら、そろそろ人吉先生が来る頃じゃないかな?
「(コンコン)善吉くーん、帰るよー。ってあら?雨兎烏くんじゃない。もしかして、遊んでてくれたの?」
そう言う人吉先生の表情は少し暗い。恐らく禊くんの件だろう。
「えぇ、まぁ、たまたま通りかかって。」
「そうなの。ありがとね雨兎烏くん。じゃあまた明日の診察で。」
「はい。明日もお願いします。」
人吉先生に続いて託児室からでた。
そこで人吉先生達とはわかれ、僕も家に帰った。
~後日談~
あの日から、通院しながらめだかちゃんと生まれた意味を考えたり、善吉くんと遊んだり、めだかちゃんと善吉くんを会わせて、二人の仲を取り持ったりと、なかなかにハードな通院生活だったと思う。
だが、これでめだかちゃんと善吉くんの関係はできた。
めだかちゃんは生まれた意味を善吉くんから聞いたようだが、見知らぬ他人のためって言うのは些か厳しいのではないかと思う。
そして、そんな予想は結構当たったりするのだが、それはまた次の機会に。
皆様、最後まで読んで頂きありがとうございます!
さて、今回幼少編としてお話を進めて来ましたが、とりあえずこの回で区切ります。
次回は高校生になったところから話を進めていこうと思いますので、それでもよろしければ、お願いします!
それでは雑草柴犬でした!