ダイの大団円 (take 3)    作:ギアっちょ

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ファイブスター物語を絡める(?)に当たっての前フリです。


プロローグ

ジョーカー太陽星団を離れてから、戦艦ウィルは、いくつもの空間と次元を渡り歩いていた。

 

 探すのは、ただひとり。

 ラキシス。

 

 彼女と別れたあの日から、レディオス・ソープ──アマテラスの胸元で、ドラゴンドロップはずっと、かすかな「寂しさ」のような波動を響かせ続けている。

 ラキシスの持つもう一つのドラゴンドロップと、いつか再び触れ合うその時を、じっと待ち続けながら。

 

 静かなブリッジに、機器の低い駆動音だけが響く。

 その均一なリズムを破ったのは、短い警報音だった。

 

「……ドラゴンドロップが反応してますよ、陛下」

 

 白衣姿の男が、椅子をくるりと回した。マウザー教授だ。

 面倒くさそうな表情をしながらも、指先は手慣れた動きでパネルを叩いていく。

 

「しかしこれは……ラキシス姫様のそれとは波形が違いますな。

 似てはいますが、“完全共鳴”ではない。どこか粗くて、若い」

 

 ソープは、自分の胸元に視線を落とした。

 

 胸に下げたドラゴンドロップが、かすかに震えている。

 淡い光の脈動が、どこか遠くの「竜」の啼き声を伝えてくるようだった。

 

「“竜”の因子……だけ、か。

 でも、この揺れ方は──誰かが必死に、何かを守ろうとしてる時の反応だね」

 

 ソープは宝珠にそっと指を当て、ほんの一瞬だけラキシスの笑顔を思い浮かべる。

 彼女なら、きっと「助けてあげて」と微笑むだろう。そんな気がした。

 

「また寄り道ですか、陛下?」

 

 側近のログナーが、半眼で問いかける。

 

「姫様の捜索を優先すると、つい先ほど決められたばかりだと思うのですが」

 

「うん。でもさ」

 

 ソープは肩をすくめ、悪戯っぽく笑った。

 

「“竜”が泣いてる世界を見捨てて進むのも、性に合わないんだよね。

 ああいう子たち、放っておくと、すぐ無茶して死にかけるし」

 

「……やれやれ」

 

 マウザー教授が、わざとらしく肩を落としてみせる。

 

「座標はすでに割り出してありますよ。

 どうせ止めても行くんでしょうし。こちらは引き続き、ラキシス姫様のドラゴンドロップ反応を追いかけておきます」

 

 その横顔は呆れたようでいて、どこか楽しそうでもあった。

 陛下が誰かの“危機”を見捨てられない性格なのを、彼は誰より理解している。

 

「お願い、マウザー」

 

 ソープはひらひらと手を振った。

 

「ログナー、ツバンツヒ。ちょっと付き合って。

 “泣いてる竜”を、ちょっとだけ助けに行こうか」

 

「了解」「承知しました」

 

 次の瞬間、ブリッジの空間がふっと歪み、

 三人の姿はウィルから掻き消えた。

 

 残されたマウザー教授は、ため息をひとつ。

 

「……まったく。ラキシス姫様を探す旅だというのに、道草ばかりだ」

 

 そう言いつつも、コンソールから目は離さない。

 別の宇宙のどこかで、もうひとつのドラゴンドロップが、誰かを想って静かに震えていることを、彼はよく知っていた。

 その“ふたつ”が再び共鳴する日を、内心では誰よりも待ち望みながら。

 

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